表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖狩  作者: 定春
第一章 東編
13/35

EPISODE13「光明」

風雅は自分の力と向き合うために1人道場にこもり、一方のヒカルたちは警察と協力して未確認第39号と交戦中


 第39号は鉤爪の術式を持ち、警察たちの装備では太刀打ちできないでいた。

ヒカルはついに特殊防護服を身に纏い戦場に立つ。

「皆さん、ここは僕に任せてください!」

「ヒカルくん!」

あづまも遠くから射撃をして援護していたが、鉤爪の攻撃を食らい、腕を負傷していた。

「ヒカルくん、ここは『神狼』にまかせるんだ…」

「そうなっては遅いんです!先生も言っていた、届くはずの手を取らなければ一生後悔すると。僕は目の前で人が殺されるのをただ見ることしかできなかった。その後悔を二度と繰り返してはならない、今ここで誰かが止めなければさらに被害が増える…ここは僕に任せてください。お願いします!」

ヒカルの覚悟を見た東は、自分も覚悟を決め参戦することを許可した。

後ろで見ていた琥珀は何も出来ない自分を恥じ、何か出来ないかを考えた。

(この前みたいに…自由な発想で…でも人がいるから安易には使えないし、あぁもうアタシのバカ!)

妖狩エージェント参る!」

「切り刻んでやるぜぇ!」

39号は鉤爪の術式を有しており、その切れ味はチタンをも切り裂く。

39号は爪を伸ばし、ヒカルの腕を狙ったが特殊防護服の腕パーツでその爪を受け止めた。

「何!」「すっげ、これ受け止めれるの!?」

特殊防護服には防刃機能が備わっているが、警察用の特殊防護服にはそこまでの耐性は無い。雷牙が妖狩用に密かに改良を重ねた強化版だ。

左腕で爪を受け止め、残った右腕を使い強烈な一撃を食らわせる。ヒカル両腕に霊力を流して強化しているため、一発当てただけでも脳震盪を起こすレベルである。そして間髪入れずにラッシュを繰り出す。数週間前に妖となったばかりなのに、すでに他の妖を圧倒している。(思い出せ、あの鍛錬の日々を…!)

掃除、洗濯、おつかい、団欒、修行、掃除、洗濯

(とくに何もしてねぇ…)

今までのキツい修行を思い出し、ラッシュしながら涙を流した。

「終わりだぁぁぁぁぁ!!」

         ザクッ 「っ!」

39号は足からも鉤爪を伸ばし、ヒカルの腹を切り、一瞬離れた隙に両手の鉤爪でヒカルの両腕を貫いた。

「がぁぁぁぁ!!」「ヒカルくん!」

「ガキが、調子乗りやがって!」


    ー八雲邸別邸・道場 AM11時58分ー


 すでに道場はボロボロになっていた。狼の爪の跡、打撃により床は凹み、術式の風によって道場内の木刀などの小道具が散乱していた。両者も傷付き、いつ倒れてもおかしくない。

『私よ、そろそろ限界か?』

「ほざけ、まだピンピンしてるわ…だがまだ、LEVEL2のステージには上がれていないな…成れても一瞬、1秒でもいい、LEVEL2の使用時間を延ばす。」

『いや、お前はすでにLEVEL2の高みへと踏み出していた。』

「何…!一体どうすれば。」

『それに気づくのが最終目標だ私よ。続きといこう。』

「了…解…!」

両者再び拳を交え、獣の如き戦闘が始まった。

『神狼』の蹴りを体勢を低くして避け、そのおまけで“鎌鼬”を放ったが、『神狼』は振り返ることなく腕だけで風の刃を受け止めた。

「“旋風”!!」パワー特化型の“旋風”が『神狼』の身体に直撃。その強大すぎるパワーにはさすがの『神狼』も防ぎきれず吹き飛ばされ、道場の壁を破った。その拳には青い電撃がまとわりついていた。

「さっきよりもパワーが上がっている…何だ、何が足りないんだ!」


          ー同刻ー

 39号の鉤爪により両手を貫かれたヒカルは身動きが取れず、痛みに悶え苦しんだ。人生で経験することのないであろう爪に手を貫かれるという拷問を齢16にして体験した。

「死ねぇぇ!」

39号がヒカルを蹴飛ばしたことで爪が両手から引き抜かれ、コンクリートの壁に激突した。一瞬で引き抜かれ痛みと壁に胴を激突した痛み、二重の激痛。両手には鉤爪の跡が穴として残って血がダラダラと流れ落ちる。普通なら横たわるだけでもやっとだというのに、ヒカルは諦めず立ち上がる。

