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幼馴染み

 俺は自室でしくしく泣いていた。

 まったく余計なことをした。

 少なくとも敵を作ってしまった。しかもその敵はアグニ一族の有力者である。今後のことを考えたらまったく意味が無いどころが害がある。俺の目的は妹捜しなのに色々行動がしにくくなるのは間違いない。

 今から謝りに行こうか。

 あの雰囲気だと、アキッレーオ教授は頭はいいが馬鹿だからあっさり許してくれそうな気がする。

 だがそれをやったら何となく俺の自尊心が自壊してしまいそうな気もする。そもそも俺はアキッレーオが生理的に嫌いなのだ。そしてアニェーゼは性的にけっこう好きなのだ。この差は大きく、越えられない壁なのだ。

 だから越えない。

 でも損した気がする。

 俺が夕方になっても部屋でいじけていると、例によって魔法で鍵を勝手に開けて入ってきたナタリアが、


「ビックリしたわ。あんた良くアキッレーオ教授に逆らえたわね」


 と嬉しそうに俺の肩を叩きながら言った。


「……自分でもよく分からないうちに口から出てしまって……」

「ふぅん。でもすっかり噂になってるわよ。冴えない平講師がアキッレーオ様に逆らったって!」

「さ、冴えないって……」

「アキッレーオ教授のファンクラブではあんたを殺そうって話も出ているみたい」

「!?」

「まぁ、殺されないかも知れないけどしばらく無視くらいは覚悟なさい」


 俺は困り果てて、顔を上げた。

 ナタリアはなんだかひどく嬉しそうである。


「……なんでそんなに楽しそうなんですか?」


 思わず不満が口に出た。

 ナタリアはさらに嬉しそうに俺の肩をばんばんと叩くと、


「だってさ! リキニウスが困っている顔をしていると、これぞリキニウス!って気がしてくるじゃん!!」


 俺はさらに落ち込む。


「……ひどいですよ」

「エートルリアでなんだかたいそうなことやってつけあがっていたらしいけど、いい薬になったんじゃない?」

「別に僕は……」

「しょせん、あんたはどうやったってあんたであることに変わりは無いんだから」

「それはそうかも知れないですけど」


 ナタリアは俺のベッドにごろんと横になり、そっぽを向いた。


「それに、そのままのあんただって、私は別に嫌いじゃないわよ。もちろん好きってわけでもないけどさ」

「あ、ありがとうございます」

「とにかく! だからそのままのあんたで居続けなさい!ってことよ」

「はぁ……」


 何を言いたいか分からないが、たぶんナタリアに逆らえるような立場になるな、と言うことだろう。

 特任教授などもってのほか、と言うことだ。

 俺は俺のベッドに仰向けに横たわってもなお、天に向かって突き上がるナタリアのおっぱいを見ながら、嘆息した。

 まったく幼馴染みの出世を喜べないなんて、なんて偏狭な女だ。


「何!?」


 突然、ナタリアが険しい顔でこっちを向いた。


「……え?」

「なんかあんた不埒なこと考えたでしょ?」

「いや、そ、そんなことはないですよ……」

「あ、目をそらした。あんた嘘付くときは絶対目をそらすのよ。何? 何を考えたの? おら吐け!」

 俺を押さえ込みに掛かるナタリア。

 俺は必死に気道を確保しながら、それでも容赦なく背中に当たる感触に

(やっぱりおっぱいは大きい方が……)

 などと考えていた。

 妹もおっぱいが大きくなっていればいいなぁ。


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