表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第3階層―RED―
102/171

ニートな女神と初めての巨人

エリアボスの中だったら、実はレッドウルフが一番お気に入りだったりする。

 私は買った巻物をその場でアイテムボックスから出すと全部開いて魔法を習得した。

 ランス系の魔法は攻撃魔法だったんだけども、私ってまだ防御魔法を1つも覚えてないんだよな。

 主に攻撃魔法と支援魔法、あとはポイズンとかパラライズなんかは特殊魔法で、回復魔法は1つだけだが第2階層の住人クエストの報酬で手に入れていた。

 防御魔法っていうのはあれだよ。だから第1階層のゴミ山クエストでヤタガラスと戦っていた時にマロンちゃんが使っていたようなやつ……あの魔法、ダークカーテンって言ったっけ?

 目の前に真っ黒い闇でできた幕を展開してヤタガラスが放ってきたダークボールを無力化した。


 まあ別に絶対になくてはならないっていうほどでもないし、私もそこまで欲しいと思っているわけではないんだけどあったらあったでやっぱり戦闘は少しか楽になるというか。

 今のままでもいいんだけど、もっと戦闘に余裕が生まれると思うんだよね。


 〇ファイアーランス

 火属性の初級攻撃魔法。火で作られた槍を打ちだす。

 消費MP:5 リキャストタイム:5秒


「アロー系よりも消費MPが高いし、リキャストタイムも伸びてる」


 でもまだ初級攻撃魔法だから威力の方はそこまででもないんだろうけど。


「このファイアーランスっていうのはどういう魔法なのかわかる?」


 私は店員の男の子にこの魔法について聞いてみた。

 ああ、ちなみにウォーターランスとか他のランス系の魔法の紹介は今回も省くよ。

 だって全部ファイアーランスと消費MPとリキャストタイムは同じだったし、属性が違うだけで。


「えっと、ファイアーランスはファイアーボールよりも威力が高くて、でもファイアーボールより遠くに飛ばないってお母さんが言ってました」

「ん?……ああ、なるほどね」


 初級攻撃魔法の最もスタンダードな魔法というのがファイアーボールなどに始まるボール系の魔法だと仮定して考えてみると、だ。


 アロー系の魔法はボール系の魔法よりも射程距離が長い、つまりファイアーアローはファイアーボールよりも遠くまで飛んでいくから遠くにいる敵に攻撃できるのだけど。

 でもアロー系の魔法はボール系の魔法よりも威力が若干低い。

 それでランス系の魔法というのはようはその逆であって。


「威力は高いけど代わりに近くの敵しか攻撃できない、と」


 私がそうつぶやくと店員の男の子もうなずいてこう言った。


「は、はい。そういうことなんだと思います」


 なるほどね。まあもちろんこの後でまたフィールドに出て実際に使ってみるつもりではあるけど、これはある意味で魔法使い職のプレイヤーにとっては貴重な魔法だろう。

 魔法使いってMPや賢さの値が高いけど耐久は低めで、つまりは物理攻撃に弱くなりがちになる。

 それでその物理攻撃っていうのはまあ半分以上は近づいて殴ったり剣で斬ったりとかするとかそういうのであって主に近接戦闘になるんだけど。だから魔法使いって敵に近づかれるとそれだけで結構やばかったりするんだよね。

 攻撃魔法の多くは遠くの敵を攻撃するものが多いというのも1つあるんだけど。


「やっぱり強威力で近くの敵を攻撃できる魔法もあった方がいい」


 もっとも、本来は敵に近づかれる前に倒すのが理想的なんだけど。

 パーティ組んでても素早い敵が複数体現れて戦闘になるとモンスターが前衛を抜けて後衛の魔法使いたちのところまでやってきてしまうという事態は珍しくないから、そういう時でも落ち着いてちゃんと対処できるようだと魔法使いとしても安心だし、パーティ全体の連携も良くなるんじゃないかな。


 ああ、誤解がないようにもう1つだけ言っておくけど。

 別に射程距離が長い魔法を近距離にいる敵に対して使っても問題はない。

 ただ魔法を放った直後ってどうしても隙が生じるからそれで放った魔法をかわされたりとか、あとは威力が足りなくて向かってくる敵に命中はしたけどひるませるほどではなかったりするとまずいというか、まあそうなったらまず間違いなく敵の攻撃(あるいは反撃)を受けることになるからね。それが怖いんだよ。

