ニートな女神と初めての洞窟
洞窟に実際に行くのは次回になりました。(だからタイトル詐欺。)
いや、アースジャイアントが思いのほか強くてさ。
フィールドにモンスターが新たに出現する時は、地面の下や空中に黒いもやのようなものが発生する。そしてほどなくして黒いもやはモンスターの姿へと形を変えていくのだ。
その時点でプレイヤーにはモンスターの名前とHPケージが同時に見えるようになり、そこからモンスターと一定以上の距離まで接近するかこちらから攻撃をするとそのモンスターと戦闘状態になる。
モンスターを倒すか、あるいはモンスターから一定以上の距離をおく(つまりは逃げる)と戦闘状態は解除されるが、モンスターによってはしつこくプレイヤーのことを追いかけてくるモンスターもいる。
ウルフなどの獣族のモンスターは逃げても追ってくるタイプが多いと思う。
アースジャイアントはゴーレム系のモンスターと同じでプレイヤーから攻撃をしかけない限りは襲い掛かってくることはないモンスターだった。
HPケージは200%と体力の多さだけでいうならビッグポイズンスパイダーやクイーンビーと同格であって、そしてその2体のモンスターが本来であれば4人パーティで挑むことが推奨されているだろうモンスターだったということは、倒した後にドロップしたレアアイテムの数から推し量れたのだけど。
アースジャイアントもどうやら同じ類のモンスターだったようだ。
つまり、プレイヤーがまずソロでは勝てないだろうというレベルの強さであって。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!」
私は最初にアースジャイアントに3段斬りを叩き込んでからすぐにそれを後悔した。
ゴーレム系が巨体であっても足は遅い、敏捷の値が低かったからアースジャイアントもそうなんだろうとか勝手に思っていた私は馬鹿だった。
アースジャイアントは見かけによらず怒ると素早くなる。いや、一歩が大きいんでそう感じるだけかもしれないのだが。
「くっそー、それまでノロノロと歩いてたくせに」
そしてアースジャイアントは一度でもプレイヤーから攻撃を受けて怒ると、そこからプレイヤーをしつこく、それはもう執念深く追ってくるタイプのエリアボスだった。
最初に決めた3段斬りで、攻撃を3回とも命中させたのにHPは20%程度しか削れなかったことから耐久の値が高いことはもう確認済みだ。力も、あの巨体でさらにすごくでかいこん棒を装備しておきながら低いなどということはありえないだろう。
敏捷については今説明した。決してすごく速いわけではないんだけど巨体であって1歩進む歩幅が大きいからプレイヤーが全力で逃げても距離は広がらないというわけのわからない地獄ね。
「マッドショット!……効かない!?」
さらには、敵の敏捷を下げる効果のある支援魔法であるマッドショットが命中したのにも関わらず一切効果がないということを見るにどうやらアースジャイアントは土属性の魔法に耐性があるみたい。
耐性があると、その属性の攻撃で受けるダメージが大きく減ってしまうし、さらにその属性の支援魔法の効果も受けつけなくなるのだ。
「ウィンドステップ!」
だから私はいつものようにウィンドステップで自分の敏捷を上げたわけだけど。
「よくよく思い出せば、アースってたしか地球とか大地って意味があったな。だから土属性の攻撃は効かないのか」
そして、属性の相性でいうなら土属性に効果的なのは風属性。
「試してみるか。ウィンドエッジ!」
第2階層でフォレストベアからもらった魔法、ウィンドエッジ。
初級攻撃魔法にしては威力が高く射程も長いという強力な魔法攻撃。
「効いた!、やっぱり風か」
私の想像通り今の一撃でアースジャイアントのHPは30%削られ、さらにジャイアントアースはそれでひるんでいったん足を止めた。
ああ、ちなみにアースジャイアントは別に全裸じゃなかったからね。ちゃんと身の丈にあった皮製の服を着ていたけど。もしかして倒したらドロップするのってあっちかな?
