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誰も知らない午前四時の証言  作者: 妙原奇天


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1/1

タイトル未定2025/12/01 12:57

第1章 午前四時の告白(1/??)


 成瀬は、教室の扉に手をかけたまま動けなくなっていた。

 午前四時の教室。そんな場所に人がいるはずがない――はずだった。


 しかし、そこにはひとり、女子生徒が立っていた。

 月明かりに照らされ、彼女の横顔は静かに沈んで見えた。


「……成瀬くん?」


 振り返った少女――三木さつきは、驚いたように目を瞬いた。

 成瀬は慌ててスマホを握りしめ直した。学校の自習室に忘れ物を取りに来ただけのつもりだった。誰かと遭遇する予定など、毛ほども想定していなかった。


「な、なんでこんな時間に……?」


「君こそ。四時に学校にいる男子なんて、私くらいだと思ってたよ」


 軽口のように言ったが、どこか声に震えが混じっている。


「ちょっと……確かめたいことがあって。先生に関係のあること」


「先生?」


 ここで、成瀬の胸に小さな違和感が芽生える。

 ――なぜ“先生”なのか。

 通常、こんな時間に確認したいのは“忘れ物”くらいだ。わざわざ“人”を確かめる理由があるだろうか。


「まぁ、いいよ。成瀬くんには関係ないことだから」


 そう言って去ろうとするさつきを、成瀬は思わず呼び止めた。


「三木さん、何かあったんじゃないの?」


 少女は立ち止まり、まっすぐ成瀬を見た。

 その瞳に宿っていたのは、恐怖でもなく、不安でもなく――覚悟だった。


「……もし明日、何か事件が起きたら。私が“四時にここにいた”って、証明してくれる?」


 成瀬の背中に冷たいものが走る。


「なんで、そんな――」


「お願い。私のこと、信じて」


 その言葉は、祈るように静かだった。


 翌朝、職員室で叫び声が上がった。

 数学教師・佐伯が校舎裏の階段から転落して、意識不明だという。


 そして、佐伯のスマホには、未送信のメッセージが残されていた。

 宛先は――三木さつき。


第2章 未送信メッセージの影(2/??)


 三木さつきの名前が、朝の職員室に緊張を走らせていた。

 教師・佐伯のスマホに残っていた“未送信メッセージ”は短かった。


――三木さん、あれは本当に君がやったのか?


 送信ボタンが押される前に、事故が起きたということだ。

 警察は事故として処理しようとしているが、教師たちの間では“事件ではないか”という噂が静かに広がっている。


 成瀬は、そんな空気の中で、授業を受けながらも落ち着かなかった。


(昨日、あんなふうに頼まれた以上……俺はもう無関係じゃない)


 だが、何をどうすればいいのかが分からなかった。

 授業中、気づくと隣の席の山崎に肘でつつかれた。


「なぁ成瀬。お前さ、朝からずっとボーッとしてね?」


「……いや、ちょっと」


 うまい誤魔化しが見つからず、曖昧に笑った。

 山崎は常に周囲の情報を敏感に嗅ぎ取り、教室の流れを読むのがうまいタイプだ。


「佐伯先生の事故、さ。自殺じゃないよな? 俺、昨日の放課後、先生が職員室で揉めてるの見たんだよ」


「揉めてた?」


「うん。誰かと電話してさ。“それ以上は困る”とか言ってて」


 山崎の何気ない一言が、成瀬の胸に重く沈んだ。


(誰かに脅されていた……? それが三木さん?)


 だが、さつきがそんなことをする理由など思いつかない。

 いや、そもそも彼女は“事件が起きる前”から「四時にいたことを証明して」と言った。


 それは――

 自分は犯人ではない、と言いたかったのだろうか。


 昼休み、成瀬は三木さつきを探した。

 だが、彼女の姿は校内どこにも見つからない。

 下校時間になっても、教室に戻って来る気配はなかった。


 不安がじわじわと胸に満ちていく。

 もしくは――事件に関わっている者から、彼女が何かをされたのではないか。


 帰り際、昇降口で成瀬はふと立ち止まる。

 靴箱の前に、誰かが立っていた。

 気配に気づかず、彼女はずっと下を向いたままだ。


「……三木さん?」


 呼びかけると、びくっと肩を揺らして振り向いた。


「成瀬くん……どうしてここに……?」


「探してたんだよ。大丈夫なのか?」


 彼女はしばらく沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。


「……私のせいだと思ってるんでしょ?」


「そんなことは――」


「じゃあ、訊くけど。どうして佐伯先生は、あんな未送信メッセージを残したの?」


 核心を突くように言われ、成瀬は言葉に詰まった。


 三木さつきは、落ち着いた声で続ける。


「成瀬くん。ねぇ、もし、もしもだよ……“私が犯人じゃない”って証明できたら、信じてくれる?」


「信じるよ。信じたい」


「信じたい、じゃなくて。信じて、ほしい」


 その声はあまりにも弱々しく、心細かった。


「……四時のことを話させて。あれには理由があるの。私……先生に呼び出されていたんだよ」


「佐伯先生に?」


「うん。昨日の放課後、“誰にも言うな”って言われて……“朝、四時に来い。君にだけ話したいことがある”って」


 成瀬の喉がひどく乾いた。


 ――密会?

