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妖狩  作者: 定春
第一部:東編
53/55

EPISODE53「御祭」

現代のことに疎い花のために風雅たちは現代の色々な文化を堪能させることに。最初はテレビ、カレー、そして銭湯と花は現代文化を味わっていく。


        ー2011年 8月29日ー


 本日は年に一度の夏祭り。実は8月25日に開催される予定だったのだが、鬼熊組の侵攻により延期になってしまった。

そして本日8月29日に夏祭りが小規模だが犠牲者の弔いを兼ねて行われることになった。

風雅は花に現代の夏祭りを味わって欲しいと思い、八雲家みんなで浴衣を着て夏祭りに繰り出した。

「うわぁこれが平成のお祭りなのね!」

「すごいだろー!」

花は目についた店すべてに立ち寄り、りんご飴、かき氷、焼きそばと手当たりしだいに食べていく。

「風雅くん、次ここ行きたい!あっ、これも食べたい!」

「一度までにしなさい花ちゃん!」

「えーやだやだやだー!!」

街が崩壊し、皆疲弊していた。しかし、八雲夫妻のじゃれ合う姿を見るだけで、街の住民たちは笑顔になれた。

焼きそば屋の店主は風雅にお礼を言う。

「今祭りが開けたのも、儂らがこうして生きているのも、全部お前さんのおかげじゃ。」

「源さん…。」

源さんは数少ない妖狩エージェントの存在を知る一般人、5年前妖に襲われていた所を風雅に助け出されて以来、よき相談相手になってくれることもある。

「こんな綺麗な嫁さん、いつの間に出会ったんだい?」

「あんたの知らないずいぶん昔だよ。」

風雅は花を引っ張って屋台を回る。琥珀は両手にりんご飴を持って屋台を巡る。

雷牙は立ち止まる時があればノートパソコンを開いて財団から入手したデータを解読していた。

風雅は雷牙の作業を覗き込み、パソコンを優しい手つきで閉じた。「おい!」と言われながらも、風雅は指を振る。

「兄貴、今日はせっかくの祭りだぜ?堅苦しいことは無しで楽しもうぜぇ〜。」

「花が喜んでるからってハメ外しやがって…厄災が来ても知らんぞ…(ま、祭り終わった後でもいいか…)。」

雷牙はやれやれといった表情で、ベンチから立ち上がった。

 正午になり、牛鬼会の面々が神輿を担いで街を練り歩いていた。

「お前らぁぁぁぁぁ存分に楽しめぇぇぇぇぇ、祭だぁぁぁぁぁぁ!!!!」


龍我もこの祭りに来ており、牛鬼会の神輿を下から覗いていた。

「あーあ、お五月蝿いですこと。」

「そう言ってお前も浴衣着てるじゃねぇか。」

「俺はたまたま通りかかっただけですよ先輩。」

牛鬼会のメンバーたちは凱の乗る神輿を下ろして、ジミーがマイクを握って、大衆に呼びかけた。

「さぁさぁ皆様、これより牛鬼会頭かしら・石動 凱によるデモンストレーションの始まり始まりぃぃぃ!!!!(あぁ、今の俺最高に目立ってる!)」

凱は法被を脱いで上裸になり、大衆にその見事な肉体を魅せつける。

さらにはあまりの美体に気絶してしまう女子高生も現れたとか現れてないとか。

「今年は俺の指名だ、上がってこい龍我!!」「え…?」

凱は龍我に指をさして指名した。

「ハァ…。」とため息をつくも龍我は跳び上がって神輿に乗った。その際に観客から「おぉ!」という声が漏れた。

「そんなに言うならやってやるよ!」

「来い、泣かせてやるからよぉ!!」


「あー、始まった…。」

琥珀はまたかと半分呆れ気味であった。

「まーあいつららしくて良いじゃない。おーい二人とも殺さない程度にやれよー。」

祭りで到底聞くことのできない言葉が出たが、楽しい時間はあっという間。いつの間にか夜の7時を回っていた。

「早く早くー!!」

琥珀は何やら急いで風雅たちを誘っていた。実は7時半から災害にあった都市の復興、遺族を偲ぶための1000発の花火が上がるのだ。

四人は見晴らしの良い場所に移動し、風雅は花と思い出話にふける。

「花、昔一度だけ俺の家で花火見たよね。」

「あっ、懐かしー!すごく綺麗だったのまだ覚えてるなぁ。」

「あっ、二人とも始まったわよ!」


午後19時30分、ついに1000発の花火が夜空に咲いた。色とりどりの炎の華が夜空を彩り、花の目は一際輝いた。そしてあまりの綺麗さに涙を流してしまう。

「すごい…こんなに綺麗な花火、私初めて!グスッ。」

「花…。」

風雅は花の手を取って、花火を背景に二人は語り合う。

「これからも花と色々な場所に行きたい、美味しいものをいっぱい食べたい。」

「私も…あなたといっーぱい、思い出を作りたい!ねぇ…ずっと一緒にいてくれる?」

「元よりそのつもりさ。もう二度と、俺はお前を離さない!」


雷牙は琥珀と共に木の陰に隠れて二人の愛の語らいをこっそり見ていた。琥珀は雷牙のデジカメで勝手に二人を撮っていた。

「ちょ、雷牙もうちょっと隠れなさいよ、バレるじゃない!」

「俺のデジカメ返せ。」


         ーPM21時52分ー


 花火も終わり、祭りも終わりに近づいていた。花は琥珀と手を繋いでまだ回っていない屋台の前を駆け巡る。雷牙も射的に夢中で、風雅は人込みに揉まれ、汗をかいていた。

「もーみんな自由だなー。花ちゃんめっちゃ可愛い…琥珀がいるから大丈夫だとは思うけど…」

「よぉ…。」

その刹那、風雅の背中に悪寒が走る。かいていた汗は一瞬止まった後、それは変な汗に変わる。

呼吸が荒くなる。後ろを振り返ろうものなら首がはねられるという恐怖が襲う。

「俺だよ俺、忘れちまったか?」

聞き覚えのある声だ。だが振り返れない。その正体は第二の厄災“戦争のノブナガ”だ。祭りを楽しむ人間に紛れて赤い浴衣を着て現れた。

前は仲間がいたから恐怖を分散できていた。しかし今自分の背後にいるのは世界を単独で消せるほどの力を持った厄災。一人で対峙した時、背後とは言えども一瞬で恐怖に押し潰されそうになるのだ。


「なんの用だ…!花はやらんぞ…!!」

「別に赫夜の事など今はどうでも良い。どうやらお前らが妖狩エージェントかしららしいから言っておきたいことがあってな。」

「何だよ…!」

「いずれこの世界は俺の手により俺色に染められる。人類は一段階進化するのだ…!すでに種は蒔いてある。続報を待て!現代では予告するときには使うらしいな…まぁとにかくそういうことだ。心臓に刻み込んでおくがいい!!」

「このっ!!」

風雅が力を入れて振り返った時、すでにそこにはノブナガはいなかった。気付けば恐怖は消え、変な汗もかかなくなっていた。

「何だったんだ……あいつは…!」


「風雅くーーん!帰るよー!!」

花が手を振って風雅に知らせた。不安を覚えつつも花たちの元に走っていく。

                EPISODE53「御祭」完


         次回「混沌」

        第一部最終回手前!

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