とにかく、これでアースジャイアントのHPは150%にまで落ちたわけだ。
アースジャイアントの攻撃方法は、なんと今のところ1つしか確認していない。
うん、そう。つまりは手に持った棍棒を振り上げてから地面にたたきつける攻撃ね。
地面にたたきつけられた瞬間にもの凄い音が聞こえるからあれは絶対に食らってはいけない攻撃だということは言わなくてもわかるだろう。
もしかしたらプレイヤーの残りHPの量を無視してプレイヤーを殺す即死系の攻撃かもしれないと思うほどにやばかった。
しかもアースジャイアントは巨体であり、背の高さ、腕の長さ、こん棒の長さ。
以上のの3つを踏まえた上で考えると攻撃の射程距離は長くさらに装備したこん棒がでかいので回避が難しいのだ。
ただ、それでも今の私の速さであればこん棒の振り下ろし攻撃自体をよけることは容易だった。
問題はアースジャイアントのその攻撃には続きがあって、こん棒が地面に衝突した際に地面が砕け散って岩の破片が周囲に広範囲に飛び散る。これの回避がね、もう不可能レベルだった。
「いやいやいや、無理無理無理~!」
まずこっちに飛んでくる岩がでかい!
そして飛んでくるスピードも速い!
加えてこの岩、エリュマントスのグラウンドラインブレイクと同じで物理攻撃扱いだった。
もう1度確認のために言っておくけどアースジャイアントはまず間違いなく力の値が高い。
私が今装備中の蝶々シリーズの装備は敏捷と賢さを大幅に上げるかわりに耐久の上昇値はそれほどでもなくて。もしも私が装備していたのがドラゴンシリーズの装備であったなら、装備の特殊効果で物理攻撃によって受けるダメージが半減していただろうから食らってもそれほど致命的なダメージにはならなかったはずだ。
そう、私はその時、戦う前に装備を変えておけばおけばよかったと心の底から思ったんだ。
「ぐぎゃん!」
今の一撃で私のHPは半分になった。
うん、半分。正確にいうとちょうど半分ってわけではもちろんなかったけどだいたい最大HPの50%くらいのダメージを受けたよ。
「あ、これ死んだな」
と、私はいつも強敵との戦いの中で思うことを今回も思って口にした。
いやだって、これ。まだあいつにとっては通常攻撃の範囲内でしょ?
「あー、今回ばかりは無理…………ん、そうでもないかな?」
そして私の頭の中にいつものように浮かんだ1つのアイデア。
その間にアースジャイアントは再びのこん棒振り下ろし攻撃をしてきて、私はまたこん棒そのものからは余裕で回避に成功。
それから自分の方に飛んできた大きな岩の塊。
あの岩だって、エリュマントスのグラウンドラインブレイクで隆起した地面と同じならこっちから攻撃して破壊することができるはずだ。つまりはフィールド上にあるオブジェクトと同じで耐久値があるはず。だけどもあの大きさだからその耐久値もきっと高いはずだし、飛んでくるスピードから考えてこっちから何か攻撃をしかけるにしてもチャンスは1度だけ。
このような場合岩を確実に破壊するもっとも効果的な攻撃とは何か?
答えは……
「ウィンドランス!」
ランス系の魔法であれば威力が高いため大きな岩程度のオブジェクトなら一撃で確実に破壊できる。
射程が短いけどその分十分引きつけてから放てばまず外れることもないしね。
まあ、本当は同じ風属性の攻撃魔法ならウィンドエッジでも良いんだろうけど私はまだどっちの魔法が威力が上なのかということまでは調べてなかったから今回は槍の方にしておいた。
「よっし!」
もちろん飛んできた岩は壊れたよ。さすがランス系の魔法は威力が高いな。
アースジャイアントに挑む前の夜の荒野の探索中に、ランス系の魔法は全部1度ずつ試してみたけどただのザコモンスターならだいたい一撃で消し飛ばせるだけの威力はあったから。
無属性のマジックブラストだけは、やっぱりちょっと威力低かったみたいだけどね。
「ウィンドエッジ!、ウィンドアロー!、ウィンドボール!」
それから私は再びの反撃で風属性攻撃魔法の3種セットをお見舞いし、それでアースジャイアントがひるんだ隙に接近し、まずはファイアーステップ。
そこからの疾風斬りと3段斬りという怒涛の攻撃ラッシュをした。
アースジャイアントは並大抵のダメージではひるんだりすることはないけど、逆にひるむと結構大きな隙ができる。
「4人パーティで一斉に攻撃し続けていれば楽なんだなんだろうな」
