第四話 セイメイ
今回から文字数が大幅に多くなります。
それでは、楽しんで読んでくださる事を願います。
「んじゃ殺らせてもらうわぁ~♪」
それはそう言って刀を振り下ろした。
「ふぁ~ぁ……」
少年、黒風 春は寝不足だった。
その時、後ろからもう一人、少年が走ってくる。
「おぃ~っす、どした?春?1時間21分42秒しか寝てないような顔してるぜ?」
「どんだけピンポイントな顔だよ……」
後ろから走って来た少年、名は鳴道 雷牙
年は13歳、好きな色は黄。
黒風のクラスメイトである。
「つーかよぉ」
半分呆れたように黒風は鳴道に話しかける。
「いいかげんなおせよ、そのカッコ。」
黒風がこう言うのも無理はない。
何故なら彼の格好は髪は金髪、右手に指輪(×3)、おまけにネックレスまでつけているという学生らしからぬ格好である
「ぅ……べ、別にいいだろー?校則には違反して無いんだしよ」
「うちが私立だからだろーが、チャラチャラしやがって、こっちが恥ずかしんだよ、日本人なら黒髪にしろ。」
「まーいーじゃんいーじゃん♪何か今日機嫌悪くね?どしたよ?」
「うるせぇマジで寝不足なんだよ、だまれ、息すんな。」
「息も!?」
「あと心臓の鼓動も。」
「鼓動も!?」
「つーかもう死ね。」
「うわぁぁぁあ!言いやがった!そこはきずかないふりをしてたのに!もういいよ!春なんか大っ嫌いだぁぁぁぁあ!!」
と、言いつつも鳴道と黒風はともに学校へと向かう。
黒風 春の長い一日はこうしてはじまった。
「ふぁぁあ……眠……zzzZ」
少年、黒風 春は教室で仮眠をとっていた。
教室ではガヤガヤと喋り声が騒がしく響いている。
そんな中、ガラガラと音がして教室のドアが開いた。
ドアを開けて入って来たのは一人の少女である。
「おっ!起きろー春ー!愛しの彼女が来たぞー!」
「なっ!?てめぇいきなりなに言ってんだコラ!声がでけぇんだよ!」
ドゴォ!
「ぐはっ!?み、みぞ入った……」
そんな光景を見ながら少女は微笑み黒風の席に近づいていった。
(うぉっ!?こっちくる?!ちょっまっ!?俺大丈夫か!?寝癖とかついてねぇよな?)
「おはよ、黒風くん、今日はなんだか眠そうね?」
「あっ、いや、ちょっと寝不足でさ!!」
「そっか……先生に怒られないようにね?」
「お、おう、ありがとな」
「ううん、どういたしまして、またね」
「お、おう」
少女はそう言って立ち去り、自分の席へ向かった。
少女の名は赤井 柚奈
年は12歳
好きな色は赤
黒風のクラスメイトであり…見てわかると思うが黒風が恋心を抱く少女である。
「おい!よかったじゃん春!声かけてもらえたじゃん!」
「お、おう!なんか今日は運がいい!」
「よかったなー!でもまぁ恋人としては無理だろーけどなー、なんてったってテスト学校一位だもんなー」
「うるっせぇな!わかってんだよ!」
鳴道の言うテスト学校一位、それは黒風の学校独特のテスト、学校全体一斉テストでの順位である。
このテストは文字どうり学校全体でテストをするのである。
そしてこのテストでトップ百位に入った人間は各科目と総合点で発表される。
つまりこの赤井と言う少女はこの学校でトップの頭脳をもつ少女なのである。
さらに彼女の凄まじい点はテスト9科目中、100点満点で、2科目が95点、もう2科目が98点、他の5科目はなんと100点である。
「しかしなぁ……成績優秀、才色兼備、おまけに性格美人、しょーじきに言うわ、春、お前には釣り合わん。」
「何回もゆーなよな!んなことよ……わかってんだよ……」
彼が恋心を抱く少女、しかし彼はこう考えていた。
自分は恋はすべきではないと。
なぜなら自分は人ではない、獣でもない。
自分は自然から遠く離れた、異能にして異常な存在なのだから。
想いは伝えず、己の恋い焦がれる少女をただ護る。
彼が選んだ道とはそんな道なのである。
赤井との会話が終わり、少年、黒風は再び仮眠をとっていた。
教室にはまだ先生は来ておらず、相変わらず騒がしい。
と、その時。
ガラガラ、と音がして教室のドアが開いた。
「あ、先生来たぞ春、起きた方がいんじゃね?」
「……ん?あー、いーよ、ホームルームの時間は寝てる……」
鳴道の警告を無視して黒風はそのまま寝続ける。
「んーと、全員いるかー?いるねー、よし、出欠終わりー」
「「「「はやっ!?」」」」
当たり前の反応でクラスの生徒がツッコミを入れた。
「はいはーい五月蠅いよー今日はやることいっぱいあんだからさっさと終わらせたいんだっつーのクソヤローども&お嬢様諸君」
「男子と女子の扱いの差が酷すぎるぞオイ!」
「そーだそーだ!このロリコン!」
「セクハラ教師!」
「エロエリート!」
先生の発言に対してクラスから罵倒が飛び交う。
先生の名前は伊森 童
黒風の通う学校、私立上乃中学校の教師にして生粋のロリコンである。(生徒による見解)
「あー!五月蠅いわ!今日はやることいっぱいあるっつったろーが!」
「やることってなんだよー」
「大事なことー?」
先生の叫びに対して生徒からの質問が飛ぶ。
「ちょー大事ー、なんせ転校生だからねー」
「転校生!?」
「こんな時期に!?」
ちなみに今は6月である。
「男?女?」
「バカ!嘘に決まってんだろ!」
「そーだよ、どうせ嘘だよー」
「なんだー嘘かよー、嘘つくなよセンセー」
「嘘じゃねぇわ!あー、もーいーや、入って来てー」
生徒たちの発言に対し若干キレながら先生はホームルームを進行させていく。
ガラガラ……
ドアが開き、転校生が入ってくる。
「わ!かっこいー♪」
「男かー……チッ」
「イケメンじゃない!?かっこいー!」
転校生が入って来た瞬間、教室はざわめき立った。
しかし、仮眠をとっている黒風にとってこれは全く嬉しくなかった。
(うるせぇなぁー、ねみーんだよ!誰だ俺の睡眠時間を削んのは!)
とイラつきながら仮眠を続けていた。
「あー、じゃあ取り敢えず自己紹介。」
先生の投げやりな声の後でその人は言った。
「あっ!はいー♪僕の名前はー♪」
その瞬間。
(!?)
黒風は目を覚ました。
何故ならその声に覚えがあったからである。
(この声…昨日の!?)
『んじゃ殺らせてもらうわぁ~♪』
それはそう言った。
そして。
『それ』の声と今いる『人』の声は全く同じだった。
黒風はゆっくりと顔をあげる。
「転校生の、安倍晴明ですー♪よろしくぅー♪」
黒風の見たその顔は見憶えがあった。
「て、てめぇは……!?」
しかも昨日黒風はこの男に
「てめえは昨日の……!?」
殺されかけた。
「てめえは昨日の日本刀男ぉぉおぉお!!!?」
運などよくなかった。
むしろ最悪だ。
いかがでしたでしょうか?
楽しんで読んでいただけたなら、幸いです。
黒風と晴明、この二人の関係は、次話で書く予定です。
楽しみにしてください。




