SF作家のアキバ事件簿234 光る森の秘密
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第234話「ミユリのブログ 光る森の秘密」。さて、今回は萌え始めた頃の秋葉原を舞台に多発する発光現象の謎に迫ります。
裏アキバの零貫森で謎の発光現象が相次ぎ、時空断層"リアルの裂け目"の発現が噂されます。主人公は、同じく調査に乗り出した警察と競争になりますが…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 光る森
裏アキバにある芳林パークは、奥が森になっていて夏は夜な夜な待ち切れない(何を?)恋人達で賑わう。
ぴかっバリバリ!ゴロゴロゴロ…
お盆だというのに突然の雷鳴だ。バックシートを倒し楽しんでた2人は凄い爆音?に顔を見合わせる。
"零貫の森"で何かが起きている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「は、は、はっくしょん!」
ミユリさんのクシャミに併せて御屋敷の照明が明滅スル。単なる偶然で彼女の電撃技とは無関係だが…
"夏風邪のひき始めって最低。鼻のムズムズする感覚は、何か嫌なコトが起きるのを予感させる。賢く予防すれば何とかナルけど、油断するといつも足元をすくわれる…"
ミユリさんは、御屋敷のバックヤードで今どき珍しいブログを描いてる。盟友のスピアが入って来る。
「ミユリ姉様!私達、今日から生まれ変わりましょ!残りの青春、好き勝手に楽しまなきゃ!」
「…スピア。またママと何かあったの?」
「もう男に振り回される人生なんて金比羅様、じゃなかった、まっぴら様ゴメンょ!ね?姉様もそう思うでしょ?」
スピアはプロレスラーがリングインする時みたいに上着を脱ぎ捨てる。下は水着ではなくメイド服だ。
「やっぱり、ママが原因ね?」
「…とにかく!年から年中、男のコトばかり考えて、結局最後はボロボロになって捨てられてる。ソンな人生に何か意味がアル?だったら、私達はもっと新しい喜びを見つけましょ?ソレは…百合よっ!」
「きゃあ!スピア、何スルの?」
突然メイド服の前をはだくと…下は臍ピアスだ。
「じゃじゃーん!」
「スゴい!ピアスしたの?」
「ミユリ姉様!私達は、よりワイルドに、ぶっ飛んだ青春を楽しも?コレは私の宣戦布告。この素晴らしい腐女子時代をトコトン楽しむわ!」
スピアはイケイケだが、ミユリさんは懐疑的だ。
「でも、どうしておヘソにピアスをすると、青春をエンジョイ出来るの?」
「安心して。私だって、おヘソに穴なんか開けてナイわ。ほら」
「なーんだ」
マグネット式のノンホール鼻ピアスだw
「そんなの鼻ピ…は、は、はっくしょん!」
「姉様。エキナシア、ちゃんと飲んでる?」
「1日に4回も飲んでるわ」
ボヤきながらインバウンドで満員のホールに出る。
「メイド長!ちょっち手を貸してくれ!」
「YES。テリィ様」
「げっ!ソ、ソ、ソレは鼻ピ…」
あまりの満員ぶりに、ヲーナーである僕自らホールに出てたのだが…ミユリさんの顔を見て絶句スル。
「冗談です、テリィ様。ノンホールですから安心して」
「ミユリさん。まさかタトゥとかしてないょね」
「最後に私を見た時にはどーでしたか?」
僕は溜め息をつく。僕達は別れたばかりなのだw
「ミユリさんとは話らしい話もしなくなってしまったからね。僕は、とても心配なんだ」
「でも、今のこの状況を望まれたのは、テリィ様の方ですから…ソレにしても、週末が楽しみです」
「…え。週末って何だっけ?」
外神田町会の盆踊りか?
「メイド協会が主催スル"御屋敷ヲーナーとメイド長のための1泊防災訓練"です。昌平小学校の体育館を避難所に見立てて1泊する防災訓練ナンですが…ま・さ・か!サボるおつもりですか?」
「え。あ、あ、そーだった。もちろん、覚えてたし、参加スルに決まってるさ。ただヲーナー仲間は誰も参加しないみたいだから…」
「テリィ様。防災なくして推し活ナシです。いくら私達が別れたとはいえ、防災の心構えまでも失ってはなりません。備えょ常に!そもそも、テリィ様は…」
ソコへ、パーツ通りの向かいにある"タイムマシンセンター"の館長がスゴい勢いで飛び込んで来るw
「テリィたんは?…あ、君!君はテリィたんの彼女だったね!」
「彼女?!え、ええ。だった、って…」
「彼は何処だ!秋葉原の一大事だと言うのに!」
僕は、素早くカウンターの中に身を潜める。苦手ナンだ、館長。僕のバイト先の上司ではあるのだがw
「館長さん。一大事って?」
「待ち望んでいたモノが遂に来たのさ!やっと現れたんだよ!」
「だから、何が?」
メイド達は息を飲む。僕は…天を仰ぐ。
「タイムマシンだょ!時空の扉が遂に開いたンだ」
第2章 宣戦布告
カウンター席に地図を広げる館長。実に迷惑だなw
「この辺りだ…芳林パーク奥の"零貫森"。ココで時空断層、いわゆる"リアルの裂け目"が発生した可能性がアル…あ、私の言う"リアルの裂け目"とは、ある種のタイムトンネルと考えてもらえば良い」
早くも何を逝ってるのかワカラナイょw
「館長。その情報は何処から仕入れたンですか?」
「警察無線をモニターしてる。その後の公式発表は全くアテにならんからな」
「で、目撃者はいるの?」
念のために聞く。既に猛烈ウサン臭いw
「いる。インバウンドの家族連れとスナフキン気取りのソロキャンパー、釣り人も目撃してルンだ。私は、今までニセモノなら何度も見てきた。私は騙されない。今度のは本物だ」
「(こーゆー人がヲレヲレ詐欺に引っかかルンだょ)でも"零貫森"は広いからなぁ」
「だ・か・ら!警察に探させるのさ。ワレワレは無線で彼等の動きを追えば良い」
地図にコンパスを広げて円を描く館長。
「必ず、この円の中に"リアルの裂け目"がアル」
「…で、目撃者は何を見たンdeathか?」
「強烈な光だ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"目撃者"は、既に連行、じゃなかった、出頭してラギィ警部の事情聴取に"自発的に"応じている。
「ねぇもっと具体的に話してくれない?いつも貴方が森で痴漢してるのはわかってるの。ソレを大目に見てあげるって言ってるのょ?だから、話して」
「断る」
「大きさや色は?光が消えるまでの時間は?」
異様に粘着質なラギィ。彼女は僕の元カノだw