 ――相談?

 ――告白?

 それらの単語が頭をよぎったが、どれもしっくりこない。


「それで、行ったら……誰もいなかった」


「誰も……?」


「うん。だから、確かめようとしたの。先生が何を話したかったのか。あの時間に来いなんて、普通じゃない」


 成瀬は考え込んだ。

 もし彼女の話が本当なら、


 ① 佐伯は三木さつきを四時に呼んだ

 ② しかし佐伯は来なかった(もしくは来られなかった)

 ③ その後、階段から転落し、未送信メッセージを残す


 だが、ここでひとつ、大きな矛盾が生まれる。


「……呼び出したのが本当なら、どうして佐伯先生は“君がやったのか”なんて書くんだ?」


 さつきはぎゅっと拳を握った。


「それが分からない。分からないから……怖いんだよ」


 そのとき、成瀬は気づいた。


 三木さつきは“疑われている”のではなく――

 すでに、誰かに“犯人に仕立てられようとしている”のだ。


「成瀬くん……お願い。もう一度、一緒に調べてくれない?」


「調べるって……何を?」


「先生が、私に会って何を言いたかったのか。

 そして……誰が先生を階段から落としたのか」


 さつきは、怯えたように成瀬を見つめた。


「本当のことを知らなきゃ、私……終わっちゃうよ」


 その目を見た瞬間、成瀬は腹の底に決意が灯るのを感じた。


「分かった。俺が、調べる」


 自分でも驚くほど迷いのない声だった。


第3章 矛盾するふたつの足音(3/??)


 翌朝、成瀬は早めに登校し、校舎裏にある事故現場を見に行った。

 まだ規制テープが張られたままで、階段の手すりにはわずかに擦れた跡が残っている。


(本当に事故だったのか?)


 段差を見下ろす。

 高さは大したことはないが、落ちどころが悪ければ頭を打つ。

 佐伯は意識不明のまま、まだ目を覚ましていないという。


 成瀬はふと、地面の端に白いものが落ちているのを見つけた。

 拾い上げてみると、折れたチョークだった。


(なんで、こんな場所に?)


 ここは授業で来るような場所ではない。

 教師がチョークを持ち歩く理由は、通常なら教室か職員室の間だけだ。


 そのとき、背後から声がした。


「何してるの、そこで?」


 振り返ると、生活指導の高嶺たかみね教師が立っていた。

 厳しい目つきの人物で、問題生徒に対しては容赦がないことで知られている。


「い、いえ……ちょっと気になっただけで」


「気になる? 事故現場をわざわざ見に来るなんて、物好きな生徒だな」


 冷たい声。その言い方に、監視されているような気配すらあった。


「別に、面白半分じゃありません。先生が心配で……」


「……そうか」


 高嶺は短く答えるだけで、それ以上は追及しなかった。

 代わりに、何か考え込むように成瀬を見つめた。


「ところで。昨日の朝、お前はどこにいた?」


 突然の問い。

 胸の奥が冷えた。


「どこって……いつの話ですか?」


「佐伯が倒れた時刻の前後、だ。生徒の中で早朝に登校していた者はいないか、確認している」


(なんで、そんなものを確認する必要がある?

 いや……逆に、確認しなければならない理由がある?)


「昨日は七時に来ました。部活があるので」


「ふむ……」


 高嶺は一度うなずき、何かに納得するように去っていった。

 だが成瀬の中には、新たな疑問が浮かんでいた。


(なんで“早朝に登校していた生徒”を探してるんだ?

 まるで、誰かのアリバイを壊そうとしているみたいだ……)


 教室に戻ると、山崎がノートを広げながらひそひそと話しかけてきた。


「おい成瀬、聞いたか? 佐伯先生……事故の直前に、誰かと一緒にいたらしいぞ」


「え? 誰と?」


「それはわからん。でも近くの防犯カメラに、影みたいなのが映ってたとか。部活の先輩が顧問から聞いたらしい」


 見えてきた。

 ――少なくとも、事故の瞬間、教師は“誰か”といた。


 成瀬の脳裏を、昨夜の三木さつきの言葉がよぎる。


(“先生は来なかった”

 それは本当に、彼女の見た時間だけの話か?)


