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妖狩  作者: 定春
第一部:東編
47/55

EPISODE47「邂逅」

風雅は花を背負い、自分を導く謎の妖力を探り、奥を進む中、命からがら財団の戦闘員たちから逃げ延びた琥珀と合流することができた。


       ー地下???階 廊下ー


 風雅、琥珀、気を失い背負われた花は赤く照らされた廊下を進んでいく。

「何ここ赤いんだけど!?風雅赤い部屋好き?」

「ちょ、お前やめろ怖いって何で目のハイライト消えてんの?」

そしてついに赤い部屋の出口が現れ、二人をそこを抜け出した。光の先にあったものは広いホール。床はツルツルとしていて三人の姿が反射している。中央には大きな培養槽があり、その中には成人男性を模した白い人型が入っていた。

「何だ…ここ…!」

「ここはお主の求めていた者がいる部屋じゃ。別名“星の神子の間”。」


       ー地下???階 神子の間ー


その部屋には暦を始めとした、人造人間ホムンクルスたちが風雅たちを出迎えた。神威は警戒し、腰の刀に手を添える。金髪の少女・もみじは腕を組み、三人を睨みつける。ナユタは龍我との戦いで敗北寸前だったのが悔しかったのか、膝を抱えてうずくまっていた。


「俺の探していたもの…まさかヒカル!」

花を背負ったまま風雅は培養槽まで走り出す。しかし人造人間ホムンクルスの一人、神威は風雅に刃を向ける。

「ここから先に進めば、貴様を斬る。」

「姫の運搬ごくろうじゃったのぉ。」

暦は風雅に両手を差し出し、花の身柄を渡すように言い寄る。

「それはできねぇな。花は俺の大事な人だ!お前らなんぞに渡すものか。」

「その女をこちらに引き渡さなければ世界は終わる。それでもいいのか八雲 風雅。」

と神威は意味深な発言をして刃を向け続ける。


その時、“神子の間”の四方に設置された入り口から刀を帯刀した財団の戦闘員たちがぞろぞろと現れた。

「お前まさか俺たちをエサにしたのか…!」

「ち、違う!こんなのわしは聞いてないぞ!」

「はめられたのは俺たち全員か…。」

東側の入り口から先程雷牙と琥珀を追い詰めた科学者の男が現れた。

「おやおやお揃いでぇ人造人間くんたち〜。」

「貴様…!」

暦は科学者を見ると一気に青筋を立て、憎悪の顔で睨む。

「君たちが妖狩エージェントと共謀してここまで来たのなんて手に取るように分かったよー。正直言ってぼくらを舐めすぎだ。」

科学者は右腕に電撃、左腕に冷気を纏った。

「このままでは…!」

暦は元々少ない妖力をさらに振り絞って両手を広げた。宙には大きな穴が左右に一つずつ開き、右の穴から凱と龍我、左の穴から雷牙が飛び出した。

「ここどこだよ!?」

三人が着地した時、さらに場に緊張が響き渡る。

「兄貴!」

「風雅、まさかお前その子…。」

「話は後だ。今はあいつら全員片付けるぞ!」

その風雅の宣言の後、財団戦闘員は一斉に風雅たちに襲い掛かってきた。戦闘員およそ50人、そしてイカれた科学者が一人。

「兄貴、あの眼鏡野郎俺にやらせてくれ。なんでか知らんが…俺がやらなきゃいけない気がする!」

「分かった…頼んだぞ。」


その前に風雅は妖力切れで片膝をついている暦に近づいた。

「な、なんじゃ…騙したことを怒っとるのか…あれはわしらにも予想外のことだったんじゃ。騙そうなんて…思っとらん…もし気が済まないのなら…いっそのこと殺し……。?」

風雅は花を背中から下ろし、暦の元にそっと置いた。

「花を頼む。何が何でも護ってくれ…。」

「え…どうして…。」

「だって、騙そうとしてないんだろ?君からは殺気のようなものを感じなかった。だから任せた。」

暦は呆気にとられた。先程まで敵だったのに、この男は自分の大切な人を暦に護ってくれと頼んだのだ。

「ここからは俺たち妖狩エージェントに任しとけ。だけど…お仲間二人はそうはいかないみたいだな。」

背後から神威の凶刃が振り下ろされた。

風雅は何も見ずに篭手で刃を受け止めた。

「てめぇ…何のつもりだよ、さっきから邪魔しやがって!」

「貴様にヒカルを復活させる訳にはいかない…!」

(こいつ、何でヒカルのことを…!)

風雅は体内に風を起こす新技で神威の腹部に一撃をかまして吹き飛ばし、財団戦闘員たちを巻き込んだ。

もう一人の問題児ナユタは龍我たちを見つけるや否や真っ先に攻撃を仕掛けてきた。


ナユタの強力な蹴りを凱は大剣でガードし、その隙間から龍我は蹴りを食らわせるも弾かれ、ナユタは飛ばされながらも態勢を整え、再度走り込んで攻撃を仕掛けようとした。

だが、二人の目の前に雷牙が現れた。

「雷牙…!」

「ここはいい。お前たちは風雅と琥珀をカバーしろ。」

「押忍!」「了!」

凱と龍我は戦闘員たちの間に入り、またたく間に蹴散らしていく。

「あなた誰?ナユタはあの青髪と戦いたいの、邪魔しないで。」

「だる…。」

ナユタは邪魔な物は意地でも壊して通す性格であり、雷牙も攻撃対象と判断して攻撃を仕掛ける。

だが、雷牙は一瞬でナユタの背後に移動し、頭に手を置いた。

まずい、殺される。今まで感じたことのない恐怖が勝り、身動きが取れなくなった。

だがナユタが想像していたものとは結末はまったく違っていた。

「ゲームオーバーだ。」

雷牙は手を動かしてナユタの頭をさすった。

「え…え?へ?」

「よーし良い子だ。」(良い子!)

雷牙の声に反応し、頭がどんどん溶けていく。

「お前は強いな〜。」(強い子!)

その後も雷牙の手は止まることなく、頭の他に顎を指で擦り猫のように懐かせ、空いた片手で頭を撫でて完全にナユタは懐柔されてしまった 。


        “兵士ポーン”・ナユタ 完全服従 


 「ほらよいっちょ上がり。」

雷牙はナユタを抱えて、暦のそばにポンと置いた。

「あのナユタがわし以外に懐くとは…恐るべし。」

「ん!ん!もいっかい!」

「だめだ。お前は俺の後輩を殺そうとしたからな。」

「もうしない、いい子にするから捨てないで!仲間になるから!!」

その訴えに何かを感じた雷牙はナユタに近づき、掌を頭にポンと乗せた後、踵を返して手斧を携えて戦闘員たちを一掃していく。

ナユタは何か頭がポワポワして何も考えられなくなっていた。

「おーいナユター、どうしたのじゃー?」

暦がナユタの顔の前で手を上下に動かしても反応なし。完全に龍我に対する対抗心を無くした。


風雅は科学者に狙いを定め、いきなり飛び蹴りを放つ。

「おっと!」

科学者は左腕の冷気で氷の盾を作り、風雅の攻撃をガード、続いてパンチを繰り出す。科学者は両腕を氷に包むが、この時風雅は体の中に嵐を起こし、ギュイインという音を立て、さらに威力を増し続けた。

「くっ!」

「出せよ、てめぇが持ってんだろヒカルのコア!」 

                EPISODE47「邂逅」完  


           次回「厄災」

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