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妖狩  作者: 定春
第一章 東編
18/30

EPISODE18「猿王」

石動 凱を仲間にするべくその条件として牛鬼会のアジトで開催された三番勝負。第一回戦はヒカルと影の薄いメンバー・ジミーとの勝負。調子に乗ったジミーを無意識の内にノックアウトし、ヒカルの勝利

次の第二回戦では琥珀と牛鬼会の紅一点門番・琵琶 一華の対戦。互いに下心を持った女同士のバトルが今始まる。


           第二回戦


 琥珀と一華がリングイン。凱から薙刀を受け取り、琥珀は腰からクナイを引き抜いた。そして2人は互いにとある条件を出した。

「ウチが勝ったら、琥珀ちゃんのことヨシヨシしてあげる…!」

「じゃあアタシが勝ったら重力を使った“いいマッサージ”してあげる…♡」「ふぐっ…!」

その妖しげな琥珀の微笑みに一華は試合開始前から鼻血を吹き出してしまう。

「な、なんて破壊力なの…今まで出会った可愛いとはベクトルが違うわ…」

「はい、茶番はいいから試合開始ぃぃ!!」

耐えかねた凱がついにゴングを鳴らし第二回戦が始まる。


一華は薙刀をまるで体の一部かのように振るい、琥珀を切りつける。

琥珀は軽い身のこなしで薙刀を避け続け、リングには薙刀の跡だけが刻まれていく。

「すごい琥珀ちゃんあんなに動けたのか…」

「20歳未満の妖は成長スピードが速いんだよ。」

「成人、未成年で何か違うんですか?」

「わしが説明しよう!」

といきなりぐるぐるメガネと白衣を羽織った雷牙が現れた。

雷牙が言うには、未成年で妖になった者は力の制御に時間は掛かるが20歳までは成長でき、そこで老化は止まる。一方成人してから妖になった者はその年齢から一切老化しない。


今まで避け続けていた琥珀にもついに薙刀の刃が腹部に届きそうになったが、ほんの一瞬わずか0.1秒程度であろうか、一華の手が止まり琥珀は難を逃れた。

しかし琥珀は納得いかず怪訝な表情を浮かべた。

止まったのはたったの一瞬、一華は再び薙刀を強く握り今度は突き攻撃に移る。

顔を上げた琥珀の瞳は猫のように縦長になっていた。

そして薙刀の刃が眼前で止まった。

「?!」

「あれって…重力の術式!?」

「あいつ…また新たな能力に覚醒しやがった!」

風雅の考察は当たっていた。琥珀は新たな能力に土壇場で目覚めていた。

物体に重さを付与する“重力(The Gravity)”。

物体や自身を軽くする“無重力ゼロ・グラビティ

“重力”さらに細分化した

引き寄せる力“引力アトラクション

そして先程習得した物体を弾く“斥力リパルジョン

目の前に小さな重力のバリアを作り薙刀の刃を止めて弾いた。


「お姉さんさぁ…まったく本気出してないでしょ?」

と鋭い目つきで一華に尋ねた。その瞳を見た瞬間、心臓を釘で刺されたかのような感覚を一華は味わった。

「ど、どうして…?」

「アタシが可愛いから手加減してるんでしょ?分かったわよさっき薙刀の刃がアタシの体に届く直前に動きが一瞬だけ止まった…それはアタシを傷付けたくなかったから…滑られたものよね、妖を相手にしてる以上もっと本気で来なさい!!」「…っ!」