今の私の攻撃によってアースジャイアントのHPは大幅に削られ残り40%程度。
このまま押し切れそうだけど体力が減ったことで新しい攻撃をしてくるかもしれないから私はそこで安全確保のためいったん距離をおいた。
アースジャイアントの新たな攻撃方法。追加された攻撃はまた1種類だったんだけど。
それはその場で大きくジャンプして着地の瞬間に地面に衝撃波を発生させるというもの。
この衝撃波は着地地点から円状に15メートルほど広がって消えて、これを食らうとプレイヤーは大きく弾き飛ばされてしまう。
うん。もちろん私も初見だったしくらったよ。それで弾き飛ばされた。
「ぐうぅぅぅぅ……でも、ダメージはそこまででもって、連続でこん棒攻撃!?」
弾き飛ばされても衝撃波攻撃のダメージはそこまででもなかった。
ただプレイヤーが体制を立て直す前に続けてこん棒を振り下ろす攻撃をしてくるというね。
やっぱりエリアボスって言ってもボスであることに違いはないから簡単には勝たせてもらえない。
「あ、やば。回避が間に合わな……ドッジロール!」
ドッジロール。それはただその場で1回前転するというだけのスキル。
ただこのスキル、前転している最中はプレイヤーは一切のダメージを受けないという無敵化の効果が付随している。
つまりもうどうしても攻撃をよけられそうにないという場合にタイミングさえ合わせられれば緊急回避に使える技なのだ。実際に試したのは今が初めてだったんだけどね。
「ぐぎゃん!」
いや、それでさ。こん棒攻撃自体を回避することには成功したんだよ、奇跡的にね。
でも結局のところドッジロールって前転1回分の距離しか移動してないからさ、その後の大きな岩まではさすがにどうしようもないというか、ほぼゼロ距離だからね。食らっちゃったよ。
「あ、やばい。HPが残り7だ」
そう、もう本当にやばかった。
ここまで私の体力が減ったのって、第1階層の迷宮のあのドラゴン戦の時以来だったかも。
……ああ、そういやその前にヤタガラス戦で実質私のHPは0になって死んだけど。でもあの時のことはいまだに思い出せないからな。あれはノーカウントで。
「でも今がチャンス!」
アースジャイアントの攻撃はたしかに恐ろしい。
けどアースジャイアントはこん棒振り下ろし攻撃が終わってから10秒くらいは次の行動にうつらずにただボーっとしていて隙があるので、攻撃後が最大の反撃チャンスなのだ。
「ウィンドエッジ!、ウィンドアロー!、ウィンドボォォォォール!!」
私は叫んだ。魔法の名前をここまで全力で言ったのも、初めてだったかもしれない。
私が放った風の刃と矢と球は全部命中し、そして私は勝利した。
アースジャイアントのHPが0になり、アースジャイアントは気を失ったかのようにそのまま真後ろに大の字で倒れこみ、そして倒れこんだアースジャイアントの体が光の粒子になって砕け散った。
出現する時は闇みたいな黒いもやから生まれるのに倒れたら光に変わって消えるっていうのは、よくよく考えるとどういう理屈なのかわかんないんだけど。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。危なかったな。もう本当に……」
私はアースジャイアントを倒した後で地面に倒れこんだ。
たぶんだけど今、デザートウルフとかに襲われたら普通に死ぬと思う。
『倒したモンスター』
アースジャイアント×1
獲得経験値:800ポイント 獲得ゴールド:4000G
次のレベルまで27856ポイント
次のレベルまでに必要なポイントの量からもわかったと思うけどレベルも上がったよ。
『レベルアップしました』
レベル26→27
HP:225→230 MP:146→150
STR:60→62
VIT:60→62
AGI:55→58
ING:50→53
DEX:28→30
LUX:27→28
「おおう、なんか今回はどれもすごく上がってるな」
そしてさらにアースジャイアントからはまさかのスキルがもらえた。
『新しいスキルを入手しました』
スキル:巨人殺し
〇巨人殺し
巨人族のモンスターに与える物理攻撃ダメージが25%上昇する。
私は目の前に開かれた画面を閉じるとそこで深いため息をついた。
「はぁ~~~~。いや、もうさ。っていうか巨人族っていう種族のモンスターがこの先の階層にもいるってことだよね?」
