EPISODE17「祭典」
警察は妖狩の新たな戦力としてギャング集団・牛鬼会の頭 石動 凱を呼び出したが、彼はは風雅と決着をつけたいが為に来ただけだと言い放つ。仲間にしたいのなら自分たちと戦って勝てと要求。
風雅たちは仕方なく了承し、牛鬼会のアジトである廃校となった小学校に足を運ぶ。巨大な体育館で行われる牛鬼会VS妖狩の三番勝負。その結末とは…
妖狩チームは話し合った結果、雷牙は最初から期待はされず第一回戦に相手の戦闘力の平均を測る捨て駒としてヒカルを投下。
第二回戦で琥珀、最後の第三回戦で風雅が出ることとなった。
一方の牛鬼会チーム
「よし、ジミーお前最初に行ってこい。」
「え、えぇ俺っすか!?」
彼の名前はジミー。人間でありながらあまりにも影が薄すぎるのでこのあだ名が付いた。
「いやでも相手は妖…俺なんてワンパンすよ?」
「馬鹿野郎、自分の力を信じろ!最初から弱音吐いてちゃ試合にもなんねーぞ。」
「これで死んだら国葬にしてください。」
ジミーは言い返すのを諦め虚無顔のままリングに上がる。
「よしヒカル行ってこい!」
「勝ちなさいよー。」「よ、よーし行ったるか!」
ヒカルもリングに上がり、両者相まみえる。
「よろしくお願いします!」
「手加減してくれよぉ…」
観客席は盛り上がり、妖狩側には応援の声も聞こえるがまだブーイングは止まない。
牛鬼会側は当然盛り上がりものの、「あれこんなやつウチにいたっけ?」という声も聞こえる。
そんな声にジミーは我慢しながらもついに第一回戦が始まろうとしていた。
「さぁ、“祭”の始まりだぁぁぁぁぁぁ!!!」
第一回戦
凱はマイクを持たずに自前の大声で勝負の開催を宣言。
ヒカルは勝負の前に礼儀としてお辞儀をしてから構えをとった。
ジミーは当たって砕けろの精神でヒカルに向かって走っていく。
「頼む負けてくれぇ!」
(素人っぽい走り方…新米の妖、それとも人間?どっちにしろ余裕で避けられる!)
と確信した瞬間ジミーはヒカルを素通りし、それをカバーしようとして滑ってしまった。
しかし、幸運か不運かその拳はヒカルの顔面にクリーンヒットした。
(え、うっそぉぉぉぉ!)
「うわぁ!当たっちまった!」
ジミー自身も当たるとは思ってなく、自分の拳を目が飛び出る程凝視した。
「嘘だろあの烈海王みたいなぐるぐるパンチまぐれで当たることあるんだ…新手の術式か?」
「うちのジミーは影が薄いだけの普通の人間さ。一見ひ弱でヘタレに見えるがやる時はやる男だと俺は知ってる!」
「頭ぁ俺当たりましたよ!」
「まだたったの一発だ油断すんな!」
ヒカルは不意の一撃で一度ロープの上にもたれた。
「ヒカル大丈夫!?」
「大丈夫だよ琥珀ちゃん。虫歯の時って歯痛むでしょ?あれと同じだよ…」
「ごめんアタシ虫歯なったことないから分かんない。」
「あっ…うん。」
ヒカルは気を取り直して再びリングに戻った。
「おい、小僧このジミー様に勝てると思ってんのか?」
「勝てるって確信は出来ないけど、勝ちたいです!」
ジミーの態度を見て門番の女性は指を差して凱の言った。
「ねぇ頭、油断すんなって言ったら調子に乗り始めたわよ。」「うん、おもろアイツ。」
ジミーは再び走り出しヒカルに殴り掛かる。
「死ねぇぇぇぇい!」
決死のストレートはヒカルに難なく避けられたが、次は誤ってロープに体が衝突したが、ロープの跳ね返りを利用し体ごとヒカルにぶつかって吹き飛ばした。
「ぐっ!」
「よっしゃ!作戦通りだぜ!」
その衝撃でヒカルはリングアウトしそうになるが、吹き飛ばされた時にロープの支柱を足場にしてリングに戻った。
「あっぶねぇぇ!」
ジミーは何を思いついたか、四方にあるロープを跳ね返り交互に移動しながらヒカルの視界を撹乱していく。
「ほれほれ次はどこから行こうかなー?」
