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都市防衛

寒くなってきましたが、皆さんの住んでいる地域は雪は大丈夫でしょうか?

筆者はまだレギュラータイヤなので心配です。

 ユン先生の言葉に誘われるように多くの児童が窓から外を覗く。俺たちが出て来る時には何もなかった都市の外縁部には二十メートルほどのレーザー防壁がせち上がっているところであった。前世の有名ゲームが映画化したゾンビ映画では、レーザー光線で人体がバラバラになっているシーンを見たことがあったが、それを非常に巨大化したもののようだ。格子状に放たれる光線は小動物が通る隙間がなく、優秀な守りであろうということを予感させる。ただし、俺たちがまだ外側にいるという事実を除けばだが。


 「先生…。俺たちまだまだ到着に時間がかかると思うのですが、入れてもらえるんですよね?」

 俺の質問にユン先生は毅然と答えてくれる。


「もちろんだ。ただし、外敵を駆除し終わってからだがな。窓から離れろ。隔壁を下ろして全員対ショック姿勢を取れ。ドローンはできるだけ上空に避難させること。巻き込まれたら修理まで一週間はかかるぞ。すぐに行動しろ。」

  

 是非もなくそれぞれが自分のドローンの操作を始めた。俺のドローンも敵の近くにあるので、巻き込まれる筆頭だろう。一週間も自分の足代わりになる相棒を失うのはごめんだ。せっかくかっこいいカラーに染められたから、それを失うのも惜しい。役目を終えたドローンを遠くへ避難させると、俺たちは座席につき、対ショック姿勢をとる。


 こんないの遠足のために俺たち園児のために輸送車両にはチャイルドシートがついている。頭部を窮屈に締め付けて首と離れないように守ってくれるだけでなく、手足も固定してくれる。怪我もしないが逃げられもしないので、最初は不安だったが、こんな状況になるならもっと説明書を読んでおいてもよかった。


 対ショック姿勢の準備が完了して余裕ができたので前方を見やると、周囲全ての窓にはシャッターのようなものが下されており、外の様子は窺い知れない。運転手が視界確保するためのフロントガラスも同様であり、運転手は眼球型サイバネティクスを通して外の景色を確認しているのだろうと予想できた。


 ユン先生は手で印を作ってニンジュツを発動したようだった。シャッターの内にあるガラスの輝きが増していく。ネットで公開されている上級忍術である「金剛障壁」の術だろう。空気中の二酸化炭素等から炭素を集合・変化させて身体をダイヤモンドにする術だったはずだが、ガラスのソーダ灰等に作用したのだろうか。実際に対象物に触らずに変化させるあたり、ユン先生が卓越した忍術使いであることが窺える。


 俺は自分の視点からでは何が起きるのか確認できない状態になったため、ドローンから外の状態を確認する。都市ではすでに防衛部隊の準備が完了していた。残り二、三分で都市に突入できてしまう距離だ。この距離で攻撃をして問題がないのだろうかと心配した頃にそれは飛んできた。


 俺たちが使っていたものがおもちゃだったのではないかと錯覚するほどに巨大で、威厳のある。攻撃用ドローン「セマルグル」の姿だった。


 セマルグルはマクサコフが軍用に開発しているドローンの中で唯一「攻撃」専用のドローンとして製作された機体である。俺たちが使っているストリボーグが「偵察・索敵」のように二つ以上の役割や使用目的を持たされているのに対して、セマルグルはただひたすらに「攻撃」することだけが目的とされたドローンなのだ。

 魔法技術によって戦闘機などに比べても非常に小型なのに対してマッハ2.2までの速度で飛行することができ、航続距離は六百キロメートルにも達する、長距離制圧用の攻撃ドローンである。開発を主導したのはマクサコフの現社長であり、コンセプトとして「人命を賭さない戦争の形」を掲げていた。この場合は人命とはこう国民のことだけを指していたが、このドローンの運用開始後はマクサコフの戦死者数は劇的に少なくなり、戦争を有利に運んだ兵器として有名である。現代では世界の安全のためと称して、世界中のさまざまな国に防衛戦力として販売されており、ここ帝国の一都市においても配備されるだけの即応性と攻撃性能がある。これだけの兵器を世界中に売ることはマクサコフにとっても不利な部分があるが、機体販売による利益と運用するためのサービスによる利益によって現社長は出世街道を上り詰めている。研究職上がりの社長の存在はマクサコフ内においては技術職の希望の星であるようだ。


 今回は俺たちの位置が近かったこともあってその性能を生かしきれない範囲での運用になっただろうが、その攻撃は苛烈である。速度を落としているのだろう。俺たちのドローンでも認識できる速度で迫ってきたセマルグルはすぐさま後方から追ってきている敵車両の後方に陣取り、相手を嘲笑うかのように機動して翻弄する。数十秒そんな様子が続いたかと思うと、セマルグルから観測によると半径2センチもないほどのレーザー光線が放たれ、車両はそれぞれに等分されて停止したようだった。セマルグルのカタログスペックであれば、直径17センチまでのレーザーを出力できるはずなので、手加減したのだろう。


 俺たちのバスとセマルグルが処理した敵車両との距離は離れていく。残念ながらこの事件の結末を知ることは俺には叶わないのだろう。いつか偉くなった暁には、この事件のことを調べてみようと忘備録に書き加えておいた。


マクサコフの現社長は研究・開発畑出身者であり、秘書やマネージャー等が会社の経営の舵を握っています。副社長二人は社長の座を狙ってはいますが、このマネージャーたちが手強いもので、なかなか機会を得ることができていません。今後の学園生活にも影を落としそうな状況です。


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