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ドッヂボール

次回試合です

 この世界において球技は衰退した。野球選手もサッカー選手も、テニスでさえも、眼球型サイバネティクスの恩恵を受ければ瞬時に弾道計算を行うことができるようになり、最強のゴールキーパーや百発百中のスラッガーなど以上な記録が打ち立てられてしまったのだ。世界中の競技連盟がルールの改定や選手人数の制限等を行ったが、ついにはサイバネティクスの使用禁止までは辿り着けなかった。これはマクサコフのロビー活動の影響もあるが、サイバネティクスを使うことで初めて、スポーツに参加出来るハンディキャップのある子供や、事故などで引退したスター選手が復活したことで世間が見方についたことも大きかった。

 ドッヂボールももれなくこういったサイバネティクスによる文化侵略を受けた被害者の一つだ。投げた玉はサイバネティクスにより一瞬で弾道を解析され、選手は最適な回避や捕球を行うことができ、投球に関してはも最大限の恩恵を受けることができるだろう。だが、球技は現代においては後出しジャンケンのように後手有利の状態。これを全員が認識した状態でどうやってドッヂボールで遊ぶのか。勿論。サイバネティクスを活用して波乱を呼ぶしかないのである。


 「さて、うちのクラスで中心となって攻撃できる人を探そう。誰かあのボールを使って確実に当てるのに向いている人はいないか?」

 俺は同じクラスになった面々に視線を送り、表情を伺う。みんなの視線は現在進行形で行われている他クラス同士の交流試合だ。一方ではヨシダ・アキコが空気砲でボールを打ち出し、相手チームを狙う。もう一方はシールド装置だろうか、空中にオレンジ色のプレートが出現してボールを弾いている。グライアイの解析では散布した名のマシンによる放電を制御したことによる電磁シールドだとわかるが、効率が悪いことは自明だろう。他のチームメイトが対策しようと必死で駆け回っている。


 「別に投げて当てなければいけないわけではないのでしょう?ボールを蹴って当てていいのなら、私に任せなさい。狙ったところに飛ばすことはできるわ。」

 同じクラスになったマディナ=ヤノフスキーが発言する。確かに彼女のサポーギⅢは物理攻撃に向いているため、蹴り当てるにはちょうど良さそうだろう。クラスメイト達の顔色は良くない。おそらく攻撃的なサイバネティクスではないのだろう。


 「じゃあ…マディナさんが主攻になって俺が予備になろう。そこそこの威力で投げれるし、最悪キャッチも…」

 その瞬間、目の前でボールがシールドを突き破り、壁にめり込む光景を見てしまった。


 「キャッチにこだわる必要はないから、しっかりと避けよう。ドッヂ(回避)するボールだからな。…防御できる人いる?マディナさんを守らないとまずいね。」


 「あ、二回くらいなら防御できるよ。二枚あるから。」

 そう言って挙手…ではなく挙羽したのはヨウ・シンさんだった。彼女には飛行補助用のサイバネティクスが四翼移植されている。寝るときにはどうするんだろうか。


 「私の翼なら耐久力も十分あるし、面積も大きい。確実に守れるよ。飛んで援護したくてもここは屋内だし、狭いからあまり活かせないし、盾にちょうどいい。」

 シンさんのサイバネティクスは飛行装置とセットで使うため、現状屋内では機能しないし、本来はドローンなどと随伴飛行しないとまともに行動できないものだ。割り切るのは仕方のない判断かもしれない。


 「わかった。ではシンさんは翼をしまってマディナさんと行動してくれ。一度当たったら戻ってこれないから、基本は回避。マディナさんが回避できないと判断したら、シンさんの判断で防御していい。基本方針はこれでいこう。少しづつ削っていくしかない。今回のルールでは、サイバネティクスの部分への被弾も致命傷扱いでアウトだから、耳とか尻尾とか複腕とかドローンを格納しとかないと被弾面積大きくなるから注意しような。」

 

 何が起きるかわからないスポーツに参加することでテンションが下がった俺たち幼稚園児集団はそのまま静かに他チームの試合を見続けた。シールドを展開していたクラスにはアンディがおり、魔法の準備が完了したことで、空気砲によって飛ばされてくるボールの威力を大幅に減衰できていたが、アンディの魔力が長持ちしなかったため、最終的には攻撃力不足が祟り、人数差で敗北した。

 次の対戦では、空中機動ができる園児が自陣を飛び出し、着地前に相手に接近して当てて戻るという空中戦が繰り広げられた。ボールの弾道解析も避けられない距離では意味がないため、割り切った作戦だろう。ただし、、投げたボールの回収ができないことと、着地後は自陣に戻らなければならないため、弱点も多く、ほとんど人数差ができないまま僅差で勝敗がついていた。


 さて、俺たちの番がやって来た。他チームの試合を見てきた俺たちは方針の変更を図らざるを得なかった。これしか勝ち目はないだろうという情けない作戦。



サッカー熱いですね。

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