 このとき、教室のドアが開き、噂の中心人物――三木さつきが入ってきた。

 ざわめきが起こる。

 明らかに彼女を見つめる視線の方向が変わった。


「……来るの、つらかっただろうに」


 山崎が呟く。


「昨日、ずっと学校にいなかったからさ。いろいろ言われてるぞ」


「どんな?」


「“呼び出してたのは三木じゃないか”とか……まぁ噂だけど」


 成瀬は席を立ち、三木さつきのもとへ向かった。

 彼女は少し驚いたが、すぐに表情をほぐした。


「昨日は……ごめんね。姿を見せなくて」


「三木さん、ひとつ聞いてもいい?」


「うん」


「四時に教室にいたって言ったよね。そのとき……誰かの足音、聞かなかった?」


 さつきは一瞬だけ目を泳がせた後、小さく頷いた。


「……聞いたよ。

 でも、それは先生だと思ってた。

 怖かったから、私は教室の影に隠れたまま……」


「その後は?」


「足音は途中で止まって……しばらくしたら、どこかへ行ったみたい。

 私が出て行った頃にはもう静かだった」


 成瀬は、そこで気づいた。


「あの時間、校舎には先生しかいない。

 でも……もしもう一人いたとしたら?」


 さつきは息を呑んだ。


「まさか――」


「そう。

 先生と一緒にいた“誰か”の足音だったかもしれない」


 さつきの肩が震えた。


「でも……じゃあ、その人は何のために?」


「分からない。けど――」


 成瀬は、あの未送信メッセージの文面を思い出す。


――三木さん、あれは本当に君がやったのか?


(あれ、って……何だ?

 階段から突き落としたこと……?

 それとも、別の何か……?)


 だが、成瀬が考え込んだ次の瞬間、さつきが震える声で言った。


「成瀬くん……怖い予感がする。

 私、知らないうちに――誰かの“秘密”を見ちゃったのかもしれない」


 その言葉は、ただの勘ではなかった。


 ――その日の放課後、第二の事件が起きた。


 



第4章 二つ目の「事件」


 第二の事件は、拍子抜けするほど静かな形で起きた。


 放課後、職員室前の廊下に人だかりができていた。何事かと近づくと、学年主任の堀内が顔をしかめていた。机の上には、空になったトレーだけがぽつんと置かれている。


「おい、本当に見当たらないのか」


「はい。さっきまでここに置いてあったんですが……」


 若い国語教師が青い顔をして答えた。


「何があったんですか」


 成瀬が廊下の端から声をかけると、振り向いた教師のひとりがため息をついた。


「二年の数学の小テストがね。答案用紙ごと、束になって消えちゃったんだよ」


 どっとざわめきが広がる。


 小テスト。佐伯の科目だ。


 堀内は腕を組み、周囲を睨むように見渡した。


「職員室は放課後も鍵がかかっている。出入りするのは教員と、許可を得た生徒だけだ。誰か不審な者を見なかったか」


 沈黙が落ちる。

 そのとき、生活指導の高嶺が何かを拾い上げた。


「これは……」


 彼の手には、黒いヘアゴムが握られていた。女子生徒がよく使う、シンプルな輪。


「見覚えのある者はいるか」


 数人の女子が顔を見合わせた。


「それ、三木さんのじゃない?」


 ぽつりと漏れた声が、廊下の空気を一段重くした。


 成瀬は思わず息を呑んだ。

 高嶺は、ヘアゴムを細く広げながら呟いた。


「さっきまで、廊下の端に落ちていた。職員室の出入り口のすぐそばだ。……三木はどこにいる」


 職員室の奥から、誰かが答えた。


「さっき呼んできました」


 ほどなくして、三木さつきが姿を見せた。

 彼女は状況を一瞥し、すぐにヘアゴムに気づいた。


「あ、それ……私のです」


 素直に認めたその一言が、周囲の疑いの視線を一斉に彼女へ向けさせた。


「三木。放課後、ここに来ていたか」


 高嶺の声は硬い。


「はい。佐伯先生の様子を、保健室で聞こうと思って……そのあと、職員室に顔を出しました」


「そのとき、このテストの束を見たか」


「見ました。机の上に置いてあって……でも、触っていません」


「ヘアゴムは?」


「たぶん、そのとき落としたんだと思います」


 高嶺は目を細めた。


「都合のいい話だな。テストが消えた時間帯に、お前のヘアゴムだけが落ちている」


「私じゃ、ありません」


 さつきの声は震えてはいなかった。ただ、少し低くなっている。


 堀内が割って入った。


「まぁ、高嶺先生。まだ決めつけるのは早いでしょう。テストの束がどこかに紛れた可能性もある」


「しかし――」


「今はこれ以上、生徒の前で追及しない方が賢明です」


 堀内の言葉に、高嶺は不満そうに肩をすくめると、それ以上何も言わなかった。


 人だかりが少しずつ散っていく。

 成瀬は廊下の柱の陰で、さつきが小さく息を吐くのを見た。


 その横顔には、明らかな疲れが浮かんでいた。


 その夜、成瀬はなかなか眠れなかった。

 四時の教室。未送信メッセージ。チョークの欠片。そして消えた小テスト。


(ばらばらの出来事に見える。でも、どこかで一本の線につながっている気がする)