「動ける人は負傷した刑事さんたちの手当てと、近くに民間人がいたら避難させてください!」

「ヒカル、お前も一度退くんだ!」と作戦室から雷牙が呼びかけた。ヒカルは息を荒げながらも

「今戦える人間が持ち場を離れてどうするんですか!たとえ僕はこの両腕が千切れようとも倒れる気はありません!」

とキッパリ返した。刑事たちはすぐに負傷した刑事たちを連れて離れていった。

「おいおいコイツいかれてやがるぜ…両手に風穴空いてんだぜ…それでも立ち上がるのか!」

「師匠も師匠で結構イカれてる人でね…僕よりもよっぽどやばい戦術考えるぞ…」

ヒカルは右手に残った全ての霊力を集め始めた。それに危機感を覚えた39号は再び鉤爪を生やしてヒカルに向かって走り出した。

「やめなさい!」 「何!?」

琥珀は刑事たちが退避したタイミングを見計らって39号に向かって重力で動きを封じた。集中することでさらに範囲を絞り、39号だけに重力を付与することに成功した。

「ごめんねヒカル!アタシこれくらいしかサポート出来なくて!」「サンキュー琥珀ちゃん!!」

「この…クソガキ共がぁぁぁ!!!」

「スマァァァァァァァァァァシュ!!!」

39号が重力に抗って立ち上がった隙を狙って、ヒカルは全ての霊力を込めた最後の一撃を放つ。そしてこの時、青い輝きを放つ霊力が白と金色の光を放ち、39号の体を焼き焦がし、吹き飛ばした。

39号はガードレールに後頭部を強打、力尽きて灰化消滅した。

「…名付けて…“光輪弾”…へへっ…」

ヒカルは必殺技を編み出した後、こちらも力尽きて気絶した。

「ヒカル!」「すぐに救護班を!」

刑事たちが直ぐ様駆けつけ、ヒカルは応急処置の後、病院に運ばれていった。

ヒカルの乗った救急車が走り出し、それを見送った琥珀は風雅ゆずりのサムズアップをヒカルに与えた。

救急車の中で意識を取り戻したヒカルは琥珀の意志が通じたのか、車内で負傷した手を天井に掲げサムズアップをした。


    ー八雲邸・リビング PM14時30分ー


 事件は一件落着、ヒカルは名誉の負傷で病院に搬送、妖なので回復能力は高く、1日あれば退院できるだろうと妖の事情を知っている医者に言われた。

琥珀と雷牙は安心して帰宅した。

「さて、心配なのはうちの弟なのだが…」

二人が別邸の道場に赴くと、道場は半壊状態もはや廃棄と化していた。

「ナニコレ!」「アイツ相当やったな…」

するとかろうじて残っていた道場の入口から風雅が出てきた。

「風雅、心配したわ…よ…?」「お前…!」

「うん?どうした二人とも…」

二人が見た風雅の姿は、衣服はボロボロに破けすっかりやつれていた。そして何よりも注目したのは、髪の色が銀髪から黒髪になっていたそして銀髪の名残か白髪が生えていた。

「どうしたのよそれ…」「これか。これはな」


「さっきよりもパワーが上がっている…何だ、何が足りないんだ!…そうか!」

何かを閃いた風雅。しかしそれは一か八かの賭けだった。

『ふっ、ついに気づいたか!』

『神狼』はためらう事なくその拳で風雅の体を貫いた。          

         『“疾風弾”!!』

「あぁ気づいたさ…大事なのは真っ向から打ち負かして調伏することじゃあねぇ…自分の力を受け入れることだ。だからお前の拳をこの身に受けた。すでに覚醒している俺に足りなかったのは、お前という強大な分身を受け入れること、そうして初めて完成する!」

『見事だ私よ!』

『神狼』は黒いモヤに代わり、貫かれた風雅の穴の中に入っていく。そして体から力が沸き上がり、本来の力を取り戻した。その影響で黒髪と同時に白髪が発生したのだ。

    「これが、完璧になることの答えだ。」

                 EPISODE13「光明」完

       

          次回 「真価」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