 だから魔法使い職のプレイヤーでも意外と敏捷の値を上げてる人も多いって聞くけど。

 とっさの時敵の攻撃を回避できるだけの足はあった方がいいって話。


「ありがとうございました」


 私は店員の男の子に見送られながら魔法屋を出ると空はもう真っ赤に染まっていた。

 この第3階層は午後6時でもう夜になる。そして夜明けは午前5時。


 第1階層では夜は午後7時から、第2階層は午後8時からだったから、この階層は夜の訪れがやや早いというわけだ。

 夜明けは第1階層は午前6時、第2階層は午前5時30分。そしてこの第3階層が午前5時と夜が明けるのもまた早い。


「えっと、だからこの階層は夜の方が1時間短いのか。第1階層と一緒で」


 ゴッドワールド・オンラインは下界の地域ごと、サーバーごとに世界が個別に存在している。

 だからこの時間帯というのもその地域にあるサーバーの時間が適応されている。

 だから遠くの国にあるサーバーとかにプレイヤーがサーバー移動するといわゆるゲーム内でも時差というのを感じることもあるというけど。

 でも同じサーバー内の世界でも階層を移動したら時差はあるってことだな。

 ちなみに、私がログインしているこのゲームサーバーは下界の日本という国にある北海道サーバーとのこと。これは他のプレイヤーに聞いたから間違いない。聞かれた方のプレイヤーにちょっと変な目で見られたりもしたけど。


 そう、たとえば午後7時にゲームにログインした時、第1と第3階層はすでに日が落ちて夜の時間帯なのだが第2階層はまだ夕方というか、昼の時間帯になっている。

 このことについてはプレイヤー間でも結構意見が分かれていたな。


 時間は全部そろえた方がいいだろう、とか。

 場所が違うんだから時間の流れ方や環境が違うのは当たり前、とか色々な意見がネット上では飛び交っているらしいのだが。


「私は……まあどっちかと言えば後者の意見かな。階層が違うんだし、そういうこともあっておかしくはないんじゃないかと思う」


 ただ、これは先の階層の話についてちょっと聞いただけだから確証はないんだけど。

 第6階層は昼がすごく短くて夜がすごく長い。

 第8階層が逆に昼がすごく長くて夜がすごく短い。

 さらに第10階層はあまりにも極端で、昼の時間帯が存在せず24時間ずっと夜の時間帯らしい。

 昼夜の差がない分フィールドのモンスターとかの変化もなさそうだからそれはそれで良い面もありそうなんだけど、長くいたら絶対に体の感覚をおかしくしそうだな、第10階層は。


「でも、そもそもVRゲームってそこまで連続して長時間のプレイすること自体あまりオススメではなかったからな。私くらいだよな。体のこと一切気にせずにこのゲームをプレイしてるのって」


 たぶんだけど他の、少なくとも下界の人間たちはある程度は一日のうちに最大でログインしてもいい時間というのを決めているはずだ。

 まだ中学生や高校生なんかの親元にいる人間は親が決めたり、社会人なら仕事とかとの両立もあるだろうから1日2時間までとか。あるいはログインする時間をいつも決めていたりとかね。

 だから極端な話、ゲームを初めてまだ1度も昼(あるいは夜)の時間帯にゲーム内にログインしたことがないというプレイヤーもいたりとか……ああ、そうか。


「たぶん、そういうプレイヤーの人たちにも普段ログインしない時間帯の昼とか夜の景色を見せたりしたくて、24時間ずっと夜とか、そういう階層があるってことなのかな」


 もちろん階層ごとに存在するフィールド、その景色は違うのだけど。

 でもきっとそういう面もあるに違いない。

 いつも昼間にログインしてたまにはゲーム内の夜の景色を見てみたいなというプレイヤーのための、またその逆もプレイヤーのために夜が存在せず1日中ずっと昼という階層もあるに違いない。


「なんていうか、親切やサービス精神とも違う……なんていったらいいのかわかんないけど。でもやっぱりそういうのってなんか、いいな。うん、私はいいと思う」


 私は改めてこのゴッドワールド・オンラインというゲームを作った人間たちの心意気を褒めた。


「さてと。うーん、どうしようかな。今はもう5時半過ぎでもうすぐ夜になるみたいだし。荒野には夜になってからもう1度行くでいいか」


 もう昼間の荒野には特に用もないからね。レッドスライム狩りはさっき終わったし。


「……薬屋にでも行ってみるか」


 この階層でもまた麻痺や眠りのように、私がまだかかったことのない新しい状態異常にしてくる攻撃を行ってくるモンスターがいないとは限らないし、というかたぶんいると思うから。