「警部さん。言っておくが、俺は、いいね欲しさにフェイクニュースを流すバカとは違う」
「あらあら。ソンなコトは知ってるわ」
「そーゆー連中は、みんな病院送りになったり、警察に捕まったりスル。この取り調べも俺を起訴スルための証拠集めだろう」
その通りだがラギィは煙に巻く。
「そんな心配はいらないわ。コレは取り調べじゃなくて事情聴取。しかも、貴方は自発的に暑に出頭して来た善良な市民。逮捕なんかしないわょ(大ウソです)。たとえ、貴方が森でカップルのお楽しみのノゾキをやってる痴漢だとしてもね…で、ロッキ・ツリビさん。あ、ロッキと呼んでも良い?」
「勝手に呼べ。零貫森は、あの夜トンでもない強い光に包まれていたんだ」
「そーだったの?ナルホドね。もっと詳しく話してくれる?鋭い光だったのね?…どうしたの?あ、わかったわ。ICレコーダーは止めるわね」
何とラギィは痴漢の横にキャバ嬢座りスル。
「ねぇロッキ。ココには貴方と私しかいないわ。2人だけの秘密ょ。何を見たのか一部始終を詳しく話して。警官バッチにかけて誓うわ。私は、誰にも口外しない」
ダメ推しで膝に手を置かれ、語り出す痴漢。
「アレは、まるで落雷みたいな白くて熱い光だった。いや、きっとX線みたいな光で…間違いない。アレは"リアルの裂け目"だ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷のホールを逝くスピア。誰もが振り向き、口笛を吹き笑顔を投げかける。まるで女王様の降臨w
「スピア!おぉすげぇ!」
「マジかょやったな、スピア!」
「もぉたまんねぇなー」
最後のはインバウンドのアラビア語だw
「どーしたの!スピア、その、胸は」
「えっへん。ミユリ姉様、実は新幹線ガード下のリトル光州で中国製下着"悪油"を買ってみた。弾力性に富むオイルのパッドがブラの中に入ってる。手術ナシで巨乳が完成、魅惑の谷間もゲットってワケ」
「ソレで、こんな巨乳に?コレが宣戦布告なの?」
微乳のミユリさんはパッドと知って安堵スル。
「もうチェキのオーダーが10件も入ってるのょ。推し変した御主人サマもいたわ。モテモテよ。姉様も試してみる?」
「私は…また今度」
「あら、テリィたんだわ」
ちょうど、僕は御屋敷のバックヤードに入って逝くトコロだ。因みに、僕はこの御屋敷のヲーナーだ。
「テリィ様…またバックヤードにメイドを連れ込む気かしら?私からテリィ様を奪うメイドは…まさかスピア、その胸で貴女?」
「違います!ソレより姉様、もうヲタクには振り回されないって約束でしょ?」
「別に振り回されてナイわ。ただ、ウチのバックヤードは別名"愛の部屋"って呼ばれていて…どんなメイドがお好きなのか気になるだけょ」
立派に振り回されてる。ソコへ現れたメイドは何とマリレだ。今度はスピアが目を真ん丸くして驚く。
「あら嫌だ。どーりで私と百合にならないワケね」
「みんなどーした?何でスピアを見てルンだ?…わぉ!スゲェな、そのスイカみたいな胸!」
「YUI店長。コレが中国製下着"悪油"の威力よ。店長も試してみる?もしかしたら、巨乳ならぬ巨根…」
激しく首を振るYUI店長。チラシを推しつける。
「no thank you!ソレより、このチラシをどうぞ。コレを全部配り終えるまで俺は店には帰れないンだ」
「え。"御屋敷ヲーナーとメイド長の1泊防災訓練"?こんなの誰が参加スルの?」
「知らないょ。ただ、我がパーツ通り商店会は防災訓練が大好きで、ハッキリ言って途方に暮れてる。ところで、スピアのトコロはシングルマザーだったょな?」
老舗ホットドッグ"マチガイダ・サンドウィッチズ"のYUI店長はスピアを子供の頃から知っている。
「え。悪い?またママに言い寄るつもりなら、ソレこそno thank youだけど」
「まさか。だが、俺は全てのシングルマザーのキッズの父親代わりを自認スル博愛主義者だ。タマにはスピアもキャンプに連れて行かなきゃと思って…おっと、電話だ。はい、もしもし?えぇモチロンですとも。キャンプには"娘"を連れて絶対に参加いたしまする」
「何ソレ?誰と話してるの?商店会の理事長?」
呆れたスピアはミユリさんと顔を見合わせる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。御屋敷のバックヤード。エアリは少し遅刻して現れ後ろ手にドアを閉めながら小声でボヤく。
「ごめんね、お待たせ。しかし"愛の部屋"で会う相手がマリレとテリィたんとはね。トホホ」
「ココなら安全だ。警部助手のルトンから仕入れた情報に拠ると"光"の目撃者は5人もいる。万世橋は零貫森を立ち入り禁止にした。なぜだ?」
「ボーヤだからさ…じゃなかった、ソコに"リアルの裂け目"がアルから?で、つまるトコロ"リアルの裂け目"って何なの?」
先に来ていたマリレから質問が出る。
「時空断層だ。他の時空へと続くタイムトンネルみたいなモノさ。万世橋より先に見つければ、君達スーパーヒロインの由来について何か手がかりがつかめるカモしれない」
「その逆は?もし、私達が零貫森で見つかれば、ますます疑われるわ」
「だ・か・ら!コレさ」
僕はココぞと"御屋敷ヲーナーとメイド長の1泊防災訓練"のパンフを取り出して、メイド達に示す。
「そのパンフは?もしや、あの昌平小学校の体育館で一夜を過ごすとかいう恐怖の…」
「YES。体育館の裏は、すぐ"零貫森"だ。こうなったら防災訓練に参加スルしかナイ」
「ウソでしょ!」
2人のメイドから一斉に反対の声が上がる。
「マジだ。コレなら蒸し暑くて体育館で寝れないから風に当たりに来たとか逝って零貫森をウロついても怪しまれない。因みにミユリさんは乗り気だ」
「神田明神も照覧あれ!今なら、テリィたんに未練タラタラの姉様は、尻尾を振って体育館のお泊まり会に参加スルに決まってる!夜這いしちゃうカモ」
「え。ミユリさんが僕に夜這い?…まぁ確かに履き慣れた靴は足にピッタリだからな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ミユリさん、いるかい?」
御屋敷の2Fはメイド長の個室になってる。僕はヲーナーなのでノック無しでズカズカ部屋に入ったら…
「いやーん」
偶然シャワーを浴びて出て来たミユリさんと第1種接近遭遇だ。hallelujah!Blabo!VIVA!万才!