 机の上にノートを広げ、思いつくままに要素を書き出していく。


 ・佐伯が四時に三木を呼び出した

 ・しかし四時の時点で教室には現れなかった

 ・翌朝、階段から落ちて意識不明

 ・スマホには「三木さん、あれは本当に君がやったのか?」という未送信メッセージ

 ・事故現場近くに折れたチョーク

 ・二つ目の事件として、小テストの答案が消える

 ・現場には三木のヘアゴム


(まるで、全部三木さんに疑いが向くように出来上がっている)


 もし本当に彼女がやったなら、こんな分かりやすい証拠を残すだろうか。

 それに、彼女の性格を考えれば、何かをひた隠しにして笑っていられるタイプではない。


 視線が、ノートの一角に書いた言葉に止まる。


「あれは本当に君がやったのか?」


 あれ、とは何だ。

 階段から突き落としたこと。

 テストを盗んだこと。

 それとも、まったく別の何か。


 成瀬はペンを置いた。


「……まずは、四時の足音からだな」


 混乱しているときは、一番単純なところから順に片付けていく。

 佐伯の事故が事件か否かを見極めるには、その前後に誰がどこを歩いていたのか、確認する必要がある。


 翌朝、成瀬は山崎に声をかけた。


「なぁ、昨日の事故の前、誰かが校舎をウロウロしてたって話、聞いてないか」


「ウロウロ? ああ、用務員さんじゃないの?」


「用務員さん?」


「うん。朝早く、見回りしてるって聞いたぞ。鍵の締まりとか、電気の点けっぱなしがないかとか」


 山崎はそれだけ言うと、「なんだよ急に推理ものか?」と笑った。


 成瀬は、その一言に引っかかった。


(四時の足音。三木さんは、教師か誰かのものだと思い込んでた。でも実際には――)


 彼は、誰かに確かめるべきだと感じた。


 用務員室に行くと、年配の男性が新聞を読んでいた。


「すみません。ちょっと聞きたいことがあって」


 成瀬が頭を下げると、用務員はメガネ越しにこちらを見た。


「なんだい」


「昨日の朝、四時ごろ、校舎の中を見回りしていましたか?」


 男は少し考え込んでから、頷いた。


「してたよ。最近、夜遅くまで残る教師もいるし、電気の消し忘れも多いからね。四時といっても、正確には三時半から四時半の間だけどな」


「そのとき、三階の教室の前を通りましたか」


「通った。誰もいなかったよ」


「本当に?」


「見落としたなんてことはない。電気も消えていたし、人影もなかった」


 成瀬は、胸のどこかが冷たくなるのを感じた。


(三木さんは、確かに誰かの足音を聞いたと言った。でも、用務員は誰も見ていない)


 男は続けた。


「ただ……階段の踊り場で、佐伯先生に会ったな」


「佐伯先生に?」


「うん。板書の内容をメモしてたらしい。チョークを持って、手すりにもたれながら考え込んでいた。危なっかしいなと思ったけど、声はかけなかった」


 そこで、成瀬の頭の中で、ぱちんと何かが繋がった。


 折れたチョーク。

 踊り場。

 手すりにもたれて考え込む教師。


「そのあと、佐伯先生はどうしましたか」


「さぁな。わしは別の棟のチェックがあったから、そのまま行った。倒れたって聞いたのは、ずっと後だよ」


 つまり。


 四時ごろ、三階にいたのは佐伯と用務員だけ。

 教室には誰もいなかった。

 足音は、おそらく用務員か佐伯のものだ。


(三木さんは、暗い中で足音を聞いて、教師のものだと決めつけた。でも実際には、自分が怖がっていた分だけ、音が大きく聞こえていただけかもしれない)


 四時の教室には、彼女ひとり。

 少なくとも、その時点で誰かが佐伯を襲ったという証拠はない。


 成瀬は、ひとつだけ確信に近いものを得た。


(佐伯先生の転落は、少なくとも四時の時点ではまだ起きていなかった。

 そして、事件というより――単なる事故である可能性が高い)


 だとすれば、未送信メッセージの「あれ」は、階段のことではない。

 別の何か。


 成瀬は、胸の内でひとつの仮説を立てる。


(三木さんと佐伯先生をつなぐ、もう一つの出来事……)


