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妖狩  作者: 定春
第一章 東編
20/30

EPISODE20「黒蟻」

牛鬼会を仲間にするべく開催された三番勝負。妖狩エージェントチームが見事勝利を勝ち取り、牛鬼会一同が警察の傘下についたのだ。


     ー7月28日 AM7時30分ー


 あれから16日が経過していた。

雷牙はコーヒーを淹れて優雅な朝を過ごしていた。

「今日も平和だ…平和過ぎておかしくなるくらいだ…」

「そりゃ16日前から妖による事件が発生してないからよ。」

風雅がコーヒーカップ片手にソファに座る雷牙の隣に立った。

「お前もう体大丈夫なのか?肋骨粉砕骨折だったんだろ?あと脚、頭、腕も骨折。」

「あぁもうすっかり治ってるよ。まだ寝てるけど、琥珀も脚を骨折してたけど、もう完治している。」


風雅はカップを机に置いてテレビのリモコンを取り、適当に番組を切り替えていく。そこであるニュース番組の報道が目にとまった。


「こちら現場の佐藤です。先週から発生している連続失踪事件に進展がありました。それがこちらの今は使われていない採掘現場です!ご覧の通り、まるで巨大なアリの巣の入口のような巨大な穴が空いております。」


「はーやだやだ。誰だよあんなデカい穴掘ったの…ブタゴリラか?」

「いや絶対妖の仕業だろ。」

「真に受けんなよ兄貴。今のはほんのアメリカンジョークだろ?」

「ゴリラジョークの間違いだろ。」


兄弟漫才の声を聞きつけてヒカルがリビングにやってきた。

「先生、雷牙さんおはようございます!もう時間ないんで僕琥珀ちゃん連れて学校行ってきます!」

「お、」

『行ってらっしゃい。』

八雲兄弟はシンクロしてヒカルと寝起きの琥珀を見送った。


           ガラッ


玄関の戸が空いた。

「あれ、あいつ忘れのものかな…?」

風雅が玄関まで戻ると

「よ、兄弟ブラザー。」「お邪魔しまーす。」

「なっ!」

玄関にいたのは前回大激闘を繰り広げた牛鬼会のかしら石動 凱と門番の琵琶 一華だった。

とりあえず居間まで案内し、事情を聞いた。


「で、お前ら何で来たの、つーかどうやって来たの?」

「いや、お前んとこの坊や達と偶然会ってな。登校中だから結構急いでたけど、」


『先生に用事ですか?急いでて玄関閉め忘れちゃったんですよー。用事あるなら勝手に入っても良いですよ!』


「あいつ…」

「それでよ!お前らに警察のおっさんから任務来てたから教えに来たんだよ。俺たちも同伴で。」


今度の任務は『迷宮へ潜入せよ』と凱のケータイにメールとして届いていた。

「もしかして、この穴か?」

と雷牙はテレビに映った巨大な穴を指差した。

「そう、それ!」

「なんか昨日の夜に警察の特殊部隊が大穴の調査に行ったらしいけど、全員と連絡とれなくなったらしいね。」

風雅もこの件はすでに認知しており、今日の正午に取材班が全てどいたら調査しに行こうとしていたのだ。


     ー7月28日 PM12時09分ー


 例の採石場に来た風雅たちは高みから大穴を見た。

「うお、でっけぇな!」

「あんま乗り出すな落ちるぞ。」

警察が新たに妖狩エージェントとして任命したのは石動 凱と琵琶 一華。

凱は妖狩エージェント・『玄武』、一華は妖狩エージェント・『狒々』のコードネームをもらった。

更に現地で雷牙から特殊防護服のリストバンドをもらい、装着した。

『おぉ!!』

凱は袖を無くし、体術や大剣振るいやすいように改良され、一華はオシャレに特化したかったのか、チャイナドレス風のデザインになっている。

「それと、コレ。」

風雅が凱に手渡しのは新たな大剣だった。

「お前…コレって…」

「あの時はごめんよ。折れた大剣を回収して知り合いの鍛冶屋に鍛え直させたんだ。さらに強度も上がって妖の攻撃にも耐えれるはずだ!」