「おっと!ごめん、メイド長。ヲーナーとは逝え、ノックするべきだった」
「いいえ。そんなコト気になさらないで」
「悪かった。これからもっと気をつけるよ」
手で隠せるトコロだけは隠して、なぜかほぼヲールヌードのママ、立ちすくむ濡れた髪のミユリさん。
しかも!一向に何か羽織る気配がナイw
「テリィ様。座ってください。何か御用ですか(全裸の私にw)?」
「…え。あ、えっと週末の宿泊訓練だけど、さっき無理矢理エアリ達が押し掛けて来て、どーしても参加したいと逝って聞かないンだ。で、仕方なく…」
「ええっ?!何で?何で、あの子達まで来るのですか?せっかく、私達…」
せっかく…私達、何だ?まさか夜這い?
「だってさ。メイドも3人揃えば文殊の知恵って逝うだろ?ほら、例の発光現象を調べるにしても大勢の方が良いしさ。手分けして調べられる」
「…わかりました。放任主義のヲーナーが多い昨今、私はアキバ1、幸せなメイド長ですわ」
「僕もさ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
エアリは、休憩でメイド服のママ"マチガイダ"に逝く。夏コミ前日のお盆の週末だ。お客は少ない。
「エアリ」
「え。誰?…あら、貴女は!」
「エアリ。光を見たか?」
神田リバーキャットだ。70年代のフォーク歌手みたいなレトロなトンボ眼鏡をして、逃げようとスル。
「待ってょ、リバーキャット。何しに来たの?消費者金融のCFロケ?」
「…光を見たか?」
「何の光ょ?」
クルリと振り返る神田リバーキャット。
「見てないの?アレは本物だわ」
「何のコトだかサッパリわからない。森が光るって目撃情報のコト?何で知ってるの?」
「昔、池袋で見たのと同じだから。アレは本物ょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。マチガイダの洗面台の前。同じく休憩してたスピアはメイド服の中から"悪油"を取り出す。
「嫌ょYUI店長、防災訓練なんて。ミユリ姉様の子分のメイドを誘えば?エアリとか、マリレとか…特にエアリは実はファザコンで案外YUI店長とのお泊まりに萌えるカモ」
「え。そーなのか?だが、既にエアリ達には当たったンだが、先約済みだった」
「…結局、私は最後の余り物ってコトね?」
地雷を踏んでから気がつくYUI店長。
「わ、わかった。金を払う。デートお出掛けコースだから¥3000でどーだ」
「YUI店長のコトは大好きだけど、ソレじゃ小学生のお小遣いにもならないわ」
「じゃ¥3000にチリドッグ1週間無料ってのはとーだ?納豆ドッグのネバーにも交換可能だ」
効果イケメン、じゃなかった、テキメンだ。
「え。ネバーでも良いの?マジ?」
「マジさ」
「決まり!」
その瞬間、感激の余りクシャミが出るYUI店長。
「はっくしょい!」
「新型インフル?エキナシア、飲む?東洋の漢方薬もヲマケに…(あ、コレは便秘薬だったわ)」
「thank you」
¥3000を渡し風邪薬を受け取るYUI店長。ソレを横目で見ていた全身UNIQLO男は…実は麻薬Gメンw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋のラギィ警部の部屋。カレルが手持ち無沙汰にしつつ時間を潰している。助手から声がかかる。
「未だ警部を待つのか?」
「ラギィと一緒に新しいテントを買いに行く約束なんだ。防災訓練で使う奴さ。部屋で待ってろって言われてる」
「だが、今は"光る森"騒ぎで大忙しだからな」
肩をスボめるカレル。
「警部らしいや」
「ハンソ、コーヒーちょーだい!あの釣り野郎のクソッタレ、目撃情報をポッドキャストで洗いざらい喋ってるわ。おまけにロッキの奴、ミニコミ誌の"ワラッタ"に手記を持ちかけてる…あら?カレル。何しに来たの?」
「警部。南秋葉原条約機構には通報しなくて良いですか?」
助手のハンソを怒鳴りつけるラギィ。
「ミライに連絡して捜索を急がせて。SATOが乗り出して来る前に、何かを見つけ出して!零貫森
を虱潰しに探すのょ!」
「了解です!」
「全く、みんな動きがトロいのょ…カレル、何でこんなトコロにいるの?」
場違いよって目で見る。
「警部が来いって言ったんだ!捜査の空き時間に新しいテントを買いに行こうって約束したンだぞ!」
「え。あ、そーだっけ?」
「この週末は、昌平小学校の体育館で語り合う、年に1度のチャンスだって知ってるよね?」
全く思い出せないラギィ。
「でも、緊急事態が起きたの!わかって」