たぶんだけどそいつらはまず間違いなくどいつもエリアボスレベルのモンスターなんだろうな。
まあ、それを考えると今ここでこのスキルを手に入れておいたことは後ですごく意味があるというか、助かるんだろうけど。
「でもあいつ耐久が高かったから、物理攻撃で与えるダメージが増えてもなぁ」
巨人族はきっとどいつも力と耐久が高い種族のモンスター群なんだろうし。
「とにかく回復を済ますか。ドロップアイテムは……やっぱりこん棒か」
私は立ち上がりポーションと聖水を飲んでHPとMPを全快させるとアースジャイアントがドロップしたアイテムを回収した。
〇巨人のこん棒
STR+85
特殊効果:物理攻撃でのクリティカル率が20%上昇する。
「うーわっ!、もう無茶苦茶だな。武器カテゴリーは……[槌]か。いや、まだ装備できないけどこれも恐ろしい武器だよ」
5分の1の確率で攻撃がクリティカルになるとか、冗談もいいところだ。
それにSTRの上昇値も85って、槌は武器の中でも特に一撃の威力が高い武器なのにこれを装備したらたいていのモンスターを一撃で葬り去れるぞ。
「おっと、まだ落ちてるな」
アースジャイアントは素材アイテムもドロップした。巨人の皮というアイテムを16個ほど。
「……ふぅ。これで全部か。まあ1体で4000Gもくれたのは凄いし、経験値も良かったけど。でもあんまり狩るのはおすすめしないかな」
下手すれば私の方が死んでいたのは事実だしね。
巨人のこん棒はどうしようかな、これも念のため売らずに取っておくか。
もしももう1体アースジャイアントを倒す機会があれば1個は売ってもいいけど。
まあそんな機会はない……あ、いやあるなおそらくはあと1回。
「ギルドクエスト……先に受けときゃ良かった。まあ今日はもう街に帰ろうか」
アースジャイアントからもらえるスキルが成長させるタイプのスキルじゃなくて本当に良かったよ。
最悪の場合もしも頑丈Ⅰみたいなスキルがもらえていたとしたら少なくとも私はあと29体も巨人狩りしないといけなかったから。そのスキルがどのくらい有用なスキルかにもよるけどね。
――神界の私の部屋――
グランガンの街に戻ってきた私は、そこですぐにログアウト。
そうして私は現実世界へ戻ってきた。時刻は午後9時過ぎ、お腹が空いたな。
「カップ麺作るのも面倒くさいけど、でも明日はダンジョンだしな。しっかり食っておかないと」
ということで私は5分で出来るデカいサイズのカップ麺を作って食った。
うーん、そろそろまたヤリーロの部屋に突撃して食い物ねだりに行こうかな。
どうせあいつこの前の祭りのライブ感想聞いたらそれで夢中になって話し始めるだろうからその隙にこっそりくすねて行っても気づかないだろう。
寝る前にスマホのチェック。今日も通話は0件。メールはメルマガと迷惑メールのみ、と。
うん、いつも通りだな。
「もう寝よう。疲れた」
アースジャイアントとの戦いが思いのほか苦戦されられたので私は疲れていた。
もちろんVRゲーム内でのことだから現実のこの肉体は一切動かしていないはずなんだけど、精神的な疲れというのはどうやら肉体の方にもある程度フィードバックされるみたい。
なんか体のふしぶしがちょっと痛いような気さえしている。
まあそれは単に運動不足をこじらせているだけなんだろうけどね。
私はベッドに入る前に軽くその場で伸びをしたりとかして体のこりをほぐすとそれから照明を消してベッドへ。その日はすぐに眠りについた。
それでさ、次の日の朝なんだけど私午前5時に起きちゃったんだよね。
夏だったし外はもうだいぶ明るかったんだけども。
「珍しく夜早く寝たらこれだよ」
しかもそういう時に限って次の日の朝、頭はめっちゃすっきりしてるの。
もう絶対に二度寝はできないなっていうかさ。体も軽かったし、もう最悪だよ。
私は仕方なく起き上がるとそれからシャワーを浴びた。
それが終わると朝ごはんは抜きでまたゲームを始めた。
第3階層は午前5時でもう夜明けだから問題ないだろう。
<第3階層:岩の都グランガン>
冒険者ギルドは24時間営業だ。
それはもちろんどの時間帯にプレイヤーがログインしても対応できるようにしていないといけない施設だからなんだろう。
朝早くに私は冒険者ギルドまでやってくると、昨日受付にいたマッチョさんの姿はなかった。
だから別の、金髪のきれいなお姉さんの職員さんに私は話しかけた。
「おはようございます」
