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終わらぬ夜に、背を向けて

作者: わんちゃん

僕が5歳の誕生日のの日、お父さんとお母さんは死んだ。その日は、朝から肌寒くて雪が粉のように降っていた。


2人は僕のせいで死んだ。僕のほんのワガママのせいで死んだ。


単純な理由だった。ただ、貰ったプレゼントに納得ができなかっただけなのだ。そして2人はプレゼントの買い直しに行く途中、居眠り運転をしていたトラックと激突をして死んだ。たった一言、たった一言で2人は余りにも無残にこの世を去ってしまった。


それから数ヶ月後のことだった。僕は、だれも居ないはずの寂しい家の中に、ふと違和感を感じるようになった。最初はうっすらと、でも日を重ねる度にその違和感は簡単に感じられるほど大きなものになった。


そして、異変は起こった。


「「やあ少年よ」」



朝目を覚ますと、目の前に見知らぬ女の子が2人いたからだ。年は、だいたい同じぐらいだろう。


「……誰?」


「ああ、驚かせてごめんね。私は天使だよ。よろしく。」


白いワンピースを着て真っ白な髪の女の子が話した。よく見ると、目の色がよく分かるぐらい銀色である。


「僕は悪魔、よろしく」


その隣にいた真っ黒なワンピースを着て真っ黒な髪をした女の子が話した。目の色は、さっきの子とは対照的な、金色だ。


「よ…よろしく」


こうして、僕の奇妙な共同生活が、幕を開けるのだった。









僕たちは大学生になった。“たち”という表現をおかしいと感じるかもしれないが、僕たちなのだ。まず、天使と悪魔は人間になることができるのだ。なぜできるのか聞いてみたら、

「それは…物語の都合じゃない?」

と軽くあしらわれてしまった。


彼女たちの話だと、僕は両親が死んだ日から幽霊が見えるようになったらしい。しかも、天使と悪魔がはっきりと見えるほど、強い霊感を。

おっと、話を戻そう。俺は今、3人で同じ大学に通いながら、除霊活動をしている。まあ、除霊といってもなんたらかんたら言いながら無理やり幽霊を成仏させるのではなく、その幽霊の未練を取り除くといったことをしてるのだが。




「一馬、早く依頼人の所に行こ〜」


放課後の屋上、僕が寝そべっていると、美月(天使)が呼びに来た。


「…わかった」



僕は起きあがると屋上を出る。


「遅いぞ」


屋上を出ると、入り口のまえで皐月(悪魔)がふてくされた顔をしていた。


「だって……眠かったんだもん」


僕は目を擦りながら皐月の横を通り過ぎていく。皐月は呆れてなにも言えないようだ。


「今日はちゃんと成仏させてね。でないと、また死神に魂を持っていかれちゃうよ」


天使が腕を組みながら言う。


「ああ、わかってるよ」


言い忘れていたが、なぜ2人が人間界に来たのかというと、それは仕事のためだった。その仕事の内容は、

「大神一馬をサポートし、死神に魂を奪われないように注意をして無事に霊を成仏せよ」

というものだった。ハッキリ言って、かなり迷惑だ。


「それで、今回の依頼人はどんな人なの?」


「聞いて!今日は有名会社社長よ!娘に憑いた霊をなんとかしてだってさ♪」


僕の質問に、美月が答えた。


「なるほど、わかったよ」


こうして、今日もけだるい仕事が始まるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが楽しみです。よかったら私の作品も読んでくださいね
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