「緊急事態?時空を超える侵略でも始まったのか?ちゃんと俺の目を見て話してくれょ」
「警部!アキバ特別区大統領府からお電話です。お願いします」
助手のハンソからスマホを渡される。
「今、すぐ出るわ…カレル。未だ何1つわかってナイけど、SATOに先を越されるワケにはいかないの!」
「ソンなの単に森で何かが光っただけだろ?」
「OK。こーしましょう。貴方1人でも防災訓練に参加出来るよう、サカキ代表に頼んでおくわ」
全て解決とニコニコ笑うラギィ。
「ソレはヲ忙しいトコロ、ワザワザどうもだょ。じゃね!」
プイと部屋を出て逝くカレル。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「神田リバーキャットが光を見たって?」
「YES。確かにそう言ってたわ」
「彼女が本物と逝うのなら…コレは他の"トラベラー"と接触出来るスゴいチャンスだわ」
ミユリさんは考え込む。マチガイダ・サンドウィッチズのボックスシートにメイド3人で女子トーク。
「姉様。私達、もう接触してるのカモ」
「エアリ。ソレ、どーゆーコト?」
「だって…神田リバーキャットは、なぜ私達にカマうの?異常ょ」
自信ありげに語るエアリ。
「ソレは私達以外にも"トラベラー"を知っているからでしょ?」
「うーん彼女はそう言ってるけど」
「ソレを疑うの?」
エアリは"考える人"のポーズ。
「彼女は、マリレの命を救う方法とか色々知り過ぎてる。しかも、めっちゃ世話も焼いてくれる。子供の頃"トラベラー"と逢った記憶だけで、あんなコトが出来るハズがナイ。姉様。私、確信してる。神田リバーキャットこそ私達が探してた相手だわ」
「マリレ。貴女、神田リバーキャットが"トラベラー"だと言うの?」
「YES。姉様、ズバリ私達のママだと思う」
のけ反るミユリさんとマリレ。
「待ってょエアリ。リバーキャットが私達のママだなんて。そんな…」
「姉様の言う通りょ。前からファザコンだとは思ってたけど、まさかマザコンだったとは。よっぽど子供の頃、愛情に飢えてたのね?」
「何ソレ?マリレ、放っといて。私は妖精ょ。子供の頃は、未だ地球が冷え固まってなかったわ」
とか逝いながら、真っ赤になるエアリ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、真っ赤になってるエアリを遠くから見て、激しく勘違いスルYUI店長。ホールのスピアに聞く。
「おいおい。エアリが俺のコトを見てるぞ」
「え。ちょっと待ってょ…いいえ。全然見てないわ」
「あのエアリと俺が体育館でデート出来たらなー。俺の今までの人生で最高の瞬間になるのに!」
呆れるスピア。なだめるミユリさん。
「YUI店長、深呼吸ょ。少し落ち着いて」
「でもさ、あり得ないぐらいスゴいコトが起きそうな気がスルんだょ…そうか!みんなで俺のコトをからかって喜んでルンだな?ソレでなければ、エアリが俺の方を見るハズがナイ」
「ねぇちょっと待って。落ち着いてょYUI店長。また妄想モードに入っちゃってるわ」
YUI店長の手を握るミユリさん。大サービスだw
「あ、ありがとう。姐さん、大丈夫だ。ただちょっとトイレに行って自分の心と対話してくる」
「ソレは良い考えだわ」
「ほらね!言った通りでしょ?」
ミユリさんに耳打ちするスピア。
「スーパーヒロインとヲタクの恋愛は、お互いを骨抜きにしてしまうの。ミユリ姉様も、テリィたんと接近遭遇スルと骨抜きにされちゃうから」
「ソレなら心配ナイわ、スピア。私とテリィ様は、とっくに終わっているの。ココ数日ナンか、ただの一言も話してナイわ」
「マジ?」
溜め息をつくミユリさん。
「マジ」
「…じゃどうして姉様のコトを見てるの?」
「え。テリィ様が見てる?私を?」
期待に胸を膨らませ、ソッと振り向くミユリさん。ちょうど支払いでレジに並んでた僕と視線が合うw
「やったわ!テリィ様が私を見てルンルン!」
「…やれやれ。じゃ私がテリィたんを嫌いになれるように悪役を買って出るわね。OK?テリィたんなんかいなくたって、私達メイドは十分リア充なのって思わせるの。ホラ、時にはウソも必要だから」
「そ、そーかしら」
YUI店長のお手伝いでイソイソレジに立つミユリさん。その横で腰に手を当て立つスピア。お目付役?
「やぁミユリさん」
「テリィ様…お会計ですね?」
「久しぶりだね」
傍らのスピアにどつかれるミユリさん。
「忙しかったのです、ちょっち…」
「テリィたん。私達は大忙しなのょ。ほら、モテるメイドはインバウンドが放っておいてくれないワケよ」
「そりゃ良かったな」
スピア。お前は何なんだ?
