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補習授業:ニンジュツ上級者コース

今年最後の更新です。年末年始は休んでゆっくり過ごしたいと思います。

良いお年を。

 「君たち四人の一学年時の努力を認め、上級者コースへと移すことにした。自分の努力と才能を誇り、更なる成長へ向けて邁進してほしい。」

 ユン先生は教室に現れてこういった。


 本日は魔法の補修を終えた翌日、ニンジュツの補修の日であった。ニンジュツは五日間の補修が用意されており、期間中のニンジュツの発動は全て教師陣の前でのみ行うように指示されている。


 「君たち四人の補修の課題は『体の一部の完全変化』だ。学年が上がるごとにこの変身の範囲が広がっていき、小学校卒業時には全児童が全身の変身を習得しているのが目標になっている。まずは先触れとして手の変化を覚えてもらおう。」

 ユン先生のはドライバーやバールのようなもの、刀剣へと次々に姿を変えていく。凄まじい変化の速度と正確さである。人間十徳のように感じられたが、それだけ便利な術なのである。


 「今までは体色の変化や物質の状態変化だとか、『変化さえすれば役立つ』ニンジュツだったと思うが、これからはそうはいかない。変化した結果がハリボテでは何の役にも立たないんだ。」

 そう言って両手を同時に、同じ種類の刀に変化させた。


 「右手の刀は形だけを真似した鈍になっている。人を殴っても大した威力にはならないし、当然切れない。なんなら耐久力すらも通常の人体に劣ると言えるだろう。しかし、左の刀は実物の刀と同等以上の性能を持っていて、完全に金属として変化しているため、強度も十分にある。」

 そう言って両手の刀を同時に机に叩きつけると左手の刀は机を切り裂き突き抜ける。しかし、右の刀はベチという音を立ててそのまま机の上で止まってしまった。

 

 「今日からの四日間は状態や色の変化だけでなく、『性質を変化させる』ことに重点を置いて修行を行うこととする。課題は二つ。一つは片手を何かしらの道具に変化させてその道具として利用できるようになること。もう一つが金属の性質を人体変化で習得すること。この二つは同時に達成することも可能だから、急がず、着実に取り組んでいってほしい。体を戻せなくなった時にはすぐに連絡してくれ。時間が経ちすぎると元に戻せなくなることもあるからな。各自俺に最新の身体データを送っておくことも忘れないように。」

 

 これが地獄の四日間の始まりであった。


 俺が腕の変化の対象にしたのはドローン整備に使うドライバーやレンチ、特殊規格の道具類だった。そのため結構な精度での変化を要求されることになり、時間がかかったのだ。腕が金属になった状態でチャクラ切れを起こして戻れなくなった時には本当に涙が出てきたものだった。絶望感が尋常ではない。ユン先生の話では、第三次世界大戦中はこう言ったニンジュツのトラブルが原因で多くのニンジュツ使いたちがなくなっていったのだとか。特に多かったのが動物に変化したのちに戻れなくなった兵士たちだという。兵士の体内に埋め込んでおいたトラッカーが機能していれば追いかけて元に戻してやったり、とどめを刺してあげることができたそうだが、トラッカーごと変身してしまったものはいまだに行方不明なのだそうだ。

 この行方不明者は学園内にも時折いるらしく、数年前に行方不明にあった学生の成れの果て(猫らしい)が今でも学校内をうろついているという怪談話があったりする。真偽は不明だが、明らかにサイズの大きい猫が学園内で目撃されているという情報が多いので、事実なのかもしれない。しかし、教員陣も捕獲する動きを見せていなかったり、子供が追いかけても適当にあしらわれるので元が人間なのかと言われると怪しいものであった。前にネクター製のおやつをあげたら喜んでいたので俺は普通の猫だと信じたい。


 現在補習授業四日目。俺はすでに課題を達成したため友人たちの練習風景をおやつにしながら左手をタンブラーに、右手を少し長めのトングに変化させて飲み物とお菓子をいただいている。左手のタンブラーは二日目の修行の成果によりしっかりと中空の状態で形成することができるようになり、冷たいものでも温かいものでもしっかりと保温してくれる。ユン先生も戦場ではこのようにして毎晩キャンプしていたそうだ。懐かしそうに俺の練習を眺めてはアドバイスをしてくれた。

 この変身術というのはなかなか制限が多い。物質同士が完全に接続していなければないため、歯車やボルトなど、接合していてはいけない部品を伴う機械を制作することはできない。バーツごとに生産して組み上げることはできるが、自分の肉体のように動かすことはできなかった。

 しかし、俺はその弱点を一部克服することに成功した。機会的に動かすことができないなら、生体的に動かせばよかったのだ。腕丸ごとドライバーを形成し、先端部分と自分の腕の骨を接続する。骨に本来付随している筋肉と腱の構造を変化させ、一定方向に骨を回転させられるようなゼンマイを制作する。最後に神経を接続することで、一定回数だけ筋肉で回転させられるドライバーが完成した。これからの時間はこの技術をどのように活用することがでいるか考えろとユン先生から指示を受けた。しかし、道具があっても使い道がないという状況で、仕方なく腕の先端を泡立て器にしてメレンゲを立てて置こうかと思ったが、残念ながら今の世界では鶏卵ひとつとて手に入れるのに苦労する。せっかくの発明も、意外と運用するのは難しいものであった。


孝が開発した体内埋没ゼンマイ変身は将来的には相手の体に手をねじ込んだ後に内臓を掻き回して破壊する「人体ミキサーの術」として運用されたり、されなかったり。

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