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神喰い  作者: saku
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第十六話 フクツ

ビルの上、武骨なスナイパーライフルを構え、少年はそこにいた。

黒い瞳は事務的で、感情が見えなかった。

タンッ、タンッと、無機質な音を響かせ、感情の見えない顔で黙々と撃っていく。

「……逃がしたか」

銃口の先にいた人間が物陰に隠れ、狙撃が不可能になり、少年はそう呟いた、すると。

椎葉(しいは)!あいつら逃げちゃったよ!どうするの?」

少年、椎葉の後ろから一人の少女がぴょこんと飛び出して、落ち着きのない声で慌ただしく言った。

少女の黒く長い前髪は、額を完全に隠していた。

「落ち着け、みつ、面白いじゃないか、俺の狙撃をよけるなんて……興味が出てきた、新しく知ることが出来たかもしれない」

しかし、少年、椎葉は落ち着いた声でそう答える。

「落ち着いてられないよ!早くしないと……!」

「わかってる」

みつの声を途中で遮り、椎葉ははじめて笑顔を見せ、言った。



「次は直接潰す」















狙撃を避け、黒風と翠香は本殿に逃げてきた。


「はぁ、はぁ……くそっ!何だよあれ!」

「まったくじゃ!奴は何者じゃ?」

苛ついた声で黒風と八無はそう呟いた。

「はぁ、多分、あれが噂の神喰いよ……」

翠香がそう呟いた時である。

「ご名答、その通りだよ」

「「「「!?」」」」

後ろから少年の声がして、黒風達は勢いよく振り返る。

そこには一人の少年と少女がいた。

少年の姿は黒髪に黒い瞳、上は白のワイシャツ、下はズボン、そして、腰にはやけに大きなケースをつけていた。

少女は黒い髪で額を隠している、服装は白い着物、そして、その顔は一瞬少年かと疑うような顔つきだった。

「なるほど……貴様が神喰いだな?」

と、閃が男に聞いた。

「その通り、俺は山野(やまの) 椎葉(しいは)所属は……」

椎葉はそこで一回言葉を切り、ズボンのポケットからメダルを取り出した。

「天照だ」

そのコインには白い太陽をモチーフにしたようなマークが掘ってあった。

「天照……じゃあ光栄の差し金か」

黒風がそう言うと。

「光栄?違うな、俺は……」

と、椎葉が何かを言おうとすが。


「どうでもいいわそんなこと」

その途中で翠香が言葉を遮る。

「ようは貴方が最近の事件の原因なんでしょ、だったら……閃!」

「心得た」

閃の姿が変わり、大きな盾に姿を変える。

「だったら、倒す、それだけよ」

そう言うと、翠香は薙刀を手に取り、構えた。

「お、おい……はあ、まあいいや、その方が手っ取り早いし、いくぞ、八無」

「おお、了解じゃ主様よ」

そう答え、八無も姿を変え、黒風が構える。

「おっと、二人とも神喰いに……だったら俺も、いくぞ、みつ」

「う、うん……気をつけてよ?」

椎葉の後ろにいた少女、みつはそう答えると、その姿を消し、変えた。

変えたその姿は、眼鏡だった。

黒いふちで、レンズは四角というシンプルな眼鏡だった。

その眼鏡をかけ、椎葉は言った。

「さてと、じゃあはじめるか」

そして、腰のケースから勢いよく 何かを抜き出した、出てきたそれは。

凶悪なフォルムを持つ、マシンガンだった。

椎葉は取り出したマシンガンをそのまま黒風達に向け、トリガーに指をかけた。

「なっ!?」

翠香は驚き、その場で固まってしまう。

ばら撒かれた弾丸が翠香を襲う直前。

「よけろっ!」

黒風が翠香を突き飛ばした、しかし。


「無駄、その行動は、読めてる」


弾丸は何故かすべて翠香が除けた先に向かっていた。

「なっ!?やばい!翠香!」

黒風はもう一度翠香を突き飛ばそうとするが、間に合わない、黒風はそのまま弾丸の前に飛び出した。

バララララッ!と、弾丸が黒風に着弾する。

「がっ……あ!」

「黒風っ!」

慌てて翠香が倒れかけた黒風の体を支える。

「死にはしない、これは改造してあるけどエアガンだ、でも……」

椎葉は再びマシンガンを向け。

「仲間を庇っている余裕は無いぞ」

トリガーを引いた。

「くっ!」

翠香は体を捻り、思いっきり右に飛ぶ、しかし。

「それも読めてる」

やはり弾丸は翠香が飛んだ先に向かっていた。

「ぐぅっ!」

翠香はとっさに手に持つ盾を構え、弾丸を受け止める。

カカカカカカンッ!と、跳弾の音が響く。

「残念だったわね!」

盾を構え、汗をかきながら翠香は言った、だが。

「いや、大成功だ」

答えた椎葉の声が聞こえてきたのは、翠香の右隣だった。

「!?」

ババンッ!と二発、銃声が鳴る。

「きゃあっ!」

弾丸は二発とも翠香の脇腹にクリーンヒットした。

翠香はそのまま倒れる。

椎葉の手にはすでにマシンガンは無く、代わりに二丁のハンドガンが握られていた。

「お前達の行動は全部読めてる」

椎葉は静かにそう言った。

「ぐっ……だったらもっと早く……」

黒風は再度刀を構え、椎葉を真っ直ぐに睨む。

「スピードの問題じゃ無い」

「な……どういう事だよ?」

「教える義理は無いけど……まあ、いいや、俺の神喰い能力は先読み、お前もあの女も、お前達の行動は全部読めてる」

「なっ!?」

つまり、黒風と翠香の行動はすべて読まれていたのである。

攻撃、防御、回避、どの行動も読まれ、手を打たれる。

その結果、黒風は自ら弾丸に飛び込み、翠香は容易く盾を攻略された。


(先読み……!?そんなんどうやって戦えば……)

