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妖狩  作者: 定春
第一章 東編
24/32

EPISODE24「黄金」

“財団”と呼ばれる謎の組織から支援を受けている妖による犯罪が続く中、妖狩エージェント・『青龍』こと龍我が風雅たちの仲間となり、ヒカルの良き兄弟子となる


      ー8月6日 病院 AM10時03分ー


龍我は警察からの援助で空いた病室に招かれた。

あづまさん、こんな所にオレ呼び出してどうしたんです?」

「君の後輩、環奈さんのことだが…最新の医療技術をもって、存命させることが可能だ。」

「!?、そんなことしていいんですか警察が!」

「もちろん許可はされていない。これは俺の独断だ。」

龍我は一度戸惑ったが、背に腹は代えられない。5年間も彼女の命を『青龍』と共に支えてきた。それがついに報われ始めたのだ。

「でも何で…環奈のことは話してないのに。」

「ヒカルくんから知らされてね。どうしたら救えるのかと…」

「ヒカルくん…何勝手なことしてくれとんじゃって言ってやりたいところだけど…今は感謝しかない。東さんすぐに頼んでもいいですか?」「了解した。」


龍我は『青龍』の神流を召喚。神流は元の宿主・環奈を分離し、ベッドに寝かせた。

その後扉を開いて看護師たちを入室させ、点滴と人工呼吸器、心電図モニターを設置。

今のところは60という安定した心拍数が表示されている。

病室には3人だけになった。

「これで…助かるんですね。」

「あぁ、胸の傷は完治、これ以上悪化することはない。後は目覚めるのを待つだけだ。」

龍我は今までの苦労が一気に抜けたように椅子に座り、涙を流した。

そんな龍我を見て東刑事は肩に手をポンと乗せた。

『ご主人良かったですね…あっ見てください。ほら!』

龍我が『青龍』の声を聞き、振り返ると環奈に宿っていた頃の神流になっていた。

「は?」

「いやーなんかこっちの姿の方が長かったからしっくり来ちゃって愛着湧いちゃったんですよ!」

「はぁ…仕方ない。良いよそのままで。」「やった!」


       ー8月6日 PM15時30分ー


 ハイキングをしていたカップルから聞いた話。カップルの内、彼氏の方が山道で何かに躓いた。ただの地中に埋まった大きな石だと思って見過ごしていれば良かったのだ。

彼氏は彼女の前で醜態をさらし、ムカついたのか、その石と思わしきものを踏みつけまくった。しかし…

         

           グラっ


その石が若干動いて少し先の地面が盛りあがった。何かと思い掘り返してみることにした。その地面は他の場所より掘り安く、掘り返してしまい彼氏は血の気が引いた。

掘った場所から人間の足。さらに掘り返すと脚、胴体、折れ曲がった腕が続いて現れた。そして理解した。先程自分が連続して踏みつけていたのはその人間の頭だった。彼女も悲鳴を上げ、山に響き渡る。