 答えが出ないまま、昼休みになった。


 


第5章 優等生の影


 屋上への階段踊り場は、昼休みの隠れた人気スポットだった。

 人目を避けたいとき、ひとりになりたいとき、ここに来る生徒は多い。


 三木さつきも、そのひとりだった。


 成瀬が階段を上っていくと、手すりにもたれて校庭を見下ろす彼女の背中が見えた。


 声をかけようか迷ったが、結局、足音で自分の存在を知らせることになった。


「……また、来たんだね」


 さつきが振り向いた。


「うん。話したいことがあって」


「私に? それとも、私のことを聞きに?」


「両方」


 正直に答えると、彼女はかすかに笑った。


「成瀬くん、変わったよね」


「変わった?」


「前はもっと、人のことに興味なさそうだったのに。最近は、よく目が合う」


 そういえば、そうかもしれないと成瀬は思った。

 この一週間で、自分の視線は何度、彼女の動きを追っただろう。


「三木さん。質問させてほしい」


「どうぞ」


「四時の教室にいたのは、本当に君ひとりだった?」


「うん」


「その前に、誰かと約束していた? 佐伯先生以外に」


「してない」


 即答だった。嘘をついているようには見えない。


「じゃあ、もうひとつ。最近、数学の小テストで平均点が異常に高かったこと、なかった?」


「……やっぱり、その話になるんだ」


 彼女のまぶたがわずかに伏せられた。


「中間考査の前の小テスト。クラスの平均が、いきなり十点近く上がった。あれ、偶然じゃないよね」


「どうしてそう思うの?」


「山崎が言ってた。『あのときだけ、テスト範囲が妙に狭かった』って。先生が手を抜いたのか、誰かが何かしたのか」


 さつきは黙ったまま、手すりを握りしめた。


「小テストの答案が消えたのも、偶然じゃないと思う。誰かが、もう一度やり直させようとしている。……それも、なるべく傷を浅くして」


 沈黙が長く伸びた。


 ようやく、さつきが口を開いた。


「成瀬くん。もし私が、誰かを守るためにルールを破っていたとして……それでも、まだ私のことを信じてくれる?」


「守ろうとした相手による」


「正直だね」


 彼女は小さく笑ってから、真剣な表情に戻った。


「……中間考査の前にね。私、ひとりの子が保健室で泣いてるのを見たんだ」


「誰?」


「名前は言わない。言った瞬間、その子はまた傷つくから」


 彼女の声は淡々としていたが、その奥に硬い決意があった。


「その子、ずっと部活でレギュラーを目指して頑張ってた。でも、成績が足りなくて、このままじゃ大会前に推薦が取り消されるかもしれないって。『一回くらいズルしてもいいから、点数が欲しい』って、本気で言ってた」


 成瀬は息を呑んだ。


「そのとき、私、思い出したの。兄のこと」


「兄さん?」


「うん。三つ上に兄がいるんだけど、中学のとき、一度だけカンニングしたの。ほんの一問、だよ。でもそれが見つかって、停学になって……そのまま高校受験も失敗して。今も家にこもりがち」


 彼女の視線は遠く、校庭の向こうを見ていた。


「私はずっと思ってた。点数って、そんなに重いのかなって。一問分の間違いで、人の人生を何年も縛るほどの価値があるのかなって」


 成瀬は、言葉を挟めないでいた。


「だから、その子が『一回くらいズルしても』って言ったとき、本当に怖くなった。兄と同じ道を歩むんじゃないかって。先生に言えば、きっと正しく処理される。でも、その正しさが、あのときの兄を潰したんだって思うと……」