「おはようございます。朝お早いんですね」
「いえ、今日は早くに起きちゃって……あ、聞きたいことがあるんですけどもいいですか?」
「はい、なんでしょう」
私はお姉さんにこの階層のクエストのことについて聞いてみた。
特に昨日、ストーンショップのおじさんに聞いた採掘というスキルがこの階層で手に入れられるのかということは重要なことだろう。
そして結果から言うとそれは当たりだった。
「はい。採掘のスキルですね。それでしたらあちらの住人掲示板の方に貼ってあります依頼書の中にそれが報酬となっているものがございますよ」
「あ、そうですか」
私がお姉さんにお礼を言った後で住人掲示板の前までやってきて、そこで改めてこの階層の住人クエストについて詳しく見て回ったら色々と見つかったよ。
まずは採掘スキルがもらえるクエスト。
そしてさらにこの階層でも新たな武器スキルをもらえるクエストが存在していた。
「『槌入門』か。これクリアしたら槌が装備できるようになるんだろうけど……」
私はそこでふと昨日アースジャイアントからドロップした巨人のこん棒のことを思い出した。
槌は大剣と同じで両手持ちの武器だから装備したら右手と左手の装備枠が両方とも塞がってしまうのが難点だって話だったが。
「これは後回しだな。あとは他にもいくつか有用なスキルとかもらえるクエストがあるみたいだけどどれも時間がかかりそうだな」
だから私は今は住人クエストの方はパスしてギルド掲示板の方へと向かった。
荒野フィールドはむしろ昼の方がレッドスライムが出現するからギルドクエストを片づけるにはちょうどいいのだ。私はとりあえず5件、荒野で受けられるギルドクエストを受けると冒険者ギルドを出て荒野へと向かった。
そして30分足らずで5件のクエストをクリアするとすぐに街まで帰ってきてまた冒険者ギルドへ。
5件のクエストのクリア報酬を受け取るとまたギルド掲示板の前へ。
「アースジャイアントの討伐クエストを除けば荒野でのギルクエはあと2件か。うーん、なら洞窟で受けられるギルクエも今3件受けておこう」
私は洞窟ダンジョンで受けられるギルドクエストの方も3件足してまた5件のギルドクエストを受けた。そしてこれから洞窟に向かうわけだがその前に念のために銀行にお金を預けておく。
この前おろして使わなかった分も合わせてまた5万ゴールド。これによって私の預金額は45万ゴールドに戻った。銀行の受付の人は昨日の人と違ったけど、その人は特に私の預金額については驚きもせずに淡々と仕事をこなしてくれた。
別に驚いてくれることを期待してたわけでもないけど、むしろ変にリアクションされるよりはずっといいっていうかむしろこっちが普通であってほしいよね。
「それじゃあ行くか、洞窟に」
洞窟にはバットの他にもまた新しいモンスターが出現するようだけど、おそらく大丈夫だろう。
問題は洞窟のダンジョンボスだが。さっきギルド掲示板でおそらくそのダンジョンボスだと思われるモンスターの名前を確認したけどなんていうか、倒せそうだけどあまり見たくはないなって。
いや、まだ実際にその姿を見るまではなんとも言えないんだけどね。
<モンスター辞典>
〇アースジャイアント
巨人族。ゲーム内で初めて登場する巨人族のモンスターであり荒野フィールドのエリアボス。
黄色い皮膚をして茶色い皮製のベストと腰掛を着用している。武器は巨大な木製のこん棒。
巨人族のモンスターは総じて力・耐久の値が飛びぬけて高く、敏捷も見た目の大きさとは裏腹に高い方。
ただ賢さが低いので魔法攻撃には弱いのだが。
実はこのアースジャイアントのこん棒振り下ろし攻撃も高確率でクリティカルが発生するため本当に受けるとそれだけで即死レベルの攻撃だったりした。たとえクリティカルが発生しなくても並のプレイヤーなら一撃で致命傷になりうるすさまじい威力の攻撃。
体力が減ってくると使用してくるジャンプしてからの衝撃波も物理攻撃扱いなのだが、そっちは威力は低め。ただ油断は禁物だぞ。
弱点は風属性。耐性は火属性と土属性だ。
ドロップ:巨人のこん棒、巨人の皮
※なお、本編内で玲愛は巨人の皮を1度に16個も入手しましたがこれは玲愛が倒したからです。
それ以外のプレイヤーが倒したら落としてもせいぜい1体で4~8個くらいのアイテム。さらに巨人のこん棒のドロップ率はなんと0.5%だったりしたんだよ。玲愛には全く関係ない話だけど。
 




