第三章 遠征訓練 (3)
二連星”クレイシア”と”クレイシャス”から二億万キロの宙域で開始された遠征訓練。航宙軍戦闘機部隊が発進し、いよいよ本格的な模擬戦闘が始まろうとしていた時、突然二連星からの宇宙風が、襲った。ほとんどの航宙戦闘機が被害を受ける中でカレンとミコトを含む六機は、その天才的才能で難を逃れたが、カワイ大尉との連絡が取れなくなった。
(3)
青白く輝く”クレイシア”と”クレイシャス”。
この二つの星を包むように薄いガス状の膜見たいなものが覆っている。巨大な”まゆ”の様だ。青白く輝きながらこの二つの星の周りをお互いに引き付けながら、そのエネルギーで回りの星系に少なからぬ影響を及ぼしている。
それが二連星からでている宇宙風だ。通常なら特に問題ないが、周期的に強いエネルギー波を出す。今回の遠征訓練は、その静かな時を選んで行われていた。
「ミコト、何か変」
「カレンも感じる」
「うん」
パイロットウエイティングルームで訓練の順番を待っているカレンとミコトは、いつもと違う何かを感じていた。
「航宙戦闘機部隊発進準備」
ルームの壁の上の方にあるランプがグリーンからブルーの回転点滅に変わるとパイロットたちは一斉にルームを飛び出し、航宙戦闘機射出庫に向って駆け出した。
「ミコト、行くよ」
「うん」
二人も他のパイロット同じ様に駆け出すと航宙戦闘機射出庫に向った。
射出庫に着くと既に整備員がアトラスⅣ型の前で二人を待っていた。カレンとミコトは、
「ジュン、サリー、行くよ」
と言うと、パイロットシートの部分が青く“チカチカ”と光った。
それを見た二人は、急いでパイロットシートに深く入ると整備員がパイロットスーツの二箇所のインジェクションにケーブルを接続するのを見届けると自分のヘルメットのインジェクションにケーブルを接続した。
アトラスⅣ型の上部が閉まると機体横からカバーが上がってきて完全にアトラスⅣ型を包んだ。
「カレン准尉、発進シーケンス」
「ミコト准尉、発進シーケンス」
ハーモニーのように言うと可愛い声が
「エアーロック解除、カレン准尉どうぞ」
「エアーロック解除、ミコト准尉どうぞ」
矢継ぎ早に二人の専任射出管制官のオカダ准尉が指示するとアトラスⅣ型の射出ポートの底が横にスライドして開いた。
「カレン准尉、出ます。ジュン、サリー、ゴー」
「ミコト准尉、出ます。ジュン、サリー、ゴー」
と言うと六機のアトラスⅣ型は、航宙母艦“ライン”から強烈なダウンフォースと共に射出された。
「ミコト、デルタスリー」
カレンがそう言うとそれぞれのジュンとサリーが平行飛行し始め、カレンとミコトは二機の上方少し後方に遷移した。
他の機も二機一組で同期飛行をしている。ヘルメットの中にカワイ大尉の声が飛び込んできた。
「前方、航宙戦艦を撃つ。ツインズは左の艦、ジャックは中央の艦、ウオッカは右の艦、全機ゴーアヘッド」
「ラジャー」
「ラジャー」
ジャック中隊長マイケル・ヤング中尉とウオッカ中隊長カール・ゴードン中尉の声を耳にしながらカレンとミコトも応答した。
「ミコト」
それだけ言うと他のパイロットが乗機するアトラスⅢ型とはまったく違った速度で六機は突き進んだ。途中に浮遊する岩礁を六機がまるで一機のような動きで一瞬に越えている。
「信じられないことだが、目の前の事は事実だ。凄いものだ」
「私もさすがにここまでとは思ってみなかった」
「どうするんだ。この後は」
「上層部と話をするしかない。だがあの連中の頭では理解できないだろう。一線の我々がこれだ」
「しかし」
ルイス・アッテンボロー大佐とタカオ・オゴオリ大佐が、司令フロアからスコープ・ビジョンに映るカレンとミコトのアトラスⅣ型の動きを見ながら話していた。
「右舷二次方向、エネルギー波極大。これは」
