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サイバーパンク転生〜企業戦士となって信仰を捧げる〜  作者: 石丼
サイバーお受験戦争
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家庭訪問 後編

話を分けるのはじめての試みでしたが、読みずらくないか心配ですね。後編です。

 「すみません。申し遅れました、私はマクサコフ機械公社人事部次世代教育課新生児管理官補佐の林田と申します。」林田は急に松本から会話の主導権を譲られたことに焦ったが、挨拶から切り出すことで仕切り直したようだ。


 「私は孝くんをはじめとした新生児の健康状態などを確認し、子供たちが健康に育つことをサポートしています。」

 嘘だな。など、の部分に検索履歴やらなんやらの確認まで含めているとみた。大企業の会社員にしては顔に出過ぎているぞ。林田くん。なんだか昔の部下を思い出す。


 「孝くんの入園する予定の学校は私の母校である公国立ボンデーキン学園幼稚部が正式名称で、よく公立幼稚園などと言われることが多いです。幼稚園から高等学校までの一貫校で基本的には全寮制です。親御さんからすれば寂しく思えるかも知れませんが、友達もたくさんできましたし、とてもいい環境で生活できることは保証しますよ。」

 学園時代に思いを馳せたのか、やや柔らかい雰囲気になって両親に話しかけた林田。

俺はずっと気になっていることを尋ねることにする。


 「入園試験は難しいと聞くのですが、どのようなものなのでしょうか?」

俺の質問に二人は苦い顔をする。なんとも答えづらい。いや、答えづらいと言うことも難しいと言った雰囲気だろうか。


 「いえ、無理にお話しされなくて結構ですよ。試験を受けさせる側として話しにくいことこの上ないでしょうから。」収穫がなさそうと見て質問を取り下げる。


 「ええ、新生児に気を遣われるのは申し訳ないですが、何がヒントとなるかわりませんので、回答は差し控えさせていただきます。」と松下が代表して返答してくれる。

 続けて、林田が口を開く。

 「ただ、今の練習は続けた方がいいでしょう。ドローンなどの機械類やサイバネティクスの操作には慣れておいた方が潰しが効くといいますか、どんな状況にも対応する力が身に付きます。これからの社会には必須級のものもあるでしょうから。」

 なんだか誰に対してもアドバイスになる、形だけの発言のようだ。この話題を避けたいのは確実だとみえる。


 「孝は無事に合格できるでしょうか…。夫はI&Kの仕事についていますし、私はそう言った教育は受けてきていないものですから…。」


 「ご安心ください。私も孝くんと似たような出自です。母は魔法使いでした。マクサコフの試験は人種や家庭環境への審査は行いません。プログラムに参加する当人の資質と能力のみを判断材料に合否を決定します。子供ながらに両親に合わせて勉強していたら合格できましたよ。孝くんはすでに言語を理解していますし、ドローンも操作できていますから、現時点では十分以上に優秀でしょう。ユーモアもあるようですしね。」

 最後の言葉に母は首を傾げるが、俺はわかる。わざとドローンの音声を変えていたことに気づかれてしまったのだろう。ちょっとしたお茶目だから許してくれ。こう言ったことは早めに謝るが吉だな。


 「ごめんなさい。ちょっとしたお茶目でした。」

 ドローンを上下させて謝意を示してみよう。意味はあるかもしれない。


 「いえいえ、お気になさらないでください。むしろ十分にドローンを活用してくれてうれしですよ。」松下管理官が返答をくれる。


 「受験まではあと2年以上の時間があります。それまでは色々な場所に行って、色々な勉強をしてみるといいでしょう。これだけドローンを使うのが上手なら、この地区にはドローンレースの競技団体があったはずですから、参加してみるのもいい経験になるかもしれませんね。私もドローン競技の部活動に入っていたので、おすすめです。」

 林田はドローン競技者だったようだ。面白そうだから後で両親におねだりしてみよう。流石に早すぎるとは思うが。


 「それでは、そろそろオフィスに戻らなければいけない時間ですので、これで失礼します。お時間とってしまって申し訳ありませんでした。今後も都度、訪問させていただきますので、よろしくお願いいたします。」そう言って去ろうとする松下と林田に俺は視線間高速赤外線通信でメッセージを送る。


 「またのお越しをお待ちしております。出産祝いはありがたく受け取っておきます。次は誕生日プレセントが欲しいです。松下お姉さんに林田おじさん。」

 俺のメッセージを受信したであろう一人はふっと微笑み、もう一人は苦い顔をしていた。顔に出過ぎだぞ。


 マクサコフの二人が帰った後は、神前家も自宅に戻り、家族でゆっくりして過ごした。両親と受験案内を読み、過去問などがあるかを調べたが、試験方法や課題が毎年大きく変わっており、ろくな対策をすることができなさそうだった。ただ、共通のテーマとして、「友情・協力・連携」の三つだろうか。今からでもできる友達づくりを始めようと、方法を考えながら、カニクリームコロッケ味のミルクを飲んで眠ることにした。


 

グライアイなどの眼球型サイバネティクスや電脳などにより、計算や言語などの個人の能力は大きく差がつきづらいため、入園試験では協調性や積極性、思考力などを問う課題が多くなります。試験に電卓が持ち込めるなら問題自体が考えさせるものになるのは現代でも当然ですよね。

そろそろ時間を飛ばしながら入園試験までスムーズに軟着地できたらと思います。


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