琥珀は眼光が残像として残る程の超スピードを発揮し、クナイの斬撃、蹴りを連続して繰り出し一華を追い詰めていく。そして蹴飛ばされロープに激突した。


琥珀に説教されたことで自らの行動を恥じ、両手で頬をパン!と叩いて喝を入れた。

「そうだった…これは牛鬼会のこれからを担う戦い…そんなものに自分の私情を入れちゃダメだった!ごめんね琥珀ちゃん…今度は…ウチ本気で行くよ!!」

一華の両手に霊子が集まり、紫色のサークルを両手首に形成した。

「そ…それって!」

「そ、ウチも妖…あなたと同じよ。」


     ー「“衝撃波(The Shockwave)”」ー


手や武器に衝撃波を纏い、物体を破壊する能力。一華は刃に衝撃波を流し琥珀に突っ込む。

琥珀も負けじと“斥力リパルジョン”を使い薙刀を受け止めていくが、その衝撃波が斥力のバリアを破壊し琥珀の剥き出しの二の腕を切り傷を入れた。

「い゙っ…!」

「ほらほら戦う子が傷を気にしてちゃダメだよ!」

斥力リパルジョンを使う前に薙刀の雨が振り注ぎ、辛うじて避けるものの、手から放たれた衝撃波で吹き飛ばされリングギリギリの状況になってしまった。

「琥珀ちゃん!」

「立てるか!」


「お嬢様扱いしないでよ…アタシはまだ立てる…死なない限りなら何度でも!」

ボロボロの体を引きずって琥珀は立ち上がる。しかし

「先生、琥珀ちゃんの脚おかしくないですか…?」

「引きずり方がおかしい…まさか…!」

そのまさかだ。琥珀は先程の衝撃波を左脚に受け、骨が砕けていたのだ。さらに内出血も。

「もう諦めて!これ以上やったら死ぬわよ!」

「言ったでしょ…死なない限り何度でも立つって…アタシにはまだ、大事な“友達”がいる!」


         「唸れ『猫又』!!」


琥珀は自身の式神『猫又』を召喚。砕けた脚のカバーを任せた。

「あなたがまだ立つのなら…行くわよ!はぁ!」

一華は手のひらから衝撃波を放射

「『猫又』!」「にゃ~ん。」

あくび混じりの鳴き声を出した猫又は琥珀の前に巨大な斥力のバリアを出して衝撃波を弾いた。

「アンタ…強いわね。もっと早くに出しとくんだった…」

そこでしびれを切らした凱は叫ぶ。

「一華ぁ!てめぇの本気はそんなものじゃねぇだろ!?もっとだ、全てを出し尽くせぇ!」


「……はぁガッちゃんにはお見通しか…仕方ない。」

「お姉さん、まだ本気出してなかったの?」

「違うよ…これは本気を超えた…超本気だから!」


       「遊べ!『狒々王』!!」


一華が天に手を伸ばした時、煙と共に人と同じ背丈のある猿が出現した。

その猿は西遊記の主人公・孫悟空に類似しており、頭に緊箍児、手には如意棒を携えて自身満々の決めポーズをしている。

「さ、猿…?」

「ただの猿じゃないわ。この子は遊び上手なの、1人寂しい時はこの子と一緒に遊んでたわ…ウチの“友達”。」

『おい一華ぁ今日はどいつしばくんだぁ?』

「しばかないわよ『狒々王』。ほんの“お遊び”よ。“武装アームド”!!!」

一華の瞳は金に輝き、顔には猿神のメイクのような痣が浮かび上がり頭には緊箍児が付けられた。

そして薙刀は如意棒へと武装され、青いスパークがほとばしる。

「おい風雅、あの“武装アームド“は…」

「LEVEL2…!」


琥珀はそのスパークを目の前に浴びただけで体が痺れて動けない。

琥珀アタシ、脚を治しておいたよ…あとは自由にやってね。』

『猫又』は活動限界時間が来たのか脚を治した後に消えてしまった。

「これで最後になるね…」

「勝っても負けても恨みっこ無しよお姉さん!」

琥珀はクナイを構え直し、超スピードで一華の間合いに入ろうとした。が、


           「ほい。」


一華は武装した如意棒を琥珀の超スピードを超える勢いで伸ばし、リングの外まで琥珀を吹き飛ばした。


        「勝者・琵琶 一華!!」


観客席は大いに盛り上がり、“武装アームド”を解除した一華は笑って観客席に手を振った。

「琥珀!」

風雅たちは倒れた琥珀の元に走った。

「大丈夫か!」

「…しい…」「?」

「悔しいぃぃよぉぉぉ!」

琥珀は大粒の涙を流して悔し泣きをした。一華も琥珀に駆け寄り、手を伸ばした。

「ナイスファイト琥珀ちゃん!」

「うん!次は…負けないから…“一華姉ぇ”!」

琥珀は一華の手を取って名前で呼ぶようになった。

「あーやっぱこの子可愛い!!ギュッとしていい?!」

「そしたらアタシ骨バキバキになっちゃう!」


 これで第二回戦まで終わり結果はお互い1勝1敗。次の第三回戦で勝者が決まる。

そして妖狩エージェントチームから風雅が、牛鬼会チームからかしらの凱がリングイン。

風雅は防護服のグローブを締め直し、凱は背中に大剣を背負った。

第三回戦決着はいかに!

                EPISODE18「猿王」完

  

           次回「玄武」

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