紅はるか
紅はるか。市販の焼き芋の大半がこの品種である。居住地で売られている焼き芋は茨城県産がほとんどだが、鹿児島県の食用推奨品種だったりする。焼酎の原料でもあるようだ。
ねっとり系で糖度も高く、干し芋にも適している。不器用が過ぎるので自作する気はないけれど。難しいのだ、蒸してからスライスするのと、ほどよく乾かすのが。
スライスしてから蒸したら、それはもう別物なのである。何が違うのだろうか。
当然、お菓子作りにも向いている品種である。
1本ずつのバラ売りをしているものは大ぶりだが、袋入りで売られているものはだいたい細身。
細身のものを皮つきのまま一センチ程度の角切りにして、蜜煮にしておく。
この蜜煮を使って、さつまいもワッフルを作る。
菓子パン程度のふんわり感にするべく強力粉と薄力粉を合わせて二〇〇グラム用意する。それに対してさつまいもの蜜煮も二〇〇グラム使用する。ワッフル本体にさつまいもマッシュを練り込む手法もあるけれど、今回は角切り蜜煮を具にするスタイル。
蜜煮の分があるから、本体のさとうは控えめにし、わたしにしては珍しくバターを一般的なワッフルレシピの通りに加えて大後悔することとなる。
わたしが使用している豆乳クリームバターは、融点が低い。ドライイーストの活動温度帯では溶けてしまうのだ。ついでに、手捏ねだから手の温度でも溶ける。
バターも生地も捏ねる手も、すべてがでろでろである。発酵菓子を作るときの最大の欠点だよなと思いながら、根性で捏ねる。こういう生地は機械捏ねのほうが楽である。ホームベーカリーとかミキシングマシンとか。
それでもなんとか形にしてこうなった。黒ごまがいい仕事をしてくれる。
粉二〇〇グラムのレシピだとワッフル六個分くらいだったと記憶しているが、粉と同じだけ芋が入るせいか一〇個になった。
残りの蜜煮でさつまいも黒糖蒸しパンを作る。
こちらも蜜煮の分さとうを減らす。黒糖だからコクが出るのもあって、さとう少なめのほうがくどくならなくていい。もともと甘さ控えめの蒸しパンのほうが好まれる家でもある。
黒糖の蒸し菓子であるふくれ菓子なんかだと、甘いほうがいいからどっさり入れるけれど。適材適所。
材料はシンプルに、薄力粉、ベーキングパウダー、黒糖、水、さつまいもの蜜煮。
バクハツ系とか花咲きなどといわれる、上部が割れた蒸しパンが好きなのに、道具を変えたからか近頃きれいに割れてくれない蒸しパンである。蒸籠も買い換えたけれど、下の鍋を別のものにしたのがよくないのかな。ちょっと不満である。
紅はるか、皮ごと角切りにして調理したはずなのに写真のどこにも皮が写っていないのは一体どういうことなのか。そんなところでシャイにならんでもよろしい。