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カレンとミコトの航宙軍物語  作者: ルイ シノダ
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第二章 宙域訓練 (1)

いよいよ、軍事衛星”アルテミス”に教練の場所を移す士官学校候補生。

その宙港に行く途中でサキとレイに会うが。

第二章 宙域訓練


(1)


教練棟には、厳しい地上訓練に残った六〇人の候補生が並んでいた。既に着慣れた航宙軍の紺の制服の胸には“准尉”の徽章が付いる。

「諸君、六ヶ月に渡る地上訓練が終了した。いよいよ来週から上にあがる。各自、準備を整えてフレイシア宙港の航宙軍基地に所定の時間に来るように。以上だ」

候補生全員がフレイシア航宙軍式敬礼をするとフレイシア航宙軍士官学校のアレクセイ・ランドルフが答礼した。


「カレン、いよいよ上空一〇〇〇キロの軍事衛星だ。楽しみだな」

「うん」

と言うと二人で微笑んだ。一緒に上に上がるレイが、

「アオヤマたち。今日、上にあがる候補生たちでパーティやるんだ。来ないか」

カレンとミコトは顔を合わせると

「うん」

とハーモニーした。いつものことにレイは笑顔を見せると

「じゃあ、一八時にステラで」

そう言うと男子用の宿舎の方に歩いていった。

カレンとミコトが、一八時少し前にステラに行くと既に多くの候補生が集まっていた。

「アオヤマたち」

そう言ってレイが、声を掛けると回りの候補生も気がついた。

「こっち、こっち」

と言ってレイが手招きすると、六人座りのテーブルにサキと顔だけは知っている男の子と女の子が座っていた。

テーブルには、簡単な料理と飲み物が置いてある。カレンとミコトはレイとサキに向かい合う様に座ると、となりに座る二人に“にこっ“と微笑んだ。相手も微笑むとレイが

「アオヤマたちも顔は分かるだろう。入学式の時顔は合わせているだろうから」

そう言って二人を紹介した。


「タクヤとレイナ、二人ともAクラスだ。もっともアオヤマたちが先行してからクラス替えになったから知らないだろうが」

そう言って二人を見ると二人には

「アオヤマたちの事は、紹介する必要ないよな」

と言うと二人とも頷いた。タクヤが

「カレンさん、ミコト君、始めまして。でもないか。俺、タクヤ宜しく」

そう言って微笑むとレイラも

「宜しく」

と言って微笑んだ。カレンとミコトも

「宜しく」

と言って微笑むと

「わあ、やっぱり可愛いな。ミコト君、男にしておくのもったいない」

と言ってレイラが、羨ましそうな顔をすると、ミコトは困った顔をしてレイを見た。

「レイラ、ミコトはこんな可愛い顔をしているが身体能力は男が呆れるくらい凄いよ」

と言ってフォローにならない言葉を言うと

「レイ、もう少しうまくいえないのか」

と言ってミコトが“ぶっ”とした。それを見たレイラが、

「わあー、やっぱり可愛い」

と言うとレイとサキが声を出して笑った。

「笑うことないだろう」

とミコトが言うと

「ミコト、お前可愛いもの」

と言ってまたレイが笑うとカレンが、

「もうその辺で」

と言ってサキとレイを見た。

そんな滑り出しも有って六人で楽しく会話しているとカレンは周りに少し目をやった。

何となく知っている顔もあるが、やっぱり知らない顔が多い。ミコトの脇を突いて“知らない人が多い”という顔をするとミコトも“同じだよ”という顔をした。

仕方なく二人は目の前にある果物を取って大好きな“スカッシュ”ではないが、ソーダの入った飲み物をグラスに注ぐと二人で“にこっ”としてグラスを口元に持っていった。すこし言葉少なくなった二人に