「へぇジミー初めて戦闘に出したけど、結構いけるじゃあねぇか。」
「調子乗らなきゃ良いんだけどねぇあの子…」
「一体どうすれば…」
「ヒカル落ち着け。直接見て判断するな、時には勘で行ってもいい!師匠からの教えだぁ!」
その言葉を刻み、ヒカルは目をつむった。
「おいおい、おねんねかぁ?一生寝かせてやるぜぇ!」
「!」
ジミーは東側のロープから跳ね返り、中央のヒカル目掛けて殴り掛かる。
ヒカルは3度目の回避、そして間髪入れずに裏拳をジミーをぶち込みダウンさせることに成功した。
無意識の内にジミーを倒していたヒカルは隣で白目をむいて倒れた彼を見て驚愕した。
「しょ、勝者、一之瀬 ヒカルくん…」
一瞬の静寂が体育館を包んだが、1人が「うぉぉ!」と言ったことで体育館全体がヒカルの勝利を祝う歓声に変わった。
「ヒカル、おめでとー!」
「よくやった。」「やっぱ俺の教えのおかげだな。」
「ありがとうございます先生!」
「あぁ負けちまった…」
「お前も大活躍だったよ新人!」「大健闘だぜ!」
「は、はは…ありがとう…(でも、俺おまえたちより先輩なんだ…)」
乾いた笑い声が出たが、影の薄い自分を忘れないでいつも声を掛けてくれる凱も
「負けちまったが、すげぇじゃねぇかジミー!」
頭からの激励をもらい、溜息をつきながらも内心は喜んでおり、負けたことへの悔しさなど今は持たなかった。
「でしょー俺ほんとは強いんすよ!能ある鷹は爪を隠すってやつっスよ。」
「調子乗んな!」
第二回戦
続く第二回戦は妖狩チームから琥珀がリングイン。
牛鬼会チームからはあの門番の女性がリングインした。
「え、あのえっちなお姉さん!」
琥珀はえっちな物や人に目がないのだ。
女性の名前は“琵琶 一華”。凱と同じく22歳であり、牛鬼会の紅一点の門番。凱と最も付き合いが長く副長の役割も担っている。凱にも負けず劣らずの長身で、オレンジの髪に毛先が薄紫のロングヘアーと誰もが羨むセクシーボディが特徴である。
「あれ、門番の人もなんか様子が変ですよ?」
「どしたのお姉さん?」
一華は段々と呼吸が荒くなり、顔が見えたとき、頬が赤く染まり、恍惚とした表情で荒い吐息が漏れていた。
「可愛いーーーー!!!♡」
『あぁ…始まった…』
牛鬼会全員が同時に思った。そして琥珀に抱きついた。
「もぉ何この子めちゃくちゃ可愛い!今までどこにこの可愛いの原石が眠っていたの!?ほんとに可愛い!猫ちゃんみたいで可愛い!可愛いの2乗、可愛いとは?可愛いのよ!」
「姐さん後半可愛いしか言ってないよ!」
ジミーを始めとするメンバーからは“姐さん”と呼ばれている。
「おい、大丈夫かおたくの門番!」
「あぁ…うちの一華はな…可愛いものに目がないんだ。ほら…」
凱はポケットからケータイを出すとピンク色の機種でラインストーンが散りばめられていた。
「ぎゃ…ギャルが使ってるやつだ…渋谷とかの…」
さすがの雷牙も衝撃を受けた。
「だけどよ、おたくの嬢ちゃんも大丈夫かよ。」「え?」
琥珀も琥珀で一華に抱き着かれている時、満足気な表情でゲヘゲヘ言っていた。(えへえ…いい匂い…)
「あぁ大丈夫だ。通常運転だ。」
「はい、家でグラビア雑誌見てる時いつもこんな感じです。」
「俺の部屋に飾ってるフィギュア下からよく覗いてるからな。」
妖狩チームは口を揃えて平常運転と言う。
「さ、可愛いを充電したことだし…頭!」
「あいよ。」
凱は一華が望んでいた物を投げつけ、キャッチした。
「薙刀!」
一華の武器は薙刀。それを手足のように振るい、構えた。
「アタシもお姉さんを充電したことだし!」
琥珀はバンドを着けて特殊防護服を着装。腰からクナイを取り出し構えた。
「じゃあ…第二回戦始め!!」
EPISODE17「祭典」完
次回「猿王」