「どうした。航法管制」
「二連星のエネルギー波です」
「なんだと」
その瞬間、全長六〇〇メートルの航宙母艦“ライン”が大きく傾いた。
アッテンボローもオゴオリも立っていた為、強烈にコンソールパネルに叩きつけられた。
「ぐはっ」
アッテンボローは左胸をしたたかにコンソールに打ちつけた。オゴオリも同じ状況だ。膝を落としたまま、すぐに立つことが出来ない状態だ。
アルテミス級航宙母艦は、全長六〇〇メートル、全幅一五〇メートル、全高八〇メートルの巨大艦だ。その艦体を右舷二時方向から強烈なエネルギー波が襲った。他の艦も同様の衝撃を受けている。
「カレン」
「ミコト」
一瞬の異常を感じると、六機は、信じられない速度で急上昇した。直後、右舷二時方向から強烈なエネルギー波が襲った。
カレンとミコトは自分達三機の底部をエネルギー波が来る方向に向けながら、底部前部と後部に二箇所付いている制御スラスタを全開にした。
「くっ」
それでも足元から強烈なエネルギー波を受けながら機が頭方向にものすごい速度で飛ばされた。少しの間、そうしながらやがてエネルギー波が弱まると六機は徐々に右舷下方に展開しながらエネルギー波を受け流した。
突然、アガメムノン級航宙戦艦“アルテミッツ”、全長六〇〇メートル、全幅二〇〇メートル、全高一二〇メートルの巨体が傾いた。
「どうした」
自分の体が司令官シートのボディロックに強烈に食い込みなが、直前まで見ていたスコープ・ビジョンが傾いたよう映るとヘンダーソン中将は叫んだ。
「二連星からのエネルギー波です」
「何だと。どういうことだ」
「分りません。今の時期は落ち着いているはずですが」
「“自艦の被害状況を確認しろ”と全艦長に通達しろ。外に出ている機の状況を直ぐに把握」
「はっ、直ぐに各艦長に自艦の被害状況の確認と報告を指示します。外に出ている機の状況の把握をします」
ヘンダーソン中将からの指示にボールドウィン主席参謀は復唱すると直ぐに目の前のスクリーンパネルに指示をうち込んだ。
「カレン、大丈夫か」
「ミコト、大丈夫。直ぐに機の態勢を衝撃波から流すようにしたのが良かったみたい。ミコトは」
「同じだ。ジュン、サリー、被害状況を報告」
「ジュン、被害なし」
「サリー、被害なし」
「了解」
二人はその報告を受けると
「カレン、ずいぶん飛ばされた。訓練予定宙域から五万キロは外れている」
「ミコト、仕方ない。とにかく直ぐに、連絡を取る」
カレンは飛ばされて少し衝撃を受けた体を意識で確認して、どこも痛みがないことが分るとヘルメットに内蔵されているコムに向って
「カワイ大尉、指示を」
「カワイ大尉」
「ミコト、カワイ大尉から返事がない。“ライン“と連絡を取る」
「“ライン”、こちら“ツインズ”。指示を」
「“ツインズ”、被害状況を報告」
「大丈夫です。六機とも被害なし」
「えーっ。被害なし」
少し無言になると
「“ツインズ”、他のアトラスはひどい状況。今、救難隊が各方面に捜索に出ている」
少したった後、
「カワイ大尉と連絡が取れない」
ヘルメットの中に可愛い声が涙声で聞こえてくる。
「オカダ准尉、カワイ大尉の“ライン”から発進した飛行方向をデータ送信してください」
カレンの言葉に“えっ”と言うと
「時間がない。直ぐに」
ミコトが言うと“分りました。お願い”と言ってオカダ准尉はカワイ大尉の飛行経路を二人にデータ送信した。
「ミコト。受けた」
「うん」
「分るわよね」
「カレン、任せて」
「ジュン、サリー手伝って」
「はい」
「はい」
ミコトはジュンとサリーそして自機のアトラスⅣ型のコンピュータを利用してオカダ准尉から受けたカワイ大尉の“機の飛行経路”とエネルギー波が来た方向とのベクトル波を合成するとヘッドディスプレイに合成した映像を出した。