「カレン、聞いたのだけど上に上がったら、もう別のトレーニングに入るって聞いた。本当」

カレンは、“えっ”と顔をしてサキの顔を見ると

「俺も知っているよ」

と言って斜め前に座っているタクヤが言った。ミコトが“なぜ”という顔をすると

「教官が話していた。アオヤマツインズは別枠のトレーニングになるって」

「えーっ、どういうこと」

「どういうことって、自分たちが一番知っているんじゃないの」

とサキが言うと

「知らない」

と言ってカレンが不思議そうな顔をした。カレンがミコトの顔を見ても首を横に振って“知らない”という顔をしている。

「だって、私たちは、上に上がってもアトラスⅡ型の宙域訓練だけどアオヤマさん達はⅢ型の宙域訓練でしょ。今までだって一緒になった事ないし」

「Ⅲ型と言えば最新鋭の航宙戦闘機だよな。羨ましい限りだけど」

そう言ってレイが羨ましそうな顔をすると

「レイやサキだっていずれⅢ型に乗るんだろう。少し早いだけだよ」

と言うと

「あれ、知らないの。Ⅱ型からⅢ型に換操出来るのは、君たちを除く五八名のうち四〇人だけだ。後は、偵察や輸送機の支援部隊に回される。もちろんそれを望んでいるものもいるが。事実、今CクラスやDクラスにいる連中は、最終に残れない」

“えーっ”と顔をすると

「二人とも少し世間知らずだぞ。航宙軍士官学校の決まりだよ」

二人はまた“ふーん”という顔をするとレイの顔を見た。


“ステラ”でのパーティも終わり自分たちの部屋に戻るとカレンは、

「ミコト、何か心の中に風が吹いている感じ」

そう言うとミコトを抱き締めた。

ミコトはカレンの体が自分に触れるのを感じながら自分も両手でカレンを抱擁すると

「分った。ずいぶん久しぶりだけど二人一緒に寝よう」

そう言ってカレンの顔を見た。

二人は、生まれて物心ついた時からどちらとも無く寂しくなると、お互いにどちらかの部屋で二人で添い寝をしていた。心が落ち着いて温まるのだ。

「ミコト、ごめんね。こんなに大きくなったのに。私まだ子供だね」

そう言ってミコトの体に寄り添うと

「良いじゃないか。僕たちは、本来一卵性ではありえない形で生まれたんだ。小さい頃いじめられた時も二人でいつも立ち向かったじゃないか。俺たちはいつも二人で一人だよ」

そう言ってミコトもカレンに体を寄せた。

男と女というわけではない。お互いただ触れ合うだけで心に安定感が生まれる。特殊な環境で生まれた二人だから二人で一人なのだろう。

やがて、二人は睡魔のとりこになった。


フレイシア航宙軍士官学校の候補生六〇人は、軍事衛星“アルテミス”に上がる為、フレイシア宙港の航宙軍基地に集まっていた。

フレイシア宙港は、民間人が利用する第一ターミナルから第五ターミナルと航宙軍が利用する第六ターミナルがある。第六ターミナルは軍事利用の為、民間ターミナルとは分かれている。その第六ターミナルに行く為の通路をカレンとミコトが歩いていると