「この週末も楽しいコトが待ってるわ」
「ミユリさん、週末に何かあるの?」
「デートよ。夏休みに出逢った夏限定の彼氏達が豪華なディナーに連れてってくれるワケ」
え。ミユリさん、防災訓練ヤメたのか…
「そ、それは楽しみだね。じゃ」
意気消沈して退散する僕。さすが僕の元カノ。僕を落ち込ませるにはどーしたら良いか良く心得てる。
「スピア!いくら私のコトを心配してくれるとは逝えテリィ様にあんなウソをつくなんて!テリィ様が可哀想…」
「姉様。コレで良いの。どうせウソだってバレやしないし。コレ、全部姉様のためだから」
「…え。そーなの?」
第3章 体育館キャンプ
結局、ミユリさんはナツヲワ彼氏とは、夏が終わるのを待たズにヲワり、防災訓練に参戦するコトにw
「ミユリさん。マジで防災訓練に参加したいのか?例のナツヲワ彼氏は?」
「夏が終わるのを待たズにヲワりました。ね?」
「え。あ、はい。姉様、何?」
昌平小学校の体育館前。メイド服の3人を前に最後の念推しスル。似た風景がアチコチで散見される。
「マリレはどーなの?」
「え。私も?ま、まぁねエヘヘ…弱い空調で汗になりながら寝て、迷い込んだ蚊に刺されて…もう最高の夜になりそうょ」
「しかし、メイド諸嬢が防災訓練に関心があるナンて意外だな」
ミユリさんの肘鉄をモロに食ってノタうつマリレを恐怖の眼差しで見つつエアリが異様に早口で話す。
「ポ、ポリシーを変えたのょ。コレからは秋葉原のメイドも防災意識を高く持たなくては」
「エラいぞエアリ。どーしたマリレ?」
「マリレは夏風邪でお腹を壊したのょテリィたん。全くその通りですわ、ミユリ姉様」
悲惨なマリレを見て宗旨替えしたエアリだったが…
「ヤダ!うっそー」
「どーした?その昭和なリアクションは?嫌だと逝っても今さら遅いぞ」
「…何でYUI店長がスピアと一緒なの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「カレル!ほら、テントを買って来たわ。体育館ではプライバシー重視ょ。このテントが私達の家」
「ラギィ警部!仕事の方はどうしたの?」
「大丈夫。何かあれば衛星電話が入るわ。さ、今からエントリーして来る。万世橋は今宵は2名参加ょ」
すっかりショゲてたカレルの顔がパッと輝く。
「あら、テリィたん。メイドバーのヲーナーって言うのも大変ね。趣味と実益を兼ねてると思ってたけど」
「ラギィ警部…」
「休日はラギィと呼んで。昔みたいに」
ラギィとは、前任地で"新橋鮫"と呼ばれてた頃からのつきあいで…御多分に洩れズ彼女も元カノだw
「ラギィ。裏手は直ぐ零貫森だね。何だか心配で、実は余り気がノらないんだ」
「あら、どーして?夜中に出歩くつもりなの?宿泊訓練なのょ?」
「でも、零貫森には不思議な発光現象の噂がアル。何でも"リアルの裂け目"が開いたとか…」
笑い飛ばすラギィ。
「単なるウワサょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
体育館の夫々の場所にテントを張る。僕のテントはミユリさんがたててくれる(エアリ達を使って笑)。
「マクス、イザベ、マイケ…」
防災訓練の参加者の点呼は続くけど、参加者は全員テントをたてるのに夢中で、誰も聞いていない。
「ミユリ姐さん、マリレ、スピア、テリィたん…」
「え。マリレ?訓練に参加してるのか?何か忙しくて秋葉原にはいないって言ってたのに」
「ちょっと予定変更ょ」
YUI店長と一緒のスピアと出会しバツの悪さMAXのエアリ。プイと横を向く。意外にツンデレなんだw
「…私ょ。ミライに捜索隊を増やすよう指示して。今宵あたり、何かが起きそうな気がするわ」
ラギィは、声を殺しスマホで指示を飛ばす。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
体育館のアチコチで参加者がテントを張り始める。
「テリィ様。ここら辺にしましょう(バックドアに近いし)」
「もっとあっちはどーかな。国民的メイドである@ポエムのひろみんもいるし」
「いいえ、テリィ様。ココです(夜中にいなくなるから人目につかない方が良いの)」
エアリが勝手にテントを張り出す。が、小声で…
「姉様。万世橋のラギィが来てるわ。ちょっと今宵は無理カモ」
「ダメょエアリ。だから、逝くの。警察より先に"リアルの裂け目"を見つけなきゃ」
「やれやれ。また今回も何処に行ってもテリィたんの元カノばかり…」
口を滑らせたマリレにミユリさんの肘鉄が飛ぶ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ラギィ。去年の宿泊訓練では、晩飯のアルファ米を5杯食った奴がいるらしい。俺は6杯に挑戦するゾ…ラギィ?」
口笛を吹きながらテントを張るカレルだが、当のラギィは明後日の方を見てる…つまり、僕の方だがw
「ラギィ!どうしたんだ。俺はココだょ」
パンパンと手を叩く。ラギィが振り向く。
「ごめんなさい。何?」
「何してルンだょ?」
「夜、ミライから衛星電話が入るコトになってるんだけど…電波状態が悪いわ。ソレと鑑識からEMFを借りて来たんだけど、電磁波も乱れてるし…アッチに行きましょう」
僕達の方を指差す。カレルは不満だ。何しろカレルは池袋時代のミユリさんのTOを務めていた男だ。
僕とミユリさんがイチャイチャしてるのを見て面白いハズがナイ。まぁミユリさんとは別れてるけど。
「でも、せっかく、ココは俺が…」
EMF片手にスタスタ歩き出すラギィ。
「OK!ココなら電磁波の乱れがナイわ。ねぇココにテントを張らせてもらっても良い?」
「ええっ。マジ?何、考えてるの?」
「OK。ココなら衛星電波もバッチリだわ…ねぇ!YUI店長、貴方達もココに来れば?」
テントの場所探しでウロウロしてたYUI店長に声をかける。ファザコンのエアリの顔がパッと輝く。
「ココにして!」
「ココはヤメて!」
「とにかく、みんなで集まろうょ楽しいぞ」
複数の異なる意見がそれぞれ異口同音に発音される中、僕とYUI店長とラギィは立ち上がり握手スル。
「今宵は楽しくなりそうだ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
何と21時に消灯となり、それぞれテントから顔だけ出してピロートークが始まる。僕達はポーカーだ。
カレルは都市伝説を語ってるw
「…その後、猫屋敷からは体を切断された猫が多数見つかった。飼主の老婆は、自分が異なる時空に誘拐されたと主張した。その老婆の死後、死体を解剖したら、頭蓋骨に手術された穴が2つ空いてたそうだ。その頭蓋骨は、今も東池袋の児童公園に埋められている…」
「カレル。貴方、一体そんな話どこで仕入れてきたの?」
「東池袋一帯は、今はコロンビア人ばかりだけど、その前は縄文系アイヌ人のコミュニティがあった。そこの長老から聞いたンだ」