 というわけでやってきたのは街の住宅区の東にある薬屋。

 中に入るとこれまたちょっと筋肉質でガタイの良い眼鏡をかけたひげのおっさんが元気よくいらっしゃいませと声をかけてきた。

 うん、もうここまで街を見てる中でわかってたんだけどやっぱりこの街、というかこの街の男性NPCってけっこう筋肉がついてる人が多い。

 いや、男は工場とか鉱山で働いてる人が多いって設定の街だからそれもわかるんだけど、でもそれらとは関係ないだろう職種の薬屋の主人までこれって。


「すみません。ちょっとお聞きしたいんですけど」

「はいはい。何かなお嬢さん」


 ちなみにNPCたちについてだが。

 こちらから肉声での会話でプレイヤーネームを教えると、それからは教えたプレイヤーネームで呼んでくれる人もいればいつでも名前は呼ばないタイプの人もいる。

 たぶんNPCは、プレイヤーの作成したアバターの性別と、あと一応最初の設定にあった年齢などの情報をもとにこちらの呼び方をNPCごとに決めてあるんだろう。

 私の性別が男だったら、このおじさんも少なくとも私のことをお嬢さんとは呼ばないはず。

 今まで私が出会って話したNPCたちにも同じことが言えるんだけどもね。


「あの、この階層でこちらを状態異常にする攻撃をしてくるモンスターって何かいますか?」


 今までの感覚で言うと、薬屋さんのNPCには高確率で状態異常攻撃をしてくるモンスターについての知識は与えられているはず。

 店に毒消し薬があれば、少なくともその階層で毒攻撃をしてくるモンスターのことについてその存在くらいは知っていないとちょっと変だし。なんで店に毒消し薬おいてあるのかわかんないからね、それだと。


「ああ、もちろんこの階層にもいくつか状態異常にしてくる攻撃を持っているモンスターはいるが、さすがに全部は知らんな」

「えっと、じゃあ一部でもいいので教えてください」

「ああ、それなら……」


 薬屋のおじさんは、自分の知っている範囲でこの階層で状態異常を引き起こす攻撃を持つモンスターについて教えてくれた。

 特に気になったのは私がまだ経験したことのない2つの状態異常について。


「混乱、ですか?」

「ああ。洞窟に出るバットの超音波攻撃を受けるとなる」

「えっと、混乱になると具体的にどんな異常が?」

「攻撃が当たらなくなる」

「え?」

「いや、正確に言うと攻撃が当たりにくくなる、かな」


 新しい状態異常その1、混乱。

 店のおじさん曰く混乱の状態異常になるとプレイヤーの攻撃がモンスターに当たりにくくなるという。

 つまりは荒野のデザートウルフの砂かけ攻撃と同じで命中率の低下を引き起こすのだが。


 この階層の洞窟ダンジョンに出現するらしいバット、つまりはコウモリのモンスターがしてくる超音波攻撃というのを受けるとプレイヤーは混乱(微小)の状態異常になる。

 混乱(微小)の効果は1分間プレイヤーのあらゆる攻撃が10%の確率で外れるようになるとのこと。

 これ、デザートウルフの時も思ったけどこれが30%とか、50%くらいになってきたらもうやばいレベルだよな。攻撃しても敵に命中しないんじゃ意味がないし、それで結局むこうから一方的に攻撃を受けるだけだとそれで負けはしなくても勝ちも絶対になくなるし。


「じゃあ、それを治すアイテムは置いてありますか?」

「ああ、あるぞ。けども悪いな、お嬢さん。混乱治し薬はうちの店には置いてないんだ。他の薬屋なら置いてあるところもあるかもしれないが」


 おっと、それは第2階層のフローリアの街と同じパターンなのかな。

 フローリアの街も、2件の薬屋でそれぞれ取り扱ってる商品が違ったし。


「でもお嬢さん、混乱の状態異常は今も言ったがちょっと待てばすぐに治るし、わざわざ混乱治し薬なんて買う必要もないと思うぞ?」


 なるほど、たしかにその通りだな。

 少なくとも混乱(微小)の効果は1分で終わるし、そもそもがなったところでそこまで戦闘に支障はないと思うし、そうだな。混乱治し薬については別に買わなくてもいいか。


 新しい状態異常その2、やけど。

 この状態異常は実はプレイヤーがいっさい何もしなければ特に問題はないのだという。

 ただ、この状態異常のもっとも恐ろしい点はなんと自然治癒しないということ。


「え、時間が経っても治らないんですか?」

「ああ。1度なったら戦闘が終わってもずっとなったまま。魔法やスキル、それかやけど治し薬を使わない限りずっとそのままだ」

「それは……厳しいな」


 やけどという状態異常は1度なると時間経過でも治癒せず、その戦闘を終わってもそれから街に帰ってきてもずっとそのまま。治すには今言われたように魔法なりスキルなりアイテムの力を使うしかない。

