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妖狩  作者: 定春
第一部:東編
52/55

EPISODE52「銭湯」

ヒカル奪還作戦から始まり、偶然にもかつての恋人・花と再会。しかし、財団HANDが誇る26人の精鋭“エンジェル”、人体実験により生まれた過去の罪人“人造人間ホムンクルス”を一度に相手取った妖狩エージェントたち。

そして並の妖とは一線を画す存在、“黙示録の厄災”なるものも登場。第一の厄災“支配”は花の身体に受肉。第二の厄災“戦争”は自らをノブナガと名乗り、襲いかかる。

その最中、ヒカルが新たな力を携えて目覚め、ノブナガを退かせることに成功。

その後ヒカルはどこかへと飛び去ってしまう。

アジトから何とか脱出し、新たな目標を定め、財団と離反した人造人間ホムンクルスたちと協力関係を結ぶことになった。


       ー8月28日 AM9時15分ー


 皆は睡眠をとることで妖特有の超回復力で折れた骨は大体治った。花も八雲邸で目覚め、初の平成を堪能している。

「風雅くん、風雅くんこの四角いの何!?中に人がいるよ!」

「それはテレビだよ。これで色んな番組や映画が見れるんだ。」

「映画ってあの白黒で活弁士さんが話してるやつ?」

「今の映画はすごいぞー。今度一緒に見よう!」


その後、琥珀、雷牙と居間に下りてきた。

「あっ!花姉ぇ!!おはよう!」

「おはよう琥珀ちゃん!」

琥珀は綺麗な女性に目がない。挨拶を交わすと同時に花に抱きついた。

花も抱きついてきた琥珀の頭をよしよしと撫で琥珀は極楽気分だ。

「またこの三人が再び会えるとはな…。」

雷牙、花、風雅は共に同じ時代を共に遊んで過ごした数少ない友人。雷牙も穏やかな顔をしていた。

「そういえばさ、風雅くんの髪の毛白くなっちゃったね、妖は老けないのに。」

「俺はその…色々あったから…。兄貴も色々あったし、」

「その件は本当に申し訳ない…。」

花は今日目が覚めたばかりで昭和どころか平成の文化も分からない。

「ねーねー琥珀ちゃん、この四角くて黒いの何?」

「それはラジカセだよ。まぁ未来のオルゴールってやつ?」


雷牙は二人に聞こえない音量で風雅に耳打ちする。

「なぁ、部屋の中でこの調子なら外に出たら気絶すんじゃねぇのか?」

「ありえる…でも面白そうだな。」「おいおい…。」

その後も風雅は現代の食べ物、文化を花にある程度教えた。

「“かれー”ってやつ食べたい!」

「良いけど…口に合うかな…?」

風雅は心配になりながらも四人分のカレーを作った。ここにヒカルがいればもっと賑わってたのだろうかとも考えた。

机の上にカレーライスが四つ。味は万が一のことを考え甘口にしてある。

一口スプーンで掬って口に入れた。その時花に電流走る。

「おいひ〜〜!!」

「まじか、良かったぁ。」

風雅はそっと胸をなで下ろした。琥珀は幸せそうな顔でカレーを食べる花に質問する。

「それってあの“支配”の女王さまも一緒に食べれてんの?」

あまりに唐突な質問に八雲兄弟は凍りつくが、花は笑って答える。

「あはは〜どうだろね〜一緒に食べてくれてたら嬉しいんだけど。」

「その…お互い認識って出来てるのか?」

「うん、あんまり出てこないけどねぇ。研究所でずっと寝てた時はお喋りしてたんだけど、まさかあんな酷いことするなんて!」

もっとカレーにがっつくようになった。

「おかわり!」

「早っ。」

風雅は花の皿を受け取って二杯目を注ぎに炊飯器の前に立った。

(赫夜を受肉した…これで花も妖になって術式を持ってしまった…厄災も妖も止めないとだし…あ~どうなっちまうんだよ…!)

