丁髷 サイバネティクスの姿
ポケモンで遊んでいるとなんとかの姿という言葉をよく見かけます。
前作までを一切遊んでいないので変化を楽しめませんが、未来に行くと過去のものが
形を変えて残っていたりしないかなと思って急遽書いた文章です。
本編にほとんど関わりがないですが、楽しんでいただけたら幸いです。
生後半年が経ちなんとか這い這いができるようにもなり、舌足らずではあるが自分の口で話すこともできるようになったので、両親にお願いして近隣の大型商業施設への買い物についていくことができることになった。両親ができる限り俺を外へ連れ出したくなかったのは、今の時代サイバネティクスを奪うなら弱いものからと、悪人は少年少女を襲って強奪することがあるからだ。幸い俺には誤診に使うことができるドローンのストリボーグⅤもあるし、父はニンジュツ使いである。どれほどの実力を持っているのか知らないが、頼りにならないということはないだろう。
大型商業施設は前世の俺にとって親しみ深い場所だ。家族で一緒に買い物を楽しみ、食事を共にする。フードコートに行けばそれぞれが好物を持ち寄って食卓に並べることもできる。騒々しいが幸せで豊かなひとときを過ごすことができた。
しかし、この時代に大型商業施設は変化した。前世ではどこにでもあった飲食店やフードコート、食品を扱うスーパーなどはネクター製の食品コーナー飲みに縮小し、他の商品の売り場へと場所を譲った。休日には混雑をきわめた駐車場は自家用車が廃止された影響で廃止され商業施設は端から端まで建屋で埋められており、サブスク制度の利用者用の乗降場所だけが残る、駐車場を徐行しながら家族で空いている場所を探して回った思い出は今や繰り返されることはない。
では、食品関係や駐車場が削減されて増えた売り場面積では何が扱われているのか?もちろん先端技術製品である。マクサコフから販売されるサイバネティクスとそれを移植するための医療設備など、MCUから販売される魔法を刻印された雑貨やファッション、I&Kが運営するニンジュツ教室とスポーツジムやスポーツ用品店など、三大企業の資本をこれでもかと投入した施設が今世の大型商業施設の正体である。それ俺の企業はフロアごとに分断されており、スタッフの出入りも厳しく制限されている。
一通り回ってみると、マクサコフのフロアでは最新鋭のサイバネティクスを販売しているだけでなく、点検のための修理工や保険窓口、サイバネティクスの美しさを引き立て、醜いところを隠すためのファッションアイテムも散見される。他のフロアと違い、サイバネティクスが目立つように意識されているのか、店員も見せつける様な部位に移植されているものも多い。客もサイバネティクスを身につけているものが多く、一人一人に強い個性が見受けられた。客層として多いのは意外にも若年層であり、これは成長に合わせてサイバネティクスの新調をしたり、サイズ合わせをしなければならないためで、店頭にはサイズ違いの規格品が並んでいるところもあれば、オーダーメイドを受け付けるという宣伝がなされている店もある。店頭に並ぶサイバネティクスボディなどは衣服を着ていないので大変な官能的であり、健全な男子の拠り所にもなっている。ドローンなどの兵器やおもちゃも置いてあり、母にねだってみたが取り付く島もなく初めてのおねだりは失敗になった。
MCUのフロアでは最新の研究成果を民用化した魔法製品が販売されており、一般に販売されている製品の数倍の性能を持っている分価格が高い印象だ。例えば例えば衣服は体を守るというアレテーを強化されており、繊維性の布であるにも関わらず容易に弾丸を受け止める、実演販売を見たときには、まさに魔法なのだということを実感させられた。他にも、このフロア特有の店舗としてタトゥーショップが挙げられる。タトゥーと言っても一定期間皮膚に着色できるフェイクタトゥーやタトゥーシールが主力製品で実際に針でインクを定着させる魔法使いは少ない。そもそも魔法は研究発展が継続している分野であり、消えない紋章を体に入れてしまうと最新の研究を書き加えることは難しい。そのため、多くの魔法使いは一週間から二週間ごとに体の紋章を書き換えにくる場合が多い。紋章のような精密な図形をセルフでペイントするのは難しいため基本はタトゥーシールで済ませて、販売されていない分は店舗で専門家に書いてもらうことが多いそうだ。ファッションのコーナーは露出を抑え、体を隠すことを意識したものが多いようだ。おそらく体の紋章を見られて使用できる魔法を判別されるのを嫌うからであろうと思われる。
I&Kのフロアは今まで見た中で最も前世に近い印象を受ける。ニンジュツの修行のためのトレーニング道具の販売店やスポーツウェアのショップが多く見られる。ファッションコーナーで売られている商品は基本的にジャージのようなもので動きやすさを重視しているだけでなく、ニンジュツ使いが肉体を変化させることを念頭に置いており、体が縮小・膨張した時についていけるように高い柔軟性と伸縮性を備えている。中心に聳えるのはニンジュツを指導する場所であるドージョー(この表記が正しい)であり、そこから広がるようにさまざまトレーニングエリアが広がっている。陸上競技のフィールドトラックのようなものからロッククライミングの施設まで幅広く、三大企業の中で最も広い面積を使用しているようだ。上層で大量の水が下に落ちていっていると思ったら、このフロアで滝行に使われていることがわかり、ドージョーの本格さに驚きを隠せない。また、修行中の怪我などに対応するための診療施設や接骨院、マッサージ店などがあるのも特徴と言えるだろう。
大体のフロアを見終えて再びマクサコフのフロアに戻ってくると、そこに驚くべきファッションを身に纏った人物がいた。丁髷である。頭頂を中心にはげた頭皮、そびえ立つ黒い塔。まさに日本の伝統丁髷である。気になりすぎて子供の特権である無邪気さを利用して丁髷の人物に取材したところ、あれはサイバネティクスの一種だとか。あのサイバネティクスは日本人技術者が開発した見た目の割には高性能なもので「Many Assist GEnerator」略称MAGEと呼ばれる製品であり、頭頂部にそびえる黒い棒状の部分は髪の毛ではなくレーザー発生器で、小型ミサイルや銃弾をMAGEが探知して自動迎撃してくれるシステムとのことだ。確かに頭頂部にあることで死角を減らすことができ、反撃にレーザーを用いることで反動がなく行動に支障がない点は素晴らしい。しかし、レーザー発射部分が頭皮に近く、頭髪に引火しやすいことから頭頂部を剃毛する必要があり、結果として丁髷になってしまうようだった。きっと日本人技術者はあえてこうなるように調整したのだろう、絶対にわざとだ。名前からして悪意を感じる。
こんなことで時間を潰してしまったが、見聞を広げることができ、家族で楽しいひとときを過ごすことができた、楽しい一日だった。
意外にも丁髷には結構な種類があり、本作では平安時代にあった冠下を参考にイメージしていただけると幸いです。
気になる方は是非調べてみてください。




