再会
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エートルリア王国王都へと呼ばれていたアニェーゼが俺たちから一週間ほど遅れて魔法塔へ帰ってきた。
帰ってくると真っ先に俺の部屋にやってきたらしく、呼ばれてドアを開けてみれば、立っていたのは旅装も解いていないアニェーゼだった。
久しぶりに見るアニェーゼは恐ろしく綺麗で、俺は一瞬よろめきそうになった。
透明感さえある白い肌にドワーフの黄金細工のような髪の毛に宝石のような緑の瞳。
人間と言うよりは美術品のようだ。
いったいどうやってこの生き物が発生したのか不安になるくらいのはかなさと美しさを兼ね備えた生物である。
と言うわけで俺の心臓は高鳴る。
その高鳴りを気取られないように苦心しつつ、
「なんだか久しぶりな気がしますね」
と俺は言った。
いきなり腹を殴られた。
な、なんだ? と焦って顔を見たら、アニェーゼもなんだかひどく嬉しそうな表情で、
「うん!」
と明るく言った。
腹をグーパンしたことに深い意味は無いらしい。むしろ愛情表現くらいの気持ちらしい。
恐ろしい。まったく末恐ろしい。
アニェーゼはフゥと息を吐き、旅装のままの俺の部屋のベッドに腰を下ろした。それでもナタリアと違ってちゃんとノックをしてからドアを開けたし、アキッレーオと違って扉の外に待っているのはエラルド教授一人だけだ。
俺の中でアニェーゼのポイントが三ポイントほど上昇した。
アニェーゼは鞄の中をごそごそと探し始め、よく分からないものを俺に向かって突き出した。
「これおみやげよ」
「はぁ。なんでしょう?」
「なんか勲章」
「……え?」
よく見ると、本物の銀細工で宝石も埋め込まれている。宝石は計九個で、中心のルビーから上下左右に二個ずつエメラルドの角が伸びていた。
「こ、これって……」
「エートルリアの星十字勲章っていってたかな?」
「最高位の奴じゃないですか!?」
アニェーゼはきょとんとした顔で首をかしげ、
「そうなの?」
「そ、そうですよ。たしか救国の英雄的な人しかもらえないし、恩給がもれなく死ぬまで付いてくるという」
「ふぅん。まぁ、救国の英雄って言うのならあんたがちょうどいいじゃない」
「いや、その……」
「なんだかほかにも宝石とかいろいろもらったんだけどその辺はアヴァール軍に家を焼かれた人とかに全部あげちゃった」
あっけらかんとそう言った。
俺は感心と驚き半々くらいでアニェーゼを見ていた。
まったくこの人は欲というものがすがすがしいほど無い。
宝石をあげたというのも、恩着せがましくそうしたわけではなく、自然に心の赴くままに行動した結果そうなったと言うことだろう。
わがままで自分勝手だが、その行動が、決して下品ではない。
「じゃあ、私も色々用事があるらしいから、またゆっくり話しよ」
そう言って去ろうとするアニェーゼを慌てて引き留めた。
「ん? 何?」
「実はですね。アニェーゼさんがいない間に、アキッレーオさんが……」
これまでの経緯をざっと説明した。途中からエラルド教授も部屋の中に入ってきて聞く。
話が終わると、アニェーゼはつまらなそうに
「ふぅん」
とだけ言い、一方、エラルド教授は指をポキポキ鳴らしながら
「面白くなってきました。その辺りは私の得意分野ですよ」
と不気味な顔で笑った。実に頼もしい。
「アキッレーオごときの政治力では何もさせません」
あまり興味はなさそうだったが念のためにアニェーゼに伝えておく。
「アキッレーオさんはなんか僕まで味方にならないかって誘いに来て……」
アニェーゼの顔色が変わった。
「どういうこと?」
ダブっていたところを修正しました。




