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草太とスライムの異世界物語  作者: ミケイト
01 草太とスライム
3/8

01-03 スキルと武器

つぎ行ってみよーう!

やばい。

腰が抜けた。



『あのー、お兄ちゃん? 大丈夫?』



目の前にいるのは……スライム。

それも、真っ赤な血のような色をしている。


うーん、そんなに危険な感じはしないけど。

とはいえ油断はできない。



『えっと……』



これはテレパシーみたいなもんか?

まあいい、会話をしてみよう。

それで、こいつが危険かどうか判断するのだ。



「ごめんごめん、突然話しかけられたからびっくりしたんだ」


『そっかー、よかったー♪』


「君が俺を助けてくれたのかい?」


『うん、みんなで沼からひきずりだしたのー♪』



なるほど、どうやらアレは夢じゃなかったらしい。

話の内容からしても、このスライムはおそらくセーフだろう。



「みんなって、他のスライム?」


『うん! あ、みんな呼んでくるね~!』




『みゅ~ みゅ~』



赤スライムちゃん(仮)が、鳴き声のようなテレパシーを出す。

すると、どこに隠れていたんだろう、岩の割れ目や壁の隙間から、出るわ出るわスライムの山。



でもまぁ、危険じゃない事が分かると、なんかちょっと可愛いかもしれない。


スライム達が集まる間に、俺も腰抜け状態から脱却。

やっぱり大事なのは、平常心と心の余裕だよね!



「あれ、そういえば、赤いスライムは君だけなのかい?」


『うん、そーだよー!』


「なんで?」


『わたしがお兄ちゃんの血を吸ったからだよ~♪』


「うぇぇい?」



敵襲ー!

敵襲ー!!!


こいつらみんな俺の血をあばばばば……





……俺がようやく落ち着いたのは、それから30分ほどした後だった。





『お兄ちゃん、大丈夫?』


「あ、あぁごめんな……」





ヘタレでごめんな、赤いスライムちゃん。


どうやら俺の血を吸ったのは、怪我を治すときだったらしい。

沼で俺を見つけたとき、右腕を中心にひどい怪我をしていて、治療のできるスライムは総出で治してくれていたそうな。


さっきはホントごめんなさい。



『だから、お兄ちゃんとお話できるのは、わたしだけだよー』


「ん? どーゆーこと?」


『きゅーしゅーとぶんれつなの~♪』



……わからん。

何を言ってるのか全然分からないが、どうやら他のスライムは俺と会話出来ないようだ。



とにかく、今のうちに聞けることはいろいろと聞いておこう。



「ところで、ここはどこなんだい?」


『洞窟だよ!』


「うん、えーっと……どこの国にある洞窟だい?」


『国?』


「そう、国」


『それなーに? おいしいの?』



くっ……その返しを素でしてくるとは。

スライム、侮りがたし。


ま、そりゃスライムに国は関係ないもんな。

あとは……



「月っていくつあるんだい?」


『月? 2つだよ?』



ふむ。

まースライムがいる時点でわかってはいたが、ここは少なくとも、地球じゃない。

非科学的なことこの上ないけど、これは異世界ってやつだろう。



『ねーねー』


「なんだい?」


『お兄ちゃんって何スライムなの?』


「へっ?」



何をおっしゃるお嬢さん。

どっからどう見ても……



「俺は人間だぞ?」


『えー』


「どうやったらスライムに見えるんだ?」


『だってスライムの匂いするの』



衝撃の事実。

俺の体臭はスライムの香り。


そんなことを考えていると、一匹のスライムがこちらに擦り寄ってきた。



「どうしたんだい? ――っと」



両手で抱え上げたのは、ちょっと白っぽいスライム。

俺の手の上でプルプルしながら、『みゅ~』って鳴いている。

なんか可愛い。



『お兄ちゃん、この子が、【同化】してもいい? って言ってるよ』


「同化? なにそれ?」



俺が返事をするより先に、その白いスライムはドロっと溶けて形を失った。

両手で上で起きた突然の事に、言葉が出ない。





――ポン

スキル【鑑定】を獲得しました。





頭の中に流れる声。

なんだこれ……



スキルっていうと、ゲームみたいなやつか?

うーん、【鑑定】って名前からして危険はなさそうだから、ちょっと試してみるか。



「【鑑定】っと」



赤いスライムちゃんを見ながら呟くと、目の前にウィンドウのようなものが表示された。




[種族]

スライム

[称号]

人間の血液を吸った者

[種族スキル]

分裂 Lv.MAX

同化 Lv.MAX

溶解 Lv.1

吸収 Lv.1

変形 Lv.1

[個別スキル]

人語理解

[能力]

筋力 E

体力 E

魔力 E

知力 E

敏捷 E




ふーん、なるほどな。

詳しいことは分からんが、なんか赤いスライムちゃんの詳細が出てきた。


スライムがいて、スキルがあって。

まるでゲームのような世界だなここ。



ちなみに俺はどんなステータスなんだろう……




[種族]

人間

[称号]

神の杖の保持者

スライムと同化した者

[個別スキル]

杖術 Lv.1

[同化スキル]

鑑定 Lv.1

[能力]

筋力 D

体力 D

魔力 E

知力 D

敏捷 D




能力、低くない?

スライムよりはさすがにアレだけど、最底辺と比較しても仕方ないし……。


それより、なんかいろいろ書いてあるな。


同化スキルってあれだよな、さっき白いスライムが溶けたやつ。

あれは俺に同化して、たぶんだけど【鑑定】をくれた、ってことなんだよな。


なんとありがたい。


そして、もしかすると、いろんなスキルを持ったスライムと同化すれば……ふふふ。

俺、最強の予感!!!



『楽しそうだね~♪』


「ふふ、まーな。 他にもいろんなスキルを持ったスライムっているのか?」


『あんまりいないよー』


「そ、そうか……」



まーそれは後々考えるとして。



それより気になったもの。

神の杖の保持者!


神の杖って、聞いた感じすごい武器っぽいな!

なんか全魔法使えるとか?無双出来そうな感じ?

ふふふ、強くなって~モテモテになって~ハーレム作って~♪

夢広がるな!!!



ところで、その肝心の神の杖とやらが見当たらない。



「俺が沼で死にかけてた時、何か杖みたいなものは持ってたか?」


『なんにもなかったよー』


「そうか……」



死にかけて記憶も失ってたってことは、誰かに奪われたのか?

でも称号には「保持者」って書いてあるし……


俺が持ってるものなんて、時計と靴と指輪……ん? 指輪?


試しに、【鑑定】っと。

お?




[名前]

やわらかい杖

[杖スキル]

溶解 Lv.1

変形 Lv.1

[説明]

100本に分かれた神の杖の1本。

スライムの能力が宿る。

やわらかい。

「起動」と唱えると杖の形になる。




……。

使えるのか? これ。


でも、神の杖っていうくらいだ。

この【変形】ってのがきっとすごいスキルなんだきっと。


ものは試しだ!


「【起動】【変形】」


起動を唱えると、指輪は杖の形に。

剣をイメージしながら変形を唱えると、さらに杖から剣の形に変形した。



「うぉぉぉぉぉぉ!!!」



そのまま出来た剣で壁を切りつける。

いっけぇぇぇぇ!!!




――へにゃ




やわらかい杖が変形した剣は、やわらかい剣だった。


……うん、予想は、してたんだけどね。




膝から崩れ落ち、涙を流す俺を、スライムたちは優しく見守っていた。


みなさんも草太を優しく見守ってあげてください。

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