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will ~時代(とき)を継ぎし者~  作者: 銀田一P介
序章
4/13

prologue.2

「……ベ……先、聞こ……か?」


「エイダ、西林陸軍中佐から通信が来てる。ちょっと通信が不安定みたいだが」


「ベン……先、先生聞こえますか?」


「ニシ中佐? おまえ達の部隊はまだ無事か?」


「我らの部隊は、ヤツの奇怪な攻撃によって3分の2の兵士がやられてしまいました。また、それから逃れた兵士も戦意を喪失しており部隊の士気に大きな影響が出ております……」


「ということは、つまり」


「はい、残念ながらこのままではSフィールドは突破され、我が部隊も撃滅されるでしょう……」


「そうか。とにかく早急に対応策を考えるからもう少しだけがんばってくれないか?」


「承知致しました。ヤマトの火が消えることなどありません。我が祖国のためならば私の命など」 


「無茶はするなよニシ中佐……」



“キミは私に生きる意味を与えてくれた”



「ニシさん聞こえますか? エイダです」


「おぉぉ!! エイダ様ご無事でしたか!!!」


「私はまだまだ全然ピンピンしてますから。皆さんも命をムダにしてはダメですよ!」


「承知致しました。生き残った兵たちにそのお言葉を伝えます。エイダ様の声を聞いたらなんだか力が湧いてきました」


「その意気です! それと、ニシさんがさっき話していた“奇怪な攻撃”ってなんですか?」


「はい、事実だけをお伝えします。ヤツの黒い目から落ちる血のようなものに当たると、体から強制的に心を引き抜かれます。引き抜かれた心はそのままヤツの体に吸収され、心を抜かれた兵士はその原型を保てずドロドロの黒い肉の塊となります」


「それって、みんなの心を集めてるってことかな……」


「さぁそれ以上のことは私にもわかりません」


「ニシさん他に何か気になったことありませんか?」


「他ですか……と言われましても」


「何でもいいんです。気になったこと何かないですか??」


「主観的なものかもしれませんが、心を吸収する前と後ではヤツの見え方が違う気がします」


「見え方が違う?」


「うまく表現ができないのですが、心を吸収した後はヤツの実体がより細部まで鮮明になっているような気がします」


「心を吸収すると実体が鮮明化する……」


「ニシさんありがとうございます!! ニシさんたちはSフィールドを放棄して直ちに撤退して下さい」


「よ、よろしいのですか!? Sフィールドは我が国の最終防衛ラインですが」


「あ~もうそんなもの関係ないんでさっさと放棄しちゃって下さい。それよりも皆さんの命の方がずっと大事ですから」


「し、しかし本国にはなんと報告を……」


「ベン先生、これって敵前逃亡とかになりますかね?」


「う~む。上官命令による戦略的撤退であれば問題ないのでは」


「ベン先生、師団長はヤツの攻撃によりすでに絶命しております。加えて、今や我が部隊の指揮系統は混乱しており、私の独断で部隊の全面撤退をさせることはできません」


「それなら、ヴァルキュリアス法第19条の定めに従い私が師団長に代わって部隊を指揮します」


「よ、よろしいのですか?」


「はい。まぁ19条の適用例は過去にないんですが大丈夫でしょう。というわけで、速やかに撤退しちゃって下さい。師団長代理人からの正式命令です。よろしく!」


「だそうだ。ニシ中佐まぁあきらめろ」


「わ、分かりました……ではエイダ様も気をつけて。我々は速やかにSフィールドから撤退します」


「ニシさん……またヤマトで会いましょうね」


「はい、エイダ様も気をつけて」



「さてこれからどうするか……ヤツがバケモノであることは再確認できたわけだが、その正体はいまだ掴めずか」


「先生、もしかしてアレって“幻獣神”じゃないですかね……」

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