 そして、肝心のやけどの状態異常の効果についてだが。


 プレイヤーが敵に物理攻撃でダメージを与えた時、与えたダメージの一部を自分も受ける。


「え、それだけですか?」

「ああ。だからまあ魔法が使えるやつはそこまで気にすることもないんだが、ただな……」

「わかります。前衛職にはかなりきついですよね、それ」


 やけどの状態異常でダメージを受けるのはあくまでもプレイヤーが物理攻撃、つまり素手で殴ったりとか剣で斬ったりとかして敵にダメージを与えた時だけ。

 だからそれが嫌ならずっと魔法攻撃だけしていれば事実上プレイヤーに何の影響もないし、さらに言うならプレイヤーは何もしていなければ何の影響もない状態異常。


 しかし、だ。


 フィールドに出てモンスターと戦闘しないというプレイヤーなどまずいないし、戦闘中に物理攻撃を一切行わないというプレイヤーは極少数だろう。今の時点だとそれは初期武器を杖にしたプレイヤーくらいだ。他のプレイヤーは魔法攻撃をすることもあるが、物理攻撃もする。

 というか物理攻撃と魔法攻撃、そのうちどっちかしか行わないというプレイヤーはほぼ0人だろうと私は思っている。

 どっちかしかできないと耐久か賢さのどちらかがずば抜けて高い敵との戦いで詰んでしまうからね。


「やけどの状態異常にしてくるモンスターって?」

「鉱山に出るファイアーリザードとフレイムバグだな」


 わーお。見事に火を吐いてきそうな名前のモンスターだな。


 火か……今までの階層だとレッドウルフとゴブリンメイジがファイアーボール。

 迷宮ボスのドラゴンがファイアーブレス。あとは……クエストでダークガーディアンが火の矢、エリュマントスもドラゴンのものと同じかわからないけど火炎ブレス攻撃をしてきたっけ?


 ファイアーリザードとフレイムバグから受けるのはやけど(微小)の状態異常。

 でもやけどはたとえ(微小)でも効果は無視できそうなレベルではなかった。


 やけど(微小)の効果は敵に物理攻撃でダメージを与えたら与えたダメージの20%の量のダメージを自分も受けるというもの。

 いや20%って、(微小)と言う割にはちょっとダメージ量多いな。5分の1だよ?