「……言えなかったんだな」


「うん。その代わりに、私がやった。

 テストの前日、黒板に板書される問題の傾向を、スマホで撮って、その子にだけ送った」


 それは、紛れもないルール違反だった。


「その子は、すごく喜んでた。

 でも、テストの平均点が上がりすぎて、佐伯先生は気づいたんだと思う。『誰かが問題を知っていた』って」


 中間考査の後、佐伯が一部の生徒を個別に呼び出していたという噂を、成瀬は思い出した。


「あのとき、先生、私にだけ言ったの。

 『君は何か知っているね。でも、それを言ったら、誰かの人生が変わる。だから、今は何も聞かないでおく』って」


 さつきの目に、かすかに光が差した。


「それからしばらくして、先生が私のスマホのロック画面を見ちゃったんだ。

 送信履歴の残骸……きっと気づいたんだと思う。送った相手も、内容も」


「だから、未送信メッセージ……」


「うん。『あれは本当に君がやったのか?』って、訊きたかったんだと思う。

 本当は、その子から頼まれたんじゃないか。

 もしくは、私以外の誰かが関わっているんじゃないか。

 でも、先生は私を責めなかった。責めるなら、もっと早く呼び出してる」


 さつきの声が、少し震えた。


「四時の呼び出しは、その続きだったんだと思う。

 『全部を聞かせてくれ』って。

 でも、先生は来なかった」


 代わりに、階段から落ちた。

 折れたチョークを握ったまま。


「小テストの答案が消えたのは」


 成瀬が問うと、さつきはゆっくりと頷いた。


「あれは……私がやった」


 その一言は重く、だが驚くほど静かだった。


「クラス全員を巻き込むことになるって分かってた。でも、あのテストが残っている限り、誰かひとりだけが『ズルをしたやつ』としていつか炙り出される。先生が変わろうとしてくれてたのは分かる。でも、先生も人間だから。どこかで『本当の犯人』を知りたくなるかもしれない。だったら、最初から答案なんてなければいい」


「だから、消した」


「うん。職員室に行ったとき、机の上に束が置いてあった。

 先生は今、意識がなくて、誰もあの束を気にしていない。

 私が持ち出せば、きっと、誰かに見つかる。

 それでも……どうしても、やり直させたかった」


「やり直し?」


「テストをなかったことにして、全員が同じ条件で、別の日にもう一度受ければいい。

 そうすれば、ズルをした子も、正々堂々と点数を取ればいいだけになる。

 もちろん、それまでのことは消えない。でも、せめて――『一度の過ち』で決定的に人生が折れる未来だけは、なくせると思った」


 成瀬は、胸の奥に生じた感情に名前をつけられなかった。


 怒りではない。

 軽蔑でもない。

 ただ、どうしようもない切なさと、ほんの少しの敬意が混ざったようなものだった。


「……優しすぎるよ」


 思わず漏らした言葉に、さつきは首を傾げた。


「優しい?」


「自分が疑われるって、最初から分かってただろ。

 ヘアゴムだって、わざと落としたんじゃないのか」


 彼女は少しだけ目を見開いてから、苦笑いした。


「成瀬くん、鋭くなったね。

 半分、当たり。半分、外れ」


「どういうこと」


「ヘアゴムは、本当に落としただけ。

 でも、私が疑われるのは、想像していた。

 だから、逃げなかった。呼び出されても、正直にここへ来た」


「怖くなかったのか」


「怖かったよ。

 でも……兄のとき、誰も代わりに責められてくれなかった。

 全部、一人でかぶるしかなかった。

 だったら今度は、私が誰かの盾になってもいいかなって、ちょっと思った」


 その考え方自体が、すでに危ういことは分かっている。

 それでも、彼女の言葉はまっすぐだった。


「先生が意識を取り戻したら、きっと私のことを探ると思う。

 だから、その前に……ちゃんと全部、終わらせたかった」


「終わらせるって、どうやって」


「分からない。

 でも、成瀬くんがこうして聞いてくれたから、少しは整理できるかもしれない」


 彼女はそう言って、ふっと笑った。


「ねぇ成瀬くん。

 もし、全部が明らかになったら……私のこと、どう思う?」


「どうって」


「犯罪者? それとも、ただのバカ?」


 成瀬は、少しだけ考えた。


「たぶん――『優しすぎる犯人』だと思う」


 さつきが、目を丸くした。


「それ、褒めてる?」


「分からない。

 でも少なくとも、悪意だけで動いた人間じゃないってことだけは、俺は知ってる」


 その言葉に、彼女は少しだけ肩の力を抜いたようだった。


 


