使命
掲載日:2013/09/11
目覚めると赤い海の中にいた。
右も左も上も下も、冷たい真っ赤な海だった。
そいつの名前はアダム。彼には生まれつき与えられた使命があった。
彼もまたその使命を理解していた。
その使命とは、「生きること」。
生きてアダムの子孫を後世に残すことが彼の使命だった。
アダムは考えていた。
この使命を果たすことによって、我々一族は後世まで繁栄する。
私に与えられた使命は一族すべての運命を握っている。なんとしても果たさねば・・・・
しかしこの赤い海の中、何から始めればよいのだ。動く事もままならない。
ただこの赤い海には力があるようだ。空気、栄養、水分すべてがそろっている。
しばらくはここで体力を付け、外の世界に向かうという意味なのか。
アダムは時を待った。1日、2日・・・
アダムの体に変化が起きてきた。色白だった肌は黒光りするまでにたくましくなり、筋肉は硬くなった。
そろそろ時が近づいている・・・使命を果たす時が。
その時だ。突然天が明るくなった。
まるで暗黒の空が裂け強烈な光が差し込むように・・・
アダムは叫んだ。
「時は来た!」
暑い夏の縁側。お母さんの声が響く。
「スイカ切ったわよ。」
「種はちゃんと出しなさいね。」