「カレン、こっち。行くよ」
「うん」
六機は左舷後方七時方向、上方三〇度に遷移すると最大速度で直進した。宙域は、エネルギー波の干渉でレーダーにノイズが入り、デブリの飛散もひどく、まともに航宙できない状況だ。
それでも、カレンとミコトは、ヘッドディスプレイに映るベクトル方向に岩礁を回避しながらアトラスⅣ型の最大速度で航宙した。
「カワイ大尉と連絡が取れないだと。どういうことだ」
“ライン”の司令フロアは混乱していた。今の時期は来るはずのない二連星“クレイシア”と“クレイシャス”からのエネルギー波。
航宙駆逐艦レベルでは、防御シールドを全開しても防ぐ事が出来ない。今回の遠征訓練に参加した航宙駆逐艦六四隻の大半が被害を受けていた。
「“ツインズ”が捜索に向っています」
「“ツインズ”がどういうことだ」
「“ツインズ”は無傷です」
「何だと。他のアトラスは、ほとんど全滅だぞ」
「しかし、そのように連絡を受けました」
アッテンボローは理解できないままに二人の顔を浮かべると、カレンとミコトに“頼むぞ”という心の中で祈った。
「ミコト、どう」
「まだ、待って」
訓練宙域から四〇万キロも離れた宙域でカワイ大尉は、浮遊していた。完全に気を失っている。通常ならば、そのまま一つのデブリとなって忘れられる状態だ。二連星の宇宙風を航宙方向に追い風のようにまともに受け飛ばされていた。
「カレン、あれ」
六機の前方三万キロにデブリに混じって点にも満たない小さい青い点が浮遊していた。
減速しながら近づき、大きく周りを周回しながらカワイの機を見ると、幸いパイロットシートのコンパートメントは守られているが、推進装置の部分が完全に破壊されている。
「ひどい」
「カレンどうする」
「とりあえず、“ライン”、いえオカダ准尉に報告。その後、仕方ないからあれをする」
「えっ、あれってまさか」
「しかたないでしょ。ジュン、サリー。ごめん」
「カレン、いいよ。でも帰還したら綺麗に戻してね」
「うん、ごめんね」
訓練宙域に二連星からのエネルギー波を受けて損害を被った遠征訓練艦隊は、散ってしまった航宙戦闘機部隊のパイロットを探していた。
多方向に宙域に散らばったアトラスⅢ型を探してた救難隊は、カレンから受けたカワイ大尉発見の報を聞いて即時に動いた。
訓練宙域から二連星とは逆方向、四〇万キロ近く離れた宙域で、哨戒艦はスコープビジョンに映る、五つの光点を認識した。
「艦長、あれは」
「接近する」
前方から四機と三機のアトラスが一つのような形になって向ってくる編隊を捉えるとヘルメットの中に声が飛び込んできた。
「こちら“ツインズ”、カワイ大尉の機を搬送中です」
カレンの声に救難隊の隊長は、視認できる距離まで近づくと
「これはどういうことだ」
「しかたありません。これしか方法がありませんでした。コンパートメントを強制射出しても一〇分しか持ちません。これであれば、生命維持エネルギーは航宙中と同じです」
カレンとミコトが救難隊に周りを警戒されながら“ライン”の近くまで来ると
「信じられない。なぜあんなことができる」
アッテンボローの声に、オゴオリは完全に自分の想像を超えている二人の能力に驚いていた。 “何故だ。何故あんなことが出来る。アトラスのスペックにもない。あの二人はアトラスの機能を自分の手足の様に扱えるのか”、何も考えられないままに、ただ握った手に汗をかいていた。
四〇万キロの彼方からカワイ大尉を見つけ出し、無人機アトラスをカワイ大尉の機に密着させ先頭のみを溶解して離れないようにした姿は、常人には理解不可能だった。
「ジュン、サリー、ごめん、機動縮小、カワイ機の側に密着。荷電粒子砲を側弦にエネルギー最小で発射、自機溶解直前で停止。ごめん」
