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妖狩  作者: 定春
第一部 東編
28/44

EPISODE28「鬼熊」

悪夢の世界に閉じ込められた雷牙。しかし己の悪夢を受け入れることで再び妖狩エージェントとしてのやる気を取り戻し、悪夢を操る46号を葬ることが出来た。


       ー8月23日 牛鬼会アジトー


 牛鬼会はいつも通りメンバーたちが仲良くはしゃいでおり、平和に過ごしていた。

しかしその平和は一瞬にして破裂する。


          ドンっ!!


突然体育館のドアが蹴破られた。

「!?」

「はーいどうも〜牛鬼会の皆様ぁ!」

入ってきたのはわずか7人の集団だった。

「おいおい何だてめーら!!一華姐さんの許可なしに何入ってきとんのじゃ!」

「あー、一華ってこいつか…?」

身長3メートルはあるであろう巨漢の男が指でつまんでいたのは血だらけの一華だった。

「姐さん!」

巨漢の男は一華を投げ捨て、牛鬼会メンバーに見せつけた。

「これより、この牛鬼会は僕ら鬼熊組の物だ!」

この四人の部下を指揮しているのは赤髪で小柄の青年。

「ふざけんな!お前らみたいなやつ、俺らで充分d…」

メンバーの一人が啖呵を切った刹那上半身が消し飛んだ。

「大塚!…てめぇ…、行くぞお前ら!」

『うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』


 「滑稽だね…みんなやっちゃって。」『御意。』


 警察署から戻ってきた凱は騒ぎを聞きつけ、すぐに体育館の中に入った。

「なんだよ…これ…何なんだよ!!」

そこに広がるは血の海と化した体育館。メンバーの一部は肉をちぎられ、皮を剥がれ、針で串刺しにされ、誰かも分からない肉塊が転がっていた。


「やっと来たね。かしらさん。」

「もう部下全員殺しちゃったぜ、ひゃは!…ん?」

イキっていた青年の部下の右腕が吹き飛んだ。

「てめぇら全員ぶっ殺す!!」

右腕を大剣で切った直後に首、胴と切断し、部下は一人減った。

「次は誰が斬られるんだ……!出てこいよ!」

「じゃあ僕が。」

赤髪の青年が前に出る。

「久しぶりだね。かしら!」

「!?お前は…小次朗こじろう!!どうして…お前が…お前がぁぁぁぁ!!!」


         「引っ掻け『鬼熊』。」


一瞬だった。凱が大剣を振り上げたその一瞬で、凱の大剣を持った右腕、左肩、脇腹が抉り取られた。

「さようなら…牛鬼会。あの世でどんちゃん騒いでてくれ…。」

凱はその場で倒れ伏した。遠のく意識の中、小次朗の名前を呼んだ。



       ーとある港町 AM11時45分ー


 龍我は夏休みシーズンを利用し、自分が拾われた港町に帰省していた。

そして八雲ファミリーも一緒に来ていた。

龍我を拾い育てたのは八雲兄弟の父であり、現在はこの港町に移り住んでいる。

「何で夏に親父の顔見なきゃならんのだ。」

「と言いながら付いてきてるじゃないすか先輩。」

龍我の実家は滝壺のある山道にあり、山道を昇り、ついに家にたどり着いた。

「なんかペンションみたいね。」

「使われなくなったペンション再利用してるからね。」

龍我は実家のドアをコンコンとノックした。

「ただいまー!今帰ったぞー。」

扉が開いた。覗いていたのは中年の男。

「龍我、後ろにいるのは…雷牙と風雅か?」

「そうだけど…」


「!?久しぶりMy Sоns!!」

中年の男は扉を開け、兄弟に飛びついた。


         『来んなクソ親父!』


風雅は拳、雷牙は蹴りを男の顔に食らわせた。

「さすが我が息子たちだ…以前よりも進化している…ぐっ…」

男は玄関で倒れた。

「うわぁすっごい恨みこもってたわよ…。」

「そりゃ恨みも込めるよ。俺が妖になった原因、母様が亡くなる一因、ろくに愛情を込めなかった、男尊女卑野郎!!こんなのが人の親でいいのか?」

「だから俺たちは協力してこのクソ親父をこの港町に追放、封印したのだ。」

ヒカルと琥珀は若干引いた。

父の名は“八雲 十蔵じゅうぞう”。現代まで見た目が変わらず存命なので、彼も妖である。


「しっかし見ない間にえらくファンキーなオッサンになりやがって…何だその頭のサングラス!」

