修練生と
ブラジルは四連休だったので、週一だったはずが、
まあ はやめの投稿になっちゃいました。
グダグダかも。
「ナッ!!?」
忍者の小さく、驚く声が聞こえる。
当たり前だ。恋人の私でも驚くのだから。
ライゼンさんはキンッとクナイを投げ捨てる。
そして私を腰にかける。
「じゃあ、案内してもらおうか?忍者様?」
皮肉たっぷり、うざったらしい物言いである。
忍者は従うしかなく、付いて来いとつぶやいた。
それにしても、妙である。あの忍者は額当てをしていた。と言うことは、かなりの上級忍者のハズだった。
その投げたクナイを素手で捕らえるとは異常としか言いようがない。
「意外と楽だったぜ」
と、私の気持ちを接したようにライゼンさんがつぶやいた。顔色は見えないハズなのだが。しかし、なんか心が繋がっているようで嬉しいと思った。
「それにしてもよく無事、いや、無傷でしたね?」
詳細が気になったので問う。答えは案外簡単だったが。
「俺達、中央都の学校でしか戦ったことないだろ?
案外、他の領地でやったら、最強クラスかもしれない。 今ならきっと、天下無双いけるな」
フッとライゼンさんの冗談を笑うと、忍者が軽蔑の目で見ていたので、なんか気を引いてしまう。
ライゼンさんと二人きりだったら、気を張れるのだが・・・・。
そう思っていると無償にこの赤髪の男をいじりたくなってきた。
「ねえ ライゼンさん、、?」
私は誘うような声で問いかけた。
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中央都 修練学校 女子寮
「ふあっ」
今日は分厚く雲がかかっていて、なんかどよんだ日である。ルチアはベッドからヨボヨボ立ち上がると、気付け直しに顔を叩く。
「よしっ」
そう言うと隣のベッドにくるまっている少女を起こしにかかる。
「リーゼ?もう朝だよ。もうすぐ朝食始まっちゃうよ」
なにも答えは返ってこない。この頃これが、定番になっているのである。まあ、彼女が夜遅くまで、魔法の勉強を頑張っているからこそなのだが。
「リーゼ!起きないとダメだって、ゼン先輩と同じようになっちゃうよ」
なはあと、声は聞こえたのだが、右手が持ち上がっただけで、体こそ起き上がらない。
仕方ないので、栗色の髪をした少女は掛け布団に手をかける。
ガバッと、布団が離れると同時にリーゼの体もガバッと持ち上がる。
「わわっ」
驚いたルチアに深い紫の色をした髪をなびかせながら、ニッと笑う。
「おはよ!ルチア」
彼女ら二人は、中世ヨーロッパのような建物の修練学校の通路を歩いていた。
栗色のボブカットに深い青色の瞳をした少女をルチア。黒に透き通る紫がかったロングに紅色の瞳をした少女をリーゼと言う。二人とも下級修練生のなかでは、
十本の指に入る実力を持っている。下級修練生には変わりが一つ以外ないのだが。
ルチアとリーゼが剣のこと修練のことをしゃべりながら、歩いていると、食堂につく。いつもなら、バイキング形式で並ぶ修練生が列をつくっているはずなのだが、やはり時間が遅かったのであろう。
今はもう、片付ける修練生で列をつくっている。
「うわっ。リーゼ、すごい列だよっ」
「なははー。。なんか、すみません」
リーゼは照れるように頭をかく。本当に反省しているのだろうかと、ジロッと目を細める。そのとき、私のお腹のほうから クウ と、かわいい音がなる。
リーゼのほうを見ると口元をプルプルと震わせ、笑いを我慢している。
「もうやだー!!リーゼなんてえー!!」
私はリーゼの胸をポカポカ叩く。リーゼは片目を閉じて、イテテと言っている。本当にこの子は・・・。
「ほら、はやく食べに行こうよ。ねえルチア」
顔がほんのり赤いルチアにリーゼは言った。口を尖らせながら、ルチアもついていった。
リーゼが列の向こうのバイキングを取りに行こうと列を割る。そのときだった。
ドガっと並んでいた一人の男が押してきたのだった。
リーゼは尻もちをついて、男に見下される形になってしまった。その男は口角をクイッとあげるとあざ笑うようにしゃべり始めた。
「これはこれは、下級ランキング六位のリーゼ・ファフナールさんではありませんか」
その男はウェーブのかかった金髪をあげ、一本だけはおでこの上に下げていた。服装はまわりと同じ制服なのだが、何か高貴な雰囲気をかもしだしている。
リーゼが立ち上がると、後ろからもう一人の高貴そうな人がやってきて口を開いた。
「どうしたかしたのですか、フェルル」
「いや〜なんでもない。平民での第六位様にぶつかっただけだ」
そのとき、頭に響いた一言の言葉。 平民 。
「本当に平民はいいですな。こんな時間まで、お居眠りですか。私達には到底出来ない芸当ですなあ、バルキ?」
リーゼの体はプルプル震えていた。それは私も同様だった。剣を今すぐ握りたい。ぶった切ってやりたい。
そんな衝動が体をかけめっぐていたが、歯を食いしばり、右手をリーゼの肩に置く。
「イヤイヤ、フェルル。平民とは普通、昼に起き
朝食は昼食と同様と聞きますぞ。」
「なんとっ。なるほど、合点がつく。だから、朝食が
ほぼ残ってないこんな時間にしか来れないのか。なんて哀れな」
なにを言っているのだろうか、こいつは。
この目、この笑顔、
人類の汚点ではないか。
貴様も同じ人間だということがわからないのか?
