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will ~時代(とき)を継ぎし者~  作者: 銀田一P介
序章
2/13

眠りからの目覚め

 かざした手すら見えない漆黒の闇の中で男は静かに目を開ける。


 上も下も前も後ろも分からない世界で、男は自分が目覚めたことをはっきりと自覚していた。


「ここか……私がここにいるということは……」


「そうか。また彼女の心が傷ついてしまう」


「諦める!? 冗談ではない!!」


「泥水をすすってでも私が彼女を呪われた運命から解き放つ」


「テロメアがない……」


「もう次がないと?」


「やれるのか……」


「やってみせる。今の私にはこの偉大なチカラがある」


「どうする……」


「すべてのピースは揃った。あとは、私が完璧な道化を演じるだけでいい」



 愛あるがゆえに人は人を愛しみ、愛あるがゆえに人は人を憎む。


 人の真理がそうであるならば、私はそのすべてを受け入れ、あらがうことをやめよう。


 しかし、人の真理がそうであるならば、私は私の意志に従い、悪魔(かみ)に魂を捧げ、人であることをやめる。


 ただそれだけだ……


 揺ぐことのない強い意志が男を突き動かす。

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