「こ、これか?良いだろーナウなヤングにバカウケなんだゾ!」

「親父、それもう20年前のブームなの。2010年代のブームじゃないの!」

二人が子供の頃の牙はすっこり抜け落ち、現代の文化に染まっていた。若干ズレているが。


琥珀たちは龍我と十蔵に招かれ、家のなかに入った。

「すごい…めっちゃキレイ。」

「凱さんも呼べば良かったかな?」

「あいつだけは一生呼びたくない。」

龍我は笑顔で断固拒否した。

「龍我ダメじゃないか。友達格差作っちゃ。」

「あんたは黙ってろ。」

と龍我にもきっぱり言われついに膝から崩れ落ちた。

「うぅ、息子3人が厳しいよぉ…」


その夜、龍我は日々の日課である水のコントロール修行を近くの滝壺で修行をしていた。

目をつぶり、両手に水の玉を作り自由自在に操り、水の上を舞うように移動している。

その時、龍我は何かに気づいて水の玉を投げつけた。

水の玉は思った以上に強力で、当たった木には風穴が空いた。

「誰だい…先輩たちじゃないね…?」

「バレちまった…。」

木の陰から現れたのは片方が長髪の色っぽい男。

「うちのかしらの命令でね、妖狩エージェントを一人、予行で殺してこーいっていうから来てみればちょうど良かったぜ。」

かしら?キミ牛鬼会の人ではないね…。」

「牛鬼会はうちのかしらが潰したからな。今ごろ全員俺の仲間の餌さ。」

「!?(牛鬼会が…凱くんが死んだ…?!)」


「じゃあ大人しく殺されてくれよぉ。逃げ回られると面倒だから…。」

「オレからも言っとくよ…そこから動くなよ?逃げられると面倒だからなぁ!!」

龍我は怒りに震えながらも目の前に現れた圧倒的強者に喜びを隠しきれていなかった。

「イカれてなんなこのガキ!」

龍我は一瞬で男の間合いに入り、水を纏った発剄“流水ながれ”で吹き飛ばすが、木の枝を足場にして持ち場に戻り龍我の顔を蹴飛ばす。しかし龍我の目は男を見つめ、笑っていた。

「やっぱイカれてるぜこのガキ…ほんとに最弱かよ。」

鬼熊組の調べでは龍我は妖狩エージェント最弱で通っているようだ。


龍我はすぐに態勢を整えて得意のカンフーで男の顎を蹴り上げ、続いて顔を連続で蹴り続け、龍のオーラを男の胴体にぶつける。

「かぁ…痛たいじゃないか…!正直舐めていた反省するよ…ということは俺も本気を出していいということかな?」

「本気で来てくれよ…そうしないと燃えないじゃないか。」

男の手が妖力を帯びると、巨大な蟹のハサミに変化した。

「死なないでくれよ青蛇くーん。」


      ー「“大蟹(The Cancer)”」ー


未確認第47号が使う身体に蟹の特徴を纏わせることができる能力。


「『青龍』、“武装アームド”!!」

龍我は青龍を召喚しその身に纏わせる。

「行くぞ神流…オレをあまり怒らせるなよ?カニ野郎!」

強者との戦いで高揚している反面、牛鬼会が壊滅させられたことを知り、怒り心頭だった。

47号はハサミに妖力を溜め、龍我に突っ込む。同時に龍我も“龍尾”を使い、47号に突進を仕掛ける。


          バゴォォォォン


山中にその轟音が響き渡る。その音で飛び起きた風雅たちはすぐに発生源へ向かった。

発生場所の滝壺に行くと龍我が神流と共に倒れていた。

「龍我、神流しっかりしろ!」

「やっとお仲間到着かい?」

47号は余裕であり木にもたれていた。

「お前が龍我を…。」

「おいおい身構えるなよ。俺はお知らせに来たんだよー。もう1人倒したしなぁ。とりあえず、我々鬼熊組は牛鬼会を蹂躙し、東京の新たなギャングの顔となる!明日、お前たちが朝の8時までに牛鬼会アジトの体育館に来なければ、東京の街をぐちゃぐちゃにする!とうちのかしらは言っていた。どうするかはお前ら次第だぜぇ。」

47号は知らせた後、ふらふらした足取りで去っていった。

「がはっ!先輩、あいつらが凱くんたちと牛鬼会の皆を殺したんです!」

「とりあえず家に運ぶぞ。親父手伝え。」「おう!」

雷牙と十蔵は手分けして二人を家に運んだ。

「先生…これは宣戦布告ですよね…。」

「らしいな。牛鬼会の仇を俺たちで取るぞ!」


                 EPISODE28「鬼熊」完


           次回「進撃」

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