「カレン、いいよ、でも戻ったら“きちん”と直して。カレンと一緒にいたいから」
「ごめん」
そう言うとカレンに追随する無人機アトラスⅣ型は、カワイ機に両脇から寄り添うように密着すると、機動を停止してジュンは左舷荷電粒子砲をサリーは右舷荷電粒子砲を最小エネルギーで発射した。荷電粒子砲の先端からエネルギーが出る前に射出口を閉じると射出口が解けながらカワイ大尉の機に溶解しながら溶接された。
「“ライン”、こちらカレン准尉。緊急着艦要請。カワイ大尉のパイロットコンパートメン射出。空気は一〇分だけです。緊急救助願います。その後、ジュンとサリー、そしてカワイ大尉の機を一旦離脱させ、ジュンとサリーの荷電粒子砲を最大エネルギーで放出。カワイ大尉の機を切り離し後、ジュンとサリーを回収して下さい。よろしいですか」
有無を言わせないカレンの説得ある言葉に
「こちら“ライン”了解。ありがとうカレンとミコト」
涙声になりながら返答するオカダ准尉の声がヘルメットの中に入ってきた。
カレンの連絡後、一分も経たずに、アルテミス級航宙母艦のアトラス発着艦ポートの両サイドにあるガードボードから、一〇人に近いスペーススーツを着たイマージェンシーレスキュー(EGR)のメンバーが出て来た。
「カワイ大尉の、コンパートメント射出」
それを確認したカレンは、同時にジュンとサリーに曳航されてきた、カワイ大尉のアトラスⅢ型のパイロットカバーフードを吹き飛ばした。カワイ准尉のコンパートメントボックスが射出されると、それを待っていたかのようにEGRがカワイ大尉のコンパートメントに飛びついた。
そしてコンパートメントに付いているロックバンドを掴むと自分たちが出て来たガードボードに連れていった。 それを確認するとカレンとミコトは
「カレン准尉、着艦します」
「ミコト准尉、着艦します」
「みんな、着艦するぞ。A1、A2、A3、B1、B2、B3。準備OKか」
整備主任が大声で航宙戦闘機射出庫の整備員に指示すると
「A1緊急着艦準備完了」
「B1緊急着艦準備完了」
と更に連絡が入って来た。
「ようし、B2、B3、分かっているな。通常着艦とは違う。万一、ガードブレークを検知したらすぐに下の連中に連絡。強制収容を指示しろ」
「分かりました。いつでも着艦OKです」
整備主任が、耳に有るコムパットから着艦シーケンスに入ったことが分かると、まだカバーで覆われている、カレンとミコトそしてそれぞれのジュンとサリーのポートを見た。
“頼む、無事に戻って来てくれ”そう思いつつ、カレンとミコトがランチャーにロックされる音を聞いていた。
六機のアトラスⅣ型がランチャーロックに捕まれて射出ポートに入るとカレンのジュンとサリーはそれぞれ右舷と左舷の荷電粒子砲が破壊されたようになっていた。幸いにガードブレークは起こさずにポートに入ることが出来た。
「カレン、今回はイレギュラーだったね」
「仕方ないよ。オカダ准尉の泣きべそ見たくないもの」
「そうだね」
着艦中の聞こえているはずの声に、誰も応えないままに“ライン”に収納され、アトラスⅣ型の下のカバーが横にスライドすると、
「カレン准尉、エアーロックオン、カバー解除」
「ミコト准尉、エアーロックオン、カーバー解除」
ヘルメットに聞こえて来た、泣きべその声を聞きながら、パイロットカバーフードが開くといつものように整備員が、二人のパイロットスーツのインジェクションから二本のケーブルを外すと自分たちもヘルメットに付いているそれを外した。
いつものように整備員のサポートでアトラスⅣ型から降機するとカレンとミコトに緊張が走った。
先の整備主任以下、航宙戦闘機射出庫の整備員全員が二人に対して緊張した面持ちで敬礼している。位に関係なく全員が敬礼していた。
