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アヤムラサキ

アヤムラサキとは、紫いもの品種のひとつである。他にはナカムラサキ、ムラサキマサリ、パープルスイートロード、ふくむらさき、種子島ゴールドなどがある。


まだ紫いもが一般的になる前に一度だけ、種子島ゴールドの生いもをいただいたことがある。当時はたしか生いも(や苗)って持ち出せなかった気がするのだが……誰がどうやってもってきたのだろうか。訊いてみたかったけれど、なんか訊いてはいけない気がしたので訊けないままでいる。

あの頃は加工品(さつまいもチップスやタルトなどの日保ちがする方の焼き菓子が多かった)しか栽培地から出せなかったと記憶している。

現在はさつまいもの栽培地の多くで生産されているようだ。時代も変わるものだね。

このときの種子島ゴールドをどうやって食べたのかが、なぜか思い出せない。料理にした覚えがまったくないからお菓子にしたのは確実なのだが、なにを作ったのだろうか。


居住地では、地元の農家さんが「この辺ではあまり栽培されていないものを作りたい」人なこともあって、割と早くからアヤムラサキが入手できるようになった。産直コーナー万歳。

このアヤムラサキ、さつまいもらしい味はない。実は色素のために品種改良された種であることから、紫いもの中でも特にあっさりさっぱり系なのである。つまり、いもの味が薄い。


おかげで加工しやすいともいえる。

スイートポテトにするなら、紅はるかなどの味の強いさつまいもと混ぜて作るのがいい。

野菜パウダーの紫いもはたいていアヤムラサキである。さすが色素用。


一.五~二センチ厚さに輪切りにしたのち、皮を剥いてだいたい大きさが揃うようにカットした紫いもをよく水にさらす。とても水が濁るため、何度か水を取り替える。濁らなくなったら水から上げて、とにかくよく蒸す。


蒸し上がったらボウルにあけて、フォークなどでつぶす。しつこく蒸すからゴムべらでもつぶせる。

今回は粒を適度に残したかったから、扱いが少々雑である。



挿絵(By みてみん)


マッシュした紫いもを蒸しパン生地に混ぜ、うすーーく皮を剥いてほんのり緑を残しながら角切りにしたかぼちゃを生のまま具に加えた、紫いも蒸しパン。


紫いもの色素はリトマス試験紙のように、酸性に傾くと赤色に、アルカリ性に傾くと青色に変色する。ベーキングパウダーに含まれる重曹はアルカリ性であり、反応しすぎると蒸しパン本体がすごい色になる。ので、変色を少なくするために、紫いもには事前に少しばかりレモン汁を加えるのだが……。


アルカリ反応が相当少なかったようで、ピンク色になってしまった。

蒸しパンにたまごを入れていたら、白身がアルカリ性を示す食材なのでもう少し変色があったかもしれない。


ハロウィーン仕様にちょっと不気味な蒸しパンにしたかったのに、なかなか予定通りにはいかないものである。




挿絵(By みてみん)


一方こちらは、フライパンで焼くスポンジケーキ。紫いもマッシュ入り。

実はノンオイルである。たまごに含まれる油分くらいかな。


共立て(全卵の泡立てのこと)で強めに泡立てたたまごとさとうに、マッシュした紫いもを加えてさらに撹拌、粉を加えてさっくり混ぜたら型に入れてオーブンで焼く。


ところを、フライパンに流して弱火で焼く。


フライパンに流し入れる時点で既に、紫いもの変色が始まっていた。やっぱり前の蒸しパンはたまごを入れた方がよかったのか。たまごを入れると蒸しパンの上部が割れないけれど。

焼けたケーキを切ってみれば、普通のスポンジケーキなら黄色いところがグレーの強い緑色である。このケーキに加えた紫いもはレモン汁を加えていないから変色しやすいのは当然のこととして、しかし変色具合は予想よりも少ない。


どうにか残った翌日も、少し緑色が強まったようには見えたけれど、写真に撮っても前の写真との違いがわからなかった。残念。

もっと劇的に変わるはずだったんだけどなぁ。


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― 新着の感想 ―
 アルカリ性ですごい色になったやつ、見てみたかったです(笑)
 文章にしてみると、料理するのは科学の実験みたいになるのだなと、改めて思いました。  味も色も自然に出すのは難しいけれど、試行錯誤が楽しそうです。あとは材料があれば‥‥ですが。
お味の感想じゃなくて、色味の感想wwww 天然物で思った色を出すのは、めっちゃ難しいってのがよくわかりました!(`・∀・´) 色素ってほんとちゃんと染まるよなぁ…… 天然物でも、思っていた以上の色出る…
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