       ー 8月6日 PM16時23分ー  


 警察と妖狩エージェント数名が到着。捜査開始。

まず注目すべきはただの人間の遺体ではないことだ。

「なんじゃこれ!」

と凱は叫ぶ。それもそのはず、これはただの遺体ではなく、人間をかたどった金の像だったのだ。

「風雅先輩、これ昔の金の像が発掘されたって説ないですか?」

「無いかもな。だってほら、見てみろよあの像スニーカー履いてるぜ?室町時代にスニーカーは無いだろ?」

「たしかに…」「じゃあ何かの妖の仕業か兄弟?」


すると一人の刑事が大声を上げて皆を呼んだ。

「また新たな像が見つかりましたー!」

「何だと!」

風雅たちも急いで駆けつける。そこで見たのは金の像が集団で埋められていた光景だった。

「こんなにたくさんの像が…」

「悪趣味すぎるぜ…」


その後金の像の一つが病院に送られ、CTRスキャン装置に掛けられた。

そこでまた衝撃の事実が明らかになる。金の像をスキャンするとそのなかには人の影が映った。

さらに雷牙の技術で鮮明にするとその像と同じ顔の人間が苦悶の表情を浮かべ、口と金が繋がっていた。

「これってもしや…吐き出しているんじゃなくて、口の中に金を入れられている?」

龍我の解釈は当たりに近いようだ。おそらく発見された残りの像も中に人間が入っていて皆同じ苦悶の表情を浮かべているに違いない。

「これはとても人間の力で出来る所業じゃねぇな…」

「妖の仕業で確定ですね。」

そして警察の尽力で捜査は進む。


       ー8月15日 AM9時26分ー


 警察の調べによると、この像にされた人間たちは皆とあるカジノに出かけていたという。そしてそこから家族とも、知人とも連絡がついていないらしい。

その知らせを受けた風雅、凱、龍我はその噂のカジノの周辺を探ることに。


        ーカジノ「金閣」ー


「金閣」と名の付くこのカジノは最近営業を開始し、その内装のゴージャスさとゲームの多さから繁盛している巷でブームの新カジノだ。

さすがに正面から堂々と行けないと謎のビビリを見せた風雅は地下駐車場から調べることに。

「先輩何で地下駐車場なんですか…?」

「たぶん高級過ぎて貧乏性バレるからここにしたんだろ兄弟?」

「うっせぇ!八雲家はこれでも元華族だぞ?!俺の代で落ちぶれたが…」

少し涙目で弁明する風雅であった。

その時だ。突然大声で助けを求める声が聞こえた。

3人はすぐに声のする方へ走った。

そこで彼らは目にした。金の仮面と金のスーツを身につけた男が、背中から植物のつるのような物を伸ばして助けを求めていた男性に巻き付けて浮かばせていた。

「頼む…見逃してくれぇ!!」

「それは出来ない。君は私とのゲームに負けた、負けたからにはその代償を身体をもって払ってもらおう!さぁ取り立ての時間だ!」


「おいてめぇ何してやがる!!」

凱は大剣を抜いて男に斬りかかろうとするが、男は指を男性の口の上に置いて大量のきんを流し込んだ。男性は苦悶の表情を浮かべながら手の力が次第に抜けていき、体の表面がきんで包まれ例の像が瞬時に完成してしまった。おそらくは内蔵まで金に包まれてしまったのだろう。

「くそっ!!」

大剣を振るうも軽々と避けられ、蔓から金の像を凱目掛けて投げつけた。

凱もさすがに純金の塊を素手で受け止める暇はなく、大剣で受け流してしまった。

「凱くん、手伝うよ!」「頼んだぜ坊主!」

二人は一時協力し、同時に式神を召喚した。

  

   「“護れ『玄武』”!!」「“昇れ『青龍』”!!」

          

          『“武装アームド”!!』


凱は『玄武』を“武装アームド”し、両手に盾と暴牛の角を、龍我は『青龍』を“武装アームド”し、龍の角と白い雲、青い龍を従えた。


「お前、何故こんなことをする!像にした人たちを元に戻せ!!」

「それは出来ない質問だねぇ…彼らは私と契ったルールの元で負けた。だから殺して像にした。それだけのことだよ。」

「この野郎っ!!」

凱は“武装アームド”状態で大剣を握り、攻撃と防御を可能にし、必殺技を繰り出す。


「“岩融いわどおし”!!」

大剣を四方八方に振るって下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるというものを体現したかのような技だが、未確認第45号と付けられたこの男は自分の周りに黄金の壁を生成し、身を守る。

純金の壁の前では大剣の刃は通らず、火花が散るだけでかすり傷さえも付かない。

「やめたまえ、私はゲームに負けた者以外の命を奪う気は無い。」

「人の命奪ってりゃ俺たち妖狩エージェントが黙ってねぇんだよ!!」

「何、妖狩エージェント!?それでは話が変わってくるよ青年!」


       ー「“黄金(The Gold)”」ー


第45号の術式。身体から黄金を放出し、対象をきんに変える能力。さらにきんを使い、オブジェクトの生成も可能。


45号は壁の上から蔓を伸ばし、凱を狙う。

「そいつは殺らせないよ!“龍尾りゅうび”!!」

龍我は両手に龍の尾のような水のオーラを纏い、両手を振るって金の蔓を攻撃し、全てかき消した。

「キミを助けるのは金輪際ごめんだけど、これで貸し1だよ。」

その瞬間に金の槍が迫る。凱はいち早く気づきバリアで槍を弾いた。

「これで貸し借り無しだ!」「一生の恥、一生の不覚。」

「んだとコラ!!」


45号は自分の能力が通じず壁を解除し、舌打ちをした。

「姿現したな黄金野郎!!」「?!」

凱は飛び上がって大剣を45号に当てて止めてある車まで吹き飛ばした。しかし45号も瞬時に槍を発射し、凱の特殊防護服の肩パッドをかすっていた。

肩パッドが徐々に黄金化し始めたのに気づき、防護服から千切って捨てた。

「君たちに私からの選別プレゼントだ!!」

45号は両手いっぱいにコインを持っていた。


        「“GOLDFINGER 50”!!」  


片手に25枚ずつ持ったコインを弾丸のように発射し、全体攻撃を仕掛けて来た。

「みんな下がれぇ!」

凱は巨大なバリアを展開した。しかしコインは生きているかのようにその間をすり抜け後ろの龍我、風雅を狙う。

「“明鏡止水”!!ぐっ!」

必殺技が間に合わず脇腹に1枚当たり少し肉が抉られた。風雅は風でバリアを展開してコインを後ろへ受け流し、駐車してある車ばかりが犠牲になっていく。


「ではさらばだ諸君!ハーハッハッハッ!!」

45号はコイン弾丸を発射し終えた後にコインの竜巻を起こして姿を消した。

「待ちやがれ黄金野郎!!逃げんじゃねぇ!」

「凱、敵は分かった。今は龍我が大変だ。」「坊主!」

「痛ってぇ…幸い一箇所だけなんで大丈夫です…」

風雅はすぐに龍我を抱えて病院に搬送した。


                 EPISODE24「黄金」完

 

           次回「賭博」

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