おともだち?
プログラム参加者はグライアイによる学習補助により、総じて言語能力が高いため、
三歳児がこんなふうに話していることに違和感があるかもしれませんが、書いていても違和感あるんです。
成長につれて慣れるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
今日は幼稚園の三次試験だ。昨日の二次試験の帰りに指示された教室へ向かう。そこには二人の児童と一人の大人がいた。
「これで三人集まりましたね。私が試験官を務めます。これをつけてください。」
試験官は名乗らず、指示だけで済ました。渡されたのは象のシール。胸元に貼るように指示されて言われた通りにする。目の前の女の子は少し不満そうだ。オシャレ着だったのだろうか。
「あなた達三人は象組です。これから三人で試験を受けてもらいます。試験内容はこれから移動すればわかります。互いに自己紹介をしなさい。」
そう言って試験官は女の子に目線を向けた
「私はマディナ=ヤノフスキー。公国出身で、マクサコフ本国からの移植人よ。サイバネティクスは装備型のこれよ。」
そう言って子供らしい短い足を見せられる。そこには足先から太ももの中間まで長いブーツのようなものが装着されており、ところどころに金属らしい光沢が見られた。
「近接戦闘・機動補助ユニットの『サポーギⅢ』。走行や跳躍、蹴りによる近接戦闘の補助をしてくれるの。悪い奴に絡まれたら言いなさい。蹴り飛ばしてあげるわ。」
大変強気で勝ち気な女の子のようだ。最後に小さくよろしくと発してマディナは隣の男の子に目を向ける。ややして男の子はその視線に気づいて、自分の番が来ていると気づいた。
「は、初めまして!ジェラルド・アンダーソンです。アンディと呼んでください!
えーと、両親は公国人ですが…魔法使いです。」
マディナの視線が厳しくなる。が、ぎりぎりと元に戻っていく。何かに耐え切ったのだろう。予想はつくが。アンディも視線に気付き、恐る恐る続きを話す。
「え〜と…サイバネティクスは「サイクロプスⅦ」です。眼球型サイバネティクスで右側だけ入れ替えてあって予備は持ち歩いています。」
この距離では見分けがつかないが、あれは「目からビーム」を実現したサイバネティクスだったはずだ。この二人は攻撃能力の高いサイバネティクスを身につけている。これで試験内容がサドンデスとかだったらどうしようかと俺は悩み始める。アンディは続けて話していった。。
「サイクロプスの高精度レーザーを利用して、場面に合わせた魔法刻印を形成することができます。まだ湾曲した場所とか、正面以外から刻印するのは苦手ですが…。」
魔法使いの子は魔法使いということか。場面に合わせて何かできるらしい。初心者でもできる魔法はいくつか心当たりはあるので、対策を考えておこう。今度は自分のばんだ。
「神崎孝です。帝国出身で、父はI&Kに…」
言い終わる前にマディナが試験官に指摘する。
「ちょっと!!ここで第四次大戦でも起こすつもり!?ルーツの違う子供を集めて試験なんてどうかしてるわ!」
試験官は涼しい顔で返答する。
「試験に関するう内容を私は教えられてないので、なんとも。少なくともここに参加しているあなた達の情報を鑑みて試験は作られています。それを考えて行動することをおすすめしますよ。」
マディナは、まぁまぁと声をかけているアンディを無視して俺に続けるように声をかけた。
「…父はI&Kの工場で働いているニンジュツ使いだ。だが、修行はしていない。また、俺個人は大企業等に思うところはなく、プログラムに参加している以上、全力を尽くすつもりが、まだ俺たちが対立する試験とは限らないだろう。協力する試験だったら目も当てられない、仲良くしよう。」
いつの間にか丁寧な口調は抜けていた。この空気なら仕方ないだろうと、続ける。
昨日も試験の合間に同級生達と話していて感じたことだが、俺たちプログラム参加者は見た目に反して言語能力が高いため、言葉遣いや語彙が多彩で、前世の感覚で対応すると、違和感が邪魔をしてどうやって話したものかいまだに迷ってしまう。これが大人相手なら敬語で一貫して楽なんだが、相手が同級生だとな…。
「サイバネティクスは血液型のクローフィー。ナノマシンが血中を移動していて、戦闘の補助から回復まで色々できる。ドローンとかの機械操作が得意なつもりだ。どうぞよろしく。…全員割と戦闘寄りのサイバネティクスだな。」
なんとなく不穏な言葉が口から出てしまう。試験官は自己紹介が終わったと判断して、話し始める。
「では、皆さんが所持しているストリボーグの使用権限を私へ移譲してください。そのご、試験会場にご案内します。」
我が愛機はここでお別れか。三歳児にとって結構大事な足なんだがな。そう思いながらそれぞれにドローンの使用権限を試験官に譲り渡す。
「問題ないようですね。それでは、これから皆さんを試験会場にお送りします。移動後は、課題が皆さんのグライアイに送られますので、指示に従って課題を解決してください。皆さんの健闘をお祈りします。」
試験官が言い終わるより早いか遅いか。胸に貼った象さんシールから衝撃が走り、俺は地面に沈み込む。最後に見たのは同じように倒れる二人の姿だった。
さあ、最終試験が始まります。孝、マディナ、アンディにはどんな試験が与えられるのか。
最終試験は互いの長所が短所を補い合えるようにチームを組まされます。課題はチームごとに異なる内容で、合格基準のみ全試験者で共通です。お楽しみに。
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これからもコツコツ頑張りますね。




