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サイバーパンク転生〜企業戦士となって信仰を捧げる〜  作者: 石丼
サイバーお受験戦争
17/70

忘備録=飲料と台所事情

前回触れることができなかった飲料と家庭の台所についてです。

 照り焼きマヨソース味のミルクは、転生前の青年の頃に流行したマヨネーズの直飲みをした時よりも強烈な味の濃さに困惑し、吐いてしまった。まだ赤ん坊の俺が試していいことではなかったようだ。掃除させてしまってすまない父よ。その後はロイヤルミルクティー味に設定して飲み直した。


 このネクター文化は食品だけでなく飲料にも侵略した。基本的のどの自販機にも店舗にも、消毒済みの水と炭酸水が売られているのがほとんどで、飲み物を飲むときにQRコードを読み込んで自分の好きな味付けで楽しむことになる。飲み物は食品に比べて味覚情報よりも嗅覚情報にこだわりがあり、コーヒーや紅茶は高級品のような香り高いものがいつでも味わうことだできるようだ。ただし、実際に飲んでいるのは水や炭酸水であるため、カフェインやカテキンは含まれておらず、俺が生前よく飲んでいたエナジードリンクなども現在は存在していない。フレーバーだけは名称としてエキサイティングフレーバーとなっていることが確認できた。次のミルクはこれで飲むことにしよう。


 しかし、飲料とはお茶やコーヒー、エナジードリンクだけにとどまらない。生前の私の娘がよく飲んでいたタピオカミルクティーは、味こそ無くなってしまったもののネクター製のタピオカが沈澱した真水として販売されており、今でも飲むことが可能である。また、フルーツジュースを楽しみたい人向けにネクター製の果肉のようなものが混ぜ込まれた水も販売されているようだ。しかし、短時間でエネルギーを補給したい人向けのゼリー飲料は無くなっているようだ。ネクターを直飲みすればいいだけなので当然だろう。


 タピオカドリンクなどは無くなっても私は構わないのだが、今後学業に邁進していく予定の俺としては、エナジードリンクなどがないのは面倒だと思い検索範囲を広げると、ある広告が目についた。


 「この一粒で一週間働けますか。」「できるエージェントはこれを飲む!」

 「飲みますか?それとも死にますか?」


 恐ろしいことに、この世界ではエナジードリンクを筆頭とした栄養剤は小型・固形化が進行したようだ。私の生前でも社会人でタフに働く人々はよく栄養剤を服用している人を見かけた。この世界でも同様だったのだが、第三次世界大戦中に液状では重く、容積があるので不便だったため、初めは戦闘糧食に栄養素を添加した。戦況が悪化するにつれて、食事をしている時間など摂れない前線部隊のために小型清涼菓子のような形状にリメイクされ、それが今まで成長を続けているようだ。


 そもそもこの世界の人々の勤務形態はニ勤一休が多く、マクサコフとI&Kの子会社はほぼ全てこの形態をとっている。これは二日八時間労働一日休暇ではなく、四十八時間労働後二十四時間休暇を与える制度となっている。

 サイバネティクスやニンジュツが一般人に浸透したため、人間の稼働時間は飛躍的に向上しており、二、三日寝ないで働くことは案外容易になっているようである。集中力のサポートはAI等が行うため、数時間に一度の休憩はあるが、基本は48時間職場に詰めることになる。父が私の出産に立ち会えなかったのは、出産予定日がやや早まっただけでなく、この勤務形態が原因だったのかもしれない。俺もそのうちこのような生活になるのだろうか。…というか三日に一度しか父や母に会えないのか?


 話がそれてしまったが、食品も飲料もほとんどがネクター製になり、味付けはQRコードを読み取るだけになったため、この世界のほとんどの家庭にはキッチンが配備されない。むしろキッチンがあるお宅は「風情がありますね」などと嫌味を言われることがあるそうだ。新しい我が家ではもちろんキッチンがなく、広いリビングにぽつんと電子レンジと冷蔵庫が一体型になった機械が置いてある。下部は冷蔵庫であり、ネクターが腐らないように冷やして置ける。上部は電子レンジのようなものであり、私の時代の物よりも高性能で、ネクター製品に合わせて部分ごとに「温め分ける」ことができる。


 環境破壊によって水道水も飲めないため、キッチンはまとめて冷蔵庫とレンジだけに収まってしまう。この世にキッチンがあるのは上流階級の古風な家だけだといえるだろう。


 この世界には家庭料理も「母の味」も存在しなくなってしまったのだ。 


東京のワンルームアパートには今ですら「風情のない」ところが多いとか。自炊できないのは大変ですね。

ちなみにQRによる味覚や嗅覚の演出には強弱が設定されています。牛丼を例に挙げると、牛丼には米、肉、ネギ、たれが特に味の要素になっていると思いますが、それぞれの味の出力をランダムに制御していて、ネクター製の米だけを食べているのに肉やネギの味がしたり、肉を食っているのに米の味がするなど、味に変化が演出されることになっています。これは食べ物を食べるときに味が一定だと満足度が低いと判明したため、食した部位と味に乖離があったとしても味に変化がある方が良いとされています。

以上、どうでもいい補足でしたが、フレーバーテキストとしてお楽しみください。


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