「ミコト、どういうこと」
「カレン、分らないよ」
常人には聞こえない会話をすると、射出庫の入口からアッテンボロー大佐とハウゼー艦長が歩いてきた。そして二人の側に来ると
「カレン准尉、ミコト准尉、フレイシア航宙軍戦闘機部隊の代表として今回の二人の活躍に敬意を表します」
フレイシア航宙軍の正式な敬礼のもと、緊張した目でアッテンボローとハウゼーは二人に対して敬礼をした。
カレンとミコトは理由が分らないまま敬礼すると
「カレン准尉、ミコト准尉。本当にありがとう」
そう言ってもう一度アッテンボロー大佐は、頭を下げた。
二人は分らないままに、いつものようにパイロットウエイティングルームに行く間、自分達より上の将官もそして下の隊員達も、二人とすれ違う前に道を開けるように壁に沿って立つと、敬礼をしている。
「ミコト、私たちなにかした」
“さあ”という顔をしながらパイロットウエイティングルームに着くと一〇〇名以上の先輩パイロットたちが緊張した面持ちで二人に対して敬礼をしていた。
理由が分らないままいつもの隅のテーブルに着こうとすると腕と頭に包帯を巻いた二人の中尉の徽章をつけた男が、二人の前に来て敬礼をしながら
「カレン准尉、ミコト准尉。カワイ大尉のお命を助けて頂きありがとうございます」
そう言って、敬礼していた手を下ろすと深々と頭を下げた。後ろにそれぞれに頭や腕に包帯を巻いたりしているパイロット全員も同じ様にしている。
分らないままに唖然としながらテーブルに着こうとするカレンとミコトに
「二人とも、ありがとう。この言葉をここで言えるのはお前達が僕を助けてくれたおかげだ」
その声の方向を振向くと松葉杖に頭に包帯を巻いたカワイ大尉が、オカダ准尉に付き添われながらパイロットウエイティングルームの入口から入ってきた。
「カレン准尉、ミコト准尉。本当にありがとう」
そう言って満面の笑みと目に涙を湛えながらオカダ准尉が二人の側に来た。
カレンとミコトは顔を合わせると
「オカダ准尉。私たちはオカダ准尉のデータから捜索に行っただけです。今回のカワイ大尉を連れて帰れたのはジュンとサリーのおかげです。元通りにしてくれると嬉しいですけど」
カレンの言葉にカワイは、真剣な眼差しで二人を見ると
「わかっている。ところで何故俺があそこにいることが分ったんだ。訓練宙域からはずいぶんと離れているはずだ。航宙戦闘機のレーダーでは捉えられないはずだが」
カワイ大尉の言葉にカレンとミコトは顔を合わせるとカレンが“うん”という顔をした。
「カワイ大尉、大尉が消息を絶ったとき、オカダ准尉から大尉の飛行経路のデータを頂きました。それと二連星からのエネルギー波を合成して、ジュンとサリーの思考能力を利用して、カワイ大尉の飛ばされた方向を算出しました。ただ、近接した時・・・後はデータから感じた“オカダ准尉のカワイ大尉への思い”です。あれがないとたぶん大尉の機を見つけること出来なかったと思います」
それを聞いた瞬間、オカダ准尉は耳元まで真っ赤にしながらカワイの左腕にしがみついた。
「まいったな。命令で捜索しただけなのに」
「でもミコト、あの最後の言葉は本当」
「カレン、それを僕に言わせるつもり」
なにも言わずにカレンは微笑むとミコトの体に思い切り自分の体をくっつけた。
「ミコト」
いつも二人で一人。どんなに心の揺らぎがあっても二人で一人。カレンとミコトはいつものように目を閉じると睡魔のとりこになった。
無事にカワイ大尉を無事に生還させたカレンとミコトに”ライン”に乗艦する誰もが二人に敬意を表した。”当然の事をしたまで”と思っていた二人は、その対応に驚く。それでも二人は、二人しか分らない世界の中で安らかに過します。さて、来週は、久々に候補生との再会が有ります。お楽しみに