凱は大剣を受け取ると、顔の前に構え目をつぶって何かを心の中で唱えた。唱え終わると大剣を振り上げ、馴染みのある背中に再び大剣は背負われた。

「これだよこれ、このフィット感!」

「よかったねかしら。」

一華も嬉しそうな凱を見て自分も嬉しくなった。

「風雅くん、ありがとうね。かしら、あの剣折れてからから元気だったんだけど、また元気なかしらが戻ってきてくれて嬉しいよ。」

「まぁ俺にも非はあったし、当然の事したまでですn……!?」

その時風雅はあの大穴から何かを感じ取った。

「兄貴…」

「俺もビリッと来たぜ…何か…来る!」

その言葉通りだ。大穴から何か黒い者がたくさん湧き出てきた。

かしら、あれって…」

「でっけぇ蟻だ!!」


大穴から出現したのは人間の大人と同じ大きさはあるであろう二足歩行の黒蟻だ。槍や刀などの武器を持ち、地上の世界に這い出てきたのだ。

「ギャァァァ虫だぁぁぁぁぁ!!」

信じられない程の絶叫をしたのは風雅だった。

「お、おいどうした兄弟…」

「うちの弟はな、いくら最強の妖狩エージェントと言われようが、虫だけはどうしても苦手なんだ!」

「まじかぁ…」

そこで思ったのではないだろうか。お前第1話でカマキリの妖を相手にしたじゃないかと。これは本人曰く、


     「あれはまだ人間の部分あったから。」


カマキリ男は7割虫だったのでまだ耐えれたのだが、今回這い出てきた人型蟻は9割虫。風雅は耐えかねて絶叫した。

「なるほど…それであの警察のおっさん俺にメール送ってきたのか…」

「来るぞ!」

蟻たちは風雅の絶叫でこちらに気づき、槍や刀を手に持ってこちらに向かって進撃を仕掛けてきた。

「任せろ!」

凱は新たに強化された大剣を振り下ろし、蟻たちを一刀両断に斬り伏せていく。

「おいおいこいつら妖じゃねぇマジの蟻だ!兄弟しっかりしろぉ!」

「分かったよ戦うよぉ!“鎌鼬”ぃ!」

情けない声から放たれた風の刃は蟻たちを真っ二つにしていくが威力は長く続かなかった。

「一華、俺たち新人の力見せてやろうぜ!」「OK!」

一華は薙刀に衝撃波を纏わせ、一気に突きとして解放。蟻たちは木っ端微塵に吹き飛んだ。


凱は大地の力を脚から腕、腕から大剣へと流し、刀身が赤熱化した。

「くらえ、思いつきの新技“岩融いわどおし”っ!!」

凱は赤熱化した大剣を四方八方に振るい斬撃をランダムに飛ばすことで蟻たちを自分たちに近寄らせず、一気に倒すことが可能となる。

「どうだ!」

「凱、便利なのはいいが仲間には当てるなよ?」

「そこは改良の余地ありだな。だが蟻どもは今んとこ全部片付いた、大穴に向かうぞ!」

「すげぇ弟よりリーダーシップあるやん。さすがはギャングのかしら…」

4人は大穴に向かう。だが風雅は雷牙の服の裾を掴んで蟻たちの死骸を見ないように目をつぶって大穴に突入した。


          ー大穴突入ー


 大穴内部はただの土の壁。なんの変哲もないトンネルだ。

「でもおかしいな…」

「何がだよ兄貴…」

「アリの巣の構造は知っているよな。アリの巣は縦に続いてそれぞれの部屋に別れている。この大穴も縦方向に空いていた。でもココに入ったらどうだ、横向きになっているだろ。」

「たしかに!」

そうだ、この巣にはみな落ちるように入っていたのに巣穴に入った瞬間、落下することなく地に足をつけていた。

「じゃあ琥珀ちゃんみたいな重力操作が働いてるってこと?」

「いやなんかこう…違うそれより俺たちが蟻と同じ体験をしているようだ。」

「ここには何らかの術式がはたらいている!」

その穴の奥深くから、ドス黒い程の霊力を感じる妖狩エージェントたちであった。

                EPISODE20「黒蟻」完

                 


           次回「迷宮」

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