わからない程、おまえの心は泥のように汚く、形をなしてないのか?
瞬間だった。ルチアの手に力が込められた。リーゼが我慢の限界をとおり過ぎたのだ。その手は強く握りしめ、その目は炎のように紅く燃え上がっている。目を見開き相手を見る。
ルチアも同様だった。
リーゼの肩にかけられた手がギュッと服のシワを強く深くする。下を向いた顔が暗くなる。
「なっはははは!! なあんだ! 表は剣術はすごくても結局何にも強くはないんですなあ!! これぞ、人間って感じするぞ!」
「いやーフェルル。人間じゃないかもしれないじゃありませんか。こやつはあの 化け物 、和人のライゼンの弟子なんですから」
心の優しいルチアでも無理だった。心の中で敬愛する我が師、先輩が目の前でバカにされて、通り過ぎる。そんなことは出来ない。人間は必ず大切なものを持っている。そして、大切なもの程人間は理解しているのだ。
その強さも。 その弱さも。
その優しさも。 その暖かさも。
知らないものに蔑まれる筋合いはない!!
ドンッとルチアが踏み込んだ。下を向いていた顔を前にいる男に向ける。
その瞬間だった。
赤髪の長髪の少女がフェルルの胸倉を掴んでいた。
その赤髪はルチアの先輩を連想させる程、赤く清らかになびいていた。
突然の出来事にバルキは腰を突き、フェルルはグッと声を上げた。よく見てみると、180はあろう身長のフェルルは足をついてなかった。あの細く白い腕にあんな力がこもっているとは到底思えない。その桜色の唇が動く。
「おまえ“ライゼン”って言ったよな?」
その可憐な声はとても力強く、頭に響いてくる。
目の前に立っているフェルルは相当なプレッシャーがかかっているであろう。
「今、おまえの胸倉を掴んだのは、私が正義だからだ。すまないけど、私にはおまえのことが悪に見えちった。そこはー当ったり〜だよな♪」
フェルルは目の前の赤髪の少女の笑顔に冷や汗をかいた。その少女の後ろで、疑問を抱いていた。
ルチアである。 今まで、先輩は悪いことでは良く耳にしたり反応する人は多かったが、ここまで先輩のことに興味深々な人は見たことがない。恋愛対象にしてる人以外だが。。
・・何者・・・・?・・
彼女の赤髪が揺らめいた。
フェルルの胸倉を話し、動物扱いで右手をシッシッと降った。フェルルは歯をくいしばったが、力の差を感じるとバルキと一緒に食堂を出た。
赤髪の少女はフッと息を吐くと私達のほうに顔を向けた。
「おまえ達は朝ごはんまだだよな?」
リーゼとルチアは顔を見合わせ、コクンと頷く。
「じゃあ、一緒に食おうぜ!聞きたいこともあるしな!」
少女は鼻歌を歌いながら、朝食をとり、席に座る。
リーゼ達も残り少ない朝食をとると、少女の向かいに座りかけた。
彼女はもうすでに、ガツガツと皿の上にある物という物をフォークでぶっ刺し、すでに四分の三は食べ終わっていた。彼女がオレンジジュースをプハーと飲み干すとルチア達のほうを向く。
「じゃ聞きたいだけど、なんでライゼンの名前で・・・・いっけね! この前 兄ちゃんに最初は自分の名前を言えって言われたとこだったじゃん〜!! ごめん 兄ちゃん。 体で償うからー!!」
いきなり少女は一人で呟き、頭を抱え上を向いた。
・・リーゼ・・・
ル・ルチア・・・・
そう!二人は反応に困っていた!
