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千夜一夜  作者: 二川敏彦
2/6

週末は猫と共に

彼女が出て行った。


10年一緒にいた家から、置き手紙だけをおいて、何も持たずに。



あれだけ可愛がっていた猫も置いていった。



一人で住むには少し広い2DKの部屋で、なるほど、僕は納得していた。


よくもここまで気付かなかったものだ。


昨日の晩飯も、いつもと変わらぬ様子で食べていたと思っていた。


あれほど彼女が嫌がったから、僕のお気に入りから抹殺した納豆が食卓に並んでいたというのに。


僕はバラエティ番組に夢中で、彼女が用意した最後の晩餐に気付かなかった。



置き手紙には



「今月に入って、髪型を5回変えました。」



とだけ書いてあった。


ちなみに一回は気づいた。僕が昔、好きだと言った髪型だったから。



そういやこの猫、最近彼女よりも俺にべったりになっていた。


もしかして、彼女に捨てられること知ってたのかも。


自分も、このマヌケな男も。



「お前、知ってたんだな。なんで教えてくれなかったんだよ。意地悪。」



訝しげな表情で尋ねると、猫は暫くこちらを覗き込んで、にゃぁと泣いた。

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