「カレン、ミコト」

声の方に振向くとサキとレイが仲良く並んで歩きながら微笑んでいる。

「いよいよだな。少し緊張するよ」

「うん、私たちも」

そう言ってカレンは、微笑んだ。

「ところでサキとレイいつも一緒だね。付き合っているの」

「えっ」

サキはそう言って顔を赤くするとレイが

「まあな」

と言って恥ずかしそうな顔をした。

「へーっ」

と言って興味深々の顔をしてミコトが、レイの顔を覗きこむと

「お前たちはどうなんだ」

と言って切り返した。

「うーん、頭の中、アトラスのことばかりだし。上にあがってからのことばかり考えているから」

そう言ってカレンを見ると頭を“コクン”下げて頷いた。

「やっぱりなー。そのくらいにならないと先行できないのかな」

そう言って少し呆れた顔をするレイに

「それだけじゃないと思う。この二人何か私たちと違うもの持っている。双子ということもあるけど、何か身体的に能力の違いを感じるもの」

そう言ってサキはカレンとミコトを“じっ”と見つめた。

「能力の違い」

と言って不思議そうな顔をするカレンに

「だって、持久力トレーニングだって瞬発力だって、カレン普通の女性とは全然違う」

「えっ」

と言ってカレンは理解できない顔をするとミコトはサキを睨んだ。

「サキ、そういう言い方は好きじゃない。カレンを傷つけるよう言い方をするならもう君とは口をきかない」

ミコトはカレンを守るようにサキを厳しい目で見ながら言うと

「まあ、待てよ。サキも悪気あって言ったんじゃない。ただ、僕だって確かにカレンの身体能力は凄いと思う。でもそれは“羨ましい“と思っただけで」

そう言ってレイはサキを守るように言うと

「ミコト、いいよ。事実だし」

そう言ってカレンはサキに“にこっ”とすると

「ごめん、言いすぎた」

と言ってサキはカレンに頭を下げた。

「さっ、早く行こう。そろそろ搭乗手続きが始まるはずだよ」

そう言ってカレンは、話題を止めると第六ターミナルの方を見た。


四人が通路を第六ターミナルの方に向かって並んで歩いていると、向かいから来る航宙軍の人たちが“じろじろ”見ている。航宙軍の紺の制服を着て胸と肩に准尉の徽章を付けた顔がそっくりのカレンとミコトは、スカートとスラックスの違いこそあれ、普通の人には見分けがつかない。

「うーん、やっぱりアオヤマたちといると注目されるな。ちょっと恥ずかしい気分だな」

「私たちは慣れているから」

そう言ってカレンはレイの“歩きながらの独り言”に付きあった。

やがて、ターミナルの待合に着くと既にほとんどの候補生がいた。窓からシャトルを珍しそうに見ている者、緊張した面持ちでいる者、友達と笑い話をしている者などがにぎやかにしている。

「わー、あれで上に上がるの」

そう言ってサキは目を輝かすと小走りに窓に行った。

「ちょっと、待てよサキ」

レイは、そう言って声を掛けるとカレンとミコトに“後でな”という目をしてサキの後を追いかけた。カレンとミコトは目を合わせて“ふっ”と笑うと周りを見渡した。


第六ターミナルには、航宙軍のパイロット候補生以外にも航宙戦艦、航宙母艦の乗員になる為の候補生の他、整備、修理を担当する技術科の候補生もいて結構な賑わいを見せていた。

艦艇の乗員は、色々な科目が有る。レーダー、ミサイル、砲、操艦、各部整備など色々な科目が更に多技に渡っている。

それだけに人数も多い。別の見方をすれば、パイロットより別の意味で体に覚えこませなければいけない事も多い。その彼らもシミュレーションからいよいよ航宙の実地訓練に入るのだ。

「ミコト、いよいよだね」

「うん、ゲートの側に行こうか」

そう言って二人で歩いているとヒサヤマ衛生担当官が、

「アオヤマツインズ」

と言って声を掛けた。

「私も貴方たちと一緒に上がるから宜しく」

と言って微笑んだ。

その姿をサングラスの男、オゴオリ航宙軍開発センター長とゴトウ主任担当官が見ていた。

「どうです。アトラスⅢ型のシミュレーション結果は」

「呆れるばかりですよ。たったの一ヵ月半でほとんど体に染込ませています。上に行ってから実際の航宙に最初戸惑うかもしれませんが、あの二人なら直ぐになれるでしょう。三ヶ月のプログラムでどこまでいくか楽しみです」

「あれの開発も最終段階だ。半年後には、彼等を乗せることが出来るだろう。四ヶ月目からあれのシミュレーションに乗せてくれ」

「その予定です」

「ところで他の候補生は」

「普通です。オオタ候補生とアンザイ候補生が多少先行していますが、どんぐりの背比べです」

「何人くらい使い物なりそうだ」

「予定だと四〇人は、アトラスⅢ型に移行できます。残りはⅡ型か輸送艦の予定です」

「そうか」

そう言って会話を終わらせると二人は別のゲートに向った。

「航宙軍候補生諸君、搭乗手続きを開始します。パイロット候補生は、一番ゲート、航宙戦艦乗員候補生は、第二、第三ゲート、航宙母艦乗員候補生は第四、第五ゲートより搭乗しなさい」

天井のスピーカから案内が流れると“ぞろぞろ”と候補生が動き出した。

「カレン、行こう」

そう言ってミコトは、カレンの顔を見ると“うん”と頷いてゲートに向った。

シャトルは、全長八〇メートル、全幅五〇メートル、全高一〇メートル、乗員一〇〇名が乗れる。地上と宇宙空間を結ぶ定期便だ。駐機している時は、翼を広げ、空気中の揚力を受けれるようになっているが、上空四〇キロを過ぎた当りで羽を五分の一まで縮め、宇宙空間でも邪魔にならないようにしている。宇宙空間で翼を出していてもデブリがぶつかる対象になるだけだ。