困惑からなのか、二人同時にジュースを飲む。
少女が呟き終え、再度私達を見る。
「っと、私の名前はリライ! 我が愛する兄ちゃん
ライゼンの妹だー!!」
はっはっはーと笑う声の反面、二人は同時にブフーーーーーとジュースをぶちまけていた。
「流石は兄ちゃん!名前だけで、ジュースを噴きださせるとはー!!」
「ええーーっと!先輩に妹がいたんですか!?
初耳ですよ!!」
ルチアにリーゼも続く。
「リライってことは 上級修練生で無敗の“純血の雷" のリライ先輩ですか!?」
「そーっとも♪ 私が兄ちゃんと双子で!兄ちゃんのしもべで!! 兄ちゃんの奴隷のおお!!!
リライだぜっ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
っと、机に乗り、ポーズを作り右頬にピースをくっつける。
あれ、ルチアの師匠にそんな性癖あったけ?
そっそんなの あるわけないでしょ!!?
と、会話したことは秘密である。
「私達は下級修練生で弟子にしてもらっています。
リーゼと・・」
「ルチアです♪」
「むっ ルチア、、、??」
リライが口ごもり、手をアゴのしたにつけ、考え始めた。当のルチアはまたもや困惑した様子だった。
ルチアっという名前は確かに、兄ちゃんの口から聞いたと、リライは思いだすーーーー
ー上級修練生寮ー
「なあなあ、なあなあ、兄ちゃん!!」
リライは机に向かっているライゼンの足にすがりつく。当のライゼンは目を細め、またなのかと、顔で表現する。
「なんだよ、またドーデもいいことだろ?
兄妹で結婚していいとか、パンツの色とか、お互いのタイプとかだろ?」
「流石兄ちゃんだぜ! 今までの会話を全て記憶しているなんて、、、ああ〜 愛を感じるぜ」
「俺の言った言葉のどこから、その変態愛が生まれたんだ!!」
「まあまあ、ちょっと聞いてくれよ、兄ちゃん」
リライは勉強していたライゼンを無理矢理持ち上げ、
ベッドに座らせる。もう、ライゼンは諦めているようで、素直にベッドに座り、リライを見ている。
「あーあー分かりましたよ。何卒、御用件を申してください」
へヘーンッとリライは笑うと、右脚をけり空中で四回転すると、左膝を突き右手をライゼンに向ける。
顔を高速であげ、眉毛を寄せる。
「ゴホン、私と結婚しようぜ!」
「ロマンチックもクソもねえよ!!」
「ええ、ダメなのか!?兄ちゃん!?」
「良くおまえはこのプロポーズが通ると思ったな!
このシュチュエーションでよくそんな真顔で驚けるよ!?」
「なんだよーいいじゃねえか〜。結婚ぐらい、、、
もう、指輪は買ってあるんだぜ?」
パカパカ、指輪の箱を開閉して 上目遣いをしてくる。
「それは悲惨だな。おまえの愛と共に消え去れっ!」
「ちぇ ケチなんだな兄ちゃんは」
(まあ、いつか結婚するからいいとして)
「俺の妹はいつからこうなったんだろうか。
もっと清楚に育って欲しかった」
「清楚?」
「そうだよ!おまえはどっちかというと、男勝りなんだよな。ほぼ全てが」
「兄ちゃんのタイプだろ?」
「うっ まあ そ うなのかな」
「フフッーン♪ で、清楚ってどんな感じなんだよ?」
「まだ聞くのか!!まあ、なんて言えばいいのか
わかんねえけど、 俺の弟子の
ルチアが 」
ーーーー
なるほど、こいつが。
静かな食堂のなかで一人立ち上がるリライ。
突然なことだったので、二人はビクッとしてしまう。
それに、リライのこぶしは何故か強く握りしめられていた。