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妖狩  作者: 定春
第一部:東編
42/55

EPISODE42「黒龍」

財団HANDのアジトに潜入するも、あっけなくバレて戦闘状態へと陥ってしまう。

そこで財団が誇る26人の精鋭“エンジェル”が雷牙たちに牙を剥く。


 正門で暴れていた凱と龍我は“Cのエンジェル”であるシュヴァルツ将軍が二人に襲いかかる。他人を操る術式で部下を操ったり、“武装アームド”で凱たちを苦戦させるが、突如シュヴァルツは背後からの急襲で腹部に風穴が空き、爆散した。

シュヴァルツにトドメを刺した人物は少年とも少女ともとれる容姿をしていた。

その謎の戦士はいきなり二人に牙を剥いた。


龍我はその戦士の気配に気づかず腹に軽く拳が当てられただけで凱の目に捉えられないほどのスピードでコンテナまで吹き飛び、気を失ってしまった。

「あの子弱かった。次はあなた…。」

「お前、何もんだ!」

「こういう時って自己紹介するんだっけ…人造人間ホムンクルス・“兵士ポーン”のナユタ。」


(あのガキ、どっかで見た覚えあると思ったらあの仮面野郎と一緒にいた奴らの仲間か…素顔見えただけでこれほどの妖力を放っていたとは…体が動かねぇ!)

その一瞬である。ナユタの手刀が凱の首に届こうとしていた。

「!、くっ!」

ギリギリの所で正気に戻り、大剣で手刀を弾き、火花が散る。

「なんだこの手、火花散るってどういうことだよ…鉄か何かか?」

ナユタは無表情で息も上がらず、ただ淡々と手刀の連続攻撃を凱に食らわせる。

(“武装アームド”はすでに2回使っちまった。もう一度使えるのは約2時間、龍我が起きるまで粘るしかねぇ…!!早く起きろあの馬鹿!)


しかし当の龍我はコンテナに深くまでめり込み、まったく動けない。


          ー2日前ー


作戦決行前の二日前の朝。龍我が一人考え込んでいる所に凱が来て、相談に乗った後帰ろうとしたら龍我に作戦前の訓練と憂さ晴らしを兼ねての組手が始まった。


「キミと戦うのは初めてだよな?こりゃオレの勝ちってことで良いか?」

「面白い冗談言うなぁ龍我くんはぁ…」

そして二人は互いに笑い出す。

『ハッハッハッハハッハッハッハハッハッハッハ!!……てめぇぶっ殺す!!』

二人は同時に走り出し、龍我はいきなり飛び蹴りを発動。凱は大剣を抜いて足をその刃で受け止める。その蹴りは受け止めても重く、凱の腰を落とす程であるし、完全に殺意がこもっていた。

「別にキミ死なないから手加減しなくても良いよねぇ!!」

「お前道徳って知ってる!?」

凱は力を振り絞って大剣から龍我を弾き飛ばす。龍我は一回転して着地。すかさず走り込み、発剄を食らわせる。

見事にクリーンヒットし、吐血した。負けじと大剣を振るうも吐血とダメージで気が散り、上手く振れず、龍我は凱の大剣の上に乗り、さらにそこから蹴りを食らわせ、凱の首が180度回転した。

だが不死の力で蘇生、首も完治した。

「やりやがったな…!」

凱は怒るものの、どこか楽しそうだった。

しかし戦闘が進むに連れ、龍我の口数と戦いに対する高揚感が消えていった。


         ーPM 16時30分ー


修行もほぼ半日と続いたところで

「そろそろ休憩するか…ん?」

龍我はダラリと腕を垂らしてうつむいており、その直後、ゆっくりと顔が上がっていく。

「…はっ…ハハッ!」

その顔はすでに常軌を逸していた。目は見開き、口角は上がり、息も荒くなったいた。

凱は大剣を構えて龍我に備えた。そして思った通りに龍我が狂気じみた笑顏でこちらへと向かってくる。

「ハハハハハハ!!」

「これはちょっとまずいかもな…!」

凱その丹頂な攻撃をするりと避け、柄頭で龍我の背中を殴打し、さらに大剣の鎬で龍我の体を乗せて吹き飛ばす。

龍我は地面に落ち、その衝撃のせいか仰向けの状態で気を失った。

(一体何だったんだ…?いつもの坊主じゃなかったぞ?)

慌てて神流が龍我から分離し、龍我を体をゆすっていた。

「ご主人!ご主人、しっかりして!」

しかしその時だ。


           バンッ!!


突如龍我の体から黒い妖力が溢れ出した。それは体全体を包み込み、自然と体が動いた。

「ご主人…?うわっ!?」

龍我が神流に向けて掌を向けると、神流の体が龍我に吸い込まれてしまった。

そして黒い妖力はより一層強まる。

(なんて圧だ…!まるで深海の中を一人孤独で彷徨ってるようだ…あいつの顔見る度に水圧で体が潰れそうだ…まさに真っ暗な深淵!)

目の色も爽やかな青から暗い深海のような色になり、常に無表情でこちらへゆっくりと歩いてくる。

しかし、半歩歩いた所で再び気を失い、神流も解放された。

「おい『青龍』、今のは何だよ…。」

「分からない…でも一つ分かるのは、これはご主人が妖になる前から持っていた…“黒い殺意”…!」


 そして現在。コンテナの穴の中で龍我は目覚めた。“黒い殺意”を携えて…

「坊主、やっと目覚めた…か…。」

凱の血の気が引いた。何故ならば龍我の黒い妖力が初めて見た時よりも濃くより巨大になっていた。そして何よりも変化していたのは、息が上がってないのだ。無表情で呼吸も最低限。彼に残った意識は“明確な殺意”のみ

「オレを…怒らせるなよ…!」

その妖力が形を持っていき、まるで5体の龍が咆哮を上げうねっているようだった。

「こ…“黒龍”…!」

凱はそう名付けた。龍我の放つ妖力は凱の感想のようにその場を深海のように重く暗い空気に変えてしまう。

「…いくら変わっても無駄。」

ナユタには恐怖という感情は無いのか、何のためらいもなく“黒龍”状態の龍我に近づいていく。

「あーもううるさいな…全部、全部、消えろっ!!」

恫喝と共に黒い龍が吠え、たったそれだけでナユタを吹き飛ばした。

そこで初めて傷を負い、その衝撃でナユタは血を吐いた。

「すげぇ…!」

「木っ端微塵にしてやる…」「え?」

龍我は右手に黒い妖力を溜めていく。さすがにやりすぎだと凱は龍我の前に立ち塞がる。

「おい、オーバーキルだぞ、ちょっとは落ち着きやがれ!」

「うるさいな…キミも殺すよ?あっ別に殺してもいいか、ちょうどコレの練習相手が欲しかったんだ。」

完全に狂っている。

凱に向けてその黒い衝撃を放つ。大剣を支えにして耐えるも一匹の龍が凱の左腕を持っていってしまった。

「嘘だろ…俺ってもしかして二対一かよ!!」


                 EPISODE42「黒龍」完


           次回「百龍」

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