 仮に敵に物理攻撃で100ダメージを与えたとしたらプレイヤーはそれだけで20のダメージを受けるということに。しかもそれが自然には治癒しないとなると……きつい。

 だけど、幸いと言うべきかやけど治し薬というアイテムはこの店で取り扱っているみたいだったので。


「おじさん、やけど治し薬下さい。30個くらい」

「はいよ。1個80Gだから2400Gになるがいいかい?」

「うん、買う」


 いや、たぶんだけどまたその鉱山で出るというファイアーリザードかフレイムバグというモンスターを倒したらやけど耐性のスキルがもらえるとは思うんだけど。

 でも100体倒すまではまだ私にも普通にやけどの状態異常は効くからね。念のためにそのくらい買っておいて損はないはずだ。


「そうだおじさん。ちなみになんでこの店では混乱治し薬は売ってないの?」


 やけど治し薬を買った後で最後に私はそれを聞いてみた。

 実を言うならもう1つ、どうして混乱とやけどの状態異常を治すアイテムの名前は、〇〇消し薬じゃなくて〇〇治し薬なのかという疑問もあったんだけど。


「ああ、それは良く聞かれるんだがな。需要じゅようがないからだ」

「需要?」

「置いてあっても誰も買わないと思うからさ、どうせ混乱は放っておいてもすぐに治るんだしよ」

「……ああ、そうですか」


 まあ実際のところどうなのか知らないけど、でもたしかに時間経過ですぐに治るならわざわざ金払ってそれ専用の回復アイテムを買う客は少ないかも。


 私は薬屋から出るともう階層はすっかり夜になっていた。


「うーん、とりあえず今日は夜の荒野を探索して。明日はもう洞窟に行ってみよう」


 そういうわけで私はグランガンの街の南門へとやってくると、そのまま門を抜けて夜の荒野フィールドへと繰り出して行った。


<第3階層:荒野>


 夜の荒野は静かだった。いや、昼間が特段うるさいわけでもないんだけど。

 なんていうかさ。たまに風が吹く音が聞こえたりもするんだけど草原のようにそれで草が揺れる音とかも聞こえないから余計に静けさが目立つ。

 まあ見渡す限りほとんど何もない大地だから、それも当然のことなんだけど。


「地上に何もないからこそ空の星や月がより輝いて見えるな」


 それが夜の荒野を歩いてみた私の感想だった。

 きっと世界が滅んだ後に1人だけ生き残った人間とかってこれに近しい景色を見ることになるんじゃないだろうか。地上の建物とか、植物が全部消滅した後の世界ってたぶんこんな感じなのだろう。


 さて、前置きはここまでとして荒野の夜に出現するモンスターについてだけど。

 新しいモンスターはたった1体しか出現しなかったよ。

 昼間との違いはというと、まずレッドスライムとコボルトが出現しなくなった。

 コボルトサーベルの方は出現するんだけどね。代わりにシャドーマンとゴーストが出現するように。

 さらにデザートウルフとの遭遇率が上がっている気がした。

 このデザートウルフがなんか1度にたくさん出現して集団で襲ってきたりとかしてね、やっぱり夜の方がフィールド探索の難易度が上がっているなと思ったよ。


 え、そんな話はいいから新しく出現するようになったモンスターについて早く教えろって?

 せっかちだな、君。……まあいいけどさ。


 新しく出現するようになったモンスター、それはもちろん昼間のフィールドにはいなかったあの……


「エリアボスだな、あれ。いやもう絶対そうだろう」


 私の視線の先、そこにいたモンスターこそこの荒野フィールドのエリアボス。

 それはとても大きな巨人の姿をしていて、遠目からでもその姿ははっきり認識できた。


「アースジャイアント、か。……挑むのやめとこうかな」


 体長10メートルを超える黄色い皮膚をした巨人のモンスター。

 その手には木を削って作ったと思われるこん棒を持ってて、あれって絶対ドロップするやつだよな。

 正直に言うとちょっと初見で挑むのはためらわれるタイプのモンスターだったけど、でもこの階層の最初のフィールドのエリアボスだし大丈夫かな。見た目やばそうだけど案外弱かったりしてね。

 そう思った私はアースジャイアントに挑んでいったのだけど、まあその結果はもうわかるよね。


 アースジャイアントはめちゃくちゃ強かったよ。うん、見た目通りやばかった。


<第3階層の案内>

第3階層には1つの街と3つのフィールドと3つのダンジョンがあります。

街:グランガン〈別名:岩の都〉


なお、各階層でプレイヤーが主に活動の拠点とするだろう街には全部〇〇の都という別名があります。

前々回の話の終わりで玲愛が予想した通りですね。


そしてフィールドおよびダンジョンの攻略おすすめレベルも書いておきます。


荒野(昼):レベル12~14 荒野(夜):レベル13~15

洞窟:レベル14~18

鉱山:レベル16~20

崖(昼):レベル14~16 崖(夜):レベル15~17

渓谷(昼):レベル16~19 渓谷(夜):レベル18~21


第3階層迷宮:レベル20~レベル23以上


これを見てもわかる通り玲愛のレベルはすでに26なので、第2階層で皐月さんが言ったように実は油断さえしなければレベル的にはもう十分余裕で第3階層を攻略できます。

ただし、以前の第2階層の案内でも書きましたがパーティを組んでいても実際はこのおすすめレベルよりももう少しレベルがないと余裕で攻略は難しいかもしれない。

ここに書くおすすめレベルは最低でもそのくらいないと厳しいよって話だから。

特に第3階層からはフィールドのザコモンスターもそれぞれ厄介な攻撃をしてくるモンスターがだんだんと増えて行くので第2階層までのノリで攻略を進めようとするとつまずくプレイヤーも出始める頃。

もしも攻略に不安があるならしっかりとレベルを上げた上で新しいフィールドやダンジョンに挑む前にあらかじめ情報収集などをある程度やっておくといい。


さて、次回は玲愛VSアースジャイアント。そして玲愛はこの階層最初のダンジョンである洞窟へと足を進めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