「わーっ、すごい」

「結構広いなー」

候補生が目を丸くして見ていると

「全員早く指定のシートに着くように。着いたら“ボディロック”を必ずするように」

ヒサヤマは声を大きくして言うとカレンとミコトを見て目で“座りなさい“と指示をした。

やがて、全員がシートにつくと入口のドアが外側から内側へスライドして閉まった。

全員が緊張の中にいると少しして

「シャトルARX15、発進シーケンス入ります」

とアナウンスが入った。

やがて、候補生の体に少し振動を感じさせながらタキシングロードから発進コースに入ると体が“ぐっ”とシートに押し付けられた。

段々シャトルが加速し、“ふわっ”と浮くと急激な角度で上昇し始めた。少しの間その状態を続けているとスピーカから

「第一離脱速度に入ります」

そう言った瞬間、カレンとミコトの体は、離陸とは比較にならない強烈な正面からのGを体に感じ、シートに押し付けられた。

そして、“ギュイーン”という音が機体の外から聞こえると少し経ってから今度は体が“ふわっ”とした感じになった。大気中で揚力を得る為に開いていた広角の翼が胴体に引き込まれたのだ。

お尻がシートから離れる感じになっている。

「宇宙空間に出たんだ」

そう言ってカレンは、ミコトに“にこっ”とした。

シャトルの内壁がゆっくりと真白な壁からスモークの少し掛かった感じになってきた。後ろに首都星“ランクルト”の姿が映っている。

「候補生の皆さん、宇宙空間に出ました。シューズのかかとに付いているスイッチをオンにして下さい」

スピーカから流れる声にカレンとミコトはシューズのかかとの少し内側に入っているボタンを押すと急に足元に錘が付いたようにシャトルの床に着いた。

「磁力シューズよ。但し、“アルテミス”に着いたら、オフにするように。出ないと足が出なくなるわよ」

そう言ってヒサヤマ“にこっ”とした。

シャトルの壁には、スペクトル分析された宇宙空間の映像が映し出されていた。人間の目では真っ暗な宇宙空間だが、それでは人間が精神的に処理しきれない。故に遥か彼方に有る星々をスペクトル分析によって映し出している。

「ねえ、見て見て、ステキ」

恒星フレイシアの光に反射してフレイシア星系の惑星が光学処理されて壁一面にパノラマのように映し出されている。更に遠くには、色々な銀河や星雲が映し出され側にGGCNoが映し出されていた。

 GGCNoは、宇宙空間におびただしく存在する星系の番号だ。発見された順から付けられている。

やがて遠くに軍事衛星“アルテミス”が見えてきた。

「まもなく“アルテミス”に到着します。候補生の皆さんは、“ボディロック“を確認してください」

アナウンスが流れると候補生は緊張した面持ちで各自がボディロックを確認した。シャトルが誘導ビームに従って軍事衛星“アルテミス”の宙港のゲートをくぐると静かに停止した。

そしてゲートの下からランチャーロックが伸びてくるとシャトルのボディのロックインジェクターと結合した。宇宙空間側の巨大なゲートが閉まり、エアーロックがオンになると“アルテミス”側の巨大なドアが開いた。

カレンとミコトは足元からの音で体に少しだけショックを感じると静かになった。

「着いたんだ」

と思うとカレンとミコトは顔を見合わせて“にこっ”とした。

「候補生の皆さん、軍事衛星“アルテミス”到着しました。シューズのかかとに付いているボタンをオフにして下さい」

それだけ言うと急にシャトルの内部が明るくなり入口のドアが開いた。


軍事衛星“アルテミス”・・首都星“ランクルト”の上空一〇〇〇キロに浮ぶ四つの軍事衛星の一つ。

直径一〇キロ、厚さ二キロの円盤形をしている円盤の上部外側は特殊軽合金クリスタルパネルで覆われておりその中に衛星に住む人々の空気、水、食料をまかなってくれる四五キロ平方にも渡る広大な牧草地帯、田園風景が広がっている。

