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妖狩  作者: 定春
第一章 東編
3/32

EPISODE3「無謀」

 暗闇。それは暗所や閉所が苦手な人からしたら恐怖の対象、またはトラウマの比喩。上下左右一寸先は闇の空間で銀髪の青年は佇んでいた。

彼は妖狩エージェント・『神狼』。悪事を働くあやかしを狩るあやかしだ。

彼は呼吸を荒くし、何かを探していた。というより「誰かを」だが。 

「おい、どこにいるんだ…いたら返事してくれよ!」

声は暗闇に反響し続けた。次第に冷や汗をかき始め、過呼吸になっていく。

「はぁ…はぁ…はぁ、ココはどこだ…一体どこにいるんだ…?」

その時だ、目の前にもう一人の自分が現れ、力強く肩を揺すった

「起きろ!起きんしゃい!!」「はっ!」

『神狼』は起床することが出来たが、掛け布団を蹴飛ばしていた。息を整えている時、隣にもう一人青年が座っていた。

「またうなされてたぞ風雅、月末あるあるだな。」「おはよ。兄貴…」「はい、おはよう。早く飯作ってくれよ。」「たまにはお前が作れヒッキーゲーマー。」


      ではもう一度説明しよう

 彼の名は「八雲 風雅ふうが」妖を狩る妖、妖狩エージェント・『神狼』として活躍する妖だ。表向きではダンサーとして活動し、

双子の兄・“八雲 雷牙らいが”と実家暮らしの自称好青年だ。

今は朝食を作っている。白飯、赤味噌の味噌汁、玉子焼きという質素な和食だ。2人はリビングで向かい合わせに座り

「なぁ、今日も配信すんの?」

風雅は兄に尋ねた。

「あーあるよ。事件起きなければだけど。」

兄はゲーム配信を主に活動している。風雅は先に朝食を食べ終わり、着替えて荷物をまとめダンスの練習に向かった

「じゃ行ってくる。」「いってらー。」

バイクに跨り出かけていった。


 一方、先日風雅によって助けられたヒカルはまた窓際の席で頬杖を付いていた。今では超常現象の類も信じるようになり、赤いマフラーの男が気になっていた。

『お前みたいな夢見がちで半端な覚悟の奴ならとっくに死んでる。』と言われたことで自分の持つ「夢」について疑問を持ち始めていた。

「半端な覚悟…かぁ…」

本日は午前授業のため早く帰宅できた。大家が目の前で亡くなったばかりのアパートに帰るのは少々気が進まないが住まいはここだけだ。

ヒカルは自室のパソコンで巷ではどんな噂が飛び交っているのか調べてみた。数百件のヒットはあったが、最新のものに絞る。

  『トラックに謎の衝突跡・荷物はお釈迦』

「犠牲者は今のところ出てない…そいつと戦って、あの赤マフラーに認めてもらうんだ!」

忠告として言うが、力も策も無しに立ち向かうなどほとんど自殺と同じだ。

認められぬなら力で示そう。これも自殺に等しい行為である。

 

 風雅はダンスの練習を終え、施設から出た後のことポケットの中でケータイが鳴った。

「もすもす。あ、東刑事。」「風雅、君が通っているクラブの周辺で未確認第35号が出現した!」「すぐ向かいます!」しかし、事件は思ったよりもすぐ近くで起きた。

        「バゴン!!」

向かいの建物の隣に駐車していたトラックの荷台に何かが突っ込んだ。

「おいおい嘘だろ…」

その突き破られた荷台から姿を現わしたのは、頭部がサイのようになっている妖だった。

「お前が35号か!」「うぼぁぁぁ!!」

第35号は力のままに暴れているのか風雅の声がまったく聞こえておらず、咆哮を繰り返すのみだ。

「よし、落ち着け『ライノ』深呼吸だ」

風雅は『ライノ』と名付け、なだめようとしたが当然効かない。

「うぼぁぁぁ!!」

咆哮を上げ、突進してきた。

「ですよね。」

風雅は右に動いて避けたが、前進しかできない『ライノ』はクラブに突進し、入り口は壊滅した。

「あー…。良くもやりやがったな!」

風雅が自身の右手首を握ると一瞬で赤いマフラー付きの防護服へと変わった。

「おい待て!」

風雅は『ライノ』を背後から羽交い締めにして止めようとするものの驚異的な超パワーで道路に投げ飛ばされた。

「くそ、術式がまともに使えん…」

いつの間にか辺りは警察に包囲され、通話相手の東刑事も参戦した。『ライノ』は再び咆哮を上げて得意のタックルで風雅を突き飛ばした。

「(コイツ、タックルの時に大量の霊力を消費してやがる…これが奴の術式か!)」

     ー「突進(The Tackle)」ー

その後もタックル、突き上げを連続で食らい、地面に倒れ込んだ。

「ちくしょう…これ使うか…変し…」

「うぼぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

何かを使おうとした風雅はライノのタックルによりソレをキャンセルされ再び地面に叩きつけられた。その時、

        「うぉぉぉぉ!」

何やら少年のような声が聞こえた。

「あっ、あのガキ…!」

現れたのはヒカルだ。警察の制止を振り切り、バリケードを飛び越え、彼は木刀を片手に『ライノ』に斬りかかるが胸筋に当たった瞬間に木刀は粉々に砕け散った。

「あ…あれ…」

ライノは息を荒げながら拳を振り上げた。風雅はその光景を見て何かを思い出し叫んでしまった。「!!、やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!」

              EPISODE3「無謀」完 

今回の用語

「突進(The Tackle)」力を溜め、突進として表すことで大量の霊力消費と同時に爆発的な破壊力を生み出す術式。一発でトラックが凹む程

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