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その他いも

秋のいもで、どうしてもはずせないものがある。


むかご。


零余子や珠芽とも書く。植物の脇芽が養分を蓄えて肥大化したもののことで、土の中にできるいもと同じ仕組みでできる。地中にできるか、地上にできるかの違いと覚えておくといいかもしれない。

市場に流通しているものはヤマノイモやナガイモにできるものがほとんどなのだが、ほかの植物にもできる。食不適なむかごも当然存在するので、自然のものをいただくときは注意が必要となる。

種は種で別に存在し、これは風に飛ばされて遠くへいく担当、一方むかごは近場を担当する。効率化すごい。種芋のように埋めておくと芽が出てきたりする。埋めなくても出てくるけど。種からよりもむかごからのほうが成長が早いのだとか。大きさの差かな。

そして、むかごから育ったオニユリの球根は、ユリ根として食べられていたりする。この記事を書くまで知らなかったよ。


このむかご、早ければ十月の終わりには売場に出てきたりするのに、今年は執筆時現在、まだその姿を見ていない。



挿絵(By みてみん)


よく洗ったむかごを軽く茹でて、水気を切ったらごま油ほんの少しで炒りつけ、おいしいパラパラの塩を振る。炒りむかごである。

むかごごはんは子が受け付けてくれなかったから、一度作って諦めた。甘辛煮よりも炒りむかごのほうが食い付きがいい。


我が家の食卓ってほんと酒飲み仕様だよなと、こういうときに思ったりする。

誰も飲まないのに。まったく飲まないわけではないけれど、年に片手で数えて指が余る。まったく飲まない年もある。そんな家庭である。



案外知られていないことなのだが、県内の私立大学にある農場は、中で栽培している作物の一部を一般販売している。メロンの時期は販売開始時間に着いたらもう売り切れているのだとか。地元民はやい。朝何時から門の前で待っているのかが気になるところである。

わたしがやろうと思ったら、前乗りするしかないのだが。あの辺夜真っ暗になるから怖いんだよね(野宿をしようとするな)。


その農場が年に一度、秋に一般解放イベントを行っている。こちらもあまり知られていない。大学側はもっと中高生あたりに来てほしいのだが、実際に来るのは古くから住んでいる地元農家の人である。玉ねぎの苗とかが格安で手に入るからね、自家用に栽培するために。

親子いも掘り体験で、さつまいもと里芋が企画されている。「親子ならいい」という設定のゆるさから、若い親子ではなく子が四十代とかがザラである。たぶん嘆いているだろうな、関係者。

パンジーや葉牡丹なんかの花の苗もある。が、ご婦人がたの苗の取り合いがえげつなくて、物販スペースの通り道なのに怖くて近寄れなかった。ガーデナーの意地を見た気がした。


そんなイベントで、ヤマノイモの一種である大薯だいじょを手に入れることができる。その辺で買える山芋や大和芋よりも粘りの強いいもである。とろろにすると食べ応えがあっていい。だし汁をこれでもかというくらい加えないと、全然のびない。箸でつまんで持ち上げると、ひとかたまり丸ごとベロンっと器から剥がれて持ち上がる。

これを知ってしまうと、山芋や長芋のとろろが物足りなくなる。


禁断のいもかもしれない。



それを薯蕷じょうよ饅頭にしようというのだから、我ながら酔狂である。

大薯のおいしい食べ方を散々(たぶんあのおじさんは教授、に)質問しておいて、入手するいちばんの目的がこれなのだから。


挿絵(By みてみん)


本職さんには到底およばないものの、初めてにしてはまあまあな出来となった。すりおろした山芋にさとうを加え、それを台に広げた粉の山に作ったくぼみへ入れたら、ほどよいところまで粉と混ざるようにして分割し、餡を包んで蒸す。この「ほどよいところ」がとても難しい。

用意した粉をすべて使うわけではないところが。すりおろしたいもの状態によって、必要となる粉の量が変わるから。作り方を編み出した昔の人すげえ。

九州や沖縄地方の郷土菓子のかるかんと似ているが、かるかんはもっと粉が少なくて生地がやわらかく、型に流して蒸しあげるものであると認識している。こちらもいつか作りたい。


薯蕷饅頭が作れることに味をしめてイベントのたびに行こうと目論んだが、コロナ禍で中止が相次ぎ、そうこうしているうちにわたしに出掛ける気がなくなってしまった。

烏骨鶏のたまごが格安で手に入ったりするのに。畜産地区には防疫の都合で入れないが、田んぼ側からフェンス越しの遠目に鶏さんも見られる。各種研究されているからヤギさんもいる。たのしい。


でも本当はこの農場にある、長十郎梨がほしかったりする。時期が完全にズレているけれど。そもそも販売対象ではないかもしれないけれど。

イベント当日に現地にいくと、学生運転のトラクターが引く台車に乗せてもらえたりもするぞ。


別のところには国立大学の農場もあるのだが、こちらは完全に研究農場なのだそうで、一般解放はありえないとのこと。近くに住んでいる人の話によれば、馬術部があるのかお馬さんがいるとか。いいなあ。


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― 新着の感想 ―
むかごは食べたことないなあ。昔、山の中で見たモノは多分食えないものだったろうが。 薯蕷饅頭、旨そう。
 大学のそういった地元との交流、いいですね。  図書館を一般のかたでも、利用できたり、食堂を使えたり。  受験を考えてる高校生も、オープンキャンパスに限定せず、見学に行ってみていいと思います。
おまんじゅううまそうすぎて……絶対にうまいやつ…(๑˙ㅁ˙) 冷凍庫の山芋、饅頭にしてみるか……(やめとけ ゆり根は実家にいた頃よく食べてました(全部貰い物 ホクホクでほのかに甘くて美味しいけど、あ…
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