忘備録=ボンデーキン学園幼稚部 教育課程
忘備録です。これからのこととかも少々。
必要のない方はお読み飛ばしください。
マクサコフ機械公社が運営する帝国における教育機関、ボンデーキン学園は幼稚部から高等学校まで一貫した全寮制の学園だ。マクサコフの将来を支え、社訓の一節である「科学を通して全人類に幸福を知らせること」を実現するためのエリートを立てるための教育機関である。
俺が参加しているエリート人材育成援助プログラムには毎年全世界から二万人がエントリーし、幼稚園入学時点で八千人に絞られる。幼稚園は世界に六十ヶ所あり、各園でおおよそ百二十名前後入園する。その後、小学校への進学試験で六千人、三十校。中学校への進学試験で三千人、二十校。高等学校への進学で一千人、六校に絞る。
幼稚部の教育目標は「基本的な生活習慣の確立と健全な肉体と精神の涵養」であり、生活習慣については全寮制の学校のため、寮生活を中心に教育が行われる。生前の世界のテレビで見た自衛隊の寮生活のように上下関係等はほとんどない。寮生活は寮母や寮父が基本的な世話役として食事や洗濯等を行う。食事はネクター制ではあるが、子供でも食べやすいように量を調整されており、給食後にもおやつが用意されているなど、食事などは充実している。また、お昼寝の時間がおやつ前と授業終了後にあり、早朝の肉体鍛錬と夕方の自習時間のために体力を回復させることが可能のようである。
健全な肉体の育成と目標にあったが、これは特に骨、神経、体格の育成に力が入れられている。サイバネティクスの移植方法は多岐に渡り、部位によって大きな差があるが、人体を支えるのはやはり骨である。腕や足を入れ替えるにしても、丈夫な骨がなければ機会を備えつけるための土台を構築するのが難しく、頑丈な骨の育成のために幼少期から強化剤を飲み、刺激を与えることで骨の強化を行う。サイバネティクスの多くは制御装置が必要であり、俺の世代であればグライアイがそれに当たるが、他の代において女性は胸部(貧乳だと悲惨である)にサイバネティクスの制御部を置くことが多く、男性は肋骨の内側に制御部を置くため、魔法使いなどからは機械ゴリラと言われるとか。
神経はサイバネティクスを制御するための回路であるため当然重要だ。定期的に電気刺激を与えることで電気信号を伝えるための素地を作る必要がある。珍しいケースではあるが、中間移植というものがあり、例えば足の太もも部分だけサイバネティクスに置き換え、胴体と膝から先は生身という状況もあり得る。この時、サイバネティクスを通過して足先に送られる電気信号は非常に強力で神経を焼くこともあるため、幼少期からの強化を必要とする。また、先ほどの事例よりは珍しいが、目や耳などを増設したり、尻尾や羽のような本来人間にない機構をサイバネティクスとして移植する場合にもこの神経強化訓練は重要となり、この教育の重要性は様々な科学者が証明している。
体格については、薬剤の詳細まではわからなかったが、健全な発育のために食事に成長促進剤が含まれているらしい。これは俺たちの世代は特に顕著であるが、知性の発達に対して身体の成長が遅いことが精神的な不安定の原因であると予想されているため、肉体の成長を急がせる目的があるようだ。おおよそ小学校卒業時点で平均身長が百七十センチ以上となるように調整しているらしい。他にも、基本的に高性能なサイバネティクスは「デカいほど強い」というのは常識なようで、より巨大なものを移植できる土台として成長することに期待しているのだろう。
健全な精神の育成については、前世で俺の娘や息子が受けたような道徳の授業のような形態ではなく、ゲームのようなもので指導を行い、マクサコフの思想を少しずつ浸透させていくらしい。ゲーム画面で何かをすれば登場人物の誰かは利益を受け、誰かは不利益を被る。人生ゲームよりも理不尽で実益のあるゲームのようだ。
また、前世の学校と異なる点として、四つ足や球形のドローン等の操作訓練。遠足という名のカジュアルな夜営訓練。職場見学(サイバネティクス関連)という名の人体実験。運動会。学芸会ではそれぞれが移植しているサイバネティクスの特色を生かした特技発表があるそうだ。
これからの日々が恐ろしくて仕方ない。しかし希望もある。宿泊学習では三泊四日でマクサコフ公国直営の幼稚園への留学が行われ、今まで行ったことのない外国の風景を楽しめるはずだ。公国と遠く離れた帝国の一都市でもこれだけの機械化が進んでいるのだから、公国はそれはすごい景色が広がっているだろう。お土産は何か買えるのだろうか。今から楽しみである。
いずれにせよ入学は決定した。あとは誠心誠意学び、訓練して将来の出世につなげるために努力することにしよう。幼稚園から信者を増やすための活動もできるといいが。あまり変なことを早期に始めても注意されるだけか。少しずつやっていこう。牛歩こそ大成の王道である。
筆者自身、教育免許はありますが、小中高だけで幼児教育は専門外でわからないことだらけですね。
これにてお受験戦争編は終了です。次回から幼稚園編に入りますので、応援よろしくお願いいたします。




