なると金時・甘姫
居住地で手に入るさつまいも新芋のいちばん乗りは、たいていの場合徳島県産なると金時。
おそらく、七月に収穫したものをほどよくねかせてから出荷しているのだけれど、お盆を過ぎるといきなり現れる印象がある。早いよ!
この品種、売場を見ている限りでは細身ちゃんが多くて、また繊維も少ないから、皮を剥いて調理するよりも皮ごといくほうが向いているように思う。焼き芋やふかし芋、天ぷらや煮物。我が家でも主に蜜煮やはちみつレモン煮になる。煮物というより箸休めが近い。
細身だからお弁当にも使いやすい。皮の赤と身の黄色のコントラストが目を引いてかわいいのだ。彩りだいじ。
たまには違う食べ方をしたい。そんなことを思いつつ。夏にとうもろこしごはんを食べ損ねた心残りが頭をもたげる。
実はとうもろこしを食べすぎることができない体になったわたしである。口にすれば一〇〇パーセント腸に不調をきたす異性化糖の原料がほとんどとうもろこしでんぷんであることから、普通のとうもろこしも控えるようになって久しいからだ。
コーンフレーク(プレーン)で腹痛に苦しんだのはそんなに古くない記憶である。
めしょ。
となると、もう頭の中はごはん一色。
さつまいもごはんだ!
数年ぶりの登場である。前回いつ作ったかがどう頑張っても思い出せない。嫌がられた記憶があるから、たぶん子が小さかったんだなとは思うけれど。
皮ごと一.五~二センチ角くらいに刻んださつまいもを水にさらしておき、吸水させた米の上においたら、酒と塩を加えて炊くだけである。
目安としては、米二合にさつまいも二〇〇グラム程度。酒は大さじ一、塩を小さじ一。普段炊き込みごはんを作っていると塩が多いようにも思うが、これくらいないとさつまいもの味が立たないという不具合が。全然しょっぱくないのよね。意外。
さつまいもごはんには、やっぱり同じ秋の味覚、さんまよね。
ちょうど買ってあった塩さんまを焼いたら……。さんま漁初期の脂のまだのっていない、ちょうあっさりさんまさんだった。脂ののっていないさんまは、塩焼きよりも刺身を好む我が家である。
どうしよう、さんまを食べた気がしない……。
このときは、豚肉ときのこの炒め物と、つるむらさきのおひたしが献立。さんまだけでは足りなかろうと、肉を多めにしておいたのは正解だった気がする。
さんまは後日、ほどよく脂ののったもので塩焼きが実現した。写真は撮り忘れたが、たいへん満足である。