一方、僕とミユリさんはポーカーで勝負中。
「では、テリィ様。私はレイズです」
「え。降りるよ。かないそうもナイや…やはり、ミユリさんにはヲタクの心を読むパワーがあるみたいだ…コール。フルハウス」
「ええっ。そんな…」
ミユリさんは3枚そろったエースの1枚を親指でなぞる。たちまちダイヤのエースはダイヤの2に変わる。
「いやーん。私、負けましたわ(回文)」
「賭け金を上げたのは、ミユリさんのハッタリだって見抜いてたさ」
「ギブアップですぅ」
チョロリと舌を出すミユリさん。檄萌え。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「今宵、星を見に行こう」
「タマには良いコト言うのね」
「アレがベガ、デネブ、アルタイル…」
天の川の右側を指差すエアリ。YUI店長と2人で体育館を抜け出し星空を仰ぐ。僕達が知らない物語。
「北極星はワカル?北極星から少し左を見て。その星の集まりが肉眼で見える1番遠い星。白鳥座シグナス星雲。肉眼で見える限界点ょ」
「星って不思議だな」
「え。何が?」
YUI店長の横顔に見惚れるエアリ。マジかょ。
「エアリと星を見るコトさ。今までだって星を見て来たけど、どれもこれも同じに見えてた。でも、こうしてエアリと一緒に見ていると、宇宙の星のひとつひとつにもスゴい謎があって…スゴく素晴らしいモノだってコトに気づいたんだ。映画を見るよりもコッチの方がずっと面白いや」
「ありがとう、YUI店長」
「ソレでさ、エアリ…」
今度は、エアリの星を見上げる横顔に見惚れながらYUI店長はオズオズと切り出す。おぉ青春だなー。
「今宵は、ちょっと予定が入って中止になっちゃったけど、もしよかったら今度の金曜日、今回のデートのやり直しをしたいんだけれど」
「え。デート?何?」
「はい?あ。ごめん、コレはデートじゃなかったよね。あはは」
モテてると誤解してたYUI店長は苦笑い。
「YUI店長。私は、確かにファザコンだけど、YUI店長をデートの相手だとは思ってナイわ。ただ友達として星を見に行くって言っただけだから」
「モチロンさ!あはは」
「私達は、デートなんか出来ないの。ミユリ姉様と私とマリレの3人は、デートとか、そーゆーコトをスルべきじゃナイの」
立ち上がるエアリ。
「ごめんなさい。YUI店長」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夜中にトイレに立ったら、ミユリさんが水道で歯を磨いている。目が合って…口に歯ブラシを突っ込んだママ、僕を目掛け文字通り真っ直ぐに詰め寄るw
「テリィ様。こんばんわ!」
「こ、こんばんわ…歯磨きは寝る前派?」
「いいえ。朝も磨きます。防災訓練だからって歯磨きガムじゃ不十分でしょ」
僕は、アルファ米の夕食後に配られた歯磨きペーパーで済ませてる。水でゆすがずに磨ける優れ者た。
「待って、テリィ様。コレからもズッと私を避けるつもりdeathか?ソレがマジ、テリィ様の望みなの?」
「そんなコトないよ。僕は、少し冷静になる時間が欲しかっただけだ」
「だったら、私達を手伝って。今宵、私達が何をスルつもりかワカッテルでしょ?」
え。夜這いの話だな。しかし、私達?エアリやマリレも加わる今宵は4P?…こりゃカラダがモタんな。
「いつ話して下さるのかと思ってました。待っていたのよ。防災訓練に来たのはそのためなんでしょ?」
「え。うーん、まぁそぉかな」
「約束です」
約束?夜這いのか?
「確かに、テリィ様と私は気持ちを抑えた方が良いカモです。恋人としてつきあえないのは理解出来ます。でも、もう私達は推しとTOでしょ。そもそも、私を推したのはテリィ様です。私を、私をこんなに気持ちにさせて…」
やっぱり夜這い…なのか?
立ち上がりクルリと振り返り歩き去るミユリさん。その一部始終をテントからジッと見ているスピア。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
YUI店長と別れてから、何処をどう歩いたのか、既に立派に零貫森で迷い込んで道に迷ってるエアリ。
ガサゴソ…
月の光の下、薮の中で何かが動く。ヒグマ?母子連れ?明日の国営放送のニュースに出てしまうのか…
「エアリ。私ょ」
「貴女は…神田リバーキャット?」
「来て。時間ょ」
第4章 焼け木杭に火をつけろ
ミユリさんのブログ。
"…一般人がヲタクを遠ざけるのには理由がアル。ソレは、本能的に自分が傷つくのを恐れるからで、ソレはとても人間的な本能だと思える。だから、テリィ様も気づいてくれれば良いの。スーパーヒロインもパンピー女子も、そう変わりは無いってコトを"
ブログを描き終えて、ミユリさんはタブレットをしまうとテントを抜け出し体育館の外へ。蒸し暑い。
「マリレ?」
「はい、姉様」
「逝くわょ」
零貫森に消える2つの人影。その2人を追って体育館を飛び出す人影…ソレは僕だ。夜這いはお預けさw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ミユリさんを追って森を進む。何と遠くでフクロウの鳴き声が聞こえる。ココはマジでアキバなのか?
「テリィ様」
ギョッとして振り向けば真正面に恨めしそうなミユリさんの顔。汗で髪が顔に張りついてて鬼気迫るw
「きゃー。神田明神も照覧あれ!ミユリさん、許してくれぇ!」
「テリィ様、お静かに。ところで、許すって何か私に対して罪の意識がおありなのですね?きっとソレは…」
「姉様、今はヤメて」
マリレに突っ込まれ照れ笑いのミユリさん。ついでにそのペンライトを下から照らすのもヤメてくれ。
「テリィたん。貴方は直ぐ体育館に戻って」
「嫌だ。僕も逝く。コレは、僕にとっても大事なコトなんだ」
「運動神経ゼロでトロいテリィたんはお邪魔虫なの。1番大切なコトは誰よりも先に"リアルの裂け目"を見つけるコトだから」
僕を運動神経ゼロ扱いして(事実だw)いつもなら真っ先に怒り出すミユリさんが沈黙してる。ヤバい。
「運動神経ゼロ?…ま、まぁ良いだろー。今宵は聞き流す…とにかく、お願いだから僕も連れてけ」
「大失敗だわ。こんな風に秋葉原のヲタクを巻き込むなんて…何?この物音?」
「テリィ様、誰かに後をつけられましたね?」
藪の向こうからペンライトの光が見え隠れし、やがて人影が現れる…ペンライトを手にしたスピアだ。
「もぉ最高。テリィたんの元カノ、全員勢ぞろいって感じ?」
「確かに。でも、私はミユリ姉様とテリィたんの焼け木杭に火がつくのを阻止しに来ただけよ。そーゆーマリレは何なの?アンタも2人の邪魔をしに来たンでしょ?」
「腐女子って全力でバカ。あのね。私達は、今から例の光を探しに行くのよ」
そう逝って胸を張るマリレ。頭の出来は同じか?