「風雅くんおかわりー!」

「!、あーはいはい今やりますよー。」

その時風雅は皆に見えるように手を挙げた。

「ウジウジ考えても仕方ねぇ。今日の夜、財団潜入作戦の労いと花の歓迎を込めて銭湯行くか!」

「やったーー!!」「銭湯…?」


       ー8月28日 PM20時45分ー


銭湯までの道のりでまたまた新たな体験をしていく花。

「きゃっ!」

「どうした花!」

「いや…今の車ってあんな速いの?」

花は道路を走る自動車に驚いたようだ。たしかに大正の頃の車とは段違いの馬力を持っている。

「でも昔の街よりすごく灯りが綺麗…」


           ー銭湯ー


 八雲家は銭湯に到着し、風雅は番頭の老婆に料金を出す。

「おばちゃん、男女半々ね」「あいよ。」


            男湯


風雅と雷牙が浴槽に出ると、とある見覚えのあるものを見つけた。

「おい何してる。」

「おぉ兄弟!」

そこに居たのは凱で、アイスピックとハンマーを持って壁に打ち付けていた。

「い、いやーこの壁古くなってたから突貫工事を…あっ!」

風雅は一瞬でアイスピックとハンマーを抜き取って、凱の頭にピックを刺した後ハンマーで叩いた。

「あーあだからやめとけって言ったのに。」

すでに龍我もおり、湯船に浸かっていた。

「何だよお前も来てたのか?」

「一人でゆっくりしようとしたらたまたま凱くんが居たんですよ。」

「仲いいなお前ら。」

「その言葉取り消さないなら絶交ですよ雷牙先輩。」

含みのある笑顔で雷牙に迫る。凱は平然と起き上がる。

「おい、いくら不死身でも痛覚はあるんだぞ!?」


            女湯


こちらの方には牛鬼会の一華と青髪の少女と遭遇した。

「琥珀ちゃぁぁぁぁん!!!無事でよかったぁぁぁ!」

「一華姉ぇ!!」

二人は感動の涙を流しながら抱き合った。

「どこも怪我ない!?」

「骨は数本折れてたけど治ったわよ。」

「琥珀ちゃん、この子たちもお友達?」


「あーそうだった、こちら風雅の奥さんの花姉ぇ。花姉ぇ、こっちは一華姉ぇと…あれ?この子…。」

「あっ、わたし環流って言います!いつもうちの先輩がお世話になってます!」

そう、この少女はかつて港町で妖に襲われ昏睡状態になっていた龍我の学生時代の後輩・環流だ。つい先日昏睡状態から目覚めたばかりなのだ。

「みんな可愛い〜!わたし緋月 花。一華ちゃん、環流ちゃんよろしくね!!」

「よろしくお願いします!」

「よろしくねー!」


            男湯


風雅と龍我は共に体を洗っていた。

「そうか、環流ちゃん目覚めたのか、良かったな。」

「ほんとここまで長かったですよ…『青龍』に感謝っすね。」

「何言ってんだ、お前も充分頑張ってたろ?今日は自分へのご褒美だと思いな?」

体を洗った後、風雅は極楽の表情で湯船に浸かる。

「果たしてこんなに気持ちのいいものがこの世にあっても良いのでしょうか…?Oh神よ…。」

「これが銭湯というものか…興味深い…。」「ん?」

風雅の隣から声がした。湯けむりが晴れた時、その声の主が姿を現す

「神威!?」

『えぇ!?』

近くにいた妖狩エージェントたちも神威がいることに驚愕した。

「オレまったく気づかなかった…。」

「なんでここに神威が…。」

「居たら悪いのか?あと神威は財団にいた頃のコードネーム。俺の名前は“まどか”だ。」

神威の本名・まどか。生まれた日の月が満月に由来する。


「お前ら厄災の調査してたんじゃないのか?」

「してるさ。ただ闇雲に探しても何も進展しないからたまには娯楽をと暦がうるさいから来たしだいだ。」

「じゃあ他の連中も来てんのか?」


            女湯


 「暦ちゃん!?」

花たちも驚愕していた。女湯にも人造人間御一行の暦、椛、ナユタがいた。

一華もかわいいの連続で目がハートになった。

「なんじゃおぬしらも来てたのか。」

「ピンクロリ可愛い!!」

「別に人間の文化に絆されて来たんじゃないんだからね!!」

「ツンデレ金髪美少女!!」

「ナユタ別に女の子じゃないのに…。」

「性別不明!?」

ほとんど一華姉ぇのコールである。

「何?みんな美形すぎ、ウチを殺す気?」


「ナユタは実験で体を弄くられた挙句、上半身は男、下半身は女に分かれてしまったのじゃ。」

「あなたがいるなら雷牙いるの?」

ナユタは琥珀に近づいて雷牙がいるかを執拗に確認してきた。

「はいはいいるわよー後で会おうねー。」

椛と暦は湯船に浸かっており、花も同じ湯船に浸かった。

「こんばんは…暦ちゃん、椛ちゃん…。」

「何仲間面して馴れ馴れしく話しかけてきてんのよ、邪魔だからあっち行ってくれない?!」

「う、…そ、そうだよね…ごめんね?」

「大体あんたが目覚めなければ事は上手く運んでたのよ、それをイチャイチャして台無しにした…。」

「椛よさぬか。悪いのは厄災であって姫は悪くない!そしてここは銭湯じゃ。お互い裸の付き合いということで“りらっくす”しようじゃないか。」「ふん!」

相変わらず椛はプンプンと怒ってそっぽを向いた。花が回り込んでも必ず目を合わせようとしない。

「悪いのぉ姫。わしらは厄災絡みで命を落とした身、椛がこのような対応をするのは無理もない…。」

「私は大丈夫だから気にしないでね!(いつか分かり合えないかなー?…)。」


 そのような思いを抱きながらも皆で湯船に浸かれば、辛い過去、血に塗れた手が一瞬だけ全て清められている気がした。一生この幸せが続けばいいのに…

                EPISODE52「銭湯」完


           次回「御祭」

        少し遅れて夏祭り回です。

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