第十一話 セイカン
久しぶりの更新です。
ながらくお待たせして申し訳ありませんでした。
現実世界にて、晴明と光栄は互いの力をぶつけ合い、争っていた。
しかし、それは異様な光景だった。
「はぁ……はぁ……」
晴明は全身に打撲痕や切り傷が付き、額からは血を流している。
しかし。
光栄には傷どころか、汚れの一つすら付いていないのである。
(くそっ……まだか?まだなんか?黒風……はよ来い……)
「……晴明さん、失望しましたよ」
「……何やと?」
「晴明さん、貴方は時間稼ぎをしている、それも自分のためじゃない、おそらく、そこで寝てる黒風とか言う男を待ってるんでしょう?」
「…………」
「自分の力ではなく、他人の力を頼るなんて……天下の安倍晴明も堕ちたものですね、それもまだ神喰いになってすらいない子供を頼るとは」
光栄は半分呆れたように吐き捨てる。
「まぁ、どうでもいいですけどね、貴方はここで消えるんですから」
「まだわからんやろ?」
「わかりますよ、貴方じゃ私には勝てない、確実にね」
「……せやな、確かに僕じゃ勝てへんわ」
「あたりま……」
しかし、光栄のセリフはそこで断ち切られる。
「せやけどな」
静かに、しかし、確信を持って言う。
「確かに僕じゃ勝てへん、せやけど……あの男、黒風君なら……勝てるかもしれへん」
「無理ですよ、あんなの、神喰いになれるかどうかも怪しい、なれたとしても、神喰いになったばかりの少年が私に勝てると?本気で思ってるんですか?」
「ああ、思っとるよ」
光栄の否定の言葉、しかし、晴明はそれを弾き返す様に否定する。
「僕は思っとる、あいつなら勝てるって」
そして、晴明ははっきりと言った。
「せやから、僕はここにいる」
その時、ザッと、音がした。
「……まさか」
光栄の見る先、そこには人影があった。
「……遅いで?」
晴明は飽きれたように、しかし、嬉しそうに言う。
「わりーな、遅くなっちまって」
その声は力強く響いた。
その声は自信があった。
その声は。
「さあ、こっからは俺の番だぜ?」
黒風の声だった。
戦い、傷ついた晴明を見て、黒風は言った。
「……ズタボロじゃねーかよ」
「なっ!これでも頑張ったんやで!?」
「ま、いーや、バトンタッチだ」
「……はぁ……そーさせてもらうわ」
そう言って、晴明はその場で倒れた。
「……話は、終わりましたか」
そう言う光栄の声は、明らかに怒りが混じっている。
「おう、わりーな、待っててくれたのか」
「いえ、かまいませんよ」
そこで力を込め、光栄は言った。
「一瞬で終わりますから」
そう言って光栄は手を前に突き出した、すると。
バンッ!と、音がして黒風のいる場所の地面が陥没した。
土煙が舞う。
「……やはり一瞬で……」
勝利を確信し光栄は呟く、しかし。
「おーおー、危ねぇなおい」
その声は光栄の後ろから聞こえた。
「なっ!?」
慌てて後ろを振り向く光栄。
そこには、黒風がいた。
「そんな力使うんなら、俺も使わなきゃな」
「……貴方如きが神喰いの力を使えるとでも?」
「使えなかったらここにいねぇだろ」
「…………」
光栄は黙る、しかし、その沈黙は肯定を意味していた。
「さてと、じゃあ呼ぶか」
黒風が神から学んだこと、それはただ一つ。
『儂の名は……』
神の名である。
「行くぜ……」
『八無……じゃ』
「八無!」
黒風が名を呼んだ、その瞬間。
彼の影が蠢いた。
薄い平面から立体的な丸い球体になり、宙に浮いた、そして。
その球体が弾け、中からそれは現れた。
黒く長い髪、大きく可愛らしい瞳。
そして、その身に纏うは十二単の着物。
「……ふむ、どうやら無事に呼べた様じゃな、主様よ」
それは先程の少女だった。
「……貴方が黒風くんの神ですか」
怒りを滲ませ、光栄は問いかける。
「む?何じゃ貴様は」
八無の質問に対し。
「八無、それが敵だ」
黒風ははっきりと答える。
「なるほどのう、あれを殺せばいいんじゃな?」
「殺すなよ……おい、光栄、やるんならさっさとやろうぜ」
不敵に笑みを浮かべ、黒風はそう言った。
「……そうですね」
「おう……じゃあ行くぞ……八無!」
「了解じゃ、主様よ」
八無が勢いよく答える。
その瞬間、八無の身体が影にかわる。
そして、影となった八無が黒風の身体に、手にまとわりつき、その姿を変えていく。
姿が完全に変化したとき、八無の姿は黒いコートと一振りの日本刀に変わっていた。
「それが……貴方の力の形ですか」
「ま、そうだな、力については……後で見せてやるよ」
そう言った黒風の顔は自信に満ちている。
「そうですか……でも、無駄ですよ、この勝負、結果は見えている」
「はあ?何でだよ」
「……貴方は確かに神喰いになっている、しかし、たった今なったばかりの貴方が、1000年の時を生き、修行を積んできた私に勝てるはずが……」
しかし、そこで光栄は言葉を切った、いや、切らざるをえなかった、何故なら。
黒風がの刃が目の前に来たからである。
「なっ!?」
瞬間、光栄は後ろへ飛ぶ、そして。
ズガァァァア!と、音がして、光栄がいた地面が裂けた。
「……で?誰が勝てないって?」
刀を肩に背負い、黒風は不敵にそう言った。
「……なるほど……どうやら強さは伊達じゃ無いみたいですね」
そして、光栄は手を前に出し、言った。
「それなら、私もそれなりの力で挑みましょう」
こうして、黒風と光栄の。
神喰い同士の戦いが始まった。




