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セルフヒートシンク

自分の脳みそに冷却器あればいいと思ったことありません?

十二月十二日の更新の代わりに、この作品の第一部分を本日公開しました。。

この先の展開というか、魅力的な部分が伝わるといいなと思いますので、

是非ご覧ください。

 現在ドローン教練の授業では二台の飛行ドローンの同時操作訓練を行なっている。個人が携行、連携するドローンの標準は三台となっているため、その前段階と考えていいだろう。マクサコフのエージェントは単独の戦闘能力も高いが、その真価はサイバネティクス同士の連携にあるといっても過言ではない。周辺環境に存在する機械類の利用や攻撃、索敵、防御に特化したドローンの同時操作による戦闘能力は『一人で一個小隊』と言われるほどに高い。しかし、当然一日で身につくような技術でもない。


 俺は現在、相棒の偵察ドローンである「ストリボーグⅤ」に仮想訓練用のレーザー照準器を取り付け、対戦相手とのドッグファイト中である。もう一台は学校から貸し出されたレンタル品で、防衛・制圧用のドローン「モコシ」を動かしている。このモコシはレーザーを遮るだけの十分な装甲と電磁シールドを有しており、相手のドローンに自分が攻撃されないように動かす必要がある。


 今日の授業は三対三教習と呼ばれる訓練で、相手本人もしくは攻撃用として稼働している相手のストリボーグを撃墜すれば勝利である。縦横無尽に駆け巡るストリボーグを互いに操作しながら自分自身も移動し、防御用ドローンも動かさなければならない。話を聞いた当初は難しそうに感じたが、少しやってみるとどの用に動くべきか分かり易い。要は自分をVIPだと想定した要人護衛の練習だと考えればいい。しかも相手を倒すこともできる。前世では元総理大臣が銃撃に遭って殺害されるなんてこともあったが、今の時代でもあり得るのだろうか…。


 俺はそんなことを考えながら二台のドローンと共有している画面を分析するが、これが非常に酔う。各ドローンの視界は非常に速く移動するし、自分の視界からドローンを視認して三次元的な位置を確認しなければ操作がしにくいことも合わせて、脳が混乱するし、なんならグライアイも発熱してくる。処理機能が圧迫しているのだ。相手にはもう仕掛けないが、各自の最大限の能力を発揮していいことになっているため、自分自身の血液を使って冷却することにする。

 血液中に漂っているナノマシンであるサイバネティクス「クローフィー」を起動し、体温を徐々に低下させる。同時に身体強化のために血液中から筋肉や神経へ移動させ、スタンバイ状態を作る。相手のグライアイも十分に過熱したのだろう。ストリボーグやモコシの挙動が途切れ途切れになっている。通信不良の発生したタイミングで俺は自分の操作するモコシと共に駆け出した。

 相手も当然こちらの動きに気付き、ストリボーグで攻撃してくるがこちらも同等の戦力を持っている。防御は全てモコシに任せて自分は疾走しながらこちらの攻撃機で相手の防御を乱す。あとは身体能力と余裕の差で勝負は決まる。接近して相手のモコシを蹴り弾き、対戦相手に触る。


 「はいタッチ。俺の勝ちね。」


 決着はなんとも幼げな言葉で終えたが、戦闘訓練である。対戦相手と互いの戦闘詳報を交換しあって、教官の元へ向かう。


 「一年一組の神前孝です。ドローン戦二戦目が終わったので報告に来ました。ヴラドレン先生をお願いします。」

 そういうと、万が一ドローンが墜落してきた時のためのシェルターから担当の教員であるヴラドレンが顔を出す。


 「早いね!困ったな。他のところはまだ戦闘中だからしばらく待ってもらわないとな…。一応戦闘詳報送ってもらっていい?」

 そういうとヴラドレン先生は目を指差した。俺は頷いて相手に赤外線通信で戦闘詳報を送信する。


 「うーんなるほどね。ドローンをできるだけ激しく動かして、相手のグライアイに負担をかける戦法ですか。これは君にとっても大きなデメリットになり得たはずだけど、どこで差がついたのか…対応データが異常値だね。最低値で十五度まで低下していた。サイバネティクスで対応を下げたのかな?」


 「はい。自分の血液型サイバネティクス「クローフィー」は体温の変化や身体強化に使えるので。今回は体温低下と血流の高速化、身体強化などを行いました。マニュアルに血流の高速化が載っていたのでやってみましたが、これひどいですよ?心臓の鼓動を無視して血流を流すようなものです。マニュアルからの削除を進言します。」


 「あー…。君はあれを移植しているんですか…。それなら納得の結果ですね。処理能力で差をつけるのは賢い戦術です。震源については君のそれを作った人向けにメッセージを送っておきますが、間違いなく面倒なことになりますよ。自分の上司ですから。あと、一応これはドローンの操作訓練なので、『相手に一撃を加えたら勝ち』っていうルールは、できればドローンの操作で達成して欲しいです。よろしくね?」


 そういって自分の担当教官は扉から顔を引っ込めてしまった。普段は室内で勤務することしかないからか、兵器がよほど怖いのだろう。遠くではドローン同士が空中衝突して落下している…。怪我人がいないか確認しに行って、あとは次の対戦相手待ちをしておこう。

クローフィーによる体温低下は各種臓器の機能を大幅に低下させるだけでなく、血液の密度を上昇させ、血流を阻害しやすくします。その補助としてナノマシン自体が血流を高速化できるように設計されていますが、これは流れるプールと同じで無理やり造られたデジタルな流れです。心臓は鼓動というアナログな流れを作って居ますので、噛み合わず、心臓発作や不快感の原因となりますので、気をつけて使用しなければなりません。

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