「え。マジ?じゃ零貫森の謎の発光現象ってホントの話だったの?また、UFOの里的な町おこし系のウソかと思ってたわ」
「ソレを確かめに逝くのょ私達は」
「延々と説明してろ。僕は逝くぞ」
珍しく先陣を切り森に入る僕。カッコ良い。マリレが続く。残されて、スピアと向き合うミユリさん。
「逝くか逝かないかは、今、ココでスピア自身が決めて」
「そーゆーミユリ姉様はどーするの?…やっぱり、テリィたんのコトが未だ好きなのね?」
「え。」
元カノ同士?が火花を散らす。
「私は…テリィ様とは離れたくないの」
クルリと振り返り、夜の森へ駆け出すミユリさん。
「待って、姉様。私も行くわ!」
後を追って駆けて逝くスピア。フクロウの鳴く声。森に消えた人影を追って現れたのは…ラギィ警部w
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「おい!麻薬犬が何か見つけたようだぞ!」
「コッチだ。よし、イケイケ!現場は近いぞ」
「通報があった通りだな」
森の中から誰かが走りながら話す声、犬の荒い息遣いに咆哮が加わる。僕達は誰かに追われてるのか?
「ミユリさん。どーやら追われてるのは、僕じゃナイ。追手は、恐らく関東信越厚生局の麻薬取締部だ。実は、先週ぐらいからマチガイダで新アヘンが取引されてるってウワサが流れてて、常連は全員内偵されてる。麻取は犬も連れてるから逃げ切れないぞ」
「そんな…テリィ様、どーしますか?」
「僕とスピアで麻取を食い止めよう。時間を稼ぐから、その間にミユリさん達は発光現象の謎を追え」
断固、首を振るミユリさん。
「ダメです。ソレではテリィ様が前科一犯になってしまいます」
「ヲタクの勲章だ。ソレに、僕とスピアなら焼け木杭に火がついたと逝えば済む。その間に、この森で必ず何かをつかむんだ。ソレから…僕とミユリさんは、決して焼け木杭ナンかじゃ無いょ」
「テリィ様!」
横でスピアが鬼の形相で睨んでる。が、鉄火場では1番大切なモノだけ守る。コレはモテる男の鉄則だw
「マリレも早く逝け!」
「ROG!姉様。ココはテリィたんに任せて、私達はスーパーヒロインとしての義務を果たしましょう」
「…テリィたん。ミユリ姉様も元カノじゃなかったの?何で私だけが元カノのママ?」
様々な人々が様々な思いを胸に義務を果たす。
「おまわりさーん!ココだ、助けてくれぇ!」
「おまわりさんではありません。関東信越厚生局の特捜班です…やや?貴方は国民的ヲタクのSF作家、テリィたんではナイですか?そして、貴女はテリィたんのシツコイ元カノとして有名な、秋葉原セレブのスピアさん?こんなトコロでお2人は何を?もしや、焼け木杭に…」
「シツコイ元カノって…ねぇテリィたん。せっかくだから、焼け木杭に火がついたのは私達ってコトにしてくれない?」
ダメだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、零貫森を駆けるもう1組。エアリと神田リバーキャットはアテもナイのに闇雲に走り回ってるw
「あっちカモ」
暗闇の中で神田リバーキャットが若い木の根っ子につまずいてハデに転倒。ウメいて立ち上がれない。
「痛たたたっ…エアリ、手を貸して!」
「どうしたの?」
「足首を挫いたわ。もう走れない。後は1人で行って。私はココまでょ」
エアリはキョトンとした顔をスル。
「そんなの直せば?」
「え。何を言ってるの?」
「何で私に隠すの?」
今度は神田リバーキャットがキョトン。
「隠すって何ょ?」
「だ・か・ら、自分の正体」
「…エアリ。もしかして、私が"トラベラー"だと思っているの?」
リバーキャットの顔を覗き込むエアリ。
「だって…貴女は何でも知ってるわ。死にかけたマリレを助けてくれたじゃない?ねぇ神田リバーキャット。貴女は、私達のママじゃないの?そーじゃなきゃ私達を助ける義理がナイでしょ?頼むから正直に言って。貴女は私達の…」
「エアリ。とても残念だけど、私は"トラベラー"ではナイし、貴女達のママでもナイの。期待を裏切ってゴメンね」
「…そーなの。もうどうでも良いわ」
リバーキャットの足首に手を当てるエアリ。瞬間、脳内には時空トンネルやヒエログリフが渦を巻く。
「治ったわ。もう貴女は歩けます」
「ありがとう…コレで借りは返してもらったわ」
「いいえ。神田リバーキャット、こんなんじゃ命を救ってくれた恩は返せない」
ハグするスーパーヒロインと縄文人の長老。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
零貫森の入口にある芳林パーク。秋葉原セレブのスキャンダルを狙うパパラッチの砲列の前に立つ女w
「…てっきり私が焼け木杭に火がついたと誤解してしまって、テリィたんを森の奥まで誘ってしまったの」
「とゆーコトは、スピアさん!すみませんが、目線ください!コッチです」
「はい。テリィたんが推してるのは、自分の御屋敷でメイド長を任せてるミユリ姉様ただ1人です…はい、ソコの赤いジャケットの方、どーぞ」
僕の元カノとして場慣れ?した様子でパパラッチをさばくのはスピア。頼もしいな。元カノの女王だw
「離してくれ!私は科学者、いや、真実の探求者ナンだぞ!」
黄色いジャケットの男が後ろ手に絞られて"連行"されて来る。"タイムマシンセンター"の館長だ。
「警部は何処だ?怪しい男が森をうろついていたので逮捕、じゃなかった、保護した。不思議な機械を所持している。地雷探知機かな」
「EMFだっ!"ウルトラナチュラル"を見てナイのか?私を捕まえてどうする?今、人類は進化の危機に陥っている。既に時空を超えた侵略が始まってルンだ。奴等は、もうそこまで来ているっ…痛っ!」
「ほら。頭を下げろと言っただろ。パトカーの後部座席はベルトはないんだ。乗ったコトないのか?」
哀れ館長は頭を抑えられて、パトカーの後部座席に力ずくで推し込まれてる。頭をぶつける鈍い音w
