忘備録:魔法使いの武器
本日二回目の投稿です。
魔法使いは第三次世界大戦に参加する前後で大きくその慣習を変化させたが、特に顕著に変化したのが装備する武器であった。現代においても
古典派に属する魔法使いたちは伝統的な武器として、「杖」と「盾」、「鞭」を装備している。
魔法使いの使用する杖は、前世における魔法使い的なイメージの象徴としての杖ではなく、単純な打撃武器としての利用が多い。先日補習で教えてもらった指向性魔法を利用することで遠距離においても遠近両用の強力な打撃武器である。第三次世界大戦までの戦争での魔法使用経歴は非常に少なく、直近では中世に騎士のような者の相手をしてきたのが直近の戦闘記録であったために、対盾武器として有効だったのだろう。
また、魔法刻印は刀剣類のような平面に書いてしまうと相手の魔法使いに刻印の情報が盗まれてしまうことから、難しくとも曲面に刻印を描くことで判別を難しくし、情報的なアドバンテージを得られることも有利だったと言われている。
産業革命以前の世界では王族などのVIPの護衛にも魔法使いは重宝されていたようで、刀剣類などのあきらかに武器であるものは持ち込めなくとも、魔法使い用の杖であればちょっとミステリアスな雰囲気の杖であると思われるだけなので便利だったと魔法使いの歴史を解説する雑学書に書かれていた。
この杖も現代においては機械化された部分もあり、公国の魔法使いなどはただの杖ではなくジェットパック付きのスレッジハンマーを携帯していたり、超振動を発生させる機構などを内蔵しているものが多いようである。残念ながら魔力を増幅してくれるような神秘的な石や魔法の枝などは存在していない。まあ仮にあったとしてもそれを使って頭をかち割るだけなのだから金属の方がマシである。
魔法使いが用いる盾には三通りの役割がある。一つ目は当然盾としての本懐である防御のための役割だ。魔法使いの強化にかかれば鍋の蓋であっても散弾銃を防げてしまうのだから凄まじい。衣服と違って防御のために特化している存在であるためか、強化の度合いが高く、鍋の蓋から鉄板製の身なりだけでも盾らしくしたものになれば旧式の対物ライフルでも防げてしまうようだった。魔法使いの防御力の高さは今後も気をつけなければならない。
二つ目の役割は遠隔攻撃の発射装置としての役割である。魔法では物質の衝撃を伝播させるという部分に焦点を当ててアレテーを曲解することで、衝撃を遠距離まで伝達して相手を攻撃することができてしまう。しかし、この際には衝撃を発生させる必要がある。空気を叩こうと振り回したり、水中で振り回したところでこの攻撃は成立しない。そのため、自分の持っている盾を叩くことで魔法発動の起点を作り、遠隔攻撃を行ったのである。しかし、この場合は盾から空気、もしくは自分の体を衝撃の媒介役にしなければならないため、非常に危険な技術として認識されており、今ではこの方法で使用するものはいないと言っていいだろう。マクサコフの魔法使いが用いる盾は音叉のような性質を持っており、杖で叩いた衝撃を音波として指向性を持って射出できるようになっており、音響兵器として運用されている。魔法による強化も相まって非殺傷製の武器としては最もコストが低く強力な装備とされている。都市部の治安維持部隊における魔法使いは必ずと言っていいほどこの装備の訓練を行うとのことだ。
三つ目の役割は、俺たちにはあまり関係がないことだが、カンニングペーパーとしての役割があった。俺たちからすれば眼球型のサイバネティクスがあれば何万字であろうと…覚えていると言っていいのかはわからんが呪文を唱えることはできるだろう。しかし、サイバネティクスを好まない魔法使いは自力で魔法の呪文を覚えるしかない。第三次世界大戦に投入された新人魔法使いたちは大した訓練期間を置かないまま実践に投入さえたこともあり、幾つもの呪文を覚えていけるほどの余裕はなく、盾の裏側に貼り付けた呪文を読みながら戦闘していたのだそうだ。マクサコフはなんでこんな奴らに苦戦したんだ?全く理解ができない。
最後の魔法使いの武器は鞭である。魔法使いが鞭を好んで使用するのは、古典派の魔法使いたちの影響が強い。魔法使いはこの世界にあるあらゆる物質を強化し、彼らの言によると支配していると主張されている。そのため魔法使いというのは世界の支配者であるために鞭を持ち、世界を調教しているのだとか。馬鹿げている。しかし武器としての運用は一切ふざけた部分がなく、鞭は使い方によっては空気を叩くことができてしまうのだ。これは先述した空気を叩けないから盾を使用するという状況を回避し、より簡単に遠距離攻撃を行えるという画期的な発明だったらしく、過去には流行していたそうだ。まあ結局は盾の防御力が魅力的で、「杖と盾」という元鞘になってしまったそうだが。
ネット上の噂レベルの話だが、鞭の利用目的として相手の調教・調伏が挙げられることから、鞭のアレテーを「相手を支配下に置くこと」として魔法を発動することで組織的に洗脳をおこなっている秘密の魔法組織があるとか。眉唾にも感じるが、実際に野生動物等を鞭の一撃で手懐けている動画などもアップロードされていたこともあり、もしかしたら可能性はあるのかもしれない。場合によっては将来宗教を作るときの手段の一つとして有効になる可能性があるため、ここに記録を残す。
魔法使いは現代では銃も使います。当然です。強いんですもの。
それでも指向性魔法が使われるのには理由があるんです。




