宝探し
追いかけられるだけでは楽しくないですからね。
準備回です。
目が覚めるとそこは街中であった。近くにマディナとアンディも転がっている。最初に目覚めたのは俺のようだ。周囲は都市部の交差点であるが、普段は流れている車列がなく、人通りも一切ないことを不気味に感じる。グライアイで周囲を簡単に確認した後、アンディを起こす。
「アンディ君起きてくれ。ほら。」
そう言ってアンディ君の方をグラグラと揺らしていると、ゆっくりと目を覚ました。
「ううん?あれ!?ここどこですか?というか、孝君?」
やっと目覚めて、試験中であることを思い出したらしい。
「…ここが試験会場ってことだね。…僕がマディナさん起こしとくから、位置情報とか確認しておいてもらっていいかな?」
彼はそう言ってマディナの方へ向かっていった。足取りは既にしっかりしていて、ここに運ばれたことによる影響や不安定さはない。彼も受験者の一人であるから、当然だろうか。
マディナが目を覚ますと、何も言わずに周囲を確認し、状況を理解したようだった。
「教室で気絶したところは覚えているわ。ここが試験会場ということね。あなた達の元には試験内容などは届いているかしら?」
彼女の質問に俺たちは首を振る。俺が目覚めてから何も提示されていないことを告げると、今まで分かったことを共有する。
「俺が目覚めてから、二人を起こすまでにある程度周囲のことを調べたが、この場所についてはなんの情報もないことがわかった。グライアイで調べても位置情報はわからないし、インターネットにも接続できない。電子看板などもないし、車も通らないからどこにいるのかさえわからない。」
生まれてこの方初めて俺たちは迷子になっていた。しばらく三人でこの場所についての考察をしていると、グライアイにメッセージが入った。
[受験者へ連絡。象組の課題は、『探索』です。その地点から半径三百メートルの範囲内の建造物内に二つ。受験者の妨害用ドローンに一つ回収物を用意してあります。三つを全て集め、現在地に集合してください。詳細については、グライアイに送ります。三人で力を合わせて課題を達成してください。]
メッセージはこれだけで、別にファイルが送られてきた。
建造物内にある回収物は非常に脆く、壊さないよに扱うことが望ましく、逆にドローンが所持している回収物は頑丈なため、激しい攻撃を加えても問題はないということ。
ドローンは平常はプログラム通りに周回警備を行なっているが、回収物を二つ回収した時点でドローンはこちらを追跡するようになり、どこにいても探知されること。攻撃力は少ないが、攻撃を受けると一時間は起きられないとのことだった。時間制限は五時間。単純計算で五発くらったらお昼寝して試験が終わることになる。
全員でデスマッチになることを最悪の想定としていたので、それに比べるとだいぶ楽だ。しかし、このチームの欠点が浮き彫りになる。
「このチーム索敵機器持ってる人いないじゃない!」
マディナも当然気づく。そうなんだよ。俺たちでは半径三百メートル以内とはいえ、機動力に欠けるアンディが探索を行うのは時間がかかりすぎる。ストリボーグを回収したのはそのためなんだろう。
「それがこのメンバーの弱点だからですよ。どうしますか?どこから探しますか。探そして、どうやって探しますか。」
アンディは比較的冷静なようである。俺はドローンの詳細を確認しながら、マディナに視線を向ける。
「……フゥゥゥ。そうね。時間はないけど、焦っても仕方ないわね。私の予想だけど、これだけ広い範囲を索敵機器を持たないまま探索するなら、考えられる可能性は二つ。この範囲内にヒントが散りばめられていて、それを回収できれば見つけられる可能性、そしてもう一つが…」
「強敵であるドローンが残り二つの場所を知っている、だろう。」
マディナはやっぱりそうだよね。と言いたげな顔をこちらに見せる。俺の想定も同じだ。時間をかけて安全に二つを探してからドローンと決戦するか、ドローンと戦った後に残り時間で探索するか。順序が逆になるだけで効率は大きく変わる。
もし探索後にドローンと戦う場合、探索で時間を消耗するので、残った時間によっては倒しきれず、時間切れになる可能性がある。探索中のトラブルがあるかはわからないため、万全の状態で戦えるかはわからない。一方、探索前にドローンと戦う場合、ほぼ万全な状態で戦うことができるだろうが、戦闘後に万全でなければ、回収物を撮りに行くのに時間がかかりすぎて時間切れになる可能性がある。だが、このチームでやるならば…後者だろう。
「先に戦闘がいいと思う。」
俺は先に意見を出す。三人しかいないなら積極案を先に出した人物の意見が通りやすいからだ。
「このチームは俺とマディナが高速機動できる。探すことに時間をかけるよりも、ヒント獲得後に取りにだけの方が時間を節約できる。」
「ですが、ドローンがヒントを持っているというのはあくまで予想でしかないですが、マディナさんはどうお考えですか?」
「私も先に戦闘に賛成ね。ドローンから逃げながら探し回ると、私たちの機動力が生きない。多少戦闘時間が伸びてもいいから、損傷を少なくしてドローンから情報を得ましょう。試験である以上、ドローンに回収物を持っているのは、意図的なもののはず。これ以外にこのチームで合格するのは難しいと思うわ。」
「そうですね。そうするしかないでしょう。自分はサポート中心になってしまいますが、できる限りのことをやります。何か要望があればお伝えください。魔法使いの力が活かせるでしょう。」
三人での合意を得ることができた。これでチームとなって行動することができる。ドローンの情報について気づいたことを共有し、事前準備をおこなっていく。残り四時間半。悠長にしてはいられないが、時間はある。ドローン狩りの時間だ。
ポケモンの宝探しに疲れて、こちらで宝探しをすることになったわけではないです。
一歳の誕生日にもらえるサイバネティクスの選択肢には必ず一つは索敵に役立つものを推薦することが、管理官の慣例ですが、稀に推薦されないこともあるそうですが、そう言った人物には、何かしらの長所があることが多いようです。
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