EPISODE51「終局」
花の中に眠る第一の厄災“支配の赫夜”が出現し、それに呼応するかのように第二の厄災“戦争のノブナガ”が復活し、どこからともなく現れ、妖狩たちは苦戦を強いられる。
そこでついにヒカルが復活。その圧倒的な力でノブナガを撤退に追いやった。
だが残る問題は二つ…
ヒカルは新たな姿で目覚めた。風雅は神威の治療を終えたヒカルに近づこうと声を掛けるが、ヒカルは振り向いてどこかへと飛び去ってしまった。
「あっ!」
「そんな…ヒカル…。」
風雅と琥珀はやっと会えると思ったのに、逃げるように飛び去ったヒカルを見て悲しみをおぼえた。
そこに苛立ちを覚える赫夜。
「“光”と“闇”の術者が揃ってはまずい…今ここで殺さねば!!」
「!?」
赫夜は寝ている神威に血液で作った刃を向ける。風雅たちは急いで神威の元へと手を伸ばす。そして首めがけて振り下ろそうとした時だった。
赫夜の手が神威の首すれすれで止まったのだ。
(させない…絶対…そんなことさせない!!)
赫夜の中で、体の持ち主・花が必死になって呼びかける。そしてついに花が体の支配権を取り返した。
「この…忌々しい小娘がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
髪は黒へと戻り、荘厳な雰囲気も消え失せた。そしてまた眠りについてしまう。
「よ、良かったー…。」
ー自爆スイッチオンー
「およ?」
突如鳴り響いた自爆スイッチオンの音声。周りの壁は崩れ始め建物も揺れ始めた。
「奴らめココを捨てる気か!」
「やばいやばいやばいやばい!!」
「落ち着け凱くん。まだ時間あるぜ?せいぜい2分くらいは…。」
ー爆破まであと10秒ー
「そこから!?」
「おわたおわた(^○^)」
暦は自身の指に傷を付け、血の付いた指で虚空をなぞった。そうすると“烏”と共にやってきた時と同じポータルを作り出した。
「みなのものここに入るのじゃ!!」
敵味方関係なく、全員が一斉にそのポータルへと入った。
ー8月27日 PM18時45分 東京・渋谷ー
風雅たちがポータルを通って辿り着いたのは鬼熊組の攻撃で廃墟と化した東京・渋谷。
「なんとか脱出できたな…。」
「うむ、全員無事じゃな!!」
風雅は花を背負って仲間の元へと合流、神威は目覚めた。
「光は…。」
「あいつはどっか行っちまったよ。何も言わずにな。」
「そうか…。」
神威が立ち上がって埃を払った時、凱たちは彼らを警戒し、武器を構える。
「待て待て待て!わしらはもう財団とは決別した。お主たちに危害は加えぬぞ!?」
「それはどうだかな…。」
雷牙はまだ彼女らを信用してはいない。そして聞いた。
「なぜ俺たちに警察に内緒で頼み込んだ。それだけを聞く。」
「……財団HANDを潰して欲しかった…それだけじゃ。わしの“千里眼”でお主らの歴史、力を見ての頼み込みだった…
わしらは元々この世界の住民ではない…各々の時代で死なせてくれれば良かったものを。奴らは勝手に蘇らせ…人体実験、手術を嫌という程受けた…わしだけじゃない、他の人造人間たちも皆財団を嫌悪しておる…おまけに厄災復活の実験まで進めておった。だから妖狩の力を頼りたかった。」
「これで厄災が共通の敵になるのか…厄災は二人、花も厄災…。」
「風雅殿、正確には“支配”の厄災・赫夜は完全には復活しておらぬ。」
「え?」
「女王に戻ったのがその証拠じゃ、完全復活すれば肉体の主導権は赫夜に移るからの。」
花は風雅の背中ですやすやと穏やかな顔で眠っている。
「わしらがしなくてはならないのは、①財団HANDの壊滅。②赫夜の完全復活の阻止。③他の厄災復活の阻止。じゃな!」
「おいおい、まだ協力するとは言ってないぜ?」
そんな凱の首に神威の刃が向く。
「世界の危機だ。協力しろ……してください。」
どうやら人造人間たちは本当に敵対したいというわけではないらしい。やり方は違うが、それぞれの思惑で人間を守ろうとしていたのかも知れない。
厄災が全て復活すれば今まで護ってきた人たちも全て等しく死ぬだろう。そう考えれば協力は妥当かもしれない。
「お前らこれからどうするんだ…?」
風雅は人造人間たちにこれからを問う。
「厄災を追う。」
神威はそっぽを向いてそれだけ答えた。
「まだ場所は分からぬがな。わしの千里眼を使えb…。」
「だめよ暦。あんたの眼、よく視えるけど負担大きいのよ?!これ以上使えば失明だって…」
「厄災を止められるなら、わしの眼など消耗品よ。」
「だめだ。」
風雅は暦のその犠牲の意を聞いて、呼び止めた。
「どんな敵が相手だろうと、どんな結末が待っていようと、自分の体は絶対大事にしろ!聞かない連中ばっかのお前らにこの言葉を処方する。」
風雅の言葉を聞いた暦はずっと重かった肩身が少し軽くなれたような気がした。千年前、ずっと一人で厄災を感知し、相談しても誰にも信じてもらえず、ついには罪を犯し処刑され、頼るものがなかった。
だが今は違う、生まれた時代が違っても、共に厄災を止めようとしてくれる同志がいる。かつての敵であっても心配してくれる協力者(強制)がいる。そう思えば、少しは楽になれた。
そして暦は再びポータルを開き、風雅たちと別れることになった。
「こらナユタ早く来ぬか!」
「やーだ。こいつと一緒にいるの!」
ナユタはすっかり雷牙に懐いてしまい、足元から離れようとしなかった。
椛が無理やり引き剥がそうとしても、体を鋼に変えて離そうとしない。
「重い、だるい、足ちぎれる!なぁ仲間が待ってるぞ?帰ってやれ。」
「じゃあ記念に足もらっていい?」
「いいわけなかろう。」
「雷牙先輩モテモテっすね。」
「これがモテていると思っているお前はサイコパスだ龍我。」
その後なんとかアメをあげることで説得に成功し、椛と手を繋いでポータルに向かった。
「ちょいちょい、花は良いのか?一応お前らの女王だろ?」
「何を言っとるバカモノ!やっと逢えた伴侶じゃろ?それを引き剥がすほど、わしらは鬼じゃないぞ!」
と腰に両手を当ててプンプンしていた。
「ありがとう!」
それに応えるように暦は大きく手を振って別れを告げ、ポータルは閉じた。
「風雅、なんかスッキリした顔してるね。」
琥珀は風雅の隣に立ち、顔を覗き込む。
「あぁ…またこの子と逢えた。ヒカルはどっか行っちまったけど、生きてることは分かったから、今はそれで充分だ。」
「で、皆はこのあとどうしますー?」
琥珀が手を後ろに組んで皆の顔を覗き込む。
凱「そりゃよぉ…体もボロボロだし、」
雷牙「骨も折れてるし、」
龍我「生きてるのが奇跡みたいなもんだし、」
『帰って寝るか。』
EPISODE51「終局」完
次回「銭湯」




