プロローグ:夢
変な夢を見た。
とても・・・とても変な夢。
気がついたらそこは全面真っ白な所にポツンと俺がいた。
そしたら突然青い髪の女の子が声をかけてきたんだ。
さっきまでは誰もいなかった筈なのに。
その女の子は初めて見る顔だったけれど。どこか懐かしい気がして。
その声は暖かく。でもどこか哀しげな声だった。
君は誰なの?
「俺はリュウ。リュウ=トラングル」
何をしているの?
「盗賊をやっているんだ」
それはどんな仕事?
「物を盗むんだ。金だったり宝石だったり・・・色々」
それは大変?
「ああ、たまに命を賭けたりもする」
君に家族はいるの?
「いる・・・・って言うのかな。俺は拾われたからな・・・血は繋がってないけど大切な家族はいる」
君は誰だと思う?
「さっき言ったろ? 俺はリュウ=トラングルだ」
そんなこと言いきれるの?
「そりゃそうだろ。俺はここにいるんだ」
それならもし君が君じゃないって知ったらどうする?
「変な質問だな。どうなるんだろうな? 俺でも分からない」
それじゃあ最後の質問。君は何のために生きているの?
「それは――――」
ここで夢は終わった。
俺は最後なんて答えたんだろう。
そこ以外は鮮明に覚えていたのだが、そこだけポッカリ抜け落ちていた。
ボーっとしていると部屋の外からドタドタと足音が聞こえてきた。
「ストラだ。リュウ、起きてるか!」
「あ、ああ。起きてるよ、なぁストラ。俺って何のために生きてんのかな?」
「はぁ? 寝ぼけてないで早くしろ! また親父にどやされるぞ」
「うお! ちょ、ま、まってくれよ!」
俺はストラに無理やり手を引かれ俺達の親父の所に向かった。
俺は俺のために生きる。
それじゃダメなのか?