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堕天使の君と、恋に堕ちるまで  作者: ラストジェネレーション


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第十四話 堕天使の命令

 思わぬ方法で武器を手に入れた俺たちは、堕天使の指示に従い地下水道へ移動した。薄暗い事に文句を言ったが、彼女は聞く素振りも見せない。


「ここで何をするの?」


「うーん、君は対天使格闘技術。エリナは弓術だったよね」


 ミカエルが目を閉じると同時に、肉体から彼女の気配は消えた。


「あ、あれ..。ここはどこですか?」


「状況説明はまた後で。武器を手に入れたから、ここで鍛錬するよ」


「いきなり言われても..。どうして、外でやらないんですか?」


「目立ちすぎるからよ。ラファエルに敵意はなくても、預言者は別だ」


「....」


「それと、私は常に最悪の状況を想定しているのよ」



 ミカエルはエリナに先ほどの弓を手渡し、そのすぐ近くに朽木で作った簡易式の的を用意した。


「まずは的の中心に、確実に当てられるようになるまで反復して欲しいの」


「分かりました..。けど、それだけで良いんですか?」


「ふふ..。貴方は初心者なのよ。一見簡単そうに見えても、案外難しいの」


「そ、そうですか..。じゃあ、とりあえずやってみます!」


 こうして彼女の訓練は始まった。矢の本数も限られている以上、あまり下手な場所に飛ばす事は出来ない。そうした緊張感からか、命中率は如実に伸びていく。


「うん。彼女の方は問題なさそう..。で、次は君の番だね」


「待ってたよ! 僕は何をすれば良いの?」


「さっきも言った通りよ。君は天使の能力を解析し、素早く触れられるようにするだけ」


「そんなの、今までみたいに突っ込めば..」


「ダメよ。既に君の能力が割れている以上、前のような不意打ちは通じない。それに問題なのは、貴方が天使の攻撃を受けてしまう事」


「そっか。じゃあ、対策を練らないとだよね」


「話が早くて助かる。その通りよ。君には、敵の能力をある程度把握し、接触できる最善の方法を模索して貰う。私の指示なしで、自分の頭で考えて動けるようにね」


「ふーん..。でも、天使の能力ってイマイチよくわかんないんだよなぁ..」


「そこら辺は経験ね。まぁ、天使が操っている対象に着目すれば大体分かるわ」


「....?」


「例えばね。戦ってる時に、足が遅くなったとする。敵は何を操っていると思う?」


「....。速さ」


「そう。他にも、空気抵抗とか摩擦とかコリオリの力とか色々あるんだけど、ざっくりと相手の能力を把握しておけば、自ずと勝ち筋は見えてくるのよ」


「じゃあ、相手がミカエルみたいに能力を二つ持っていた場合は?」


「....前提として、そんな天使存在しないわ。今の状態で使える能力は、あくまで弱体化した結果に過ぎないのよ。エリナの身体を媒介として、一時的に制限は解除できるんだけどね」


「....」


「とにかく、習うより慣れろという言葉の通りよ。君に課題を出す。ここの地下水道を通って、こっそり街を抜け出しなさい。目標は天使を10体殺害する事。終わったら戻ってきて、一人一人の能力を報告して頂戴」


 それはあまりにも唐突に、彼女の口から発せられた。今まで共に行動するのが当たり前だったから、単独で事にあたるなんて念頭にも置いてない。故に、驚きのあまりしばし言葉を失った。


「ははっ..。そんな冗談やめろよ。明日一緒にお城行くって約束したじゃんか..。1日で10体なんて、無理に決まってるでしょ..」


「冗談じゃない。私は本気よ。今の君があまりにも役に立たないから、荒療治だけどすぐに成長できる方法を指示してあげたの! なのに、出来ないとでも言うつもり?」


「....出来るよ。やってやる。だからそんなに声を荒げないでよ! 急にどうしたの? 様子が変だし..」


 ミカエルはこの時確かに、不自然だった。普段はマイペースで余裕もあるのに、今の彼女はどこか落ち着きがなく、僕がすぐにこの街から離れるのを急かしているようだった。


「い、いつも通りよ..。私はあくまで、最善の案を提示しただけで....」


 嘘だ。


 僕の直感が、そう叫んでいた。虫の予感とでも言うのだろうか? この先もう二度と、ミカエルとは会えないような、そんな気がした。


「....」


「ほら、早く行って!」


「....ま、待って!」


 だから、確約が欲しかった。僕は彼女とずっと離れ離れになるのは御免だった。随伴してまだ短いけど、もう赤の他人なんかじゃない。


「僕が天使倒したらさ、一緒にデートに行くって約束、守ってくれるよね..?」








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