会話
親子初めての会話はまさかの形で始まる。
神崎家に来てから三日が経過した。母と父は育休をとっているそうで、一日中甲斐甲斐しく俺の世話をしてくれる。俺も自分の体を鍛えるためにひたすらジタバタしているため、父には元気すぎないかととても赤ん坊に向けないような視線で見られたことがあった。こんなに扱いやすい赤ん坊が他にいるか!大小問わず出したものはきちんと報告するし、お腹が減った時は残さず飲んでいる。とても行儀がいいはずだ。
さて、今日はマクサコフから郵便が届くことになっている。約3年後に日変えている幼稚園受験のための教材たちだ。昨日松下管理官から我が家に届いたメールでは、「サイバネティクスの活用練習キット」とそのほか一般教養の教材データとのこと。非常に楽しみである。
今世の宅配便は一定以下の大きさ、重量である場合は大型ドローンによる空輸で運ばれる。神崎家のようにアパートに住んでいる場合は、暖炉につながる煙突のような輸送路が屋上から一階の部屋まで貫通しており、配送物は直接屋内に投入される。煙突内にあるスキャナが伝票を読み取り、適切なタイミングで排出することで部屋に届くのだ。
こんなことを忘備録に記入しながら、自分で揺籠を移動させ、荷物が届くはずの場所へ移動する。父は勝手にリビングに来る俺をまた来たなぁくらいの余裕の顔で見守っている。これが普通だと思うと第二子に苦労するぞ。
父の顔を楽しく眺めていると荷物が投下される合図が鳴る。両親が取り出し口に向かいコンテナに詰まった荷物を部屋の中に取り出していく。意外と大きいものまで送られてきたようだ。
「これ重くないかな。子供が使うものがこんなに重いことあるのかな?」
父はI&Kに勤めているだけあり、ニンジュツが多少使える。父の感覚で考えると、大抵のものは軽いのだ。それに対して母は一般人なので、物によってはよっこいしょだのなんだのと言いながら荷物を整理していく。
「うーんどうなのかしら。案内をみないとわからないけど、ひとまず開けてみましょうよ。」
そう言って母は大きいつ海から開封する。梱包が開けられた途端、私の目であるグライアイⅢに通知が入る。
[グライアイⅢと同期可能な機器が検出されました。接続しますか?]
これがドローンだろうか。送り主がマクサコフであることは確認できているので、とりあえず接続してみることにする。
[接続しました。ストリボーグⅤ起動準備完了。起動には利用規約を確認しチェックボックスを…]
はいはい。これは今の時代もあるんだね。利用規約にざっと目を通しながら無意識に規約に同意し、起動待機状態に移る。
[パケージの開封をお待ちの間に操作説明書をご確認ください。]
自力で開けることはでいないので、両親がせっせと開けている姿を見つめる。一番大きな包みが完全に開けらると共にほとんど音を立てることなくドローンが飛び上がる。
「うわっ、びっくりした!テロか!?」と父が物騒なことを口すると同時に新たな声が上がる。
「ストリボーグⅤ起動完了。ユーザー神前孝様。この度はストリボーグⅤのご利用ありがとうございます。無人機運用法に基づき、周囲の安全に配慮してご利用ください。」
お前、話せるのか!さっきまでみたいにメッセージ送信機能しかないものとばかり。これはひょっとすると…。ストリボーグを制御するUIを起動し、操作説明を確認すると、期待していた機能を発見し早速利用してみる。すると内容にそぐわない声色が響き渡る。
「おはようございますママ、パパ。孝です。今このストリボーグの降伏勧告用のスピーカーを利用して話しかけています。」
「えっ!?孝なの?孝が動かしているの?」
母は驚き、ドローンと俺を交互にみる。
「はいママ。この数日間でママやパパの会話やグライアイⅢの学習機能を使って代替言葉を覚えたと思います。でもまだうまく話せないので、今届いたこのドローンを使えばもしかしたら会話できるかもしれないと思って試してみました。お話しできて嬉しいです。」
「最初はママだったか…」と項垂れている父は状況について行き来があるのだろうか?いや、気持ちはよくわかる。私も第二子である息子には最初にパパと言ってほしくて空いたびにパパと耳元で呟いていたからな。
「あらあら、養成プログラムって本当にすごいので…。私もお話しできて嬉しいわ孝。」そう言って母は俺を抱き抱えようとするので、私はすかさずドローンを通して要望を伝える。
「ごめんなさい…。抱っこの前におむつ変えてください…。」
自分で申告するのはこれ以上ないほど恥ずかしいものだった。
おむつをかえられながら、初めてのおもちゃであり相棒となるストリボーグⅤを部屋の中で動かし、操作に慣れていくことでこの日は疲れて寝てしまった。
ストリボーグⅤの説明は今までのように忘備録であげておきますので、気になる方は是非御読みください。そういいのはいいよって人はいいねとコメントをください。
筆者自身ドローンは学生時代に購入したのですが、意外と使い道が少ないことと、法整備が早かったことで、あまり遊べなかったですね。