第6章 問いの行き先


 週が明けた月曜日。

 朝のホームルームで、担任が告げた。


「佐伯先生が、意識を取り戻したそうだ」


 教室がどよめいた。

 しかし続く言葉は、期待を静かにしぼませた。


「ただ、まだはっきり話せる状態ではない。詳しいことは、医師の判断を待つことになっている。事故の原因についても、警察が引き続き調べているそうだ」


 成瀬は、窓の外の空を見た。

 曇っている。薄い雲の層は、どこかはっきりしない今の状況を映しているようだった。


 昼休み、食堂から戻る途中で、高嶺に呼び止められた。


「成瀬、少し時間をくれ」


 職員室の隅にある小さな応接スペースに通される。

 テーブルの上には、例の小テストの答案束が置かれていた。


「見つかったんですか」


「用務員室の脇のゴミ箱に捨てられていた。シュレッダーにかけるつもりだったが、途中で何らかの理由でやめたのだろう」


「犯人は」


「まだ分からない。だが、テストの日に異常な平均値が出たことについては、教師の間でも問題になっている」


 高嶺は、じっと成瀬を見つめた。


「お前は、何か気づいているんじゃないか」


「どうして俺に」


「最近、お前が三木とよく一緒にいるからだ。

 それに、お前の目は……何かを隠している生徒の目じゃない。

 何かを見ようとしている目だ」


 その言い方は、褒め言葉なのか警戒なのか判断しづらかった。


「俺は、ただ……三木さんが一人で責められるのは、おかしいと思っているだけです」


「おかしい?」


「先生たちは、『テストが消えた』『ヘアゴムが落ちていた』という事実だけを見ている。

 でも、その前に何があったかには、目を向けようとしない」


「前に何があった?」


「佐伯先生が、誰かのためにバランスを取ろうとしていたことです」


 高嶺の眉がぴくりと動いた。


「どういう意味だ」


「佐伯先生は、中間考査の前の小テストで、平均点が急に上がったことに気づいていました。でも、そのとき誰かを責める代わりに、次のテストで出題の仕方を変えた。範囲を広げる代わりに、計算問題を減らしたり、記述に重きを置いたりして」


「それがどうした」


「誰かひとりを『カンニングした犯人』として名指しにするのではなく、評価そのものの形を変えようとしていた。

 ルールを守らせることと、人を潰さないこと。その両方を満たそうとしていたんです」


 高嶺は、しばらく沈黙した後、鼻で笑った。


「甘いな。教師は刑事じゃない。真犯人を見つけることが仕事ではない」


「それでも、先生は探そうとした」


「なぜそう言い切れる」


「未送信メッセージです。

 『あれは本当に君がやったのか?』

 これは、ただ責めるための言葉じゃない。

 『本当に一人で抱え込んだのか』『誰かをかばっていないか』って、確認しようとした言葉です」


 高嶺は、ゆっくりと腕を組んだ。


「……誰に聞いた」


「誰にも。

 ただ、四時の教室でのことや、小テストのこと、いろんな話をつなげていったら、そうとしか思えなかっただけです」


「推理小説の読みすぎだな」


「そうかもしれません」


 軽く受け流すと、高嶺はふっと視線をそらした。


「お前の言うことには、一理ある。

 だが、現実には、誰かが規則を破ったことは確かだ。

 それを見逃していれば、学校の秩序は崩れる」


「秩序のために、一人を切り捨てるんですか」


「ときには、そういう判断も必要だ」


 その言葉には迷いがなかった。

 だからこそ、成瀬は問わずにはいられなかった。


「じゃあ先生は、兄が一度のカンニングで人生を狂わされた生徒を見ても、同じことが言えますか?」


 高嶺の目が鋭くなった。


「その話を、誰から聞いた」


「例え話です」


 成瀬は視線をそらさなかった。


「俺は、ルールを守ることが大事だってことは分かってます。

 でも、それ以上に大事なのは、そのルールで誰を守るのかだと思う」


「……ふん。

 お前が教師になればいい」


「なる気はありません」


 短いやり取りの中で、何かがわずかに動いた気がした。

 高嶺は大きなため息をつき、テーブルの上の答案束を指で叩いた。


「このテストは、もう使わん。

 佐伯が目を覚ましたら、本人に処遇を任せる。

 ただし――」


 彼は成瀬をじっと見た。


「もしお前が何か知っていて、誰かを一人で抱え込んでいるのなら、それは正義でも優しさでもない。

 ただの自己満足だ。

 それだけは覚えておけ」


 その言葉は、どこか遠回しに、誰かを連想させた。


 