黒風は焦り、思わず自ら動きを止めてしまった、その瞬間。

「……動きを読まれ、焦りが産まれ、焦りは思考は単純化する」

椎葉はそう呟き、そのまま黒風の目の前にまで近づく。

「やべっ!?」

黒風は慌てて刀を構えなおす、しかし。

「そうなれば……」

タタンッ!と、銃声が二発。

いずれもクリーンヒット。

「があっ……!」

「もはや動きを読むまでもない」

そう言って椎葉はさらに三発、四発と弾丸を撃ち込む。

最初はタンッ!タンッ!と、次第に早くタンタンタンタン、そして最終的にはタタタタタタッ!と。

もはやそれは弾幕だった。

よける隙間も無く、黒風は防戦一方になる、しかし、確実に体力は削られていく。

(くそっ!ダメだ、全部読まれてる!このままじゃ……!)

黒風が諦めかけたその時。

「はああああっ!」

椎葉の後ろから薙刀が振り下ろされる。

「なっ!?」

慌てて椎葉はよける。

そして、その勢いのまま薙刀が振り下ろされる。

地面をえぐり、ザンッ!という音がして土煙が舞った。

「ぐっ!?目潰しか!くそっ!」

土煙を受けた椎葉が一瞬怯む、そして。



「らぁぁぁぁあ!!!」



気合の雄叫びと共に、翠香の渾身の蹴りが椎葉の体に叩き込まれる。

「がっ!?」

この戦いが始まり、はじめて椎葉がダメージを受けた。

しかし、翠香は追撃の手を緩めない。

「はあっ!」

そのまま薙刀を引き抜き椎葉の左脇腹を一閃しようとする、しかし。

ガギン!という音がして、左のハンドガンで薙刀が受け止められる。

「なめるなっ!」

そして、右のハンドガンで三発。

「くっ!」

かろうじて三発ともかわす。

「黒風っ!」

翠香が叫ぶ。

「な、何だよ!」

「何やってんの!そんな諦めた顔して!まだ終わってないよ!」

翡翠から、叱咤の叫びが黒風に向けて叫ばれる。

「な……!だけど……あいつの能力の前じゃ俺らの攻撃は効かないんだぞ!?」

「やってみなくちゃわかんないでしょ!当たって砕けろよ!砕けたくは無いけどさ!」

「……翠香の言うとおりだ、男、お前とんだ馬鹿野郎だな、呆れるを通り越して感心する!そんなに怖ければそこで眺めていろ!」

翠香に続き、閃も黒風を叱咤する。

「な……何でそこまで……」

思わず黒風がそう呟く。

彼女たちは、神喰いではあるが、この件に関しては無関係のはずだ。

そこまでする理由が、意味が存在しない。

しかし、彼女たちは本気で刃をふるっている。

「「そんなの決まってる!」」

一人と一匹は口を揃えて言った。



「「諦めたく無いからよ(だ)!!」」



弾丸を撃ち込まれ、先手を読まれ、しかし、それでも翠香と閃は諦めない。

それはただ、他の者達を守るため、自分のためで無く、他者のために翡翠は刃をふるっていた。

「……はあ、めんどくせぇ……けど」

叱咤を聞き、思いを受け、いつも道りの口調で呟く、しかし。

「ここまで言われて、黙っておるわけにはいかぬよな、主様よ」

その言葉には、先程よりも強い意思が宿っていた。

「当たり前だろ?……さてと、もう少し足掻いてみるか!」

そこには先程までの弱気な男はいなかった。

そこに立つのは、神喰い、黒風 春の姿だった。


「そう来なくちゃ!」

微笑む翠香。

「ありがとな……翠香」

立ち直る黒風、しかし。

「どういたしまして……さてと、どう倒そうか」

そう、たとえ黒風が立ち直っても、圧倒的に不利なのは変わらない、すると。

「……なあ翠香、あいつ……さっきなんで攻撃くらったんだ?」

「え?……そういえば……」

そう、先程確かに翠香は椎葉に一撃をくらわせた。

(考えろ……何故?攻撃も動きもすべて読まれる中、何故あいつはくらった?)

「たしか、攻撃しようとしたらよけられて、土埃が舞って……」

翠香がそう言った瞬間。

「……土埃?……それだ!」

黒風がそう叫んだ。

「えっ?」

わけがわからず聞き返す翠香。

「翠香!勝てるぞ!」

そんな中、黒風は希望を見つけた顔をしていた。

「さぁて……こっからは俺たちの番だぜ!」

境内に黒風の声が響いた。




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