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《1話》花畑で…。
「フィストぉ〜。こっちのお花が綺麗だにゃん」
ご機嫌なワンドの声に、俺はヤレヤレとため息を吐いた。
「幸せの四つ葉は探さなくていいのか?」
「にゃ!探すけど…でも、お花が綺麗にゃん♪」
花畑の誘惑が勝ったか、ワンドは色とりどりの花の中へとダイブする。
「やれやれ」
俺はその辺に腰を下ろして、ため息を吐いた。
仕方なしに、満足してくれるのを待つことにした。
蝶々を追いかけたり、花をくわえてみたり、ワンドが動き回るのを目を細めて眺めた。
子供というのは、遊び道具が無くても、ああも楽しそうに遊べるものか。
ふと、俺はワンドと出会った時のことを思い出した。
まぁ、成り行き上ワンドを拾ったようなものだがな。