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サイバーパンク転生〜企業戦士となって信仰を捧げる〜  作者: 石丼
サイバーお受験戦争
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試験終了後

次回は忘備録です。

 目が覚めるとそこは病室であった。顔を起こして左右を見ると、周囲には試験を終えたであろう子どもたちが寝かされており、ここで治療やら補給やらを受けているのだろう。そして俺の首筋には戻った感触があった。


 「髪が生えた!」

 「ウィッグですよ〜」

 看護師は意識が戻った俺の様子を見にきては、すぐさま残酷な言葉を放つ。


 「神崎孝くんですね?試験お疲れ様でした。魔法の刻印と足の怪我はすでに治療完了しました。ナノマシンも基準値まで補給済みです。お友達はまだかかりそうなので、こう門前のバスに向かってください。家まで送ってくれます。試験の結果は三日後にグライアイに送信されますので、オンラインにしておいてくださいね。」


 必要なことを述べた後に、看護師はすぐ他の子供の元に向かっていった。グライアイには次のバスの発車時刻が表示され、無言ながら早くかえてと急かされている気分である。俺は自分の足をグニグニと動かし、不調がないことを確認した上で、ベッドから降りて横にあった服と荷物を持って部屋の外へ出た。


 廊下はひどく静かで、進む先は電子表示されていたので、示された動線に沿って廊下を歩く。前世の車やナビにこんなのがあったら道に迷うことはなかっただろうなという感想を抱いていたところで、催したためトイレに入ろうとした。俺が扉を開けようした直前に隣の扉が開いた。そこには腕の空気砲でハンドボールを遠くに発射していた少女がいた。俺は会釈だけしてトイレに行こうとしたが、声をかけられた。


 「あなた、そっちからきたなら怪我人?試験はクリアしたの?」

 情報交換をしたいのだろうか、少女の服はやや擦り切れているような部分もあり、なかなかに苦労をしたようだ。


 「試験の内容は言えないが、両足骨折とナノマシン不足になったよ。そっちは空気砲で上手くいったか?」

 少女の手を見ると目の前に突き出してサムズアップした。この子は合格するのだろうか。


 「あなた、体力テストでは最高記録こそ出していなかったけど、全種種目のほとんどで好成績納めてたでしょ?気にしてたのよ。」

 少女は周囲の成績を把握しようとしていたらしい。


 「たまたま汎用性の高いサイバネティクスだったからな。そもそもあれは成績順が合格につながるものじゃないと思うぞ。そうしたら索敵とかのサイバネティクス選んだやつが不利だからな。自分の能力をうまく発揮できているかが大事だろ。」


 もう限界が近いから早く扉を開けたい。


 「私、ヨシダ・アキコね、よろしく。幼稚園でまた会おうね。」

 そう言って少女はバスの方向へ走っていた。互いに試験を通過しているという自信があるのだろう。俺は素早くトイレを済ませ、バスに乗ると、隣の席が先ほどの少女アキコだったため、互いに居た堪れず、黙ったまま家路についた。


 家に帰った俺は、両親に試験がうまくいったことを報告したが、同時に頭髪がしばらくないことも報告した。母は驚き嘆いていたが、すでに顆粒アルコールで気分良くなっていた父は爆笑したため、母に折檻されていた。父よ、あなたもいつかこうなるんだ。俺だって前世ではなかなか危機感を覚えていたくらいにはなっていたんだからな!


 合格発表まではまだ日があったので、試験の翌日にはしばらくつけるウィッグの種類を増やそうと母と大型商業施設へいき、父にはいつかのために頭髪を変化させられるように基本的なニンジュツの鍛錬方法を教えてもらった。親子で感覚が似ているからか、動画配信サイトや電子本で読むよりも理解しやすいと感じた。


 二日目には相棒のドローンであるストリボーグが帰ってきた。何か合格発表に関係したデータや変更がないかと細かく探ったが、何もヒントは得られなかった。暇だったので、近所の子供と遊びながらニンジュツの修行をした。ニンジュツを発動するためのエネルギーを感じ取れるようにならないといけないそうだが、まだまだぼんやりと感じる程度だ。高い身体能力と行動能力は魅力的だ。活動時間こそが努力の量につながる。


 三日目。本日合格が発表された。俺は無事合格できたが、主席合格ではなく、約三百人中二十二位というなんとも言えない成績だったようだ。しかし、目標だったエリートコースに乗ることができ、ミクリマとの約束である宗教の創始、信仰力の生産への第一歩を踏み出すことには成功した。これからも目標を忘れないように生きていかねばならない。だが、努力を続けるだけではいけない。合格が決定した以上、両親と過ごせるのは来年の九月までだ。それまでは修行をしながら、家族とゆっくり過ごしていきたい。前世は離別した私だが、ここには新たな幸せがある。これもまた大切にしなければならない…。


 来年の入学と、マクサコフからの合格祝いの品についての資料を見ながら、これからの生活に想像を膨らませていた。

 





お読みいただきありがとうございます。

次回忘備録を挟んでから、とうとう幼稚園での活動を書いていきます。

忘備録ではこの世界を蔓延る思想と幼稚園の教育課程について書きますので、

すぐには話が進みません。ストーリーの方を楽しみたい方には申し訳ないです。

 

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