終章 午前四時の証言


 一週間後。

 佐伯が、病室で短時間なら話せるようになったという連絡が入った。


 代表して見舞いに行ったのは、学年主任と、数人の生徒会役員だった。

 成瀬もその一人に選ばれた。


 病室は、思ったよりも明るかった。

 白いシーツの上で、佐伯は上半身を少し起こしていた。右腕にはまだギプスがはめられている。


「心配かけたな」


 その声はかすれていたが、確かにいつもの授業で聞く口調だった。


「先生、階段のこと、覚えてますか」


 学年主任の問いに、佐伯はしばらく目を閉じてから頷いた。


「覚えている。

 あの朝、俺は踊り場で板書の構成を考えていた。

 チョークを手すりに乗せて、教科書を片手に持って……足を滑らせた」


 淡々とした言い方だった。


「誰かに突き落とされたのではないんですね」


「ああ。

 そんなドラマみたいなことが、本当に起きると思うか?」


 その一言に、学年主任はほっと息を吐いた。


「未送信のメッセージについて、警察からも聞かれましたが……」


「あれか」


 佐伯は、少しだけ苦い笑みを浮かべた。


「あれは、ただの俺の弱さだよ。

 『本当に君がやったのか』なんて、最後まで送れなかった。

 送った瞬間、その子を疑ったことになるからな」


 成瀬の胸が、わずかに締めつけられる。


「先生は、その『子』のことをどう思っているんですか」


 思わず口を挟んでしまった。

 学年主任が眉をひそめるのも構わず、佐伯の答えを待つ。


「どう、ね」


 佐伯は天井を見上げた。


「正直、最初は腹が立った。

 テストの公平さを壊された気がして。

 でも、その子が何のためにやったのかを考えたとき、その怒りは少しだけ方向を変えた」


「方向を変えた?」


「俺は教師だけど、人間でもある。

 ルールは守らなきゃいけない。

 でも、守らせるために人を壊したら、本末転倒だ。

 その子は、たぶん……壊れそうな誰かを、先に守ろうとしたんだろう」


 病室の空気が、少しだけ柔らいだ気がした。


「だから、小テストの答案が消えたと聞いたとき、正直に言えばほっとした。

 『ああ、まだ間に合う』って」


 意外な言葉だった。


「間に合うって、何がですか」


「やり直すことだよ」


 佐伯は少し笑った。


「点数だけで評価するのをやめる。

 授業態度やレポート、プレゼンテーションも含めて、総合的に見る。

 テストで一度失敗したからって、すぐに『落第候補』にしない。

 そんな当たり前のことを、ようやく真剣に考え始めたところだった」


 彼は、ベッド脇の小さなノートを指さした。


「ここに、その案を書きためてある」


 ページの端から、いくつかの言葉がちらりと見えた。


 「やり直し」「猶予」「一度の過ちと生涯の重さ」


 どれも、さっき聞いた話と響き合うものだった。


「先生。

 もし、その『子』が、自分のしたことを全部話しに来たら、どうしますか」


 成瀬が問うと、佐伯は少しだけ目を細めた。


「まず、『よく話してくれた』と言う。

 それから、一緒に考える。

どうすれば、その子が背負っているものを少しでも軽くできるか」


「罰しないんですか」


「罰は必要だ。

 ただし、その目的は『線を引くため』じゃない。

 『もう一度歩けるようにするため』だ」


 その言葉に、成瀬は胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。


 病室を出たあと、エレベーター前で学年主任が言った。


「今日はありがとう。

 佐伯も、お前たちの顔を見て元気をもらったと思う」


「俺は何もしてません」


「いや、お前の質問は大きかったよ。

 あの様子じゃ、あの未送信メッセージをずっと後悔していたんだろう。

 誰かに聞かれることで、ようやく自分の中で整理できたようだ」


 病院を出ると、空は少しだけ明るくなっていた。

 曇りの隙間から、細い陽が差し込んでいる。


 校門までの道を歩きながら、成瀬はポケットからスマホを取り出した。


 メッセージの画面を開く。

 三木さつきの名前の横には、何も打ち込まれていない。


 少し迷ってから、短く文字を打った。


「先生は、ちゃんと聞いてくれる人だと思う」


 送信ボタンを押す。

 ほんの数秒後、「既読」のマークがついた。


 しばらくして、返信が来た。


「午前四時じゃなくて、ちゃんと昼間に話しに行く」


 その一文に、成瀬は小さく笑った。


 翌日、三木さつきは一人で職員室へ向かった。

 その背中を見送りながら、成瀬は思う。


(午前四時の証言は、もう必要ないのかもしれない)


 あの時間の教室に、確かに彼女はひとりで立っていた。

 それは、誰かに頼まれたことではなく、自分の意思でそこにいたという証だ。


 でも、これから必要なのは、暗い教室の中で震えながら待つことじゃない。

 昼間の、顔の見える場所で、言葉を交わすことだ。


 小テストは、やり直しになるらしい。

 それを聞いたクラスメイトたちは一瞬不満を漏らしながらも、「まぁ、もう一回チャンスがあるならいいか」とすぐに切り替えていた。


 誰も、犯人を探そうとはしなかった。

 それは、佐伯が先に「誰も犯人にしない」という選択をしたからだ。


 成瀬は、教室の窓から校庭を見下ろした。

 雲の切れ間から、柔らかい光が差し込んでいる。


(優しすぎる犯行、か)


 ルールから見れば、確かにそれは許されないことだった。

 でも、その動機は、誰かを守ろうとすることだけだった。


 世界は、そんなに甘くない。

 一度の過ちが、一生を左右することだってある。

 しかし、それでも――


(誰かがどこかで、その重さを少しだけ軽くしようとしている)


 その事実だけは、きっと無駄にはならない。


 チャイムが鳴った。

 午後の授業が始まる。

 成瀬は席に戻り、教科書を開いた。


 そのページの余白に、小さく一行、文字を書き込む。


「誰も知らない午前四時の証言は、たぶんこれで終わりだ」


 そして、何事もなかったかのように、授業が始まるのを待った。


 日常は、何事もなかったかのように続いていく。

 でも、確かにどこかで、何かが少しだけ変わっていた。


                                 了


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