軍艦艇は円盤の外側・・正確には上部の内側・・から順に戦艦、航宙母艦が第一層、巡航戦艦、重巡航艦が第二層、軽巡航艦、駆逐艦が第三層、四層そして第五層、六層が哨戒艦、特設艦、工作艦、輸送艦、強襲揚陸艦のドッグヤードになっている。

ドッグヤードは円盤の外周部から二キロまでとなっており、その内側直系六キロを円盤の上部から移住地区、商用地区、工業地区、資材地区と順に中心部に向かっている。

居住区が一番外側なのは、円盤の外にある田園地区が居住者の公園兼用しているのは言うまでもない。

そして円盤の中心分にこの軍事衛星の心臓部とも呼ぶエネルギープラントとグラビティユニットがある。

核融合エネルギーによって生み出されるエネルギーは半永久的に運用でき、この衛星が完全な自給自足の衛星であることを物語っている。

またグラビティユニットを衛星の中心下部に配置した為、円盤の上方向から一Gの重力が架かるようになっている。この軍事衛星“アルテミス”は首都星“ランクルト”からは静止衛星となっている。

シャトルは、第六層のゲートに入った。


カレンとミコトがシャトルを出ると候補生が、ゲートの外にある待合で並んでいる。

二人も他の候補生と同じ様に並ぶと軍事衛星“アルテミス”の航宙軍士官学校の長官ヘラルド・ウオッカーが

「候補生諸君、“アルテミス”へようこそ。これから君たちは、ここで残りの教練を行う。ここでの結果が、諸君の航宙軍の将来を決めるといっても過言ではない。心して訓練に励むように」

そう言って、候補生の顔を一通り見渡すと指導教官の紹介を始めた。

指導教官の挨拶も一通り終わり軍事衛星の中にある候補生用の官舎の説明が終わると候補生はそれぞれ割当てられた指導教官の元へ集まった。

カレンとミコトも指定された指導教官の元へいくと

“あれっ”と思った。自分達しかいない。“どうしてだろう”と思っていると

「いいのよ。君たちは」

そう言って二人の後からヒサヤマが、声を掛けた。

「君たちは、アトラスⅢ型の航宙訓練になるから、他の候補生とは別扱いになるの。言い方を変えればそれだけ君たちが、優秀だって言うことよ」

そう言って笑顔を作った。カレンとミコトは下にいるときにサキとレイが言っていた事を思い出した。


「君がカレンさん、そして君がミコト君だね」

カレンとミコトが少し驚いた顔をすると

「不思議がることはないよ。スカートとスラックスで分けただけだから」

そう言って微笑むと

「あっ、もうひとつ言っておく事がある。私は士官学校の人間ではない」

二人がまた驚いた顔をすると

「士官学校から依頼されてアトラスⅢ型の候補生を教練するフレイシア航宙軍大尉のユウイチ・カワイだ、宜しく頼む」

そう言って微笑むとカレンとミコトは急いで航宙軍式敬礼をした。カワイ大尉も答礼すると

「君たちの宿舎となる航宙軍の官舎にはヒサヤマ衛生担当官が案内してくれる。今日は、上がって来たばかりだし、荷物の整理も有るだろう、教練は明日から始めよう。場所の指定は君たちの宿舎に連絡が行っている。明日はそこに来るように」

そう言ってヒサヤマに目で案内するよう頼んだ。ヒサヤマが

「アオヤマツインズこちらに来なさい」

と言って歩き出すとカレンとミコトは圧倒されたままヒサヤマのあとを付いていった。カワイは、横に来たサングラスの男に

「送ってきたデータは、本当ですか。にわかに信じがたいのですが」

「君だけじゃない。座学やシミュレーションを担当した者全てが君と同じ感想だ。実際の宇宙空間でそれを確かめるのが君の役目だ」

「はっ、分かりました」

そう言ってカワイは、ヒサヤマのあとを付いていくカレンとミコトの後ろ姿を見ていた。


「到着ロビーの荷物受け取りカウンタで自分達のケースを取ってきなさい」

ヒサヤマは、二人に指示するとまわりを見た。他の候補生も同じ様にカウンタで自分たちのケースを受け取っている。



いよいよフレイシア航宙軍の思惑が少しずつ見え始めました。

次回はいよいよ二人の宇宙での教練をお届けします。

お楽しみに。

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