「外神田34から万世橋警察署。厚生局の麻薬犬を使った捜査は空振り。現場には国民的SF作家のテリィたんと、そのシツコイ元カノ、他に激しく酩酊した酔っ払った男しかいなかった。男は、署に連れ帰ってアルコール検査を受けさせる。なお、ホットドッグ屋に巣食う新アヘンの売人達は逃走中。ラギィ警部の行方は相変わらず不明…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
謎を追い森を駆けるミユリさんとマリレ。その後を密かに尾行するラギィ警部。そして、その後を…
「ラギィ」
「えっ?!誰?カレル?貴方、ココで何をやってるの?!」
「おいおいおい。どう考えてもソレはコッチの言い分だろう?」
そりゃそうだ。
「私は…待って。話せばわかるわ。ってか、やっぱり貴方が先よ。何しに来たの?」
「ソレは、ラギィの目的を知るためさ。何でそんなにしてまでミユリを追うんだ?俺のコトをほったらかして」
「何ソレ?妬いてるの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ラギィがカレルとイチャイチャやってる間に、ミユリさんとマリレは神田リバーキャット組と出会す。
「貴女、ミユリさん?あの国民的SF作家テリィたんの推しね?…エアリ。なぜこの2人がココにいるの?」
「私達は、自力でココに来たの。因みに、正式には未だ防災訓練中ナンだけど」
「防災訓練?秋葉原のメイドって意外に防災意識が…そっか。ま、良いわ。ちょうどココだし」
ちょうどココ?何が?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、イチャイチャと痴話喧嘩中の2人。
「カレル。貴方は体育館に戻って。防災訓練中でしょ?」
「ラギィ。この前、話してくれたよな?ラギィのママは、ラギィが未だ子供の頃、異なる時空から来た犯罪者を追ってた。でも、この秋葉原で犯人に逃げられた。そうだよな?今のラギィは、その時のママと同じだよ」
「何てコトを…」
ラギィを指差し、暗闇の中に去ろうとするカレル。
「カレル!待って」
「ラギィ。君も愛されない子供だったんだ。ラギィが施設に入ったママに会いに行かない理由がわかったよ。ソレはラギィが愛されたコトがなかったからさ」
「カレル!」
叫ぶラギィ。だが、カレルは暗闇の中に消える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「コレを見て。地面の上にトンネル公園の壁に描かれてたのと同じヒエログリフが描かれてる」
「渦巻き?星雲?森を光らせた白い光は、ココから出ていたの?」
「YES。そして、コレはシグナルよ。さぁ手をかざすのょスーパーヒロイン達」
厳かに告げる神田リバーキャット。一斉に手をかざすミユリさん達。神田リバーキャットがペンライトを消す。すると…地面に描かれた渦巻き型のヒエログリフが光り出す。跪く神田リバーキャット。
「恐らくコレは貴女達へのシグナルだわ」
「でも、誰がシグナルを送ってるの?そして、シグナルの意味は?…もしかして"トラベラー” "からのシグナルなの?」
「しっ!静かに…誰?」
暗闇の中で物音がスル。人の気配が近づく。一斉に振り向くスーパーヒロイン。暗闇から現れたのは…
「ラギィ警部?何の用なの?」
「そこをどいて、マリレ」
「逆らっちゃダメ。言う通りにして」
マリレの耳元で神田リバーキャットがささやき、肩に手を置く。しばし睨み合うラギィとマリレ…
その間に渦巻きの形をしたヒエログリフに手をかざして、地面から痕跡を消して逝くミユリさん。
後には草の生えた地面しか残らないw
「何もないわ…貴女達、何を隠したの?」
しゃがみ込み地面を凝視するラギィ警部。彼女を囲むようにして立ち冷ややかに見降ろすミユリさん達。
「貴女達、ココで何かを見ていたわょね?ココには何かがあったのでしょ?ねぇ何があったの?」
「いいえ、ラギィ。私達は、夜風に当たりにきて道に迷っただけだから」
「さ。姉様、そろそろ体育館に戻りましょ」
マリレ、エアリ…一人一人歩き去って逝く。呆然と立ち尽くすラギィ。大きく溜め息をつき天を仰ぐ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
特別養護老人ホーム"外神田の森"のランチタイム。老人達の口の中へランチを入れるスタッフ。
「はい、アーンして」
「ダメょお婆ちゃん。ちゃんとスプーンを使って」
「失礼。どちら様?」
食堂に入って来たラギィに白衣の男が声をかける。
「ジェミ・バティに面会に来たんですが」
「貴女は?」
「娘です」
食堂の一角を指差す。ソコには、デザートの梨と一心不乱に格闘している老婆がいる。
手を使ってスプーンに梨を載せようとするが上手くいかない。無言で見ているラギィ。
「ママ」
母は顔を上げる。初めてラギィに気がつく。
「梨が滑るのよ」
「ママ、私ょ。ラギィ」
「ラギィ?」
母の車椅子の横の椅子に腰かけるラギィ。
「久しぶりね…今日は謝りに来たのょ。ママは間違ってなかったわ。信じなくてごめん」
母は梨もスプーンも置く。泣き出しそうな顔になる。
「食べるのを手伝うわ」
ラギィは、梨をスプーンですくい母の口元に運ぶ。母は、怒ったような顔をしてラギィを睨みつける。
「さ。梨ょ。好きだったでしょ?」
母は、薄く口を開く。怒ったような顔のママで。
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"謎の発光現象"をテーマに、警察と先を争い時空断層"リアルの裂け目"の謎に迫る主人公らを描きます。また、ジュブナイルの王道、ボーイミーツガールの要素も織り込んで表現力の充実に努めました。
さらに、サブ主人公らの恋愛模様などもサイドストーリー的に描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、酷暑の中、世界中の各界各層からインバウンドが集う秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。